とよたま愛読会64回(山河草木:69巻 巻頭章〜6章 背水会)  記望月 幹巳


日 時  平成14年1月27(日) 午後1時から午後4時30分まで
場 所  愛善苑 豊玉分苑 (京王線下高井戸駅下車 徒歩8分 川崎方)
電 話  03-3321-3896、03-3321-8644
物 語  山河草木 辰の巻 第69巻 巻頭〜
6章 背水会 

★ 報告: 梅花の候、皆様にはいかがお過ごしでしょうか。  第64回愛読会も、6名の参加者を得て、清清しくとり行われました。  今回より、新しい巻に入り、舞台も南米珍の国(アルゼンチン)へと移ります。かつて神素盞嗚大神、言依別命の命により、国依別が国司となり、太平に治めていた珍の国も、現代にいたって国政の腐敗・堕落の風が入り始めて来ました。  国依別の息子・国照別、娘・春乃姫らの社会改造の物語が始まります。

要約 巻頭言
* 曰く、天運循環した甲子の年に、葦原の瑞穂国(全地球)のどこかに、一大聖人が現れてもおかしくはない。
* そのような聖人でなければ無明暗黒の今日の世界を救うことは到底できないであろう。
* そこで、自分は排他主義を廃し、米国バハイ教、支那朝鮮の宗教と提携し、現代世界を救うべき宗教家を探しつつあるのが、今日の活動である(大正十三年一月十五日)。

★ 拝読箇所で気のついたこと
●第一篇 清風涼雨 第一章 大評定
* 三五教の宣伝使国依別命が、神素盞嗚大神の末女、末子姫を娶ってより治めていた珍の国(アルゼンチン)が舞台となります。

* 天下泰平、四民和楽の治世も、次第に常世の国よりウラル教の思想が入り来たり、国内には他にもさまざまな悪思想がはびこり始めていました。

* 物語は、国司・国依別の補佐を長年勤めて来た松若彦が、部下の伊佐彦・岩治別に辞任の意を漏らすところから始まります。

* 松若彦は自分の老齢と、現代の情勢の厳しさを考え、退任して部下のいずれかに後を任せようとします。

* 伊佐彦:これまでのやり方を守り、あくまで松若彦を中心にして国を治めるべき。

* 岩治別:年老いた松若彦は早く退陣し、新しい考えをもった自分が国司の補佐となり、元の太平を取り戻す覚悟。

* 伊佐彦、岩治別は互いに意見が合わず、言い争っている。そこへ、国司国依別の長子、国照別がやってきます。若君は、浴衣の上に帯をグルグル巻きにして、鼻歌を歌いながら登場。

* 国照別:3人とも中途半端な骨董品だから、自分が親父に勧告して、皆職を解き、平民となって気楽に余生を送らせたいと思っているのだ。。。と3人を煙に巻いて退散します。

* 松若彦は若君のこの有様を見て逆に発奮し、隠退の言を撤回します。そして改革派の岩治別の任を解いてしまいます。

* それだけでなく、松若彦・伊佐彦は岩治別を捉えて獄に投じようと画策します。しかし岩治別は国照別の手引きにより、城を脱出していずこかへ姿をくらまします。

●第二章 老断(一七四七)
* 岩治別が行方をくらました後、松若彦と伊佐彦は、善後策について、謀議をめぐらします。そこへ再び国照別が入ってきて、二人の古い考え方をやっつけます。国照別は、近いうちに城を出て、社会改革のために自ら民間に下るとの謎をかけて、その場を立ち去ります。

* また、次に妹の春乃姫がやってきて松若彦、伊佐彦に隠退を勧告し、その古い頭を非難して、去って行きます。

●第三章 喬育(一七四八)
* 国依別は珍の国の国司になって以来、政治は松若彦に一任し、自分は朝夕皇大神の前に礼拝する以外は、花鳥風月を楽しみ、宣伝使時代の気楽さを懐かしんでいました。

* 国依別は球の玉の神徳によって世の中を達観していたので、時が至るまでは実際の政治を松若彦一派に委任していたのでした。

* 国依別は歌を詠んでいます。すべて、今の世の暗さ、しかし夜明けが近いこと、また夜明けの前には大きな「地震」があること、を歌っています。

* そこへ妻の末子姫がやってきて、息子と娘の暴言に松若彦が憤慨していると諫言に来ます。

* 国依別は逆に、時代遅れの親爺連に引退を迫ったのはさすが自分の子、あっぱれと言って、自分の子供たちが立派に育ったのは神様のおかげ、と拝礼を始めます。さすがに末子姫はあきれてしまいます。

●第四章 国の光(一七四九)
* 珍の都にも、貧しい人々がかなり出てくるようになり、松若彦以下の施政方針に対して、いたるところに不平不満が勃発してきています。

* 人力車の帳場に、三人の車夫が、政治談義にふけっています。

* 国公:上流階級の出だが、わけあって車夫になっているようです。

* 愛公:社会改造のために地位を捨て、民情を研究し、上下揃え升掛けひきならす活動をしようと目論んでいます。

* 浅公:現在の不公平な施政に不満を持つ車夫。

●第五章 性明(一七五〇)
* 国、愛、浅の三人が政治談義に気勢を上げているところへ、話を立ち聞きしていた取締りが入ってきます。

* 浅公は空とぼけて取締りを帰そうとしますが、この取締りはブルジョア階級に敵意を露にし、逆に三人の政談に乗ってきます。

* ここにいたって愛公は自らの素性を明らかにします。自分は実はヒルの国の国司・楓別の倅、国愛別であり、珍の都で出会った国公と一緒に民衆のために活動している者である、と名乗ります。

* 取締り(松若彦の御家人で幾公)は、愛公・国公と意気投合し、仲間になってしまいます。そして、それぞれ愛公、国公を親分として結党し、都の南北に侠客として覇を利かせようと相談します。

* そうしているうちに、外が騒がしくなり、「国司・国依別の倅、国照別(国公)が車夫となって帳場に潜伏」との号外が出てしまいます。夕暮れにまぎれて四人は裏口から姿をくらまします。 第六章 背水会(一七五一)

* 珍の城下に愛州(国愛別)は数百人の子分を集め、賭場を開帳しています。賭場の表看板には、世の風潮・施政を風刺した文句を金文字で大きく掲げてあります。

* その看板を見て、一人の取締りが親分に会いたいとやってきます。取締りは、役頭の命令で風刺看板を取り下げさせにやってきたのでした。

* 応対に出た愛州の子分、照公は逆に、今の政治を批判し、取締り(佐吉)を仲間にしようと口説きます。佐吉は照公の言霊に打たれ、看板を取り下げさせに来たのがあべこべに侠客になってしまいます。

* 一方、大親分の愛州は二三人の幹部と共に、都の街頭に立って大演説を始めます。偽善・虚偽の生活を捨て、新しい思想に目覚めよ、と呼びかける愛州を、数十人の取締りが取り囲み、しょっ引かれます。愛州は城の牢獄に投げ込まれてしまいました。

* 大親分が囚われたと聞いた子分たちは手に手に武器を持って牢獄へ押しかけ、付近はたいへんな混乱・闘争が繰り広げられます。

* そこへ現れたのは、馬に乗った春乃姫でした。春乃姫はまず、取締りたちを退散させ、侠客たちにも声をかけます。

* 子分の源州は、親分・愛州を返して欲しいと自分たちの願いを申し上げます。春乃姫は、十日の間にきっと愛州を開放すると約束します。子分たちはそれを聞いて春乃姫に感謝し、帰っていきますが、果たしてこの結果はどうなるでしょうか。

 

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