とよたま愛読会73回(山河草木:72巻19章〜73巻(天祥地瑞)1章)
            
 望月 幹巳 メール:motomi_mochizuki@ybb.ne.jp


日 時  平成14年10月24(日) 午後1時から午後4時30分まで
場 所  愛善苑 豊玉分苑 (京王線下高井戸駅下車 徒歩8分 川崎方)
電話   03-3321-3896、03-3321-8644
物 語  山河草木 辰の巻 第72巻19章〜天祥地瑞 子の巻 73巻1章
 

★ 報告
紅葉の候、皆様にはお変わりなくお過ごしのことと存じます。
物語は、山河草木の巻を終え、予定通り、天祥地瑞に入りました。
山河草木の最終巻・72巻では、前巻で語られたダリヤ姫誘拐事件を舞台としてお話が進んで行きます。
前巻で玄真坊は、三五教の照国別・梅公別ら宣伝使に救われ、二度目にして本当の改心ができます。この玄真坊を瀕死の状態に陥れ、改心のきっかけを作ったのは、誰あろう高姫でした。ここで、物語の狂言回しが入れ替わっているのが鮮明に見て取れます。
この巻では、玄真坊に変わる新しい狂言回し・高姫が、三五教の新しい聖地スガの宮を目指してやってくる所から始まっています。
スガの宮の完成とダリヤ姫の帰還によって、誘拐事件の方はめでたく解決を迎えますが、高姫による聖地の乗っ取り事件が新たな試練となって降りかかります。乗っ取り事件の発端は、ヨリコ姫の慢心でした。自分は絶対に負けないという慢心から、評判を上げるために宗教問答の挑戦者を募り、そして高姫にやり込められてしまったのです。
この危機を救ったのは、ヨリコ姫の師匠にあたる梅公別でした。梅公別は、高姫の毒手から二人の男女を救うことで、高姫の正体露見の伏線を作っていますが、また、高姫にやり込められたヨリコ姫に適切なアドバイスをすることで、危機を乗り越えています。
ヨリコ姫は、山賊として数多の重罪を犯して来た過去から、高姫によって「汚れた身魂」という烙印を押されてしまいますが、梅公別の答えは明快です。『たとえ如何なる悪事があっても、悔い改めた以上は白無垢同然、一点の罪も汚れもあろう筈がありませぬ』
玄真坊を真の改心に導き、また過去の罪に躓いたヨリコ姫を立ち直らせて、ようやく梅公別のオーラ山山賊退治も完成を見たといえるのではないでしょうか。


山河草木を終えて
 一年前より愛読会の幹事を引き継がせていただきまして、以来、このご案内に前回の報告を書かせていただくにあたり、一貫して物語のあらすじを追うことに終始して参りました。
ひとつには、私の力不足により、解説らしい解説もできないため、拝読個所のお話をまとめる位しか報告の術がなかったということがあります。ただその中で気づかされたことは、物語のお話ひとつひとつの背後に一貫したテーマがあり、さまざまな小話や挿話も、そのテーマを中心として成り立っているということです。
国家の立て替え・建て直し、その中でさまざまな階層の人たちが果たすべき役割、極悪人の改心のプロセスがどういったものになるか等、特に山河草木はそういった趣が見て取りやすかったのかも知れませんが、あらすじを追っていくことで見えるテーマの糸を見出すことができたのは、自分自身にとっての収穫だったと思っております。
今回、天祥地瑞に入りますにあたり、またそうしたテーマの糸を見出すことができればと、密かに考えている次第です。あえてこれまでの方法を崩さずに、何か見えてくるものがありはしないかと、わずかな期待を抱いてはおりますが、信仰浅きゆえに踏み迷うことがありましたら、皆様の叱咤ご鞭撻をいただけますれば幸いと考えておりますので、なにとぞよろしくお願い申し上げます。



★ 拝読箇所で気のついたこと

第七十二巻
第三編
第十九章 旧場皈(一八二八)

* まんまと聖地を奪い取った高姫は、三五教の関係者を一人残らず追い出してしまった。
* キューバーは、自分の手柄をたてにして、高姫に復縁を迫り、いっしょに印度を征服する企てをしようと誘うが、高姫の弁舌にいいように言いくるめられている。
* そこへ妖幻坊の杢助がやってきて一喝すると、キューバーは驚いてのびてしまった。
* 妖幻坊の杢助と高姫は、キューバーが大黒主の直属であることを利用して使おうと相談する。
* いつのまにかキューバーは息を吹き返している。
* そして、妖幻坊の杢助が購入した北町の元旅館を与えられ、任されることになった。

第二十章 九官鳥(一八二九)
* キューバーは妖幻坊に一喝され、また高姫を取られ、面白くない。
* さらに北町の館にやってくるが、錠が下りていて中に入れない。
* キューバーは旅館の主に、「自分はウラナイ教の高等役員」「妖幻坊の杢助が館を買うのに払った金の半分は自分が出した」とほらを吹き、錠を開けさせた。
* ようやく寝床に就こうと言うときに、旅館の女中、お三がやってくる。キューバーはさっそくお三を口説きにかかる。
* しかしお三は、杢助が払ったお金が木の葉に化けてしまったこと、旅館の主久助はたいへん立腹し、偽札使用の容疑で、お金の半分を出したというキューバーも訴えようとしていることを伝える。
* キューバーは自分に罪はないと言い張るが、久助が怒鳴り込んで来て、明日役人に訴えると捨て台詞を残して去っていく。
* キューバーは自分が吹いたほらの成り行きが恐くなり、ふとんに入ってふるえている。

第二十一章 大会合(一八三〇)
* 一方、スガの宮を高姫に追い出された三五教の関係者たちは、長者アリスの屋敷に集まって、今回の件について協議をしていた。
* ヨリコは自分の高慢から出た不始末をわびるが、長者親子は、自分たちの財産は罪の固まりであったので、神様の御用に立たなくても不思議はない、と悟っている。
* 使用人のアルは、高姫は必ず尻尾を出すから、と元気をつける。
* そこへ、照国別、照公、玄真坊、コオロ、コブライら宣伝使一行がやってくる。
* 話を聞いた照国別は、何か期するものがあるらしく、この件は自分に一切任せてくれればきっと解決する、と請合う。
* 照国別はヨリコ姫と初めて対面し、ヨリコの妹、花香を紹介される。花香は、照国別の弟子、梅公別の妻である。
* そこへ、当の梅公別がやってくる。梅公別は一同との再会を懐かしむが、すでにスガの宮が高姫らに占領されたことを察知していた。
* 梅公別は自分にはきっと悪人たちを追い出す策があることを皆に約し、また、高姫に「汚れた身魂」と糾弾されたことを気に病んでいるヨリコに対して、「悔い改めた以上は白無垢同然、一転の罪も汚れもない」と諭している。

第二十二章 妖魅帰(一八三一)
* 高姫は、今度は自分が「宗教問答所」の看板を掲げ、挑戦者を募っている。近隣の人々は、あのヨリコを説き負かした、と聞き、ウラナイ教は大盛況を見せている。
* コブライとコオロは、朝早く問答所の門をたたき、高姫に宗教問答をしかける。
* コブライ、コオロ、高姫は互いの悪口を歌にして、かけあいをやっている。
* そこへ、三五教の一行が、多くの人々に山車を引かせて高姫の所にやってくる。
* ヨリコは、降参の供物を持ってきたと口上すれば、高姫はごう然と喜びの色を見せる。
* さらにヨリコは高姫に、「確かにあなたは過去に一点の罪を犯したこともないか」と問う。高姫はあくまで、自分は清浄であると答える。
* 梅公別は、供物のつづらを高姫・杢助にそれぞれ持ってきたと口上し、高姫へのつづらを開ける。
* すると、そこには高姫が太魔の島で服を騙し取った上、蟻の餌食にして殺そうとしたフクエ、岸子が立っていた。
* 高姫は強盗・謀殺の罪の証拠を見せられ、顔面蒼白になっている。
* さらに梅公が口笛を吹くと、数十頭の猛犬があらわれて妖玄坊の杢助に襲いかかった。妖玄坊は妖怪の正体をあらわし、何処ともなく逃げ去った。
* 高姫は進退窮まり、金毛九尾白面の悪孤の正体をあらわすと、大高山へ向けて姿を消してしまった。
* 以後、玉清別はスガの宮の司となり、ダリヤは大道場の司となり、ヨリコ、花香は照国別一行と共に宣伝の旅に赴いていった。

特別編 筑紫潟
* 闇となった世の中を治め、松の世を到来させるため、天津御神の命によって、豊葦原の瑞穂国に、厳御魂がおくだりになった。
* 厳御魂は、至善至美の教えを人々に説き諭し、伊都能売の天津誠をあちこちに述べ伝えた。
* しかし、悪におぼれた世の中は、力限りに厳御魂に逆らい、その苦業は水の泡になろうとしていたそのとき、天津御神は、厳御魂の杖となり柱となるよう、瑞霊を下された。
* 明治25年より、天津御神の御心を、筆に写して、詳しく人々に教え諭すことになった。
* その神文を清書せよと命じられた黒姫は、勇み立ったあまりに慢心の階段をよじ登ってしまい、神書の心を取り違え、瑞霊を貶め、小北山の高姫と共に出て行ってしまった。
* 彼らの陰謀が七、八分成功しようかというときに、瑞霊は厳かに天の岩戸を開き、天地にかかる雲を吹き払った。* * すると、空にはたちまち五色のめでたい雲がたなびき、日と月の光がさした。
* その光が黒姫の頭を射照らすと、たちまち曲神は身体を抜け出してしまった。
* 力の落ちた黒姫の身体は神の冥罰を被り、百日百夜の修祓を受けた後、黄泉の世界に旅立った。
* この物語は、八衢で高姫の精霊と出くわした黒姫が、種々の物語をし、天国地獄の問答をする、その様子一部始終を述べている。
* これは、ある夜の夢に、瑞霊の精霊が八衢に出でて聞き取りしたものである。
* 黒姫は、自分がまだ生きていると思って、自分こそは厳御魂の神柱と意気込み、瑞霊の悪口をつぶやきながら、八衢街道を歩いてゆく。
* そこへ向こうから高姫の精霊がやってきて、黒姫が死後こんなところに彷徨っているのは、生前に自分の教えをまじめに聞いていなかった神罰だ、と話し掛ける。
* 高姫は黒姫が死んだことを悟らせようとするが、黒姫は頑として認めない。
* 逆に高姫を気狂い扱いにする。
* 黒姫の夫、高山彦の精霊が、八衢をとぼとぼと歩いてくる。
* 高山彦は、高姫の教えが贋物であったこと、黒姫が改心してくれるよう願っていること等を歌っている。
* 黒姫は、高山彦が現れたことで、ますます自分が生きていると思い込む。
* 高山彦、高姫の精霊は、黒姫に死を諭すが、黒姫は怒って高姫に打ってかかる。
* すると、高姫は転倒した瞬間に、姿を消してしまった。
* 高山彦の精霊は逃げ出すが、黒姫は高山彦が高姫と浮気したと勘違いし、夜叉のごとく追いかけ回す。
* すると、天空に天津祝詞が聞こえ、梅の花があたりに落ちて香気が匂い、気高きエンゼルが下り来た。
* 黒姫の姿は煙と消えてしまった。
* 高山彦は夢から覚めてみると、室内には高姫が、黒姫の霊璽の前に座して、祝詞を上げながら涙ぐみ、ぶつぶつ小言を言っていた。
* 高山彦は高姫の親切に感謝し、庭に出でてみれば、大空に晧々と満月が輝いていた。
* 高山彦は月を伏し拝み、感謝の祝詞を奏上しつつ、小北山へ進んで行った。

第七十三巻 天祥地瑞
序文

* 大正十年十月十八日(旧暦九月十八日)、天津神と開祖の神霊の請求によって、大本事件中に本宮山下の松雲閣で「霊界物語」と命名してこの物語の口述編纂に着手した。
* 途中、エスペラント研究、蒙古入り、天恩郷の開設等、中断はあったが、いよいよ昭和八年十月四日(旧暦八月十五日)、一切の雑事をなげうって、「庚の巻 天祥地瑞」と命名して本物語を口述することとなった。
* 東雲社の一同と共に、月宮殿、大祥殿、高天閣等の各神殿に祈願を凝らした。
* 天恩郷内玉泉苑の中島、千歳庵にて、口述編纂の途についた。

総説
* 宇宙創造神、大国常立の大神は、ウ声の言霊のによって、天之道立の神を生みたもうた。
* これによって、宇宙の世界を教えに導かれた。
* 数百億年後、大国常立の大神は稚姫君命の霊性の御霊代として、尊き神人として顕現し、三全世界の修理個性を言よさしたもうた。
* また、アの言霊より生まれ出た、太元顕津男の神の御魂も神人として現れた。
* 両神人は、共に神業に励んでいたが、時至って稚姫君命が昇天するにあたり、厳の御霊の神業の一切は、瑞の御魂に受け継がれた。
* ここに、厳の御魂と瑞の御魂はその働きが合わさって伊都能売の御霊と現れ、未来永劫の教えを固めるため、神業に奉仕することになった。
* 厳の御魂
* 荒魂の勇、和魂の親を主。
* 経の神業、言行は確固として変えられない
* 瑞の御魂、 奇魂の智、幸魂の愛が主。
* 操縦与奪の権がある力徳を持つ。
* いまや厳と瑞がひとつの伊都能売となったことにより、経緯両方面を合して神代の顕現に働くこととなった。
* 神界の経綸が微妙であり千変万化し、また善悪・美醜が交わって完全なる転地が造られつつある。
* そのように、伊都能売の神霊も、幾百の相に臨機応変するのである。
* 厳の御魂のはたらき
* 神人一般に対して、仁義道徳を教え夫婦の制度を固め、犯すことのできない神律を教える。
* 瑞の御魂のはたらき
* 紫微天界の初めより太元顕津男の神と現れたまい、国生み神生みの神業に奉仕する万代不動の経綸を行いつつ、なお若返りつつ、永劫に活動をなし給う。
* またその間、幾回となく肉体を持って宇宙の天界に出没する。
* その活動は、他の神は決して真似てはいけないと、主の神より定められている。
* 緯の御用は千変万化するゆえに、心して奉仕しなければかえって神界経綸の邪魔となるとされる。
* そこで、本書(天祥地瑞)は、有徳の信者、又は上根の身魂であって神の理を理解するほどの身魂でなければ、授与しないものとする。
* 人間の目より見た善悪と、神の目より見た善悪とでは、一致しないことがある。
* これを、善悪不二の真諦という。
* 本巻ではいよいよ、古事記の天之御中主神以前の天界の大略を述べる。
* 本書は富士文庫に明記された天の世を初めとする。
* また、言霊学の力を借りて、太初の神々の活動を写し取ろうとしてあらわした書物である。
* 神生み、国生みの物語は、太初の神々は幽の幽にましますので、肉体は持たず、気体であり、男女の関係ではなく、言霊のとを結び合わせて生み給うということを、知らねばならない。

第一編 紫微天界
第一章 天之峯火夫の神(一八三二)

* 天地が存在する以前、大虚空の中に、突然一点のヽ(ほち)が現れた。
* ヽはすみきり澄み開きつつ、拡大して円形になった。
* さらに、円形から微細な神明の気が放出され、円形でヽをつつみ、スの言魂が生まれた。
* このスの言魂こそ、宇宙万有の大根源である。
* スは四方八方に極みなく伸び広がり、膨れ上がり、極度に達したところで、ウの言魂を発生した。
* ウは万物の体を生み出す根源である。神名を宇迦須美の神という。
* ウの活動が上に上って極まったところでアが生まれ、下に極まったところでオが生まれた。
* 上下に神霊の活用を両分したのが、宇迦須美の功績。
* 下に下って物質の大元素を発生させ、上に上って霊魂の完成を成した。
* スの活動を主の大神と称し、また、天之峯火夫の神、あるいは大国常立神言と奉称する。
* スの天之峯火夫の神と、ウの宇迦須美の神の働きによって天津日鉾の神が出現し、言霊の原動力となって七十五声の神を生み、また至大天球を創造した。


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