とよたま愛読会55回(山河草木:65巻10章〜21章)  記塩津晴彦


日 時  平成13年4四月21(土) 午後1時から午後4時30分まで
場 所  愛善苑 豊玉分苑 (京王線下高井戸駅下車 徒歩8分 川崎方)
物 語  山河草木 辰の巻 第65巻

★ 報告
 短かった春が過ぎ、梅雨の走りでしょうか、雨模様の日が多くなってきました。庭先には椿、紫色の鉄線、金蓮花、宝鐸草が咲き、一種さわやかな風情が漂ってきています。先日、天皇家のおめでたが発表され、一方東京の高尾では駅の玄関に「香淳皇后」の墓稜建設のお知らせが宮内庁の名で出されています。
さて富士山の地下では微細な地震が多発し、一部では警戒の態勢をとっていることが報じられています。不二の神霊「木の花咲耶姫命」は聖師さまにとって格別の意味があるように思います。『霊界物語』の聖師自叙伝とも云うべき第三七巻の冒頭に詳しく「富士山」にゆかりの記事が口述されています。聖師さまが高熊山で修行をされた時にそのお迎えに来たのが木花姫神のお使いで洋服姿の松岡天狗だったことは有名ですね。富士山の動向は聖師さまからの何かのメッセージかもしれません。
 今回は変則的に土曜日の例会となりましたが参加の5名は65巻10章から21章までの通読を無事に終えました。5月の愛読会は、日曜日です。是非ご参加下さい。前回の拝読箇所で第9章の終わりのところで治道居士が「…経文とも偈ともつかぬことを喋りだした」(118頁)と出ていましたが、この『偈(だ)』について説明しておきます。〔仏〕(梵語 、伽陀・偈陀とも音写。頌と訳す。 経・論などの中に、韻文の形で、仏徳を賛嘆し教理を述べたもの。また、それに準じて、仏教の真理を詩の形で述べたもの。(『広辞苑』から)

★ 拝読箇所で気のついたこと
○第一○章 赤酒の声
 虎熊山の岩窟牢屋に閉じこめられた治道らは元の治道の部下で岩窟盗賊団の親分セールを言向和すためにヤク、エールをも巻き込んで一芝居うつことにする。まづデビス、ブラヴーダ両人はセールになびいたと見せかけ治道を連れてこさせること、岩窟の子分達を遠ざけることをセールに提案する。

○第一一章 大笑裡
まんまと乗せられたセールは部下を自分と姫達の祝宴準備のため食料調達を命じ、ヤク、エールの案内で五人の小頭と一緒に牢獄の前に出向く。
 暗闇の牢獄では、カークスがデビス姫、バットは治道、ベースがブラヴーダ姫の声色を使って芝居を始める。
 怪しげな声色で治道居士を二人の姫さまが退治する場面を演じた三人は牢獄の扉を開けるようにセールに告げ、明かりがつくと本物三人がセールと小頭の前に現れ、一同は腰を抜かす、更に牢獄の三人が元の自分の部下達だと分かり二度びっくりしたところへ、伊太彦宣伝使の歌が響き渡る。 遂に改心し大神に帰順したセールは岩窟に火を放ち乾児共々それぞれの郷里に帰ることにした。治道と姫達は各々エルサレムを目指し、ハールは許されて伊太彦と共にエルサレムに従うこととなった。

○第一二章 天恵
治道居士はバット、カークス、ベース、ヤク、エールの五人を連れて西へエルサレムを目指す。
 道々ヤクは今後の身の振り方を歌う
  『こいつは何とか工夫して身の振り方を考えにや
   口のひあがる虞れあり 倉廩みちて礼節を
   知るとは古人の金言だ なにほど誠の教をば
   瀧の如くに浴びせられ雷のごとくに聞かされて
   いかに心が開くとも お腹が空いては玉の緒の
   命をつなぐ術もない 
   どしたらこの苦を遁れようか……』
これに対して治道居士は
  「霊主体従の真心に 立ち帰りたる人々は
   必ず衣食住業に 普く幸はひ賜ふべし
   先ず第一に魂を 研いて心を相清め
   神の大道を歩むべし 神は汝と共にあり」
と答え、さらに
  『人間は神様の与えて下さるものを頂いてをりさえすれば安全だ。今の人間は食つたうえにも食ひ、飲んだ上にも飲み、贅沢三昧をして、これは 甘いの、不味いのと小言ばかりいふてゐるから、生活難の声が起こるのだ。……』と諭します。
さらに治道らは、自分たちが軍隊生活をしていたときには一日として心が安んじたことがなかったとお互いに告白しあうのでした。
治道居士が、『人はどうしても、誠の道に苦労せなくては、神様の恵みも分からず、また飲食物の尊いことも分からぬものだ』と話す折から、虎熊山が傲然と響きをあげ、一大爆発を起こす。一同はこの光景を眺めて神の無限の仁慈を涙と共に感謝するのだった。
 現代に通じる聖師さまの御示しです。人間としての暮らしを神と共に生きることの決定的な大事さが伝わります。日々考えるべき問題です。

○第一三章 隔世談
さて伊太彦は、夜光の玉を奉じて、ハールを連れてセルの山にやって来る。そのあたりに解散帰郷するバラモン軍人組が四五人ひそひそ話しに耽っていた。強盗団の新組織を作るか、大人しく帰るかで内輪もめし、喧嘩を始めたところへ伊太彦がやって来る。泥棒商売が無益なことを諭すが、メスは納得しない。そんなとき、虎熊山の大爆発が起きる。一同は溶岩の雨に会い、恐怖のあまり俄に改悛し祈願を始めると、巨大な溶岩は一人も傷つけず、これにより一同はお礼参りと称して伊太彦についてエルサレムに向かうこととなった。

○第一四章 山川動乱
 一人エルサレムに向かうデビス姫は虎熊山の噴火に会うが眼の前に尾の半分白い野狐が溶岩の断片に当たってけがをしている姿を見て、これを救う。姫はこの光景の中で歌う。
 『皇神の教へ給ひし現世の
      あらたまり行くしるしなるらむ』
 『古のエトナの山の噴火より
      いと恐ろしき虎熊の山』
 『エトナ山震ひ出して地の上は
       大水あふれ風吹きまくる』
 『虎熊の生血をしぼる岩窟も
       火の洗礼を受けて清まる』
 『爆発の後の山地ひきならし
       太しく立てむ神の宮居を』

○第一五章 饅頭塚
一方ブラヴーダ姫は虎熊山の噴火爆発に会うが、野狐が着物の裾をくわえて大きな穴の中に引っ張り込んだ。そこへ大音響とともに虎熊山の山の神として身を潜めていた八大龍王の一つマナスインナーガラシャーが山から逃げ出すところに出くわす。この龍王の大きさは単純にメートルに直すと、一丈は約三メートルですから、長さ一万五千キロメートル、幅九千キロメートルという途方もない大きさです。何かの例えなのでしょうか。
野狐に感謝をしつつ姫は歌います。
 『仰ぎ見れば虎熊山の空高く
     おほひけるかな醜の黒雲』
 『世の人の生血を絞る曲こそは
      虎熊山に住みしなるらむ』
 『人々の恨みを集めて噴火口
       吐き出す煙は空を覆へる』
 『濁流を流し清めて神国の
       昔にかへす瑞の大神』
 『皇神の作りたまひし世の中は
       神より外に頼るべきなし』
 『よしやよし人は高きに登るとも
        いつかはおちむ猿の木登り』
そして姫は一人西へ西へと向かいます。

○第一六章 泥足坊
 ハルセイ山の頂上に向かった三千彦は三人の泥棒組のよからぬ相談を木陰に潜んで聞く。

○第一七章 山嵐
 そこへ通りかかったブラヴーダ姫に三人組が掛かっていくが、手もなく姫にねじ伏せられてしまう。二人はまた各々に西へ向かう。
聖師さまの余白歌
   こののあらはれしより大本の やうやく目をさましたり

○第一八章 白骨堂
 三千彦は漸く「仙聖山」の坂道に取りかかった。この仙聖山は十宝山の一つだということですが、場所は中国だという設定です。どういうお話なのでしょうか。まづ三千彦は白骨堂で祈っているスマナーと会います。彼女は近くの村の村長バーダラの妻で虎熊山の強盗団タールの一味に一家皆殺しに会い、自分だけが生き残り、世をはかなんで自殺するつもりだったと告白する。三千彦の説得で気を取り直したスマナーは三千彦を自宅に案内する。

○第一九章 谿の途
二人は世にも珍しい花々が咲き乱れ、此の世の楽土と言われた仙聖郷の村に向かう。道々スマナーは自分の従兄弟のテーラが残った財産を横領しようとしていることを告げる。

○第二○章 熊鷹
そのテーラーは早くもバーダラ家でを巻き、村の青年達を相手に、スマナーの遺書を振りかざして自分が相続者だと言い張るが、青年団のタークがその遺書を見て読み上げると、内容はテーラーの追放と白骨堂の維持や山林田畑の村人への管理を依頼するものだった。
 青年隊に問いつめられたテーラーは『今日の制度を知っているか、今日の世の中は紳士紳商官吏の天下だぞ。自分は官吏の下で働いている偵羅だ。役人を連れてくるぞ』と見栄を切り、キングレスを始め捕り手を呼び寄せる。テーラーに加勢するキングレスに対して青年団のタークやインターは『万一スマナーが生きていたら財産はテーラーが相続できない』ことを主張し、キングレスも一応それを認める。

○第二一章 仙聖郷
 スマナーは帰宅の道で歌う。
 『花は紅葉は緑 錦の山の尾めぐらせる
  中国一のパラダイス 仙聖郷は永久に
  天国浄土の楽しみを 味はひゐたる郷なれど
  天足彦や胞場姫の 醜の魔神の血筋らが
  いつとはなしに窺ひて 人の心は日に月に……』 
そして自宅に入ってきたスマナーを見てテーラーは転びながら逃げだし、キングレス始め偽捕り手の強盗団一味は腰を抜かす。三千彦はキングレス達に諭す。
『人間界からいへば赦しがたい大罪人、お前たちは今日の法律によれば、強盗殺人罪として首のない代物だが、神様は大慈大悲にましますゆえに、改心さえすればキッと許して下さるだろう。しかし三千彦は人を審判く権利もなければ、許す権利もない。……神の御子たる誠の人間に立ち返ってもらひたい』
一同が三千彦の言霊に神様の恩愛を感謝している最中に虎熊山の大爆発の振動が伝わってくる。 さて一体この舞台となった仙聖郷とはどこの事なのでしょう。そしてこの後この秘境はどうなるのでしょうか。物語は佳境に入ってきます。

(補足)この稿を書き終えるや、日本国政府が「ハンセン氏病の地裁判決」に対して控訴しないことを決定と報道あり。私見ですが、小泉内閣の一つのお手柄ではあると思います。

次回 第56回 ご案内
日 時  平成13年5月27(日) 午後1時から午後4時30分まで
場 所  愛善苑 豊玉分苑 (京王線下高井戸駅下車 徒歩八分 川崎方)
      連絡先(川崎方)03(3321)、03(3321)8644
物 語  山河草木 辰の巻 第65巻
拝 読  第22章から拝読します。 (物語をおもちでない方もどうぞ、参加費は不要)


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