とよたま愛読会95回
(天祥地瑞:辰の巻 78巻 15章「
笹原の邂逅」〜24章「会者定離」)

 
                     望月幹巳 メール:motomi@moon.nifty.jp


日 時  平成16年8月22(日) 午後1時から午後4時30分まで
場 所  愛善苑 豊玉分苑 (京王線下高井戸駅下車 徒歩8分 川崎方)
      連絡先 03-3321-3896、  03-3321-8644
物 語  天祥地瑞 卯の巻 第77巻 
第15章 1947(笹原の邂逅)〜24章 1956(会者定離)

★ 報告
 爽秋の候、皆様にはお変わりなくお過ごしのことと思います。
今回は
6名の参加者を得て行われました。浴衣での参加もあり、納涼拝読会となりました。拝読後は暑気払いに、皆で居酒屋にて一杯、わいわいと話に花が咲き、楽しいひとときを過ごしました。


 物語はひきつづき、万里(まで)の島における御樋代神・田族(たから)比女の神による、邪神退治の後半です。田族比女の神に従って邪神征伐の途についた従者神たちは、曲津神たちのさまざまな妨害に遇ってしばしば行き悩みますが、あるときは自身の知恵と勇気で、あるときは田族比女の神の霊力で、困難を打開し、ついには万里の島から邪神を根絶することに成功します。神々の武器は生言霊であり、また要所要所で活路を切り開くのも、言霊の力であることが、描かれています。その活用によって、物理的な力を生み出し、世界を変えていく様が、戦いの中に見て取ることができます。
 凱旋した神々は、万里の島の生き物たちを招いて祝宴を開き、これからは田族比女の神を中心として、万里の島の国造りを行っていくことを宣言します。かつての島の主宰者であった丹頂鶴は単なる象徴となり、田族比女の神一同が役割を負い、島の生き物たちに範を垂れて統率していくことになるのです。祝宴の後、田族比女は西の空に瑞祥を認め、朝香比女の神の来島を知ります。七十七巻の主人公であり、顕津男の神を求める旅すがら、数多の曲津神を鎮めて回る勇ましい御樋代神・朝香比女と、田族比女が出会います。この出会いにより、朝香比女の神が、天津神・鋭敏鳴出(うなりづ)の神から授かった、天の真火の燧石(ひうちいし)は、贈り物として田族比女に贈られます。万里の島に、天の真火が伝えられることになりました。そして、朝香比女は万里の海へふたたび出立し、顕津男の神を尋ねる旅がふたたび始まります。

●お知らせ
来年(平成17年)の1月第四土曜日・日曜日に予定しております、第100回記念愛読会ですが、近日中に詳しい日程と参加募集要領をお送りいたします。今しばらくお待ちください。このご案内を差し上げている方はどなたでもご参加いただけますので、ぜひご一考のほどをお願い申し上げます。 

★ 拝読箇所で気のついたこと
第七十七巻 辰の巻
第三篇 善戦善闘
第十五章 笹原の邂逅(一九四七)

  • 霊山比古の神は、小笹の芝生に曲津神の計略を逃れ、一夜を明かした。ようやく東の空に昇る天津日の光に、蘇生の息をついた。

  • そこへ、保宗比古、直道比古、正道比古、雲川比古らがやってきて、昨晩の様子を霊山比古に問うた。

  • 一同はやはり、霊山比古同様、曲津神に計略を仕掛けられたのだが、それぞれ敵を見破り、事なきを得た。その話をおのおの交換しあった。

  • 一同は征途のかどでに、神言を上げ、笹原の細谷川でみそぎをなした。そのすがすがしさに、みな元気を取り戻し、曲津神との戦いに備えて気勢を上げる歌を、それぞれ歌った。

  • そこへ、三柱の比女神たちが現れて、一同に合流した。山跡比女の神は、曲津神が三女神に化けて計略をするだろうとの御樋代神(田族比女神)の計らいにより、わざと後れて進発したのだ、と明かした。

  • 一同は田族比女の神の先見をたたえつつ、部署をそれぞれ定めて、魔棲ヶ谷を指してさらに進んでいくこととなった。
     

  • 第十六章 妖術破滅(一九四八)

  • 征服戦主将である霊山比古の神は、三柱の比女神による言霊戦部署を、広原の片に立つ楠の根元に定めた。そしてどんなことがあろうと、アオウエイの言霊が聞こえるまでは、一歩もその場を動くことなく、男神の戦闘を助けるように生言霊の光を放つよう、命じおいた。

  • 霊山比古は深谷川の右側、保用比古は左側、直道比古は第二の谷間の右側、正道比古は左側、雲川比古は最左翼を、それぞれ言霊を絶え間なく宣りあげつつ、登っていくこととなった。

  • 曲津神たちは、登山道に千引きの岩となって立ちふさがったが、神世無双の英雄神である一同はものともせず、強行的に生言霊を上げながら、おのおの進んでいく。

  • 霊山比古は、駒をとどめおき、心静かに言霊歌を歌った。自ら、ヲ声より生まれた主の神の生き宮居であり、主の神の御手代である、と名乗り上げた。

  • 霊山比古は、行く手をさえぎる巌の上を飛び越えていくが、そのたびに曲津神の巌は、綿のように揺らいだ。その中のもっとも大きな巌の上に突っ立ち、タトツテチ、カコクケキの生言霊を宣りあげると、曲津神は本当の巌となり、動くことができなくなってしまった。

  • 霊山比古は勝利の歌を歌った。すると、曲津神の化けた巌々は、いっせいに大音響をたてて、谷底へ落ちくだりはじめた。霊山比古がふと見下ろすと、三柱の比女神たちが登ってくるのが見えた。そして、落ち下る巌に、押し潰されそうになり、泣き叫ぶ声が聞こえてきた。

  • 霊山比古はすぐさま助けに下りて行こうとしたが、三柱の比女神は、楠の下で言霊を照らして鎮まり待機しているはずなので、谷を登ってくるはずがない。自分が下りていったら、上から押し潰そうという曲津神の計略と気づき、霊山比古は、大巌の上で四股を踏み鳴らし、曲津神の大巌を地中に深くめりこませ、埋めてしまった。

  • 霊山比古が作戦計画に時を移そうと、しばし息を休めていると、田族比女の神がにわかに現れ、竜の岩窟へ進め、と指令を下した。霊山比古はカコクケキの言霊を発すれば、田族比女の神に変化した邪神は、答えにつまり、身体震え、次第に細くなって煙のごとく消えてしまった。

  • 霊山比古はふたたび勝利の歌を歌った。そして、向かいの谷辺にわたり、保用比古の神業を助けようと、次の行動計画を練った。
     

  • 第十七章 剣槍の雨(一九四九

  • 保用比古の神は、進軍歌を歌いながら、谷間伝いに登っていたが、霊山比古が追い払った曲津神の巌が、前後左右に、ものすごい音を立てて落下してきた。その巌つぶての中に、御樋代神・田族比女の神が、巌に圧せられている様が見えた。

  • とっさに助けに出ようとする保用比古だったが、空より「待て」と大喝一声が聞こえた。保用比古は、御樋代神は泉の森の本営にいることを思い起こし、これは曲津神の計略であることを悟ったのである。

  • 保用比古は、その計略を見破ったと歌に歌うと、曲津神は必死の力を集め、攻撃をはじめた。にわかに黒雲が沸き起こってあたりも見えないほどの闇となり、雨がざっと降り出し風は巌も吹き散らすほどとなり、槍の雨、剣の雨を保用比古の身辺に降らせた。

  • 保用比古は猛烈な邪気に囲まれて呼吸もつまり、言霊を使用することもできなくなり、あやうく曲津神のために死に至ろうという状態になってしまった。

  • そこへ、泉の森の方から、巨大な火光がごうごうと大音響を立て、天地を震動させながら、保用比古の神の頭上高く光り、前後左右に舞い狂った。すると、谷間の邪気、雨、槍剣の嵐もたちまちに止み、太陽の光がくまなく照りわたった。保用比古はたちまち心身爽快となって、大勇猛心によみがえった。

  • 保用比古は、思い上がりの心が曲津神に付け入る隙を与えたことを反省し、また御樋代神の神力をたたえ感謝し、今の戦いを述懐しながら、神言を宣りあげつつ、魔棲ヶ谷の森林さして、登って行った。
     

  • 第十八章 国津女神(一九五〇)

  • 一方、進軍歌を歌いつつ進んで行く直道比古の神は、とつぜんすさまじい猪の群れに取り囲まれてしまった。直道比古は臍下丹田に息を凝らして端然として座し、言霊歌を歌った。

  • すると、あたりの雲きりは次第に薄らいで、日の光がほのぼのと谷間を照らし始めた。直道比古の神は、苦境を救った御樋代神・三柱女神の言霊の霊威に感謝の歌を歌った。

  • すると、大巌のかげから、泣き沈みながら降って来る女神があった。女神は直道比古の前に進んで来ると、両手を合わせてうずくまり、泣き崩れた。

  • 直道比古が問うと、女神は、白馬ヶ岳の国津神であると名乗り、曲津神に攻められ苦しんでいたところ、天津神が曲津神征伐にやってきたと聞いて、助けを求めてきたのだ、と答えた。

  • そして、大巌のかげの庵に直道比古を導き、庵に招きいれようとした。直道比古は、すぐさま曲津神の計略と悟り、天之数歌を歌えば、女神はたちまち長大な蛇神と化し、黒雲を起こして魔棲ヶ谷へと逃げていった。

  • 庵の片の大巌は、直道比古が再度天之数歌を唱え終わらぬうちに、枯れ木が倒れるように谷間に向かって転落し、ものすごい音を立てて砕け散って渓流に流されてしまった。
     

  • 第十九章 邪神全滅(一九五一)

  • ここに五柱の男神は、魔棲ヶ谷を囲んだ岡の周りに立ち、おのおの生言霊の矢を絶え間なく放つと、曲津神はいたたまれず、雲霧・岩・火の玉となって男神たちに襲い掛かった。

  • 霊山比古は身辺に危険が迫ってきたのを見て、「アオウエイ」と繰り返し言霊を発した。山麓の小笹ヶ原の楠の森で待っていた、三柱の比女神は、自分たちの駒に向かって「タトツテチ ハホフヘヒ」と力いっぱい言霊を宣りあげた。すると、駒にはたちまち翼が生え、大きな鷲に変化した。

  • 三柱の比女神は言霊の力に感謝し、鷲馬に乗ると宙高く翔け、天上から鷲のくちばしでもって竜神を攻撃し、大勝利を得たのであった。

  • 比女神は鷲に乗って御樋代神に勝利を報告し、一方男神たちは、生言霊を宣りながら、魔棲ヶ谷の巣窟を奥へ進んでいった。曲津神の狼狽の様ありありと、あたりには数多の宝玉が飛び散ったままになっていた。男神たちはそれを集めて、戦利品として御樋代神に奉ることとした。

  • 曲津神は、自身に光を発することがないので、真の神を真似ようと、こうした宝玉を身にまとうのである。愛善の徳に満ち、信真の光があるならば、身に宝石を着けなくても、宝石の何倍もの光を全身にみなぎらせているのであり、知らず知らずのうちに、尊敬を集めることができるのである。

  • 五柱の男神は、魔棲ヶ谷の曲津神を根絶することができ、歓喜に耐えず、勝利の歌を歌った。男神たちが戦利品を背負って小笹ヶ原に戻ってくると、五頭の神馬たちは、主の帰りを待って整列していた。その様を見て、五柱の男神はそれぞれ勝利の述懐歌を歌い、御樋代神の待つ泉の森の本陣へと帰って行った。
     

  • 第二十章 女神の復命(一九五二)

  • 御樋代神は、五男三女の神々の成功を祈って、従者神とともに夜も眠らず、西南の空に向かって生言霊を発していた。いよいよ、神々が無事に曲津神を掃討したことを覚り、喜びのあまり、泉の森の清庭に立って、祝いの歌を歌った。そこには、いよいよこれから国造りに携わっていくことの喜びが歌われていた。

  • 従者神たちもそれぞれ祝いの歌を歌ううちに、三柱の比女神たちは、鷲に乗って泉の森に舞い下りた。山跡比女が神歌を歌うと、たちまち鷲は元の白馬に変じた。三柱の比女神たちは、それぞれ歌で戦勝報告を述べた。

  • 御樋代神は、比女神たちの復命に喜び、従者神の輪守比古、若春比古は、感謝の歌を歌った。
     

  • 第四篇 歓天喜地
    第二十一章 泉の森出発(一九五三)

  • 一同は、魔棲ヶ谷の曲津神たちを根絶したことによろこび、御樋代神・田族比女の神をはじめ、それぞれ戦いの述懐と、これからの神業に思いを馳せる歌を歌った。

  • 歌っているうちに、空は明けはなれ、木々に鳥がさえずり、朝露は朝日に照らされて七色に光り、たとえようもない美しい朝を迎えた。そこへ、霊山比古の神を戦闘に、五柱の神々は無事に帰陣し、御樋代神の前に、凱旋報告の歌を奏上することとなった。男神たちは、御樋代神の言霊の神力をたたえ、戦いを述懐し、そして勝利を祝い喜ぶ歌を、それぞれ歌った。

  • 最後に雲川比古は、今や御樋代神の聖所へ帰って行く時である、と歌い宣言し、一同は万里ヶ原の聖所目指して帰りの途についた。
     

  • 第二十二章 歓声満天[一](一九五四)

  • 万里ヶ原に凱旋した神々は、祝宴を開こうと、万里の国原の生きとし生けるものすべてに、早馬を使わして知らせを告知した。宴の日には、万里の島のすべての生き物が集まって来て、幾千万の馬、牛、羊、ねずみ、蛙が凱旋を祝う声で天地も崩れるばかりであった。

  • この前代未聞の慶事に、御樋代神・田族比女の神は、高殿に登って群集の喜ぶ様をご覧になり、喜びの歌を歌った。ただその中にも、太元顕津男の大神に見合って国魂神を生むことが、まだできていないことをのみ、悔やんでいた。そして、その時をひたすら相待つことを誓って、歌を終えた。

  • 続いて、山跡比女、千貝比女、湯結比女の三柱の比女神たちが、祝いと喜びの歌を歌った。
     

  • 第二十三章 歓声満天[二](一九五五)

  • 田族比女の神は、歓喜に沸く生き物たちに向かって、この日より正式に、万里ヶ島に住む生き物たちを、自分が統括することを宣言した。そして、このまだ若い国を、松の緑のよき国と栄えるよう、永遠に造り固めていくことを宣言した。

  • そして七柱の男神たちは、それぞれ自分の職掌にしたがって国造りを行うことを歌い、また生き物たちに、そのための心得を説いて歌い聞かせた。
     

  • 第二十四章 会者定離(一九五六)

  • 七日七夜の宴の後、生き物たちはそれぞれ帰り行き、今は御樋代神の御聖所は静寂に包まれていた。

  • そこへ、白馬ヶ岳の背後の夕暮れ空が、一種異様の光に包まれ、田族比女は驚いて高殿に立ってこの様を見るに、たちまち尊い御樋代神の降臨であると悟った。そして、輪守比古、若春比古を遣わして、来臨した御樋代神を迎えにやらせた。

  • 使いの二柱の神々は、田族比女の神言のままに、白馬ヶ岳西方の御来矢の浜辺に駆けつけた。すると、常盤の森で憩う神々に出会った。一行を案内して万里ヶ丘の聖所にたどり着いたのは、翌日の黄昏時になってからであった。

  • 使いの二柱の神は、御来矢の浜辺で朝香比女の神一行に出会い、案内して、無事に帰り着いたことを奏上した。

  • 田族比女の神は、早速朝香比女の神を高殿へ招いた。二柱の御樋代神は互いに挨拶の歌を交わした。朝香比女の神は、田族比女の神が、まだ若く曲津神の猛る万里ヶ島を拓いたいさおしをたたえた。答えて田族比女の神は、朝香比女のねぎらいと称えの言葉に感激し感謝を述べ、ただまだ顕津男の神に巡り合って神生みの神業をなすことができないでいる思いを歌った。

  • ここに、顕津男の神への思いを同じくする二柱の御樋代神は、百年の知己のように心から打ち解け、互いに同情の涙にくれつつ、日を重ねることとなった。

  • 田族比女の神は、曲津神征伐の戦利品として持ち帰った数多のダイヤモンドを、朝香比女の神に贈り物として送った。朝香比女の神は、珍しいものとして、快く受け取ったが、その返礼として、懐中から燧石(ひうちいし)を取り出し、あたりの枯れ芝を集めて火を燃やし出した。

  • 万里ヶ島の神々は、初めて天の真火が燃えるのを見て、感嘆の声をあげた。この燧石を、朝香比女は、田族比女への返礼として送ったのである。

  • 田族比女は、天の真火の功徳を称え、朝香比女は、鋭敏鳴出(うなりづ)の神の賜ったこの燧石を、国の鎮めとして送るのだ、と歌い交わした。

  • それぞれの御樋代神に仕える従者神たちは、この出来事の述懐歌をおのおの歌い、国土の前途を祝した。しかし、朝香比女の神は、ここに長くとどまることはできず、万里ヶ島の神々に別れを告げると、再び御来矢の浜辺から、岩楠舟に乗って、万里の海原を東南さして静かに静かに進んでいった。


  • 以上   [前回レポート] [次回レポート]


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