とよたま愛読会78回(天祥地瑞:73巻34章〜74巻2章)
              
望月幹巳  メール:motomi_mochizuki@ybb.ne.jp


日 時  平成15年3月26(日) 午後1時から午後4時30分まで
場 所  愛善苑 豊玉分苑 (京王線下高井戸駅下車 徒歩8分 川崎方)
電 話  03-3321-3896、03-3321-8644
物 語  
天祥地瑞 第73巻34章〜74巻2章

★ 報告
春眠暁を覚えずの候、皆様にはいかがお過ごしでしょうか。
3月は私を含めまして6名の参加者で行われました。
物語の主題はひきつづき、顕津男の神の国土生み・神生みの御神業の旅が語られています。ただ、注目すべきは74巻の序文と総説でしょう。
総説によると、天祥地瑞の舞台である最奥天国・紫微天界は、幾億万年の修理固成の大経綸によって、「現在の大地球と化した」とあります。これはいったい何を意味するのでしょうか。「大地球」という言葉で聖師様が何を示されているのか、が読解の鍵となると思われます。
また、天祥地瑞のさまざまな神様のご活動が、修理固成の活動と言霊の力を顕してるとすると、天祥地瑞を単なる物語としてではなく、宇宙の成り立ちに思いを致しつつ読む必要性をあらためて思い起こされます。
総説では、その言霊の「略解」があります。聖師様が物語解読の手がかりとしてお示しになった重要な個所ですが、浅学の筆者にはなかなか難解でした。各言霊の活用の意味については、たがいに話し合い、教えあって理解していく必要があります。拙いまとめですが、その一助となればと思います。

★ 拝読箇所で気のついたこと
第七十三巻 天祥地瑞 子の巻
東雲神国
第三十四章 国魂の発生(一八六五)

* 顕津男の神は、世司比女との別れのときが迫り、比女やこれから生まれてくる御子の無事を祈って朝夕に禊をしていた。
* 世司比女は、せめて御子の誕生までとどまるよう、顕津男の神に歌いかけるが、顕津男の神はただ二人の安全を祈る歌を返すのみだった。
* すると、世司比女は突然産気づき、姫御子を生んだ。顕津男の神をはじめ、瑞泉郷の神々は喜び、祝歌を歌った。
* 顕津男の神は、御子に日向(ひむか)の姫と名づけた。
* 顕津男の神は、大物主の神に瑞泉郷の一切をまかせ、世司比女に別れを告げて、ふたたび神生みの旅に出た。

第三十五章 四鳥の別れ(一八六六)
* 顕津男の神は、瑞泉郷の館を立ち出でるにあたり、感謝と別れの歌を歌った。
* 世司比女、大物主、河守比女は旅立ちを名残惜しむ歌を歌うが、顕津男の神は別れの悲しみを振り払って立ち出でていく。
* 世司比女は玉泉の前にて述懐の歌を歌い、なおも高殿に上って顕津男の神が向かった南方をはるかにみつつ、顕津男の神を慕う歌を歌った。
* そして一切をあきらめ、高殿を降りて玉泉に禊をした。以降、大物主、河守比女らとともに力を合わせて御子を育て、東雲の国をいつまでも守ることとなった。

第三十六章 荒野の駿馬(一八六七)
* 顕津男の神は瑞泉郷よりはるかにやってきたが、再び大きな河に行く手を阻まれた。
* するとそこへ、以前南に派遣した部下、近見男の神が、共を連れて顕津男の神を迎えにやってきた。
* 近見男の神は、荒ぶる神々を言向け和して共としていたのであった。近見男の神は真っ先に河にざぶんと飛び込むと、顕津男をはじめ皆が続き、向こう岸に渡りきった。
* 近見男の神と共の神々あわせて十一柱の神々が、顕津男の神に合流した。なかでもとくに背の高い神が、圓屋(まるや)比古の神と名乗った。
* 近見男の神、圓屋比古の神がそれぞれ行進歌をうたいつつ、白馬の一行は草原を南へ南へと進んでいった。

第三十七章 玉手の清宮(一八六八)
* 一向ははるか南にそびえる三笠山を望むところまでやってきた。一向は清清しい山の姿をたたえる歌を馬上に歌う。
* 近見男の神は、三笠山には八十比女神のひとり、現世(うつしよ)比女がいます、と歌う。
* その日の暮れに、一向は三笠山の聖場、玉手(たまで)の宮に到着した。三笠山に来てみると、山には色とりどりの花が咲き満ちて、その麗しさは天国かと思うほどであった。
* 近見男の神は、玉手の宮で顕津男の神の到着を呼ばわると、宮を守る三笠比女が一行を出迎えた。一行は三笠比女に導かれ、館の主、現世比女に迎えられる。
* 顕津男の神は現世比女に導かれて奥の間にとおり、婚ぎの神業を行った。
* 現世比女には御子が宿り、一行が逗留するうちに姫神が誕生した。顕津男の神は姫を玉手姫と名づけた。そして、圓屋比古を司と定め、三笠比女に姫の養育を頼みおき、現世比女との名残を惜しみつつ、再び西南さして共の神々とともに進んでいった。
* その道すがら、天之御中の神に合い、道中を共に進んで行くこととなった。

第七十四巻 天祥地瑞 丑の巻
序文
* 七十四巻は、紫微天界における国土(くに)生み神生みの神業(みわざ)の一部を略述したもので、主に太元顕津男の神の活動を説いている。
* 紫微天界は、何億万年もの後、修理固成の大経綸によって現在の大地球となったのである。紫微天界とは、天体中における豊葦原の瑞穂の国なのである。
* 五圏層の天界もまた、億兆の無数の大宇宙を形成して、永遠にずっと神人を守り、現在にいたるまで活動を続けているのである。
* 国土生み神生みの神業の物語の中に、神々の神名において、活動の状態と言霊の無限の稜威(いづ=尊厳の威光)を明示してある。心をしのばせて熟読するように。
* 物語は、紫微天界の中でもまだ幼い真鶴山の固成から、玉野森の清丘へ、そして主の大神に神勅を請うまでのいきさつを示している。
* 天界の言葉はすべてアオウエイの五大父音で通じているが、現代人のためにやむをえず、三十一文字の和歌を応用して神意を発表してある。

総説
* 本来、神皇国日本は、大宇宙の中心に永遠の神の護りによって、天津神祖の生み成した聖域なのである。
* 皇御国(すめらみくに)と言い、万世一系でここを統治する主権者をスメラミコトというのも、スの言霊の神徳によって出来上がった神国だからである。
* 大虚空中に、すみきり澄みきらいつつ、鳴り鳴りて鳴り止まぬスの生言霊は、神を生み、宇宙を生み、大地を生み、永遠の時を経てついに、スの神国である、我が葦原の瑞穂の国である中津国を生み成した。そして、大宇宙の主宰として日(ス)の本の国を生んだのである。
* 天照皇大神が生り出でまして、天上の主宰として任命され、全地上の上に皇大神の徳を発揮され、神人安住の聖域と成したのである。
* 著者は、天地諸神の活動の意義と神国日本の一大使命、また皇室が天神から出ていて尊厳無比である理由を解明するために、ここに言霊学の大筋を簡単に解説する。
* 声音の区別:七十五声音の活動の違いによって、声、音、半声半音の区別がある。
* アオウエイは五大父声、大宇宙に鳴り鳴りて鳴りやまず、宇宙万有の活動力をつねに与えつづけている。
* 声:アオウエイ、ナノヌネニ、ハホフヘヒ、マモムメミ、ヤヨユエイ、ワオウヱヰ
* 音:カコクケキ、タトツテチ、ガゴグゲギ、ダドズデヂ、パポプペピ、ラロルレリ
* 半声半音:サソスセシ、ザゾズゼジ、バボブベビ
* アカサタナハマヤワの九行四十五音は正清音
* ラロルレリは濁音
* ガゴクゲギ、ザゾズゼジ、ダドヅデヂ、バボブベビは重音
* パポプペピは撥音

<大宇宙の根源を為すスの言霊の略解>
* 外部を統べて北にはたらく。北東にはたらいて有の極となる。ス声の精となって東北にはたらくと、できないことは何もない。
* 東にはたらくと長く長く伸びきって、天球の中のすべて一切を写真に写すように現れる。さらに止まることなく、最奥の座を占めるに至る。
* 次に、東南にはたらくと数限りがなくなるまで埋め尽くし、南東にはたらくと八極を統べる。
* 南にはたらくとぴったりと中心に集まり、南西にはたらくと真中・真心とあらわれる。西南にはたらくと初めから終わりまでを一筋に貫く。
* 西にはたらくと、自由自在であり、しかも大宇宙の天球の内外をひたして保ち、支えとなっている。次に、西北にはたらいたときは、あらゆるところに存在している。
* 北西にはたらいたときは、幽玄の府となって、「有にして空」である。しかも、劫大約(おおつな)を統べ、天球中の一切を写し、安定させて統べている。さらに、霊魂球をひたし、「涵しの司」として現れ、上って大ス玉となり、出入りの息は限りなく澄み切って、呼吸とともにあわられて結の柱となり、大宇宙に満ち足り、永遠に存在して限りがない。
* 宇宙の一切は、スの言霊によってその太元を生み出されたものである。

* ウ声の言霊の略解:
* 北にはたらくと離れてそむく。北東にはたらくと時が深まっていく。東北にはたらくと持ち含む。
* 東にはたらくと、現在世界の結びの柱となり。東南にはたらくと親しみ愛し嬉しみ、南東にはたらくと次々に産み出して魂が勇み立つ。
* 南にはたらくと結び合い、南西にはたらくと固有の真となり、真実がきわめて強く現れ、味の元素となる。西南にはたらくと待ち合って盛んな力となり、内部、中心に鎮まり、父母一に備わっている中柱となり、またうなり出て全世界を理解し、臼型を作ってスを容れ鎮まり、氏の元祖となる。

* ア声の言霊の略解:
* 北にはたらくと隠れいる。夜となる。北東にはたらくとすべてのものが収まり帰る。東北にはたらくとあつい熱が備わる。
* 東にはたらくと光線の力と現れ、眼に見える。東南にはたらくと丸くなる。南東にはたらくと昼となり、大物主となり、世の中心となる。
* 南にはたらくと顕れ出る言霊となり、南西にはたらくと御中主となり、地球となり、西南にはたらくと根源のはじまりとなる。
* 西にはたらくと全体の形が丸くなる。西北のはたらきは一切ない。北西にはたらくとすべてのものを含み蔵す。
* 総じては、顕の形、近く見る言霊である。大御母、大仁慈、名の魂。スの本質であり、また心の塊である。スの方面に習い、低く居るときがある。幽の形にして、遠くまで達する言霊である。

* オ声の言霊の略解:
* 北にはたらくと受け納める。北東にはたらくと次第にやって来て凝り固まる。また、引く力となる。東北に働くと青い空の色となって神権が強い。
* 東にはたらくと大気が凝って形を顕し、形の素となる。東南にはたらくと外面を護り、南東にはたらくと大気となって集まり圧力を発生させる。
* 南にはたらくと興し助ける言霊となる。南西にはたらくと大宇宙と大地を包む。西南にはたらくと立ち上る。
* 西にはたらくと大気が一体であるという心となり、親子が一体となって広く尊い。西北にははたらきがない。北西にはたらくと真愛を引き入れる言霊となる。
* 総じては、極みにある真空である。それは、今ある青空を現れさせ、億兆の分子を保ち、しかも分子の初めと終わりをすべて知っており、親の位置にあってふんだんに足り余る力を生じ、先天の気となり、心の関門となり、出入が自由でありながら拒絶して鳴り、擦れて火を生じる力となる言霊である。

* エ声の言霊の略解:
* 北にはたらくと外面を開く。北東にはたらくと外に顕れて調い余る力となる。東北にはたらくと投げ打つ。
* 東にはたらくと自在に使う力となる。把手や柄などもこの働きである。東南にはたらくと焼点となり灯りとなる。
* 南にはたらくと内に集まる力となる。南西にはたらくと世に立ち居り、指すことができる力となる。西南にははたらかない。
* 西にはたらいて中心をつかねる。幽を顕に写し示す。西北にはたらくと、説いて分からせる言霊となる。北西にはたらくと解け、成り、消える。
* 総じて、真の固有であり、本末を糺し、引き付ける力となる。世を容れ、明らかに得る。絵、教令、指令、顕照。与える。得させる。教導の意義である。

* イ声の言霊の略解:
* 北にはたらくと始めにして無為。北東にはたらくと、反射する力。東北にははたらかない。
* 東にはたらくとことごとく極まる。東南にはたらくと吹き行く熱となる。南東にはたらくと止まりとなり、五つ揃いとなる。
* 南にはたらくと成就の言霊となる。南西にはたらくと強く足り余り、西南にはたらくと吹き来る熱となる。
* 西にはたらくと強く思いあう力となる。西北にはたらくと小天球(あをくものそと)の証となる。北西にはたらくと、破れ動く力となる。
* 総じて、固い力となって基となり台となる。強く張り篭り、天の内面をつかさどる。勢いに添いつき、平等に動く言霊である。
* 天祥地瑞第一巻、第二巻の天神たちの六声音の言霊の中に、大宇宙・万有一切が産み出されたその原理を説明しようと、ス声と五大父声音のはたらきを示した。これをもって、この物語の大要を伝えようとした。

第一篇 渺茫千里
第一章 科戸の風(一八六九)

* 顕津男の神は、現世比女との間に玉手姫を授かったあと、三笠山を後にして、近見男の神らの共とともに、再び国土生み神生みの旅に出た。
* 顕津男の神は夕暮れの原野の真中に駒を止め、三笠山を振り返って偲びの歌を歌う。近見男の神、圓屋比古の神、多々久美の神らは、三笠山をしのびつつも、神業への思いを歌って心を奮い立たせる。
* 多々久美の神の声音に、曇っていた空はたちまち晴れ渡り、満点の星が輝いた。

第二章 野路の草枕(一八七〇)
* 顕津男の神は、雲を払った多々久美の神の言霊を褒め称える。
* 多々久美の神は恐縮して謙遜するが、顕津男の神は、自分の心にかかった現世比女への恋着の曇りをも払ってくれた、と感謝の歌を歌う。
* 一行、この原野で野宿することとなったので、おのおの、述懐歌を歌う。
* 一夜を明かした一行は、朝日とともに、再び原野を歌うたいつつ進んで行った。

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