とよたま愛読会75回(天祥地瑞:73巻15章〜25章)望月 幹巳
                                                  メール:
motomi_mochizuki@ybb.ne.jp


日 時  平成14年12月22(日) 午後1時から午後4時30分まで
場 所  愛善苑 豊玉分苑 (京王線下高井戸駅下車 徒歩8分 川崎方)
電話   03-3321-3896、03-3321-8644
物 語  天祥地瑞 子の巻 第73巻15章〜25章
 

★ 報告
初春の候、皆様にはお変わりなくお過ごしのことと思います。第76回とよたま愛読会の案内と、前回
の報告をさせていただきます。
 前回は8名の参加者を得まして、無事に行われました。いよいよ、太元顕津男の神の国生みの神業が
始まります。
八十柱の比女神と共に国魂神を産みなしていくという神業を理解されず、苦しむ顕津男の神ですが、
ついに意を決して旅立ちます。その先導役は、大御母の神が行います。
大御母の神は、スメール山(=高照山)を居所とする神で、スメール山に、顕津男の神と、八十柱の
一人・如衣比女(ゆくえひめ)の神の宮居を提供します。そこで、顕津男の神と如衣比女の神の婚ぎが
行われ、ついに最初の国魂神、美玉姫の命が授かります。しかし、御子誕生の後、如衣比女の神は禊の
滝で大蛇に襲われ、命を落とします。スメール山の神々は、如衣比女の神を厚く弔い、大蛇を言向け和
して第二篇が終わります。
顕津男の神の旅立ちによって、天界の道々の様子が描かれ、スメール山の描写など、興味尽きないも
のがあります。また、国魂神の誕生は何を意味するのか、如衣比女の神の死に見られるように、天界に
おいてさえも善悪美醜が存在するというくだりなど、教えについて重要な示唆が多く含まれていると感
じました。
今後の物語の展開においても、こういったテーマを逃さず、立ち戻りつつ考察していきたいと考えて
おります。


豊玉分苑 神前にて

 
愛読会後、忘年会の様子 :於下高井戸たつみや

★ 拝読箇所で気のついたこと
第七十三巻
第二篇 高照神風
第十五章 国生みの旅(一八四六)

・水火自然の働きとは
・火は水の力によってこそ、高く燃え立ち上がり、熱と光を出すことがきる。
・また、水は火の力によって、横に流れ、低いほうへ移動する。
・火の力がなくなれば、水も高く上って直立不動となってしまい、力がなくなってしまうのだ。
・だから、霧、雲、雨となって国土を潤す水の霊能も、火の力があってこそ可能なのである。
・天之道立の神=火を本性として現われた厳の御霊、紫微の宮に永遠に鎮まり、経の教えを述べ伝う。
・太元顕津男の神=水気の徳が、あらゆるものに染み渡り、万有を潤す。そうやって徳を顕す、という御神名。
・ゆえに、高地秀の宮に鎮まって、四方の神々・国土を潤す職掌にあたる。
・いずれも、水火の働きに則ってそれぞれに、その役割がある。
・したがって、太元顕津男の神に八柱の比女神を仕えさせ、国生みの神業を与えたのも、天地経綸の基礎なのである。
・諸神の無理解に、太元顕津男の神は天之道立の神に相談に行くが、かえって紫微宮の神々は、太元顕津男の神の行動を裁く。
・太元顕津男の神は高地秀の宮に帰り、ひとり月夜を歩いて、白梅の花が香る栄城(さかき)の山に横たわった。
・顕津男の神は、栄城山の山頂に上って、日月両神を拝し、天津祝詞を奏上して、神業の完成を祈った。
・その言霊はたちまち天地に感動し、紫微天界の諸神はたちまち集い、つつしみかしこみ、顕津男の神の祝詞に聞き入った。
・天の峯火夫の神が主の言霊の神水火(みいき)をうけて現われ、紫微天界をはじめとして、四層の天界を造った。
・天之道立の神に霊界をゆだね、顕津男の神を東の高地秀山に下らせ、宮を建てて仕えさせた。
・そこへ、主の大神より、あらゆる国を治める国魂神を生むようにと、八十柱の比女神を下した。
・諸々の神たちよ、どうか、主の神の神言を受けた私の言葉を聞き流さず、私の神業を助けてください。
・天津真言の言魂をもって、心の丈を告げる次第です。
・諸神たちはただただひれ伏して、合掌するのみであった。主の神の言霊が四方に響き渡り、微妙の音楽鳴り渡り、迦陵頻伽(かりょうびんが=人頭・鳥身の極楽の鳥)は白梅の枝に集まり来て美しい声を放ち、鳳凰は上空をゆうゆうと翔けまわった。
・大御母の神は、多数の神々と共に数百頭の麒麟を率いて現われ、顕津男の神の門出を祝した。
・顕津男の神は、麒麟にまたがって山路を下り、他の神々たちはあるいは麒麟、あるいは鳳凰に乗って従った。
・大太陽の光はますます強くなり、大太陰は慈しみの光を放って清涼の気を送り、炎熱調和して、「水火和合」の祥徴を実現した。

第十六章 八洲の河(一八四七)
・太元顕津男の神は、大御母の神をはじめとする諸神に見送られて、神生み国生みの旅に出発した。
・東北に向かって進んでいくと、前途にはるかに高くそびえる美しい山があった。山頂より紫の雲気が立ち上り、まばゆいばかりに輝いている。
・顕津男の神が霊山を望む歌を歌うと、大御母の神は、あの高照の山は我が住処である、と歌った。
・顕津男の神は威儀を正し、もろ手を打ち合わせ、タカの言霊を鳴り出でて礼拝をした。
・続けて、足元を流れる天の八洲河の清泉を褒め称えた歌を歌った。
・大御母の神に続いて、諸神たちは天の八洲河を越えて東の岸に着いた。
・大御母の神は麒麟にまたがったまま、声さわやかに歌った。
・天の八洲河をやすやすと渡った顕津男の神の雄雄しき姿かな。
・この河を流れる真清水は、遠き宇宙の初めより、紫微天界の「司の河」といわれており、恵みの露を流し、世の雲霧を払い、百の罪とがを洗うもの。
・この真清水は、主の神が、瑞の御霊に与えた生命の水である。
・顕津男の神よ、この真清水を心とし、この清流を教えとして、四方の神々をもれなく救え。
・いざこれよりは、高照山の尾の上に駆け上り、宮居を建てて、主の大神の経綸に仕えよう。諸神よ、急げ。
・こうして、大御母の神は真っ先に山を指して急ぎ行く。

第十七章 駒の嘶き(一八四八)
・高照山の聖地を指していくと、途中の小川に、禊をしている美しい比女神がいた。
・顕津男の神が名を問うと、八十柱の比女神の一人、如衣比女(ゆくえひめ)であるとわかった。
・如衣比女は顕津男の神への想いのたけを歌うが、顕津男の神は、諸神の目があること、聖地高照山への途上であることなどを気にして、承諾しかねている。
・大御母の神はその様子を見かねて、顕津男の神の心は確かなので、ただ時がくるのをしばらく待つよう、如衣比女に歌い諭す。
・如衣比女は、大御母の神の歌に感謝し、三頭の銀の馬を献上する。馬の名はそれぞれ、天龍、銀龍、須佐、といった。
・顕津男の神が天龍に、大御母の神が銀龍に、如衣比女が須佐にまたがり、高照山の聖場に向かっていく。

第十八章 佐田の辻(一八四九)
・大御母の神からの知らせにより、経綸の神々は、高照山麓の聖地、高日の宮に集まって、顕津男の神の降臨を待っていた。
・神々の中より選ばれて道の辺に一行を待ち迎える神は、眼知男の神、またの名を目の神といった。目の神は、花の咲きにおう原野の十字路にて、味豊の神、照男の神を従え、顕津男の神一行の来着を待っていた。
・顕津男の神がやってくると、目の神は喜びの歓迎歌を歌い、顕津男の神は旅の来歴を歌った。
・高照山の大高原を進む一行に、万の神の歓呼の声が高く響き、道の両側に跪いて顕津男の神一行を迎えた。

第十九章 高日の宮(一八五〇)
・太元顕津男の神が高日の宮にやってきてみれば、そこは常磐の松が繁り栄え、庭には白砂、木陰に七色の草花が咲き乱れ、荘厳さ麗しさはたとえるものもないほどであった。
・明晴男の神、近見男の神たちが出迎え、駒のくつわを取り、歓迎の歌を歌った。
・顕津男の神、如衣比女の神は、大御母の神のはからいでこのような美しい所に留まることができ、喜びの歌を歌った。
・目の神は、顕津男の神の来臨によってもたらされる福音の喜びを歌い返した。
・顕津男の神は八尋殿に導きいれられる。大御母の神は、この八尋殿は顕津男の神が永遠に鎮まり、如衣比女とみあって国造りをするために建てさせたものだと歌う。
・ここに、顕津男の神と如衣比女の神は婚ぎの式を行い、八十年の間、この宮居に鎮まった。

第二十章 廻り逢ひ(一八五一)
・太元顕津男の神は、高日の宮の八尋殿に、天之御柱、国之御柱をみたて、右り左りの神業を行い、如衣比女の神を呼ばい、婚ぎの神業を行った。
・まず、大御母の神が寿ぎ言を歌い、それに対して顕津男の神と如衣比女の神が感謝の歌を返した。
・続いて眼知男の神、明晴の神が祝歌を歌った。
・如衣比女の神が感謝の歌を返し、最後に近見男の神が寿ぎの歌を歌った。

第二十一章 禊ぎの段(一八五二)
・顕津男の神、如衣比女の神は、高照山の滝にて禊をしようと館を出、滝の下にやってきてみると、水音は轟々として千丈の高さから落ちくだり、あたりは滝しぶきの霧で真っ白く、近づきがたい荘厳さであった。
・如衣比女の神はその様子に呆然とし、驚きの歌を歌った。顕津男の神は、滝の荘厳さに神の心を見、己を戒める歌を歌った。
・大御母の神、明晴の神、近見男の神は両神を追ってやってきた。そして、滝のすばらしさをたたえる歌を歌った。
・如衣比女の神、続いて顕津男の神は滝の下に進んで禊をなした。
・明晴の神、近見男の神が禊の様子をたたえる歌を歌う間に、顕津男の神は滝壷から出、滝壷の深さから主の神のふかい心をたたえた。また、如衣比女の神も滝壷から浮かび上がり、滝壷の底をくぐって主の神の清き心をたたえる歌を歌った。

第二十二章 御子生みの段(一八五三)

・顕津男の神は、如衣比女の神と共に朝夕、滝に禊をなし、日を重ねるうちに御子を授かった。
・御子の名は美玉姫の命と名づけられた。
・国魂神の誕生に、紫微天界の諸々の神たちは、高日の宮に集まって来て喜びを表した。八尋殿の庭に踊りの輪を造り、大物主の神が先導して声朗らかに歌えば、神々は手拍子足拍子を取って、喜び踊った。
・続いて大御母の神は寿ぎの言霊歌を歌った。顕津男の神は両神の寿ぎの歓び、返歌を歌った。
・美玉姫の命を国魂神として育んでいく所信を歌った。
・如衣比女の神が産屋から出て、御子神誕生の喜びを歌い、最後に明晴の神が祝歌を歌った。

第二十三章 中の高滝(一八五四)
・言霊の水火(いき)より成り出でた神霊を神といい、神と神との婚ぎによって生まれた神霊を命という。これより後、「神」と「命」の名によって、それぞれを判別することとする。
・善悪相混じ、美醜互いに交わる惟神の経綸によって、高照山の谷々にも、妖邪の気が鬱積して、邪神が現われ始めた。
・天界、天国といえども、至善・至美では宇宙の気が固まらず、万有は生まれてこない。糞尿によって土が肥沃になり五穀が豊かに実るように、醜悪の結果は美・善となる。
・ただ善悪の活用の度合いによって、その所と名を変ずるのみである。
・この宇宙には絶対的の善もなく、絶対的の悪もない。これが惟神の自然の大道である。
・あるとき、如衣比女の神は、高照谷の中津滝に禊をしようと出かけた。
・鬱蒼として険しい岸壁を伝って行く道なので、眼知男の神は安否を気遣い、ひそかに遠く女神の後から従った。
・如衣比女の神は滝の荘厳さをたたえる歌を歌って滝壷に飛び込んだが、猛烈な渦に巻き込まれて水底深く沈んでしまった。
・眼知男の神は急いでやってきて、天の数歌を歌い、厳の言霊を宣りあげた。
・すると、滝壷から頭に鹿のような大きな角を生やした大蛇が、如衣比女の神をくわえて現れた。
・眼知男の神は驚き、厳の言霊を繰り返しつつ大蛇の帰順を主の神に祈った。
・如衣比女の神は、大蛇にくわえられながら、眼知男の神に、自分は大蛇に呑まれて先に主の大神の御許に行くが、このことを夫に伝えてくれ、と頼んだ。
・眼知男の神の言霊もむなしく、大蛇は比女神をくわえたまま水中に姿を隠してしまった。
・眼知男の神は愁嘆やるかたなく、悄然として高日の宮に帰り着いた。

第二十四章 天国の旅(一八五五)
・眼知男の神は太元顕津男の神に一部始終を復命する。
・顕津男の神は、このことは主の神言によって事前に知っており、比女神は美玉姫の命を産んで神業を果たし、主の神の元に帰ったと歌い、眼知男の神を慰める。
・続いて、滝の大蛇を言向けて、天界の災いを払わずにはおれない、と決意をあらわにする。
・顕津男の神、大物主の神、眼知男の神が奥殿深く入っていくと、そこにはすでに御霊代が祭壇の上に納められていた。顕津男の神はあらかじめ主の神にこの遭難を知らされていたのである。
・眼知男の神、大物主の神は、何事も主の神の定めとして過去を嘆かず、如衣比女の神の冥福を祈り、美玉姫の命に仕えていく心を歌う。顕津男の神も、弔いの歌を歌う。
・神々は如衣比女の神の昇天を聞いて駆けつけ、各々弔いの歌を歌った。
・最後に真澄の神は、滝の大蛇の言向けを提唱した。神々はみな一同賛成し、中津滝に向かって高照山の険しい谷間を進んでいった。

第二十五章 言霊の滝(一八五六)
・紫微天界の高照山は、仏教で言う須弥山山であり、スメール山または伊吹の山とも言う。高千秀山は、またの名を天の高日山といい、高照山に次ぐ高山である。
・高照山の高さは三十三万尺、周囲は八千八百里、川の数は五千六百七十条ある。
・そのうち、もっとも深く広く、当方に向かって流れているのが日向河(ひむかいがわ)であり、南に向かっているのが日南河(ひなたがわ)、西に向かっているのが月の河、北に向かうのがスメール河、またの名を高照河という。
・一方、高千秀山の高さは三十万尺、東に東河、南に南の大河、西に西の大河、北に高千秀河が流れ、紫微天界の大洋に注いでいる。
・高千秀山は、スメール山に比べて岩石が多く、険しい姿をしている。
・どちらも、常に七色の雲がただよい、神霊の気が山を包んでいるが、あちこちの谷間には邪気が鬱積して邪神が現われ、ついに中津滝の大蛇のような曲神が現われ出でた。
・太元顕津男の神は高日の宮にとどまって如衣比女の神を弔い、大御母の神一行は大蛇を言向け和すべく、滝に向かった。
・顕津男の神はまた、大御前に端座して、一行の無事と成功を祈った。
・大御母の神一行は滝に着くと、滝壷の周囲に整列し、それぞれが言霊を宣りはじめた。
・大物主の神の言霊により、大蛇はその苦しそうな姿を水底より現した。
・眼知男の神が万の神たちの力を得て言霊歌を宣ると、大蛇は滝壷を紅に染め、のたうちまわっている。
・明晴の神の言霊に、大蛇は腹を翻して浮き上がり、黒い毒気を吐いた。
・あたりはたちまち暗夜のように暗くなってしまった。
・近見男の神が邪気を払うため、言霊歌を歌い、科戸比古神に祈願すると、科戸の風が吹き荒れ、黒い毒気は跡形もなく散り失せてしまった。
・大蛇は血潮にそまりつつ、滝壷の底に再び潜んでしまった。
・真澄の神は、言向けの言霊歌を歌った。
・真澄の神は、言霊をやわめ、我が言を悟って帰順すれば命を助けよう、と歌った。
・すると、大蛇は優しい姿になって水面に浮かび上がり、両眼に涙を流し何度も頭を下げ、たちまち高照山のいただきに向かって、天高く逃げていった。
・神々たちは、真澄の神の言霊の愛善の徳に感じ、おのおのに真澄の神を称える歌を歌った。
・中津滝の大蛇は、諸神の言霊に打たれて、よみがえりつつ天高く立ち去っていったのである。

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