とよたま愛読会67回(山河草木:70巻2章〜10章) 記望月 幹巳


日 時  平成14年 4月28(日) 午後1時から午後4時30分まで
場 所  愛善苑 豊玉分苑 (京王線下高井戸駅下車 徒歩8分 川崎方)
電話   03-3321-3896、03-3321-8644
物 語  山河草木 70巻 第2章 折衝戦 〜 10章 二教聯合

★ 報告:  緑のいよいよ鮮やかな季節、いかがお過ごしでしょうか。第66回の愛読会は7名参加者を得まして、無事に行われました。

 今回は、聖師様、出口宇知麿先生のテープを元に、宣伝歌の節回しの再現に挑戦しました。参加者の一人、垣内政治さんにメロディ・高低強弱をご先達いただき、皆それぞれ、きれいに歌うことができました。ありがとうございました。ここに改めて御礼申し上げます。  強弱・高低の節をつけて歌う宣伝歌は、物語の場面をいやがおうにも盛り上げ、新鮮な拝読をさせていただいたことはたいへんな収穫でした。引き続き愛読会では、お歌の研鑚に励みたいと思います。

 さて、物語はいよいよトルマン国に戦が始まります。国照別ら三五教宣伝使の活躍もあり、バラモン軍を撃退しますが、その最中、王妃・千草姫は霊界に召され、代わりにその肉体にはあろうことか、高姫の霊が宿ってしまいます。今後の物語の波乱が予感される展開となりました。  一方、物語のモチーフを個別に見ていきますと、山河草木各巻に共通して見られる、伝統ある国家の危機と立て直し、という筋が、だんだん明らかになってきています。

 今回は特に、代々ウラル教を報じてきたトルマン国を拝啓として、三五教との協調と調和=「万教一致」というテーマが現れます。万教一致の実地はどのようなものであるべきか、これが一つ、本巻でお示しになられているテーマであると思われます。  また、千草姫と右守スマンヂーが霊国に上る第五章、八衢とそこに彷徨う亡者の様を描いた第六章は、それだけで霊界の消息を垣間見させてくれるエピソードとして、興味深く読み解くことができるでしょう。

 

★ 拝読箇所で気のついたこと:
○第一章 花鳥山月 第二章 折衝戦(一七六九)
* キューバーは、大足別の使者と称してトルマン城にやってきて、スコブツエン宗に国を挙げて改宗しなければ、軍隊を差し向ける、と脅す。

* 王をはじめ左守フーラン・右守スマンヂーら重臣が集まり、善後策を協議していた。

* 王妃千草姫・右守は慎重派であったが、主戦派の王と左守は慎重論を受け入れない。右守はかえって王妃と不義の疑いを受けてしまう。そして王と左守は戦の準備を始めてしまったのであった。

* キューバーは護衛を引き連れて城の奥に入り来たり、返答を強要する。千草姫はキューバーをなだめ置いて時間を稼ぎ、一方右守は再び王と左守に慎重論を採るよう、説得に走る。

* しかし、右守は王の逆鱗に触れ、手打ちとなり絶命してしまう。

* 千草姫は形成不穏を感じ、キューバーを釘付けにするためにキューバーを密室に伴った。

○第三章 恋戦連笑(一七七0)
* 千草姫はキューバーに惚れたふりをして、逆に彼を虜としてしまう。海千山千のキューバーも、千草姫の美貌にしてやられてしまった。

* 千草姫は腕を握る振りをして、柔道の技で脈どころを握り締め、キューバーを気絶させてしまう。城の外からはときの声が聞こえてくる。

○第四章 共倒れ(一七七一)
* 一方、太子チウインは妹チンレイ、右守の娘ハリスと共に、キューバーが談判にきた当初から様子を察知し、王と左守には内密で、全国から兵を招集すべく密かに動いていた。

* 一方、大足別はキューバーが戻ってこないので、城を攻めるわけにもいかず、こう着状態に陥っていた。

* 千草姫に一度は気絶させられたキューバーは正気を取り戻し、今度は自分が姫を気絶させようと躍起になっている。

* その間に、王は密書により、太子が国内より兵を集めて合流することを知る。またそれは、千草姫・右守の先見の明による計略であったことを知る。王と左守は、はじめて右守の心を知り、その死を悼んだ。

* 一方、千草姫は気絶したふりをしたりしてキューバーをからかっていたが、最後に双方同時に手を握り合うということになった。キューバーも千草姫も厳しく相手の手を握り合い、二人とも気絶してその場に倒れてしまった。

○第五章 花鳥山(一七七二)
* 五色の雲がたなびき、鳳凰、孔雀ほか何百種もの鳥が舞い、地は一面の緑、空には色とりどり、紫・浅黄・白・黄色のめでたい雲がたなびいている。

* 紅の花が咲きにおい、胡蝶は花に遊び、天国浄土の光景を眺めつつ、地上三、四尺の空中を進んでゆく。

* 前方には黄金の甍が日に照り輝く、荘厳な世界がある。左手には青い海原、舟、五色の鳥。

* 涼しい風が常に吹いて、なんとも言えぬ芳香を送っている。

* 旅人は槍を片手につきながら、青草茂る山の中腹に、今きた道を眺めながら、タバコをくゆらし休憩している。

* そこへ、おーい、おーいと声をあげながら、登ってくる貴婦人がある。よくみればその貴婦人は千草姫であった。

* 千草姫は旅人のそばに来て、満面の笑みにて話し掛ける。 千草姫:右守のスマンヂー様、あなたはどうしてこのようなところにいらっしゃったのですか。
スマンヂー:てっきり、軍議の最中ガーデン王の手にかかって死んだと思ったのだが、あれは夢だったのだろうか。しかし合点のいかないのは自分の身の様子、名も知らない清い聖地にいるのはなぜだろう。また、あなたがどうして私の後を追ってこんなところへおいでになったのだろうか。
千草姫:ここは天界の第三段の浄土です。私は寿命が尽きて、主の神様により、浄土住まいを命じられました。また、伊吹戸主の神様にお伺いしたところ、あなたも天界に住まうべき身の上であるとのことです。
千草姫:こうなった上は、神のお引き合わせ、私とガーデン王は意思想念を異にし、霊界では添えない定めです。あなたとここで夫婦となって、天国浄土の御用をいたしましょう。
スマンヂー:ああ、有難いことだ、実を言えば、私は現界であなたを恋しておりました。しかしながら、現実界のしがらみにより、思いを伝えることさえできませんでした。こうやって神様から定められた縁であれば、そのようにいたしましょう。現実界にて善行を尽くした報酬が今ここに実り、二人は喜びの苑にあって、時間空間を越えて永遠に、嬉しく楽しく暮らしましょう。ああ惟神惟神、御霊の恩頼をほぎまつります。

* このように、お互いに歌い交わしているところへ、ダイヤモンドのごとく白金光のごとく天空を輝かし、二人の前に火の弾となって落下してきたのは、エンゼル・言霊別命であった。

* 言霊別は二人を第二霊国の花鳥山に案内する。スマンヂーは、なぜ俗人の自分が、宣伝使の楽園である霊国に招かれるのか言霊別に尋ねる。

* 言霊別:霊国は、宣伝使、国民指導者の善良なる霊の永久の住処である。今日の現実界の宣伝使・僧侶・牧師などは地獄に籍を置いている。一方スマンヂーは生前宣伝使ではなかったけれども、現実界の最善を尽くし、正守護神が霊国に相応していた。宇宙はすべて相応の理によってなりたっており、この花鳥山も、スマンヂーの精霊が、現界にありながら、作り上げていたものである。

* 言霊別は去り、二人はここに祝いの歌を歌い、霊国に夫婦となって永久に暮らすこととなった。

○第六章 鬼遊婆(一七七三)
* 場面は変わって、気味の悪い黄昏時の情景。一面の枯草に血生臭い風。烏は鳴き、不気味な虫が草原一面に人の血を吸おうと潜んでいる。

* そこへ高姫がやってくる。高姫は、三年間、中有界にとめおかれて、修行を命ぜられていたのであった。高姫は一人の亡者を弟子に連れ、自分は現界に立ち働いているつもりで、道行く人をウラナイ教にひっぱりこもうと待ち構えていたのであった。

* 弟子のトンボはあまりの閑古鳥と高姫の人使いの荒さに文句を言い、逃げようとしたところをつかまれて、ばったり倒れてしまった。

* そこへやってきたのは、八衢に彷徨っているキューバーであった。高姫はこれ幸いとキューバーに宣伝をはじめ、自分のあばら家に引っ張り込もうとする。

* キューバーは宿を探していたところへ、渡りに舟と、高姫についていく。トンボは、二人がどんな相談を始めるやら窺いに、高姫の破れ屋に足音を忍ばせてつけていく。

○第七章 妻生(一七七四)
* 汚く醜いあばら家も、御霊の相応によって、高姫とキューバーには美しい御殿のように見えるのであった。

* そして、いつのまにかキューバーの目には高姫が千草姫のように見えてきた。一方、高姫にはキューバーが時置師の杢助に見えてきた。お互いに思う人の幻影を見つつ、二人は辻褄の合わない勝手な応答をしながら、抱擁して眠ってしまった。

* 外にいたトンボは石を拾って手当たり次第に投げつける。キューバーと高姫は怒ってトンボを追いかける。トンボは八衢の関所の門につきあたって倒れ、つかまってしまう。

* トンボは自棄になって二人の悪行をののしりたてる。その声に、八衢の門の守衛が出てきて、三人が居るのは冥土であることを諭す。そして、高姫の宿るべき肉体は千草姫であることを告げる。

* 途端に、キューバー・高姫ははっと気づくと、トルマン城の千草姫の部屋に倒れていた。こうして千草姫の肉体に高姫の精霊が入り込んだのである。これより姫の言行は一変する。

○第八章 大勝(一七七五)
* 太子チウインは王女チンレイ、右守の娘ハリス将軍、勇将ジャンクを従え、三五教の宣伝使照国別・照公とともに、二千五百騎を駆って、トルマン城を包囲する大足別軍を殲滅しようと、進軍してきた。

* 大足別は援軍が来たのを見て驚き、もはやキューバーの安否を省みず城を攻め落とすよう、命令を下した。

* 戦いの中、左守は奮戦の末、敵のために命を落としてしまった。大足別は左守軍の敗北につけこんで城門まで攻め寄せ、トルマン城は危機に陥る。

* すると城門に千草姫・キューバーが現れ、城はすでに奪い取ったと大足別に告げる。この虚報に大足別は軍を返して、援軍を迎撃する。しかし、背後からガーデン王の守城軍が攻撃し、大足別軍ははさみ打ちにあって敗走する。

* 王は勝利の舞を舞うが、敗走した大足別軍が市外に火を放ち、人々の悲惨の声が聞こえてくる。照国別をこの様をみるや、まっしぐらに物見櫓に駆け上り、照公とともに天の数歌、続いて天津祝詞を奏上した。すると火災はたちまちにして静まった。

* 二人の活躍に、王をはじめ一同は手を打って歓喜した。

* 左守・右守は特別に王家の墓所に葬り、国家の守護神として祠を建て、永遠に祭祀することとなった。また、王は、照国別・照公の仁義・神徳に感じて、三五の大神を鎮祭することを誓った。

* 一方、王は居間にいた千草姫とキューバーを詰問するが、その場は千草姫の弁解を信じ、キューバーは許されることとなった。

* キューバーは大足別が敗走したことにより、自分の立場を心配するが、千草姫=高姫は、逆にトルマン国の乗っ取り、ひいてはインドの全土の征服をもくろむ。

* 千草姫は後からやってきた王子、王女、ハリスらも煙に巻いてしまい、キューバーを擁護する。

◇第二篇 千種蛮態
○ 第九章 針魔の森
* ガーデン王は忠義の英霊、左守・右守のためにハリマの森の奥深くに社殿を造営する。そして、照国別を斎主として祭典を執り行った。

* 同席していたキューバーは、三五教の照国別が斎主を務めたことに怒り、祭りの最中に祭壇に駆け上がり、照国別を罵倒した上、冠を叩き落す。

* 皆は、キューバーのあまりの行いに驚きあきれ、照国別がどうキューバーに対処するかと注目するが、照国別は冠を落としたまま、何事もなかったかのように悠然と祭りを執り行う。

* 照国別は退場するが、キューバーはその進路に両手を広げて立ちはだかり、またもや罵倒する。ついにチウイン太子はがまんできず、ジャンクに命じてキューバーを縛り上げ、城の牢獄に入れてしまう。

* 祭典に出席していた市民・場内の重臣たち一同、このさまに大いに喜び、溜飲を下げた。

* 以前、キューバーに詰問された向上運動主義者たちは、キューバーの投獄を喜びつつも、このまま生かしておいては後の災いになるだろうと、早くもその後のことを心配している。

○第十章 二教聯合(一七七七)
* 千草姫は、キューバーを差置いて照国別が斎主に選ばれたことに腹を立て、祭典に出席せず、自室に閉じこもっていた。

* 祭典を終えて王、太子、重臣たちが城に戻ってきて、玉座の次の間で直会を開き、今日のありさまを語り合っている。

* 千草姫は潜んで聞き耳を立てている。そして、キューバーが投獄されたと聞いて、照国別を排除し投獄して仇をうとうと、内に激しい怒りを宿す。

* 王は祝歌を歌う。

* 遠き昔より、ウラル教を奉じて治めて来たトルマン国も、バラモン教やスコブツエン宗らの邪教が入り来たり、敬神・尊祖・愛国といった心も消え失せてきた。

* 強いもの勝ちの世に、コミュニズム(共産主義)、アナーキムズム(無政府主義)、ソシャリズム(社会主義)等の悪思想がはびこり始めた。

* そこへ、スコブツエン宗が大足別の武力をもって、トルマン国を脅かしたのが、今回の戦争であった。

* ところが、千草姫に丸め込まれるや、一転大足別を裏切って身を転じる変わり身は、何としたことだろう、油断のならないやつだ。

* それだから、バラモン軍を退けトルマン国を助けてくれた照国別に斎主をお願いしたのだ。

* 祭典では、ウラル神と三五教の大国治立大御神・神素盞嗚大神が納まったことを見て、キューバーは怒り、乱暴狼藉を働いた。

* 彼が前非を悔いるまでは、決して牢獄から出しはしない。

* そして今日からトルマン国は、三五教とウラル教、二つの教えをいただき、世の大本の神を祭って国民を導いていくのだ。

* また、照国別は歌う。 * 自分、照国別も、昔は梅彦という、ウラル教の宣伝使であった。竜宮島へ渡り、またペルシャの海に来たり、終には暴風に遭って九死一生の時、三五教の宣伝使・日の出別の言霊によって三五教となった。そして照国別という名前を頂いたのであった。

* ここ、ウラル教を頂くトルマン国の救国軍に加わったのも、大神がお引き合わせになったことでしょう。

* 人間界では、ウラルと三五の教えは二つであるけれども、世界を作った大本の誠の神は一柱である。だから、何れも同じ神の道として、祭典を司り参加できない理由はないのである。

* これからは万教を一つになして、愛善の神の御徳を遍く宣伝し、神政成就に使える覚悟です。

* ここに自分の抱負を述べると共に、王室の永遠の栄えをお祈り申し上げます。

* チウイン太子は歌う。

* 富み栄えたるトルマン国を奪い取ろうと画策したのが大黒主であり、その手先がキューバーである以上、キューバーの悪行は天地も許さない大罪である。

* 実は、キューバーをどうしたらよいかと照国別・照公と計り、神に祈ったところ、夢のお告げに、必ず明日キューバーを縛れ、と現れた。

* もうこうなった以上、母・千草姫の怒りを買うは火を見るよりも明らか、しかしながら国家を救うためには如何ともしがたかったのである。 * 父王、照国別よ、キューバーの処遇の理由をこの通り、今ここに陳謝いたします。

* さて、三五教とウラル教はここに連合して、トルマン国はもちろん、七千余国のインド全土に神の教えを伝え、一日も早く神国成就の業に仕えるべきである。

* かく、神の前に自分の赤心を明かし、誓います。

* するとその場へ千草姫が現れ、王の隣に座を占めた。千草姫は夜叉のごとき勢いで、怒りで顔を真っ赤にし、目は血走っていた。この突然の出現に、座は異様な空気に包まれてしまった。

以上    [前回レポート] [次回レポート]  


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