とよたま愛読会86回(天祥地瑞:75巻10章〜75巻13章)
          望月幹巳  メール:motomi_mochizuki@ybb.ne.jp


日 時  平成15年11月23(日) 午後1時から午後4時30分まで
場 所  愛善苑 豊玉分苑 (京王線下高井戸駅下車 徒歩8分 川崎方)
      連絡先 03-3321-3896、  03-3321-8644
物 語  天祥地瑞 寅の巻 第75巻10章 祈り言〜13章 鶴の決別

★ 報告
師走の候、皆様にはお変わりなくお過ごしのことと思います。
真鶴国の国生みの作業はほとんど終わり、神々による回顧と感謝、またこれからの国土運営の準備や決意などが歌われています。
前回に引き続き、顕津男の神が祝詞を上げています。
難解な祝詞ですが、よく見てみると人の起源を説き明かし、そして人の守り行くべき道が、その起源を根拠に説き明かされているようです。
非常に大雑把な要約ながら、試みてみましたので元の祝詞と対照してご確認ください。
一見難しい言い回しに関しては、漢字の意味に沿って理解しようと試みています。
たとえば、「皇腺」という字を使って、「すめろぎ」「みすじ」という読みを当てています。
スメロギはもともと、皇族・貴族という意味の古語です。
まず、スメロギに「皇腺」という字を当て、また「みすじ」とも読ませること自体例がありませんので、聖師様の独自の用法だと思われます。
「皇」はご存知の通り、王の中の王、開祖の王、と言った意味ですが、「腺」は「動物の体内から液汁を分泌する器官」とあります。
つまり、体内から体表へつなぐ管、ということです。そしてここでは、?(ス)の大神の身体は「皇腺=スメロギ」であり、また人間(神人)の身体が「皇腺=みすじ」である、といわれています。
このように見てきますと、人間は独りで生まれて独りで死んでいくのではなく、それどころか、宇宙の本源である大神と霊的な腺によってつながっているのだ、というイメージが湧いてきます。そして、腺という字の意味が「体内から分泌液を通す管」ということをあわせて考えますと、人間とは、宇宙の本源的なエネルギーをこの世に送り出す管の先端である、と読めなくもありません。
これは一つの解釈にすぎませんが、少し分け入って行くだけでもこのような豊かなイメージの宝庫が、物語には至る所に潜在しています。


第七十五巻 天祥地瑞 寅の巻
第三篇 真鶴の声
第十章 祈り言(一九〇四)

* 玉野比女、生代比女は、国魂神が生まれて真鶴国の基礎が固まったことに喜び、玉野大宮の清庭で祝いのいろは歌を歌った。
* 太元顕津男の神は、神言を宣り上げた。
  高天原は、紫微天界にます?(ス)の大神の御樋代である。
  その高天原は、天之峯火夫の神の住み極まる、?(ス)の大神の広大な御殿である。
  そして、天の諸々の数が極まり孕み備わって、神的に充実してひとつの大御玉を形成している。
  (ス)の巣が定まっているゆえに、天地火水の位置が分かれて定まっている。
  天は道反(ねがやし)の御玉を保ち、地は足御玉(たるみたま)を保ち、火は幸御玉を保ち、水は豊御玉を保ち、産霊は死返(まかるかえし)の御玉を保つ。
 だから、地は高天原の中心によどみ止まり、水はその地の守りとなり、火は摩擦して発生し、互いにうちあって燃え上る。 天は常に定まって伊機佐志を建てる。産霊は往来して誠を保つ。
 これらを内外裏表に結び、統括し、助けて、「大霊元球(もとつみたま)」と言う。
 霊元球が活用して、大御心となる。霊元球の精体が、大御身となる。
 すめろぎ(皇腺)とは、?(ス)の大神の身体そのものである。
 一つの大玉体でありながら、さまざまな部分に分かれる元素は、?(ス)の神が首にかけているみすまるの大皇玉(おおみたま)である。
 その組織分子の一条の脈から、時が至って精が盛んになり(=みいづ)、産霊(むすび)のはたらきによって神人が成り出でたのである。
 だから、独りでできたのではなく、皆ともに産霊がはたらいてまとまったのであり、私なく、離れ散ることなく、身体のすべてが、?(ス)の神の皇腺(みすぢ、神の条)なのである。
 (ス)の大神は大御心を司って紫微の天津高御倉にまし、大臣神は知恵を司り、小臣神は教誨を、田身の神は手わざ足わざをつかさどって地の位におり、一つに結んで天津大政事に仕えている。
 この永い大神世(おおみよ)を長く連なって、条脈を守り、姓・職・家を守ってかわるがわる生まれ来て、天津大至祖(おおみおや)から幾万も代を重ねて、将来も数限り継ぎ連なって永遠にめぐる。
 その時々の状況で、?(ス)の大霊元球(もとつみたま)の組織経綸の条脈(すじめ)を、糸経、日次、月次、年次を貫いて、大神世を造らせている。
 神の御衣の機に連なり、梭を執る天津真言を織り立て、錦の花を開き、天津?腺(みたま)の実を結ぶ。
(ス)の大神の大玉体は、世の?腺(みたま)を統べる大元霊球なので、その?腺(すじ)である神人が、我・己の優勝劣敗の汚らわしい心を起こして神人の道に背くことがあったら、大元霊球の組織を破り、その大玉体を汚し汚すことである。
 これが禍津神の禍事である。
 そのようなときは、早く大麻を執り、神直日大直日に見直し聞き直し奉り、過ちを改め穢れを潔ぎ、再度犯さないように誓い慎むのである。
 このようにして、(ス)の大神の大玉体は全く尊く貴く、澄み輝いて威勢は貫き通って感服しないものはなく、大いなる知恵は光り輝いて、賑わい和み、産霊の徳が成り出でるのである。
 だから、この紫微天界の豊秋津洲(とよあきつしま)に神人と生まれたというのは、大神の大玉体の皇脈(みすじ)であるので、大神の御心のままにかしこみ慎み、世のため神人のためいそしみ勉め、誠の神の言ならば白刃も矢玉もいとわず、禍を祓い清めるのである。
 ですので、天津御倉にまします(ス)の大神が、世のことごとあまねく統べ知り玉ひ、導き助け巣立て、諸々の神人らを一柱も落とすことなく、生きとし生けるものすべて助け恵み、幾万億後の世も政り治め、平らけく安らけくこの皇脉(みわざ、脉=脈)を守り幸はえ給え。

* そして、各々真鶴国の国造りの様を思い起こして述懐の歌を歌った。
* ここで、物語から少しおいて、太元顕津男の神の御名について、言霊学より略解を記す。
* オ声の言霊
 起こる、高貴、上、興し助ける、大気、大成。億兆の分子を保有し、分子の始めと終わりを知る。心の関門を受納する、真と愛の引力。大地を包蔵。
* ホ声の言霊
 天地万有の始め、母、矛、隠門、臍。?(ほち)。袋、日の霊。上に顕れる、天の心。太陽の名分、心に写る、恋うる。
* モ声の言霊
 円満を司り、下にはたらく。世の芽だし、伸縮あり、遂に固まって物となる。土の上面、水の座、分子の精などのはたらき。
* ト声の言霊
 万物の種を司って、一から百千万の数を為す。よく産み出す。結び徹り足る。皆治まる。結びの司。
* ア声の言霊
 天であり地である。無にして有。世の中心。光線の力。大本の初頭。あまねく仁慈ある。全体成就現在。幽の形、遠く達す、陽熱備わる。
* キ声の言霊
 上無し、一つに尽くし極め居る。貫き続き居る。世の極祖極元の真、現在世を統べ司っている。人心一切に帰す。神霊魂の極元府。動植物一切を握っている。
* ツ声の言霊
 強き、続く。速力の極み、大造化の極力。大金剛力。
* ヲ声の言霊
 結びて一と成る。霊魂の脈管。自在に使役を為す。向かうものを緒で繋ぎ引き、御する。

第十一章 魂反し(一九〇五)
* 顕津男の神は、如衣比女の御魂を招こうと、八種の神歌を歌い、鎮魂際を行った。
* 招魂の神歌を歌うと、如衣比女の神の神霊がたちまち感応来格し、他神の目にも明らかに姿を見ることができるようになった。
* 顕津男の神は、如衣比女の事があってから自らの心を戒め立て直し、真鶴国の神業をなすことができたと、如衣比女の功をたたえる為に招魂したことを歌う。
* 如衣比女は、幽界に生きて、神業を守ろうと歌い返す。顕津男の神は、この先も守り助けたまえと呼びかけ、如衣比女を歌い送る。如衣比女は神馬にまたがり、空の雲を押し分けて天津高日の宮へ帰っていった。
* 神々はそれぞれ、この不思議に述懐の歌を歌った。

第十二章 鶴の決別[一](一九〇六)
* 真鶴国の修理固成がようやく緒についてきたところで、顕津男の神は七十五声の言霊歌を歌った。
* その一連の歌は、真鶴国の造成が、言霊のはたらきによるものであったことを明かし、またこれからの生成発展も、水火(いき)と水火を結びあわせる言霊の活用(はたらき)によるものであることを歌っていた。
* そして、比女神たち、従者神たちにそれぞれ真鶴国のその後の役目を割り振り、自分は西方の国へ旅立つと歌い、ひらりと駒にまたがった。
* 一同の神たちは、顕津男の神の馬のくつわを取り、しばし引きとどめて名残の歌を歌ったのであった。

第十三章 鶴の決別[二](一九〇七)
* 玉野比女は、顕津男の神との別れの寂しさを歌い、西へ立つ顕津男の神への気遣いとともに、後を守る自分の決意を述べ、真鶴国固成の偉業をたたえた。
* つづいて生代比女は、後に残る別れの悲しさを歌った後、顕津男の神の旅立ちへの思いのたけを歌った。

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