とよたま愛読会111回天祥地瑞 申の巻 第81巻17章〜20
                 記:望月幹巳 メール:motomi@moon.nifty.jp


日 時  平成17年12月25(日) 午後1時から午後4時30分まで
場 所  愛善苑 豊玉分苑 (京王線下高井戸駅下車 徒歩8分 川崎方)
      連絡先 03-3321-3896、  03-3321-8644
物 語  
天祥地瑞 申の巻 第81巻
           第17章 再生再会(2044)
 〜 第20章 悔悟の花(2047)

★ 報告
初春の候、皆様にはお変わりなくお過ごしのことと思います。
おかげさまをもちまして、天祥地瑞すべての巻の拝読が終了いたしました。
次回は特別篇の『入蒙記』を拝読いたします。

昨年11月にご逝去された守屋テルさんの招魂祭が正午より、拝読会の前に行われました。守屋さんの御魂をお招きし、一緒に拝読をさせていただくこととなりました。
 

  伊佐子島のイドム国とサール国の物語は最終章を迎えました。悪女アララギの姦計を暴こうとして島流しにあっていた侍従・朝月は、チンリウ姫を助けた琴平別命の化身である神亀によって救われ、チンリウ姫が身を隠す、イドム国の真砂の浜に送り届けられます。

  朝月は森の中に身を潜めていたチンリウ姫と再会し、自らの誤解を解くと、姫に仕えて共にイドム刻の再興の時を待つことになります。

  一方、チンリウ姫になりすましたセンリウは、木田山城内の古池に潜むイモリの精に魅入られてしまいます。イモリの精は美男子の姿と現れてセンリウの心を奪うと、セームス太子を池に引き落として命を奪い、その後釜に座ってしまいます。サール国の国政はますます乱れ、混乱の極みを迎えます。

  そこへ、イドム国に遠征していた右守ナーリスが、部下を従えて帰還します。ナーリスは宴の席で諫言したためエールス王に疎まれ、本国を守るという名目で帰還させられたのでした。

  ナーリスはエームス太子(実はイモリの精)から、留守中にイドム国王女チンリウ(実はセンリウ)を娶ったことを知らされます。そして、現在の国政はチンリウの乳母・アララギが取り仕切っているため、万事アララギに諮るようにと言い渡されます。

  ナーリスは捕虜であった敵国王女の乳母が国政を取り仕切っていることに納得がいかず、憤然として太子の前を下がると、引退して身を隠してしまいました。

  折りしも城下をときの声がどよもし、暴徒の群れがなだれこんできます。木田山城の悪政を糾すため、愛国者団体が反乱軍を組織し、攻め寄せて来たのでした。反乱軍の勢いはすさまじく、落城をさとった偽太子のイモリの精は、偽王女センリウと共に古池に飛び込み、二人の姿は二度と見えなくなってしまいました。

  反乱軍の中心人物は、かつての侍従の一人・夕月でした。夕月は太子夫妻の姿を探して城に乱入し、捜索するうち、アララギとばったり出会います。アララギは夕月の反乱を非難しますが、夕月は逆に、アララギ・センリウの替え玉の姦計を暴き、国政混乱の罪を数え上げます。そして夕月は、逃げるアララギを射殺してしまいました。  城下の混乱にナーリスは部下の騎士を従えて、反乱軍に自体の収拾を呼びかけます。反乱軍側からは夕月がナーリスに同意し、両雄がサール国を安堵することになりました。

  やがてナーリス・夕月らはエールス王・王妃が落命し、イドム国王の捲土重来によってサール軍がイドム国を追われたことを知ります。ナーリス・夕月らは、武力で他国を奪おうとしたエールス王一族の罪に思い至り、城内に主神を祭り、誠の心を一つにして国政の再建を誓います。

<拝読会のご感想>
 安倍さん 長い長い物語の勧善懲悪のラストシーン周辺には様々なキーワードが散りばめられていてワクワクでしたが《悪逆無道のアララギが反乱の中心人物夕月の、満月にしぼった弓に射抜かれて身失せにける(十九章終)》というシーンに強い念を感じて、広辞苑で「アララギ」を調べてみたら「歌壇の主流となっていた短歌雑誌」という意味と「斎宮(いつきのみや)の忌詞(いみことば)で塔のこと」の意味があるそうです。ちなみに斎宮は【大嘗祭の〜神殿】又は【伊勢神宮】の事だそうで、以上の意味を深く考えると聖師様の秘めし思いの一部が分かるかな〜?などと述べながら中途半端に終わりまする〜。

 

★ 拝読箇所で気のついたこと

第81巻 申の巻
 第4篇 猛獣思想
 第17章 再生再会(2044)

 * 偽リンリウ姫を見破り、宴席でそのことを歌にほのめかした従臣の朝月は、はるか孤島の荒島に島流しにされてしまった。

 * 絶海の孤島で、朝月は魚貝を採りつつ飢えをしのぎ、海原を眺めながら述懐の歌を歌っていた。

 * 朝月は述懐の歌に、アララギ・センリウの姦計に陥った故国を憂い、また昨日の夢に不思議にも、命を奪われたかと思われたチンリウ姫が海亀に助けられて無事にイドム国にたどり着いたことを思い返して、神の恵みを祈っていた。

 * すると、チンリウ姫を救った神亀が荒島の波打ち際にぽかりと姿を現し、朝月を招くかのように首を上下に振りはじめた。朝月は、これぞ琴平別命の化身の救いと喜び、神亀の背中に飛び乗った。亀は朝月を背に乗せると、南へ南へとまっしぐらに進んで行く。

 * 朝月が神亀に感謝の歌を歌ううちに、一日かけて神亀は、イドム国の真砂の浜辺に朝月を送り届けた。

 * 亀に感謝の別れを告げた後、朝月が古木の茂る森に分け入って行くと、小さな小屋があり、そこからはかすかに女性の歌声が聞こえてきた。それは、チンリウ姫の述懐の歌であった。

 * 朝月は自ら名乗ってチンリウ姫に目通りを申し出るが、姫は朝月がこのような場所にいるはずがないことを疑って警戒した。またもし本物だったとしても、朝月も自分とエームス王子の結婚を計った悪人の一人であると非難した。

 * 朝月は、チンリウ姫が島流しにあった後、アララギ・センリウの企みを公の場で暴こうとしたために自分も島流しにあい、神亀に救われた経緯をチンリウ姫に訴え、忠誠を誓った。

 * チンリウ姫はようやく朝月に心を許し、朝月は姫に仕えてしばらく森の中で時を待つこととなった。

 第18章 蠑螈(いもり)の精(2045)
 * チンリウ姫になりすましたセンリウは、母のアララギとともに並ぶもの無き権勢を木田山城に奮っていた。

 * あるときセンリウは、木田山城内の森林を逍遥しつつ咲き乱れる花を愛でていた。すると、後ろから突然容姿端麗な美男子が現れ、次分はエームス王子の従兄弟・セームスであると名乗った。

 * この美男子セームスを一目見たセンリウはすっかり心を奪われてしまった。セームスがセンリウを誘惑すると、センリウは気のある心をほのめかす歌を返した。すると不思議にも、セームスの姿は煙のように消えてしまった。

 * あくる日、センリウは提言して城内の菖蒲池に舟を浮かべ、半日の清遊を試みた。舟にはエームス王子、センリウ、アララギのほかは二人の侍女が乗っているのみであった。

 * 一同が歌を歌いつつ日を過ごしていると、突然池の水が煮えくり返り、水柱がいくつも立ち昇った。舟は転倒し、エームス王子は水中に落ちたままついに姿を現すことはなかった。

 * 先日、センリウの前に姿を現したセームスという美男子は、実はこの池の主の巨大な蠑?の精であった。蠑螈の精はエームスを亡き者にして、センリウの夫となって城を乗っ取ろうとしていたのである。

 * この騒ぎの中、一同はエームス王子が水死したことに気づかず、蠑螈の精セームスはまんまとエームス王子になりすましてしまった。

 * センリウはこの事件以来、エームス王子の様子が何とはなしにおかしなことに気づき、そのことを問い詰めた。蠑螈の精は、自分は先日会った従兄弟のセームスであり、エームスを亡き者にして王子になりすましたのは自分の計略だと明かした。そして、センリウがチンリウ姫になりすましていることに気づいているが、お互いに偽者として夫婦となり、国を乗っ取ろうとセンリウに持ちかけた。

 * センリウはエームスに同意し、二人は木田山城奥深くに身を置いて、快楽にふけることとなった。国政は日に日に乱れ、ついには収集できないほどに混乱が深まって行くことになる。

 第19章 悪魔の滅亡(2046)
 * 先に、戦勝によってイドム国を手に入れたサール国王エールスは、宴の席で諫言をした右守ナーリスを、故国の守り固めさせるために、木田山城に帰城させていた。

 * ナーリスは数百のナイトを従えて、大栄山を越え、ようやく木田山城に帰還した。ナーリスは、遠征の間にエームス太子が妃を娶っていたことを知らず、まずは軍の様子を報告しようと御前にまかり出た。

 * ナーリスは、父母王がイドム城を居城と定めたことを報告し、エームス太子はサール国を治めるようにとの父王の意向を伝言した。

 * エームス太子は戦中にやむを得ず、父母に諮らずに妃を娶ったことをナーリスに伝えた。妃センリウは、自分はイドム国王女・チンリウであると自己紹介した。

 * ナーリスが祝いの辞を述べていると、アララギが現れて、太子の意向により、政治のことは必ず自分に諮るように、と横柄に言い渡した。ナーリスは、妃の乳母ごときが政治に口を出すのはおかしい、と反論するが、太子と妃はアララギの肩を持って、アララギに従うようナーリスを説き諭す。

 * ナーリスは潔しとせず、憤然として引退を宣言し太子の前を引き下がると、いずことも知れず身を隠してしまった。

 * かくする折りしも、城下にどっとときの声が起こり、暴徒の大群が木田山城めがけて襲い掛かってきた。反乱軍の勢いはすさまじく、落城をさとった偽エームス太子の蠑螈の精・セームスは、偽チンリウ姫のセンリウを小脇にかかえると、菖蒲池にざんぶと飛び込んだ。そして二人の姿は水泡の中に見えなくなってしまった。

 * 反乱軍の中心人物は、かつての侍従・夕月であった。夕月は太子夫妻の姿を探して城内に乱入したが、二人の姿を見つけることはできなかった。するとそこへアララギが髪を振り乱して近づき、夕月の反乱を非難した。

 * 夕月は弓に矢をつがえると、アララギ・センリウの替え玉の悪行を暴き立て、また国民を暴政によって塗炭の苦しみに陥れた罪を数え上げた。そして、逃げるアララギの背後から、弓を引き絞って矢を放ち、アララギを射殺してしまった。

 * 木田山城は一時、暴徒の群れによって混乱の極みに陥った。

 第20章 悔悟の花(2047)
 * 引退を宣言して身を隠していたナーリスは、部下のナイトを数百従えて反乱軍の群集の前に整然と現れ、声高らかに悪人たちの滅亡を告げた。そして、政局の混乱は自分が収めて善政を敷くことを約束し、民衆に武器を収めて元の営みに立ち返るよう説得した。

 * 反乱軍の群集側からは夕月が現れ、ナーリスを中心として新しい国政を立て直すことを宣言した。ナーリスと夕月は混乱の収拾を祝しつつ、述懐の歌を歌った。

 * ナーリスと夕月は部下を従えて城内に入り、万事後片付けをすると、重臣たちを集めて国乱を鎮定した祝賀の席を設けた。

 * 一同は述懐の歌を歌いあい、悪女・アララギがイドム国からやってきたことが国難の始めであったと回顧した。ナーリスは、王の言葉に従って早くサール国に帰還したために、すんでのところでサール国の自滅を防ぐことができたことを述懐した。

 * かくする折りしも、数千の騎士たちがイドム国から逃げ帰ってきた。サール軍の副将チンリンは、エールス王・王妃・左守チクター・軍師エーマンら首脳陣はすべて命を落とし、アヅミ王の反攻勢い強く、サール軍はイドム国を追われてしまったことを報告した。

 * ナーリス、夕月ら一同はこの報告に顔色を変え、茫然として言葉を失ってしまった。そして、チンリンから王の落命について聞くと、一同は、他国を戦によって奪おうとした欲の罪により、王の一族の血筋が絶えることになってしまったことに思い至った。

 * ナーリスは、残された重臣一同、誠一つに心を合わせて国の再建を行う決意を表した。そして、エールス王が残した戒めを忘れず、今後は天地の神を畏れ謹んで誠の道を進んで行くことを、改めて重臣一同に示した。

 * ナーリスはサール国内に王一族の不幸を告示し、盛大な葬儀を執り行った。そして、木田山城内に荘厳な主の神の御舎を造営し、朝夕、正しい政治が行われるようにとの祈願を怠らなかった。


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