とよたま愛読会59回(山河草木:67巻 序文 〜 8章)  記塩津晴彦


日 時  平成13年8月26(日) 午後1時から午後4時30分まで
場 所  愛善苑 豊玉分苑 (京王線下高井戸駅下車 徒歩8分 川崎方)
物 語  山河草木 辰の巻 第67巻 序文 〜 8章

★ 報告:猛暑、特に高い湿気が一段と、土と緑から切断された結果のヒートアイランド現象なのでしょうか、東京での夏を一層不快な感じにさせています。愛読会は参加者五名で『霊界物語』第六七巻の序文から第八章までの通読を無事に終えました。この第六七巻には、特に大事だと思われるところがあります。  それは第五章 浪の鼓 に出てくる「神仏無量壽経」なのです。今回はその第五章に話題を絞りながら進めてみようと思います。ただしその他の個所が重要では無い、という意味ではありませんから、一言お断りしておきます。

*神仏無量壽経の世界*
総ルビ付き文 『霊界物語』  この「神仏無量壽経」は『校訂版』五九〜六三頁に昭和六年七月十五日発行の『霊界物語』(『再版』)を参照し構成したものです。

★ 拝読箇所で気のついたこと
『霊界物語』第六十七巻
 第五章 浪の鼓 「神仏無量寿経」
  シーゴーは嬉し涙を腮辺に垂らしながら、黙々とヨリコ姫に向かひ合掌してゐる。海の静寂を破つて、梅公の口より音吐朗々と独唱する「神仏無量寿経」が甲板上に響き渡つた。

神仏無量寿経
    第一神王伊都能賣の大神の大威徳と大光明は最尊最貴にして諸神の光明の及ぶところにあらず。
あるひは神光の百神の世界、あるひは万神の世界を照明するあり。
要するに東方日出の神域を照らし、南西北、四維上下も亦復かくの如し。
アヽ盛んなるかな、伊都能賣と顕現し玉ふ厳瑞二霊の大霊光、この故に天之御中主大神、大国常立大神、天照皇大御神、伊都能賣の大神、弥勒大聖御稜威の神、大本大御神、阿弥陀仏、無礙光如来、超日月光仏と尊称し奉る。
それ蒼生にしてこの神光に遭ふものは、三垢消滅し身意柔軟に歓喜踊躍して、愛善の至心を生ず。
三図勤苦の処にありて、この神の大光明を拝し奉らば、いづれも安息を得て、また一つの苦悩無く、生前死後を超越し、坐しながら安楽境に身を置き、天国の生涯を送ることを得べし。
この神の大光明は顕赫にして、宇内諸神諸仏の国土を照明したまひて聞こえざることなし。
ただ我が今その神光霊明を称へ奉るのみならず、一切の諸神諸仏、清徒声聞求道者縁覚諸々の宣伝使、諸々の菩薩衆、咸く共に歎称悦服帰順し玉ふこと亦復かくの如し。
もし蒼生ありてその光明の稜威と洪徳を聞きて日夜称説し信奉して、至心にして断えざれば、心意の願ふところに随ひて、天国の楽土に復活する事を得べし。
諸々の宣伝使、菩薩、清徒声聞の大衆のために、共に歎誉せられてその洪徳を称へられ、そのしかる後に成道内覚を得る時にいたり、普く三界十方の諸神諸仏、宣伝使、菩薩のために、その光明を歎称せられんこと亦今の如くなるべし。
あヽ我が伊都能賣の大神の神光霊明の巍々として殊妙なることを説かむに昼夜一劫すとも尚未だ尽すこと能はず。
爾今の諸天人及び後世の人々、神明仏陀の神教経語を得てまさにつらつらこれを思惟し、よくその中において心魂を端し、行為を正しうせよ。
瑞主聖王、愛善の徳を修してその下万民を率ひ、轉た相神令して、各々自ら正しく守り、聖者を尊び、善徳者を敬ひ、仁慈博愛にして、聖語神教を遵法し、敢えて虧負すること無く、まさに度世を求めて、生死衆悪の根源を抜断すべし。
まさに天の八衢、三途無限の憂畏苦痛の逆道を離脱すべし。
爾等、是において広く愛善の徳本を植え、慈恩を布き、仁恵を施こして、神禁道制を犯すこと無く、忍辱精進にして心魂を帰一し、知恵証覚をもつて衆生を教化し、徳を治め、善を行ひ、心魂を浄め、意志を正しうして、斎戒清浄なること一日一夜なれば、即ち無量寿の天国に在りて、愛善の徳を治むること百年なるに勝れり。
如何となれば彼の神仏の国土には、無為自然に、皆衆善大徳を積みて毫末の不善不徳だも無ければなり。
此において善徳を修め信真に住すること十日十夜なれば、天国浄土において愛善の徳に住し、信真の光明に浴すること、千年の日月に勝れり。それ故如何となれば、天国浄土には善者多く、不善者少なく、智恵証覚に充たされ、造悪の余地存せざればなり。
ただ自然界、即ち現界のみ悪業多くして、惟神の大道に背反し、勤苦して求慾し、轉た相欺き心魂疲れ、形体苦しみ、苦水を呑み、毒泉を汲み、害食を喰ひ、かくの如く怱務して、未だ嘗て寧息すること無し。
吾爾等蒼生の悲境苦涯を哀れみ、苦心惨憺誨諭して教へて善道を修めしめ、器に応じて開導し、神教経語を授与するに承用せざることなく、意志の願ふところに在りて悉皆得道せしむ。
聖神仏陀の遊履するところ、国邑丘聚化を蒙らざることなし。
天下和順し、日月清明、五風十雨、時に順ひ、十愁八歎無く、国土豊にして、民衆安穏なり。
兵戈用無く、善徳を崇び、仁恵を興し、努めて禮譲を修む。
我爾等諸天、及び地上蒼生を哀愍すること父母のごとく、愛念旺盛にして無限なり。
今我この世間において、伊都能賣の神となり、仏陀と現じ基督と化り、メシヤと成りて、五悪を降下し、五痛を消除し、五焼を絶滅し、善徳を以て、悪逆を改めしめ、生死の苦患を抜除し、五徳を獲せしめ、無為の安息に昇らしめむとす。
瑞霊世を去りて後、聖道漸く滅せば、蒼生諂偽にして、復衆悪を為し、五痛五焼還りて前の法の如く久しきを経て、後轉た劇烈なる可し。悉く説く可からず。
我は唯衆生一切の為に略して之を言ふのみ。
爾等各善くこれを思ひ、轉た相教誨し聖神教語を遵法して敢て犯すことなかれ。
あ ゝ惟神霊幸倍坐世 伊都能賣の大神  謹請再拝

二、 用語などの解説 仏説無量寿経とは 『仏教諸教典のうちで日本人一般の心に最も深く感化を及ぼしたものは、恐らく浄土三部経であろう。浄土教は日本仏教のうちで最も多くの信徒を持っているし、浄土教以外の諸宗派でも浄土教から直接間接に多大の影響を受けている。かなり多くの日本人に認められる謙虚で誠実な心情は浄土教とは無関係ではないであろう。その浄土教の根本教典が浄土三部経なのである。  浄土三部経とは、次の三つの教典をいう。
 一、『仏説無量寿経』二巻(上、下)。 「大無量寿経」ともいい、略して 「大経」という。
 二、『仏説観無量寿経』一巻。    略して「観経」という。
 三、『仏説阿弥陀経』一巻。 略して「小経」という』 (岩波文庫『浄土三部経』中村元他訳注 上 あとがき)より。

 無量寿経には 無限の生命と光に満ちた極楽浄土へ成仏する方法とその世界の有様が説かれている。 (参考)無量寿経のサンスクリット語原典は保存されて居らず、その写本がネパールで発見された(一八二六年)後、これまであった漢訳、チベット訳、印度北方の教典との比較検討が行われた。その結果、明治中期にはこれらの国語を取扱える日本人の研究がすすんだ。  現在日本で使われている教本は中国曹魏の康僧鎧の訳によるものと言われている。

○無量寿仏(むりょうじゅぶつ)とは 阿弥陀仏のこと。
○神王 (じんのう) 仏教とその行者を守護する神のこと。
  多く甲冑を着し、忿怒の相に描かれている。
  バラモン教やヒンドゥー教の神々を受容した結果、仏教を護る役割を持つこととなった神々のこと。毘沙門天などがそれである。
○神光(じんこう) 仏の光明のこと。

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 【神変】(しんぺん)仏や菩薩が衆生を救うため、その資質や能力に従って種々の姿形に変じる こと。

○四維(しい)乾いぬい(北西)・坤ひつじさる(南西)・艮うしとら(北東)巽たつみ(南東)の四隅のこと。
○無礙光如来(むげこうにょらい)その光明を遮るものがない阿弥陀仏の尊称
○三垢(さんく)心身をけがす貪欲・瞋恚(しんい)・愚痴(ぐち)の総称。
○三途(さんず)悪業をなした者が死後に赴く三つのあり方のこと。
     猛火に焼かれる火途(地獄道)と、互いに相食む血途(けちず)(畜生道)と、
     刀・剣・杖などで迫害される刀途(餓鬼道)のこと。

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……三悪道。三悪趣。三途の川のこと。梁塵秘抄「―の扉を押し開き猛火の炎をかき分けて」。
○勤苦(ごんく)仏道を熱心に勤めること、またそのゆえの苦しみ。
○顕赫(けんかく)はっきりと現れているさま。
○宇内(うだい)天下、世界(宇宙)のこと。
○清徒(しょうと)基督教では、十字架の贖いによって罪を赦され聖霊によって清められた信徒のことを聖徒という。
○声聞(しょうもん)仏教の教えを聞く修行僧のこと。
○縁覚(えんがく)独りで悟りを開いた人のこと。他人には教えを説かない。
○咸(ことごとく)あまねく、皆全て。
○菩薩(ぼさつ)仏になろうと修行する人のこと。
○嘆称(たんしょう)感心して誉め称えること。
○蒼生(そうせい、そうしょう)人民のこと。

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【衆生】(しゅうせい、しゅじょう)生きているもの全て、多くの人々
○称説(しょうせつ)ほめたたえること。
○至心(ししん)真心、専念すること。
○心意(しんい)こころ。心に思うこと。
○大衆(だいしゅう)集会に集まった多く人々。大勢の比丘(出家修行者)。
○嘆誉(たんよ)誉めたたえること。
○成道(じょうどう)成仏得道のこと。仏の悟りを完成すること。

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【成道会】(じょうどうえ)一二月八日(わが国古代には三月一五日)、釈尊成道の日として行う法会。
○内覚(ないかく)内面についての悟り

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【外覚】外面についての悟り
○三界(さんがい)一切衆生の生死輪廻する三種の世界、すなわち欲界・色界・無色界。衆生が活動する全世界を指す。最下層に欲界(婬欲、食欲を有する生き物の住む世界)、その上に色界(婬欲と食欲から離れた清らかな世界)、最上界には無色界(物質を越え、高度な精神的な世界)がある。

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【三界流転】(さんがいるてん)三世にわたって因果が連続して迷いつづけるこ と。
○十方(じっぽう)東・西・南・北・四維・上・下のことをいう。
○霊明(れいみょう・れいめい)霊妙で明哲なこと、そのさま。霊力を備えかつ明るくくもりのないこと。
○巍々(ぎぎ)本来は山の高く大きいさま。「山容―」「―堂々」、転じて、福徳の高いさま、おごそか、神々しい、気高い、かがやかしい、などの意。
○殊妙(しゅみょう)特にすぐれていること。
○一劫(いっこう・いちこう)特別に長い時間のこと。(梵語 kalpa 劫波・劫簸ともいう)。きわめて長い時間の単位。多く宇宙の生滅などについていう。

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【未来永劫】一辺四十里の石を天人が薄くて軽量な天衣をもって三年に一度ぬぐい、石が摩滅するまでの時間をいう。

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【四劫】(しこう)世界の成立から破滅に至る四大期。世界が成立する期間を成劫(じょうこう)、成立した世界が持続する期間を住劫(じゅうこう)、世界の壊滅するに至る期間を壊劫(えこう)、次の世界が成立するまでの何もない期間を空劫(くうこう)という。
○爾今(じこん)今から、こののち。
○轉 (うた)いよいよ、ますます。
○虧負(きぶ・きふ)そむく、そしる。違える。
○度世(とせい・どせ)迷いの世を渡ること。 解脱。世間の苦しみから脱すること。
○生死(しょうじ・せいし)迷いの世界や流転の姿を現す言葉。迷いの生活。
○衆悪(しゅうあく・しゅあく)様々の悪。多くの悪。
○抜断(ばつだん)辞書に記載なし。根底から自らの力で断つこと。
○憂莞(ゆうい)辞書に記載なし。うれえ、恐れる気持ち。
○逆道(ぎゃくどう)辞書に記載なし。三塗の道、五悪五痛などの道。
○徳本(とくほん)功徳や善根の種。さとりの果をもたらすもととなる善徳。
○神禁道制(しんきんどうせい)辞書に記載なし。神の法とかいましめのこと。
○忍辱(にんにく)耐え忍ぶこと。忍耐。苦難に耐えること。
○精進(しょうじん)物事に精魂を込めてひたすら進むこと。善をなすのに勇敢であ    ること。
○智慧(ちえ)物事を正しくとらえ、真理を見極める認識力。
○悪業(あくごう)人倫秩序を破壊する行為をさす。十悪業とは、殺生・偸盗・邪淫・妄語・両舌・悪口・綺語・貪欲・瞋恚・邪見をいう。
○怱務(そうむ)世渡りにあくせくするさま。
○誨諭(かいゆ)ねんごろに言い聞かせること。
○開導(かいどう)導き教える。教化すること。
○神教経語(しんきょうきょうご)辞書に記載なし。尊い教え。
○得道(とくどう)悟りを得させること。仏説の得度に対応した言葉か。
○遊履(ゆうり)衆生済度のために訪れること。

○国邑丘聚(こくゆうくじゅう)国、村、村落など人々のいる場所。
○十愁八歎(じゅうしゅうはったん)辞書に記載なし。各種の逆道を総称したものか。
○兵戈(へいか)刃物とほこのこと。戦争のこと。兵隊や軍備のこと。
○礼譲(れいじょう)礼儀と謙譲のこと。
○哀愍(あいみん)哀れむ心。いつくしむ心。
○五悪(ごあく)殺生・偸盗・邪淫・妄語・飲酒を指す。あるいは五常に背くこと。五常とは仁・義・礼・智・信。五蓋のことでもある。五蓋とはみだら・怒り    ・惰眠・快楽・疑のこと。
○五痛(ごつう)五悪を犯したことに対する罪報
○五焼(ごしょう)五悪を犯したことによって三悪道(地獄・餓鬼・畜生道)に堕ちて大火に焼かれる苦しみを受けること。
○五徳(ごとく)修行を終えた菩薩が仏身を得るために積む福徳のうち最初に得る五つの徳益のこと。

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【五徳現瑞】仏説無量寿経の引用部分に続く、仏が阿難尊者に対して光明(威容)を現示し、極楽浄土を照射したことによって阿難が念じた五徳。奇特の法に住すること・佛所に住すること・導師の行に住すること・最勝の道に住すること如来の徳を行すること。
○諂偽(てんぎ)辞書に記載なし。偽りをいったり、他人にこびへつらうこと。どうですか。無量寿の御光は結局、神スサノヲ大神から放射するのですね。

ではまた次回をお楽しみに。ありがとうございました。
*今回の案内で六○回となりました。長く幹事を務めましたが、次回六一回からは新しく豊玉分苑の望月氏に幹事役を引き継いで貰うこととなりました。是非 みなさんのご協力をお願いします。

塩津晴彦様、長い間お疲れさまでした。若い世代へのバトンタッチ 新しい伊吹が吹き込まれてきますことを期待いたします。

 

次回(五八回)の ご案内
日 時  平成十三年九月二十二(日) 午後一時から午後四時三十分まで
場 所  愛善苑 豊玉分苑 (京王線下高井戸駅下車 徒歩八分 川崎方)
物 語  山河草木 巳の巻 第67巻  第9章より通読いたします。
      (物語をおもちでない方もどうぞ、参加費は不要)
連絡先  愛善苑 豊玉分苑の連絡先(川崎方)
       電話 03-332-3996、03-331-8644


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