とよたま愛読会68回(山河草木:70巻11章〜巻末) 望月 幹巳


日 時  平成14年5月26(日) 午後1時から午後4時30分まで
場 所  愛善苑 豊玉分苑 (京王線下高井戸駅下車 徒歩8分 川崎方)
電話   03-3321-3896、03-3321-8644
物 語  山河草木 第70巻11章〜
巻末 

★ 報告: 梅雨の候、皆様にはいかがお過ごしでしょうか。豊玉愛読会も無事に行われ、第70巻を読み終えることとなりました。

前回の高姫の登場により、バラモン軍に勝利を収めたトルマン国に、再び混乱がやってきます。トルマン国の真の敵は、武力で攻めてくるバラモン軍よりもむしろ、高姫のウラナイ教であるようです。 高姫は太子・王女をはじめ、国の要職にある者を性急に追い出しにかかります。しかし、太子らは国の改革を望む向上運動者たちにかくまわれ、高姫のドタバタとは裏腹に、かえって建て直しは静かに進行していきます。 トルマン国の建て直しでは、三五教とウラル教が合い和し一致することにより、立て替え建て直しが行われています。聖師様の言われた「万教同根」のあり方が、こういった物語の中に、描かれているように思えます。

★ 拝読箇所で気のついたこと:
○第二編 第十一章 血臭姫(一七七八)
・突然宴の間に現れた千草姫は、キューバーの投獄の沙汰について、王、太子、ジャンク、照国別を非難し、皆にさんざん悪態をついて退出する。 あまりのことに王は怒り心頭に達し、また照国別に無作法をわびるが、逆に照国別は、慈悲の道に従い、キューバーを釈放するように提案する。 明日、ジャンクが牢獄に行ってキューバーを開放する手はずとなって参会するが、太子はひとり心のうちで、悪人キューバー釈放が気に入らない様子である。

○第十二章 大魅勒(一七七九)
一方、ハリマの森には、覆面頭巾の大男が二人、ひそひそと何かを話し合ってる。これは、向上主義運動家のレールとマークであった。 レールとマークは、自分たちを迫害していたキューバーが太子の命によって獄につながれたことを喜ぶ。 一方でこのままにしておけば、再び釈放となったときにまた悪事を画策するだろうと考え、今のうちにキューバーを獄から奪い取り、拘束してしまおうと、牢獄の裏門にやってくる。 そこへ、同じくキューバー出獄後の成り行きを案じていた太子がやってくる。太子は物陰よりレールとマークの会話を聞き、二人の志に賛成し、今後の援助を誓う。 レール・マークはまんまと牢番の目を盗んでキューバーをかどわかし、荒井ヶ嶽の岩窟にキューバーを放り込んでしまった。 夜が明けて、ジャンクは昨日の取り決めどおりキューバーを釈放しようと牢獄にやってきたが、破獄騒動ですでに大騒ぎとなっていた。 ジャンクはあわてて王に注進にくるが、王と太子は平然としていた。千草姫は太子の態度があやしいとにらんで詰問するが、太子は知らぬ振りをして答えない。 千草姫はその尋問の間に、自分は大みろくの生宮であると口走り始める。

○第十三章(一七八十)
千草姫は自分の部屋に、故・左守の妻モクレン、娘のテイラ、故・右守の娘ハリスを集め、ご馳走を振舞っている。 千草姫は、3人に自分は今日から三千世界の救世主、底津岩根の大みろくの霊体、第一霊国の天人、日の出神の生宮であると宣言する。 3人はあまりのことに顔を見合わせるが、千草姫は一人一人詰問をはじめる。 3人とも、自分の主君である王妃の言葉とて、否みがたく、絶対服従を誓ってしまう。 千草姫は、テイラにキューバーの捜索を命じ、ハリスには自分の邪魔をする太子を誘惑するように命じ、散会する。

○第十四章(一七八一)
テイラとハリスは、千草姫の変わりよう、また受けた命令のあまりのことに、太子に相談にやってくる。 太子は千草姫が発狂したと見なして、テイラ・ハリスに向上主義者レールとマークのところに隠れるように薦め、紹介文を書いて二人に渡す。 二人は貧民窟のレール・マークの隠れ家に行き、かくまわれることとなった。

○第十五章 地位転変(一七八二)
千草姫は王に対して、自分を神として崇めるように強要している。王は姫が発狂したと思い、狂人に下手に逆らってますます病気を強めてしまわないようにと、黙っていうことを聞いている。 千草姫は平伏した王の頭に左右の足を交互に乗せてうーんと唸った。千草姫は、つま先から王に悪霊を注入したのである。これによって王はがらりと心気一転し、千草姫を活き神と信じるようになってしまった。 千草姫は、三五教の宣伝使、照国別・照公を投獄すること、太子と王女を修行という名目で城から追い出すこと、またジャンクを数日のうちに追放するように、と命じる。 太子と王女は、レールとマークをたよって城を出る。

◇第三編 理想新政
○ 第十六章 天降里(一七八三)
太子は貧民窟の有様を見て、国の改革の思いを新たにする。 そこへ、番僧が人員調査のためにやってくる。レールとマークは、太子一行を自分の妻と友人として番僧に説明する。 太子は、この番僧がむしろ向上主義運動者たちに共感しているのを見て取って、自分の素性を明かして仲間に誘う。 番僧テルマンは承諾して、レール・マーク・太子たちの仲間となる。

○第十七章 春の光(一七八四)
千草姫はキューバーの行方が依然としてわからないため、ますます逆上し、照国別、照公に残虐な扱いをするように獄卒に命じた。また、これまでの旧臣を殲滅しようと計ったりと、無道の行いがはなはだしくなってきた。 このさまを見て太子は、レール、マークに命じて、千草姫がハリマの森に参拝する所を襲って滅ぼそうと画策した。 レール、マークは千草姫を襲撃するが果たせず、捕縛されて牢獄に投げ込まれてしまった。牢獄で二人は、照国別、照公と出会う。 レール、マーク、照国別、照公の4人は、今の時勢を歌に歌って牢獄の時を過ごす。 と、そこへ一人の牢番がやってくる。実はその牢番は照国別の弟子、春公であった。春公は師一行からはぐれた後、トルマン城下にやってきて、看守に身を変えて様子を探っていたところであった。 春公のおかげで、千草姫の通達も効をなさず、照国別たちは無事に過ごせることとなっていたのであった。

○第十八章 鳳恋(一七八五)
千草姫は、王がなかなかジャンクの追放に踏み切れないでいるのを責めている。その場へジャンク本人がやってきて、国難を救った照国別たちを投獄した千草姫の処置を非難し、釈放するように上奏する。 千草姫はジャンクをたしなめるが、逆に矛盾だらけの言動をジャンクに指摘されてしまう。千草姫は「生命を取る」「地獄に落とす」とジャンクを脅すが、ジャンクはものともしない。 ジャンクは、人民が一致団結して、王妃の改心がなければクーデターを起こすつもりであることを告げ、逆に王妃に改心を促して去っていく。 千草姫はこれに怒り、ウラル彦命の神力でジャンクの命を取ろうと、ハリマの森に参拝し、わけのわからない儀式を行う。 その帰り道、千草姫の行列を横切ろうとした若者が、番僧に捕縛された。千草姫は輿の中からその若者を見たところ、たいへんな美男子であった。たちまち千草姫は恋慕の情にとらわれた。 千草姫は、その若者を自ら尋問するという名目で、城の中に連れ込む。

○第十九章 梅花団(一七八六)
千草姫は王に、キューバーはもう死亡し、その代わりに第一天国の天人の霊を宿した若者がトルマン国の政治をつかさどるべく天より使わされた、と勝手に王に宣言する。 その若者(梅公)は、千草姫と話を合わせ、王や番僧たちに千草姫の話を信じ込ませてしまう。 千草姫は梅公を、自分の伴侶、高宮彦と思い違いをしていたのだた、梅公は話を合わせて千草姫に信じ込ませてしまう。 そうしておいて梅公は、囚人の恩赦を行い、まずは人気取りの政治を行って民衆の気を引くべきだと千草姫に勧める。 千草姫が囚人恩赦の命を王に伝えて部屋に戻ってくると、高宮彦(に化けた梅公)は寝ている。千草姫がゆり起こすと、梅公は、千草姫が高姫の再来、金毛九尾の狐であること、また自分の素性は、三五教の守護神・言霊別のエンゼルであることを明かし、大きな光となって窓の隙間より出で消えてしまった。 後に千草姫は驚きのあまり失神してしまう。

○第二十章 千代の声(一七八七)
太子は、レール、マークが千草姫襲撃に失敗して捕らわれたことを知り、自ら彼らを助けに行こうとするが、妹の王女に止められる。 そこへ、マーク、レールの妻が、マークとレールが入獄したと聞いて、離縁状を届けにやってくる。 妻たちが去っていくと、入れ違いに、釈放されたマークとレール、そして照国別、照公が帰ってくる。 一同は、いよいよ教政改革の時がきたと判断し、新内局組織の協議会を開いた。

○第二十一章 三婚(一七八八)
その協議会の中で、レールが新しい左守となり、テイラと夫婦になる、マークが新右守となってハリスと夫婦となることが定められた。また、王女は照国別の弟子・春彦と夫婦となることとなった。 また太子は、タラハン国スダルマン太子の妹バンナ姫が許婚であった。 照国別と照公は婚礼の祝歌を歌う。そこへ番僧テルマンもやってきて、改革派の一同全員がそろう。

○第二十二章 優秀美(一七八九)
教務総監ジャンクは、千草姫の行動や、太子、王女らが行方不明であることに心を悩めていた。そして、いつのまにかうつらうつらと眠りについてしまった。 すると、夢うつつの中、言霊別のエンゼルが現れて託宣を下す。 太子らは、ある場所に神の守護によりかくまわれており、いよいよ教政改革断行の時期がせまったので、すぐに会うことができる。

新しい左守・右守はすでに定めれており、ジャンクは教務総監として新体制を補佐するべし。また、王女の夫はすでに定められており、王女夫婦はハリマの森の神主として奉仕させるべし。 ガーデン王は八岐大蛇の悪霊の片割れに表意されているが、静かな地で静養すればよくなるであろう。 また、千草姫は実はすでにこの世を去っており、その遺骸に高姫の霊が憑依して、今の醜態・乱暴を立ち働いている。これは、金毛九尾の悪孤の霊の仕業であり、よくよく注意すべし。

そして、言霊別は去っていった。 ジャンクはこの託宣に勇気をつけられ、神恩を感謝する歌を歌っている。 そこへ、太子が改革派一行を引き連れて戻ってくる。太子とジャンクは新しい時代の到来を互いに喜び合う。 そして、照国別の案により、妖僧キューバーを開放し、また千草姫の審神をすべく、一同は姫の居間に向かう。 そこでは、今しも千草姫がテイラの母モクレンを、スコブツエン宗の残酷な掟にしたがって、神のいけにえにしようとしているところであった。

照国別は、外から力の限りドアを打ち破り、千草姫をウーンと一声、睨みつければ、金毛九尾の狐は慌てて天窓を伝い、どこともなく姿を隠してしまった。 ここにチウイン太子は新教王となり、トルマン国も小天国を現出するにいたった。

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