とよたま愛読会94回(天祥地瑞:辰の巻 77巻 7章〜14章)
 
       記望月幹巳       メール:motomi@moon.nifty.jp


日 時  平成16年7月25(日) 午後1時から午後4時30分まで
場 所  愛善苑 豊玉分苑 (京王線下高井戸駅下車 徒歩8分 川崎方)
      連絡先 03-3321-3896、  03-3321-8644
物 語  天祥地瑞 卯の巻 第77巻 
7章「万里平定」 14章「夜光の眼球」

★ 報告
残暑の候、皆様にはお変わりなくお過ごしのことと思います。第94回とよたま愛読会の拝読個所のまとめをお送りいたします。

  前回、朝香比女一行が万里(まで)の島に到着しましたが、物語はさかのぼって、その万里の島の成り立ちと歴史が語られます。
そしてこの地の御樋代神・田族(たから)比女神一行の邪神退治の物語が始まります。
万里の島にもともと大神が御造りになった動物である鼠と蛙は畑を耕し、それを治めるために丹頂鶴が下されていたといいます。
島に邪気が凝って邪神が生まれ、さらに猛獣の鷲と山猫が発生して、鼠と蛙を脅かし始めます。
大神は牛、馬、犬、猪、虎、獅子、熊といった動物を下し、鷲と山猫をけん制します。
しかし、結果的に、丹頂鶴の腹心であった猿が、慢心から丹頂鶴の地位を脅かし、鼠と蛙を虐待しはじめます。これによって内乱が起こります。
猿は犬と猪によって駆逐されますが、この混乱に乗じて襲ってきた猛獣たちのために、島の動物はほとんど全滅の憂き目を見てしまいます。
田族比女神の庇護を得た牛、馬、丹頂鶴は、一族の命脈を保つにいたりました。
これは万里の島の歴史ですが、ここから何かの教訓を得ることはできるでしょう。
しかし物語りはここで終わらず、田族比女神によって邪神退治が始まります。
この邪神こそが、万里の島の混乱の元凶であり、常に島の生き物を脅かしているのです。

第十三章の冒頭では、神業についての説明があります。
  正神と邪神の違い、邪神が混濁した邪気から発生すること、そして世界の修理固成の物語は、太初の宇宙に発生してしまった邪神を根絶するための活動でもあることが示されます。
そこではやはり、この現代の地球こそがかつての紫微天界であり、現在の世界の姿というのは、天祥地瑞の物語に語られている神々の神業の結果、できあがってきたものであると、再度示されています。
このような宇宙観における「皇統」とは、どのようなものなのでしょうか。 かつて、七十五巻の第十章では、皇腺(スメロギ)という言葉を使って、神人と主の大神との霊的なつながりが示されていました。 そのことを思いますと、やはりここでも、霊的な賜物が含意されているのではないか、とも受け取ることができるのではないでしょうか。

 

★ 拝読箇所で気のついたこと
第七十七巻 辰の巻 第二篇 十一神将
 第七章 万里(まで)平定(一九三九)

* 主の大神は、七十五声の言霊を絶え間なく鳴り出でて泥海の世界を固めるにあたって、筑紫ヶ岳、高地秀(たかちほ)の峰、高照山の三大高山を生み、そして万里(まで)の海に無数の島々を鳴り出でて、すべての生き物を生ませ養うべく経綸を行った。

* 万里の海の中心には、万里(まで)の島を生り出でた。この島は面積約八千方里、西に白馬ヶ岳、東に牛頭ヶ峰を抱き、その中心流れる清川を万里(まで)の河、といった。

* 大神はこの島に、ツの言霊によって鼠を、クの言霊で蛙を生み出でた。鼠、蛙とも古代では、牛や人間ほども大きかった。鼠と蛙は万里の島に多数増えて繁栄した。鼠は田を鋤き、蛙も鋤鍬をもって田畑を開き、穀物を作って生活していた。

* この島の司として、主の大神は頭に太陽の形を印した丹頂鶴をひとつがい下した。鶴は万里河の傍らの小高い丘にうっそうと立っている一本の常盤の松に巣を作り、子を生み育てた。

* しかしながら、やがてこの島に雲霧が発生し日月を塞ぎ始めた。雲と霧のために陽気は寒く、万物の発育も十分でないほどとなってしまった。陰鬱の気は次第次第に凝結し、さまざまの曲津見を発生させた。

* 白馬ヶ岳の谷間には悪竜が多数住むようになり、大蛇はあちこちで毒煙を吐いた。また邪気が凝って鷲と山猫が発生し、鷲は蛙を、山猫は鼠を餌食として猛り狂った。鼠と蛙の一族の中でも、特に朝夕を主の神に祈り、真心を尽くして仕えた種族のみが、神の恵みによってわずかに生き残り、戦々恐々としながらも耕作に従事していた。

 * 大神は竜・蛇・鷲・山猫ら獰猛な動物を制御するために、牛、馬、鷹、虎、狼、獅子などを島に生ましめた。そして竜・蛇を滅ぼすことに成功した。ただ鷲だけは空中にあって、制裁することができなかった。

 * そのうちに、肉食動物である虎、狼、獅子、熊、鷲らは、他の動物を餌食として昼夜絶え間なく争闘の惨劇を続け、収集がつかなくなってしまった。大神はここに、猪と犬の群れを下して、猛獣たちを制させた。おかげで、牛と馬はやや安全になり、牛は牛頭ヶ峰に、馬は白馬ヶ岳に難を避けて数を増やした。

 * 主の大神は、この美しい万里の島を永遠の楽園に定めようと、八十柱の御樋代神の中でももっとも神力の強い田族比女(たからひめ)の神を下した。そして、十柱の従者神を比女の共として島に下した。

* 神々の降臨によって、肉食獣たちは逃げ散り、鼠と蛙は、犬と猪に守られて安全に耕作に従事することができるようになった。ここに、丹頂鶴は猿を使って万里ヶ島の平安を守っていた。しかしながら丹頂鶴は、田族比女と十柱の神々の恩を知らず、神々を国土への侵略者ではないかと疑い、嫉視の眼を向けていた。

* 鶴の保護を得た猿は次第に勢力を増し、ついに鶴のように木の上に住み、鶴の地位までも汚そうと勤めるにいたった。そして、蛙に対して暴虐の限りを尽くすようになったため、万里の島は、再び混乱の巷に陥った。

* 犬と猪は蛙を守ろうと猿に立ち向かい、結果、猿のほとんどはかみ殺されてしまった。しかし、この惨状を窺い知った鷲、獅子、熊などの猛獣は、これを機にいっせいに迫り来て、島の動物をほとんど滅亡させてしまった。

* ただ鶴、牛、馬の一族は、田族比女とその従者神の守りを得て、猛獣の魔手を免れたのであった。

 第八章 征魔の出陣(一九四〇)
 * 田族比女と十柱の神の降臨によって、万里の島はようやく治まってきたが、まだ白馬ヶ岳の谷間には、しばしば黒雲が立ち上り、天を塞いで光を隠し、暴風雨を起こして国土を荒らしていた。田族比女はまずこの曲津見を征服しようと、十柱の神々を率い、竜神が住む白馬ヶ岳の深谷を目指した

* 田族比女は出陣の決意を歌に歌うと、従者神たちは、それぞれ魔神を征して万里の島に平和をもたらそうと決意を述懐歌に歌った。

* 一行は田族比女をはじめ四柱の女神と七柱の男神。その陣立ては、輪守(わもり)比古の神を先頭に、霊山(たまやま)比古の神、若春比古の神、保宗(もちむね)比古の神、直道比古の神を先触れとし、田族比女の神を正中に、その他五柱の神が後を守っていた。そして白馬ヶ岳の魔棲ヶ谷(ますみがやつ)を目指して進んでいった。

 第九章 馬上征誦(一九四一)
 * 一行の先頭に使える輪守比古の神は、馬上に出陣の門出歌を豊かに歌った。
 ◇万里の島の猛獣を制し、蛙と鼠がうらやすく穀物を作る世となったが、いまだ曲津見は消え去ってはいない。
 ◇白馬ヶ岳の谷に潜む竜神・大蛇が毒気を吐いて禍を重ねている。その様子をいたんで、今田族比女は一行を引き連れ、魔棲ヶ谷をさして勇ましくも進んでいく。
 ◇生言霊の幸わいに、曲津の神は影をひそめ、天地にふさがる雲霧は晴れ渡る。地上のもらみなに光を与え、永遠に守らせ給えと願い奉る。
 ◇たとえ魔棲ヶ谷がどれほど深くとも、竜のすさびが猛くとも、恐れずに言霊の剣を抜き持ちて、曲津を残らず斬りはふりつつ掃き清め、この天界を神の楽園と生かせ守ろう。
 ◇雲 霧迷う山麓も、我等は勇んで進み行く。

 * この歌を受けて、先陣の霊山比古、若春比古、保宗比古、そして後詰の正道比古がそれぞれ行進歌を歌った。最後に、田族比女が征途の決意を歌を歌いつつ、一行は白馬ヶ岳の山麓を進んでいった。

 第十章 樹下の雨宿(一九四二)
 * 山跡(やまと)比女の神は馬上の歌にあたりの様子を詠み込んだ。
 ◇白馬ヶ岳の山頂には紫の雲が横なびき、南の深い谷間には、曲津の水火(いき)であろうか、黒雲が立っている。
 ◇霧を通して望む魔棲ヶ谷に、虫の音も悲しき霧の野路。笹の葉には白露が置き、冷え冷えと冷気が背に襲い来る。
 ◇久方の天の高宮を立ち出でて、はるばるとやってきたのは、曲津神の猛り狂う万里の島を、生言霊で照らすため。田族比女に従い、曲津見の征途に上る今の楽しきことよ。

 * 続いて、千貝(ちかい)比女、湯結(ゆむすび)比女、正道比古、雲川比古が行進歌にあたりの様子、征途の由来と決意を歌いこんだ。

 * そうするうちに、白馬山麓の雲霧はようやく晴れてきた。一行は行く手にあたって、楠の大樹が茂る、やや広い森があるのを見つけ、しばしこの森に息を休めることとなった。楠の樹下に湧き出る珍しい清泉に禊の神事をおのおの修しながら、一夜をここに宿り、明日の準備と天津祝詞を奏上し、英気を養った。

 第十一章 望月の影(一九四三)
 * そもそもこの万里の島は、まだ大地が若く国土は完全には固まっておらず、そのため河川の水はにごって飲料に適さなかった。しかし今、この泉の森に、水底まで澄み切った泉が滾々と湧き出ている様を見て、神々一行は禊に格好の場所と喜び勇み立ち、勇気百倍となった。

 * この森は、目も届かぬほどに広がった広大な森で、所々に清泉が沸き出で、地は一面の真砂であり、爽快な聖所となっていた。

 * 田族比女の神は泉の森をたたえる歌を歌った。そして、森に湧き出る泉の傍らに立つと、ちょうど月が晧晧として泉の面に輝いた。田族比女はその光景に顕津男の神の御霊を感じ、すがすがしき夕べに征途の成功を願う歌を歌った。

 * 従者神たちもそれぞれ、望月照る泉の森の美しい様に、神業の成就の予感を歌った。

 第十二章 月下の森陰(一九四四)
 * 神々らは、月照る泉の森をさまよいながら、美しい夜の眺めに眠りもせず、歌を口ずさんでいた。

 * やがて神々も眠りについたが、雲川比古の神は一人寝ずの番を仰せつかい、征途の決意を述べ、神々の休息する様子を歌に歌いこんだ。

 第三篇 善戦善闘 第十三章 五男三女神(一九四五)
 * 宇宙の創造、天地開闢と大神業に奉仕する天界の正神は、純粋なことこの上ない清鮮の水火を呼吸して生命を永遠に維持し、無限の力徳を発揮する。

 * 一方、邪神は濁りと穢れと曇りから発生したものであり、混濁の空気を呼吸して生命を保持し、あらゆる醜悪な行為をなして過ごす霊性を持つ。邪神のあるところ、必ず邪気充満し、黒雲みなぎって森羅万象の発育に害を与える。

 * 大神の清澄な言霊の水火から成り出でた万里の島にも、ついに邪気が発生し、悪竜・大蛇となって神人・禽獣の命を脅かし始めた。また地が固まっておらず、国土が定まらない紫微天界の当初においては、生言霊で言向け和すことは容易ではなかった。

 * 神々は、数億万年後の世界のために、あらゆる悪神・邪気の霊を根本的に絶滅させようと、あらゆる苦難に耐え、全能力を傾けて活動していた。

 * 今、現代の私がこの清明な天地に安らかに生を保っていられるのも、四季の順序が調った地上に美しい景色を鑑賞し、命をはぐくむ日月を拝することができるのも、みな、太初の神々が身を捨てて活動した賜物である。これを思うと、その厚恩は海よりも深く、スメール山よりも高く、筆舌に尽くしがたい。

 * 宇宙創造・天地開闢の神業における神々の苦心を、いくぶんなりとも察知するなら、この恩の広さ大きさに感激の涙を流して感じ入ることになろう。そうであれば、現代にいかに不遇の地位にあったとしても、一言でも恨み言を言ったり、神命を軽んじる無道を犯すなど、夢にもあってはならない。

 * 主の大神の直系であり、また太初に特に全力を注いで修理固成した紫微天界の結果である我が地球、中でも特に葦原の中津御国では、尊厳無比の主の大神から流れ出でた皇統が、永遠にあらゆるものに対して無限の恩恵を与えている。

 * このことを思うと、私(出口聖師)は敬神尊皇報国の誠を昼夜絶え間なく尽くし捧げまつって、忠孝、仁義、友愛などの神より授かった固有の精神を、ますます発揮すべき天職天命のあることが知られるのである。

 * さて、ここに万里の島の御樋代神として降臨した田族比女は、白馬ヶ岳に巣くう魔神を掃討しようと十柱の従者神を従えて出陣した。

 * 楠の大木の生い茂る泉の森の聖所に到着し、夜が明けるのを待って部署を定めた。泉の森を作戦上の本営とし、輪守比古、若春比古を側に守らせ、霊山比古、保宗比古、直道比古、正道比古、雲川比古、山跡比女、千貝比女、湯結比女の五男三女神に先陣を勤めさせた。

 * 田族比女の神が下知の歌を歌うと、霊山比古の神は返答歌に決意を込め、ただ一騎、南方の原野の真中を、魔棲ヶ谷方面めがけて駆け出した。

 * 続いて保宗比古、直道比古、正道比古、雲川比古、そして三女神がそれぞれ、出陣の歌を歌うと、魔棲ヶ谷を目指して駒を進めて行った。

 第十四章 夜光の眼球(一九四六)
 * 先陣を切った霊山比古の神は大野ヶ原を進んで来たが、にわかに魔棲ヶ谷方面から吐き出された黒煙が天を塞ぎ地を這い、あたりの様子もわからなくなった。たそがれるころになって、山麓のやや平坦な小笹が原までようやくたどり着いたが、ここで行き詰まってしまった。霊山比古は、邪気をはらすべく、生言霊に言霊歌を宣り上げた。

 * すると、胸に夜光の玉をかけた山跡比女、千貝比女、湯結比女の三女神が現れた。三女神は霊山比古に軽く目礼しながら、夜光の玉であたりを照らした。

 * 霊山比古は、三女神は後から出立したはずなのに先に着いていたこと、また夜光の玉のような宝玉を持っていることをいぶかり、偽の女神であろう、と歌で問い掛けた。

 * 三女神は、夜光の玉は自分たちの御魂であり、疑いをかける霊山比古をたしなめ、また後について自分たちの庵で休むように誘った。

 * 霊山比古はますますいぶかしみ、こんなところに三女神の庵があろうはずはない、と問い掛ける。三女神は、疑いを解くために夜光の玉を隠しましょうか、と霊山比古に問い掛けた。霊山比古が承諾すると、三柱の比女神も夜光の玉も、まったく消えうせ、あたりは見分けもつかない闇となり、小笹を吹き渡る嵐の音が、ただ凄惨に聞こえてくるのみであった。

 * 霊山比古は一人両腕を組み、夜が明けるのを待って戦おうと、歌を詠み始めた。こうして、一人闇の中で歌を詠みつつ一夜を明かした。やがて東雲の空がほの明るくなり、紫雲たなびき、今日の征途を祝するように見えた。


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