とよたま愛読会101回天祥地瑞 午の巻 第79巻 5章〜第10章
                 記:望月幹巳 メール:motomi@moon.nifty.jp


日 時  平成17年2月27(日) 午後1時から午後4時30分まで
場 所  愛善苑 豊玉分苑 (京王線下高井戸駅下車 徒歩8分 川崎方)
      連絡先 03-3321-3896、  03-3321-8644
物 語  
天祥地瑞 午の巻 第79巻 5章 「湖畔の遊び」(1986)〜第10章「祝賀の宴」(1991)

★ 報告
 
春分の季節、皆様にはお変わりなくお過ごしのことと思います。
 

物語の方は、竜の島根に弟姫として嫁いだ妹・麗子(うららか)を追ってやってきた兄・艶男(あでやか)が、竜宮に招き入れられるところから始まります。かつては互いに恋していた兄妹でしたが、今は竜神王の妃となった妹の境遇を受け入れ、それぞれ身の潔白を明かします。ところが、兄・艶男の端麗な姿に、竜神の侍女たちは心を奪われてしまいます。そして侍女たちは次々に艶男のところへやってきて、恋の思いを告白します。

これに辟易した艶男は、伊吹山の鏡湖に逃げてやってきますが、ここでも竜神の娘・白萩に激しい恋の告白を受けます。困り果てて呆然とする艶男の前に、海神・大海津見(おおわだつみ)の神の娘・海津見姫が現れて、艶男は麗子同様、竜神たちを人間の姿に生みなおし、竜の島根の国土造りをする使命を負っている、と明かされます。この海津見姫の言葉に、艶男はまだ運命を受け入れることができず、呆然としてしまいます。

一方、海津見姫の神は、竜神王と弟姫・麗子の婚姻によって新しい政が始まり、竜神族が人間の姿に生まれ変わる兆しとなったことを祝いに竜宮へとやってきたのでした。竜神たちは海津見姫の神の来訪を歓迎し、祝宴は盛大に行われます。

★ 拝読箇所で気のついたこと
第七十九巻 午の巻

竜の島根
第五章 湖畔の遊び(1986)
大竜身彦の命は、四柱の重臣を従え、伊吹山に花見の遊覧を試みた。山の中腹の鏡の湖のほとりに莚を敷き、酒を酌み交わしながら歌を歌った。
大竜身彦の命が長寿を祈る祝歌を歌うと、数多の従者たちは音楽をかなでつつ踊り舞った。続いて重臣たちが、弟姫神の降臨と婚姻を祝い、竜神族の将来を希望する歌を歌った。
弟姫神となった麗子(うららか)は、竜神族に栄えをもたらす決意を歌に読み込むと、白雲はさっと開け、日月は一度に並び輝いて、たちまち第一天国の光景を現出した。

第六章 再開(1987)
一方、水火土(しほつち)の神に送られて竜宮島に上陸した艶男(あでやか)は、鉄門の前に立って名乗りをあげた。
門を守る女神は、水火土の神と艶男の来訪を、大竜殿に居た弟姫神に奏上した。弟姫は、兄の来訪を知って恋しさとうれしさ、恥ずかしさが一度にあふれたが、表には現さず、国津神の長の子をねんごろに迎え入れるように命じた。
竜神の案内で、水火土の神と艶男は大竜殿に進み入った。そして、奥殿で簾ごしに妹の弟姫神と言葉を交わした。二人は互いの関係の清さを水火土の神の前に明かした。そして艶男は妹が今は竜宮島の弟姫神として竜神王に嫁いだことを祝った。
そこへ、大竜身彦の神が、重臣たちを従えて戻ってきた。大竜身彦の命は、弟姫神の兄の来訪を喜び、艶男を宴に招待した。一行は弟姫神について、大奥に進んでいった。

竜宮風景
第七章 相聞[一](1988)

弟姫神の兄、艶男の姿の美しさに、竜神の侍女神たちは先を争って集まって来た。侍女神たちはいずれも人面竜身であったが、その美しさには犯しがたい気品があった。
侍女神の一人山吹は、恐る恐る艶男の近くに寄り、艶男への恋心を歌った。しかし艶男は、実を結ばぬ恋ゆえに、応えるわけには行かないと断り、返事をしばし待つようにと返した。
艶男は庭の白砂を踏みながら、曲玉池の木陰に進んでいくと、今度は侍女神の白菊が物憂げに立っていた。艶男はその風情に打たれて名を問うと、白菊は艶男への思いをぶつけてきた。
艶男は自分は国津神の長の家を継ぐものであり、ここには長くとどまることができないから、思いに応えることができない、と返した。白菊は悲しみと恨みを歌ってそっとその場を離れた。
艶男は、妹を追って来たこの竜宮島で、はからずもこのような恋の情けの雨に悩まされるとは、と嘆じた。人面竜身の姿は自分の心にはそぐわないが、しかし面差しを見れば涙にくれる乙女であるし、このような恋の思いを打ち明けられて心悲しくなってしまうのだ、と悩みを一人歌う。
すると、前方の森からまた七人の竜神の乙女が入り来たった。艶男はまた見つかっては大変と、伊吹山の中腹にある鏡の湖に向かって逃げていった。

第八章 相聞[二](1989)
艶男が鏡の湖畔の木陰に逃げてほっとしたのもつかの間、あたりの草むらから、白衣に赤い袴の乙女が現れて、白萩と名乗り、またもや艶男に恋の相聞歌を歌いかけた。
艶男はいつものように、実のなき恋で、応えるわけにはいかない、と断るが、それでも白萩は恋の思いを歌に託して艶男に問い掛けた。そして、鏡湖のように底も知らぬ思いに、艶男のためには命を捨てても惜しくない、と心のたけを歌った。艶男は困り果て、父母を思えば恋の思いも起こらないと嘆いた。
すると、鏡湖の波を左右に分けて現れ来る三柱の女神があった。そして、艶男の憩う木陰ににっこりとして近寄ってきた。白萩は女神の降臨に、大地にひれ伏して礼拝している。
女神は艶男に目礼すると、自分は大海津見(おおわだつみ)の神の娘、海津見姫の神であると名乗った。そして、この竜宮の島根は愛の花咲くよう神が定めた、恋の島であり、艶男にこの島を作り固めて御子を産むようにと諭した。八十姫神の願いをことごとく聞き入れて、竜神族を救うように、と歌った。
艶男は、そのようなことをしたら、竜神の姫神たちのねたみ心をあおってしまう、と不安を歌うと、海津見姫の神は、この島の竜神の姫神たちには、ねたみ心は露ほどもない、これはまだ若い国土を作り固める業であるので、ためらうことなく進むように歌い返した。
艶男は、その心はわかったが、自分は国津神の身であり、とてもそのような業に携わるには及ばない、と歌った。海津見姫の神は、日を重ねて時を重ねれば、次々と心雄雄しく進んで行くだろう、と歌い、侍女神を従えて大竜見彦の命の宮殿深く、姿を消してしまった。
艶男は女神の命に不審の念に打たれつつ、もろ手を組んで、太い息を漏らして思案にくれていた。
白萩は艶男に近寄って、左手を握ろうとしたが、艶男はとっさに驚き、飛び退いた。白萩は悲しい声を張り上げて、さきほどの海津見姫の言葉を引き合いに出しながら、艶男のつれなさを非難した。
艶男は決心のほぞを固め、今はしばらくこの場を逃れようと、自分には病気があるので、この病気が治ったら白萩の思いに応えるときもくるだろう、と歌った。白萩は喜び、二人は竜宮殿に共に帰った。

第九章 祝賀の宴[一](1990)
竜宮島の王である大竜身彦の命が、国津神の娘・麗子姫を妃と定めて海原国のまつりごとを始めたことを寿ぎ、大海津見の神の娘・海津見姫の神はこのめでたい出来事を祝おうと、竜宮殿にやってきた。
竜宮の従神たちは姫神の来訪を喜び、歓待の準備に着手していた。海津見姫の神がやってくると、歓待の準備がすっかり整っていることに驚き、竜の島根がすがすがしく、竜神族たちが生き生きとしていることを喜んだ。
そこへ大竜身彦の命を先頭に、弟姫神、数多の供神たちが恭しく進み来て、海津見姫の神の前に最敬礼をした。大竜身彦の命と弟姫神は、歓迎の歌を歌った。艶男は弟姫神のそばに立ち、先だって鏡の湖のほとりで教えをいただいたことを謝し、海津見姫の神へ歓迎の歌を歌った。
海津見姫の神は、竜神族たちの姿は、月日をかけて改まり、まことの人と生まれるべきこと、また国津神の御水火(みいき)によって人となることを歌った。そして、艶男と麗子に、国津神の生言霊を宣り上げるように促した。
二人は七十五声の生言霊を幾度となく繰り返しながら、大竜殿の階段を悠々と上り、奥殿深く進み入った。海津見姫の神は上段の席につき、続いて大竜身彦の命と弟姫神が左右に着席した。女神たちは列を正し、数多の竜神、魚族まで集まり来て、今日の慶事を祝しつつ、珍味に舌鼓を打ち、踊り舞った。
弟姫神の麗子は、島の繁栄を願う言霊歌を歌って、今日のよき日を祝した。海津見姫の神も祝歌を歌い、身体を全きものとするために、艶男の君を守り立てて、人種を生み増やせ、と歌った。
続いて大竜身彦の命が祝歌を歌い、そして再び弟姫神が、竜宮の王となって神の世を造り固める身となった決意を歌った。

第十章 祝賀の宴[二](1991)
引き続いて、竜神の侍女神たちは、おのおの立って祝歌を歌い、麗子と艶男が竜の島根にやってきたことを称え喜んだ。

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