とよたま愛読会106回(天祥地瑞
未の巻 第80巻12章
〜 第17章)
記:望月幹巳 メール:motomi@moon.nifty.jp
日 時 平成17年7月24(日) 午後1時から午後4時30分まで
場 所 愛善苑 豊玉分苑 (京王線下高井戸駅下車 徒歩8分 川崎方)
連絡先 03-3321-3896、 03-3321-8644
物 語 天祥地瑞 未の巻 第80巻12章
夜見還(2016)〜第17章
水火垣(2021)
★ 報告:残暑の候、皆様にはお変わりなくお過ごしのことと思います。
<あらすじ>
水奔鬼の頭目・笑い婆、譏り婆の幻術にかかって命を落としたと思った秋男一行であったが、すんでのところで甦り、再び火炎山を目指すこととなります。
秋男たちは、火炎山の山頂に燃える火で大平原の猛獣・毒蛇・悪魔たちを焼き滅ぼそうと計画していたのであり、それを阻止しようと火炎山に巣くう悪魔たちとの争奪戦が始まります。
悪魔の前衛・水奔鬼の鬼婆たちは再び幻術で秋男たちを足止めしようとしますが、言霊の力によって再三破られて、逃げ帰ります。ついに猛獣毒蛇の悪魔たちは一致団結して、秋男一行を迎え撃ちます。
勇敢にも火を奪おうと火口に突進した秋男たち
しかしその後、火炎山は大鳴動を始め、ついに大爆発を起こします。この爆発により、火炎山は跡形もなく吹き飛び、後には大きな湖ができます。そして、猛獣・毒蛇・悪魔たちはほとんどが全滅するという結果になりました。
一方、火炎山の大爆発を知った御樋代神の朝霧比女の神は、様子を探らせるために朝空男の神、国生男の神を遣わします。
両神は忍ヶ丘に降り立つと、そこには冬男たち精霊が、爆発から生き残った猛獣・悪魔たちに攻められて苦しんでいました。
両神は精霊たちを安堵させると、言霊の力によって猛獣・悪魔たちを足止めし、忍ヶ丘に館を建ててここに落ち着き、国土を治めることとなりました。
★ 拝読箇所で気のついたこと
四辺は暗く雲が立ち込め、風一つない蒸し暑い空気がみなぎる中、苦しみの中でよし草と水奔草が生い茂る荒野が原を進み行く一人の男があった。
笑い婆、謗り婆の計略によって穴に落とされ、命を奪われた秋男は、幽冥の中をさまよいながら、これまでの事件を述懐していた。
すると、血のような色をした濁水が流れる大川に行き当たった。秋男はどうやってこの川を渡ろうかと思案に暮れていた。
すると、傍らのよし草をそよがせて、痩せこけた老婆が杖をつきながら秋男の前に現れた。
婆は、自分は秋男の命を奪った笑い婆・謗り婆の姉妹、瘧婆であると名乗り、秋男の霊の生命を奪おうと襲い掛かってきた。
秋男は身体きわまってどうすることもできなくなったが、そこに松、竹、梅、桜の従者の精霊たちが助けに現れ、婆を取り囲んだ。
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そこへ突如、空をどよもして進んできた一柱の火団が轟然と川辺に落下した。と、瘧婆の影は雲霧と消えて跡形もなく、よく見ると
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秋男は天地の神の恵みに生き返ったことを感謝し、曲津の砦に攻め込む意気を歌った。
第十三章 樹下の囁き(2017)
よみがえった
秋男は、一同の勇気を鼓舞し、松、竹を先頭に、壁の切り立ったうねうねとした坂道を一足刻みに上っていった。
秋男一行は歌いながら進んでいくが、一向に火炎の山が近づいてこないことに気づき、悪魔の仕業ではないかと秋男は天之数歌を歌い始めた。
すると、こもり樹のこずえの方から、笑い婆が秋男たちを罵り笑う声が聞こえてきた。秋男は婆に歌い返すが、今度は譏り婆の声が秋男たちを脅し、身の毛もよだつ恐ろしい声で降伏の勧告をしてきた。
一行五人はここぞと一生懸命に天之数歌を奏上していた。
第十四章 報哭婆(2018)
火炎山の頂上には、虎、熊、獅子、狼、豹、大蛇などの猛獣の悪魔たちが、火口の周囲に生息して火種を奪われないように守っていた。
それというのも、もしこの火種を奪われて大原野に放たれてしまうと、猛獣の悪魔たちはたちまち焼き殺されて全滅してしまうことを恐れていたからであった。
秋男が火炎山に向かっていたのも、この火を奪って猛獣の悪魔たちを焼き滅ぼそうと計画していたからに他ならなかった。
猛獣の悪魔の王たちは、水奔鬼たちを使役して、人間がこの山に近づくのを妨害していたのであった。
猛獣の悪魔の王たちが秋男一行をどうやって防ごうかと協議している最中、秋男たちの言霊に打ち負かされた笑い婆、譏り婆が逃げてきた。そして、悪魔の王たちに助力を求めてきた。
猛獣の悪魔たちは、水奔鬼の婆たちのふがいなさを責めるが、結局一致団結して秋男一行に対する防御を敷くことに決定した。
一方、秋男たちは、言霊によって水奔鬼の婆たちを追い払うと、山頂には火炎山の噴火が見えてきた。婆の幻術を打ち破り、山頂の火を求めて行軍しようと意気を上げたその矢先、猛獣の悪魔たちは秋男たちの足止めをしようと、猛烈な雨・風・雷を起こしてきた。
闇の中に稲妻がひらめく間から、鬼婆の影が現れ、再び笑い婆のおぞましい声が響いてきた。そして、猛獣の悪魔の力を借りて、秋男一行の胆力を奪おうと再び脅しをかけてきた。
秋男は胆力を据えて天地を礼拝し、生言霊を奏上するや、雷鳴電光・激しい風雨はぴたりと止んでしまい、空は晴れ渡って元の光景に立ち返った。
第十五章 憤死(2019)
秋男は木蔭に立って再び生言霊の祝詞を奏上し、葭原国を開くため、水上山の第三子が言霊によって悪魔を打ち負かし、言向け和すと宣り上げた。すると、心地よい風が吹き通り、山腹の女郎花をゆるがせ、めでたい鳥の声がすがすがしく、虫の声もうるわしく聞こえてきた。
一同は言霊の威力に力を得て、壁立つ山肌を山頂に向かって登り始めた。山頂も間近になったころ、一同は腰をおろして体を休め、下界を眺めながらそれぞれここまでの述懐と、最後の決戦の決意を歌っていた。
すると突然、山頂から大岩石の雨が降り落ちてきた。五人は危険の中を省みずに岩の雨をくぐって山頂に達した。すると、猛獣毒蛇の悪魔たちがいっせいに五人に襲い掛かってきた。
五人は火種を奪おうと火口に殺到したが、猛獣毒蛇の群れは必死で襲い掛かった。そして五人をくわえると、次々に火口に投げ下ろしてしまった。
五人の勇者は火口の火に焼かれ、白骨となって天高く舞い上がり、地上に落ちて果てた。
第三篇 天地変遷
第十六章 火の湖(2020)
秋男一行が猛獣の悪魔たちに噴火口に投げ入れられて命を落とした後、半時ほどして火炎山はたちまち大鳴動を始め、前後左右上下に振動すると大爆発を起こした。
高い山影は跡形もなくなり、代わりに大きな湖水が出現し、中央の小さな小島が残るのみであった。猛獣毒蛇、水奔鬼たちは大部分が全滅し、中央の小島には、秋男たちの精霊と、朝霧ら国津神の娘たちの水奔鬼が残り、秋男の精霊は島の主となった。
秋男たちは、未だに残る少数の猛獣毒蛇を滅ぼして、ここに精霊の安全地帯を作ろうと苦心していたが、身体を失った精霊の身では猛獣毒蛇に対抗する力がなく、天地の神に祈願して救いを待つのみであった。
高光山の朝霧比女の神一行は、火炎山が大爆発を起こしたことを知り、協議の結果、朝空男の神、国生男の神二柱が、天の鳥船を作って予讃の国に向かい、様子をうかがってくることとなった。
朝空男の神、国生男の神は述懐の歌を歌いながら鳥船を操り、予讃の国の雲をかき分けて地上に降り、かつて笑い婆の棲家であった忍ヶ丘の平地に降り立った。
火炎山は大きな湖になってしまったが、その湖水が忍ヶ丘の一里ほど近くまで展開していた。二柱の神々が丘の上で感謝の歌を捧げていると、かつて笑い婆に命を奪われて、精霊となって忍ヶ丘を守っていた冬男たちが現れ来て、両神にこれまでの経緯と、降臨への感謝を歌った。
神々は、冬男たちが精霊の身で水奔鬼の鬼婆を追い出したと聞いて、その魂の強さに感心した。両神は、精霊たちを安堵させると、その夜は忍ヶ丘の冬男の館に休息を取った。
第十七章 水火垣(2021)
火炎山の爆発によってほとんどの猛獣毒蛇たちは全滅したが、鱗の固いはちゅう類は湖水の岸辺の水奔草の中にもぐりこんで、害をなしていた。
朝空男、国生男の二神が降った忍ヶ丘の付近は、湖水が一里近くまで迫っていたこともあり、これら生き残った猛獣や水奔鬼が登って来ようとするために、冬男たち精霊はその防御に苦心していた。
二神は精霊たちを安堵させると、攻めてくる猛獣や水奔鬼の群れに向かって代わる代わる生言霊を宣りあげた。すると、悪魔たちは言霊に妨げられて丘に登ってこれなくなった。
二神は、生言霊によって悪魔を清めるために自分たちは御樋代神によって使わされたのだ、と歌った。冬男たちは感謝の歌を捧げた。
国生男の神は、忍ヶ丘に館を作って住み、国土を治めようと歌った。朝空男の神は、しばらく国生男の神と一緒にここに止まって国を治めようと歌った。そして、火の湖が平穏に復する日を待つこととなった。
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