とよたま愛読会97回
天祥地瑞 巳の巻 第78巻 第7章「四神出陣」 〜
第13章「春野の進行」
                 記:望月幹巳 メール:motomi@moon.nifty.jp


日 時  平成16年10月24(日) 午後1時から午後4時30分まで
場 所  愛善苑 豊玉分苑 (京王線下高井戸駅下車 徒歩8分 川崎方)
      連絡先 03-3321-3896、  03-3321-8644
物 語  
天祥地瑞 巳の巻 第78巻 第7章 1963「四神出陣」〜
第13章 1969「春野の進行」

★ 報告
紅葉の候、皆様にはお変わりなくお過ごしのことと思います。


物語は、グロノスの島で邪神の住む沼に出陣する、朝香比女一行の様子から始まります。四柱の従者神たちは、邪神退治に出陣し、言霊の力により、邪神を鷹巣山の方角に追い払うことに成功します。すると、国津神・野槌比古は、この島の御樋代神・葦原比女の聖所へ行こうと、一行の案内を買って出ます。グロノスの島、という恐ろしい名前をいただき、邪神の住処となっていたこの島にも、御樋代神が居たのです。

初頭(うぶがみ)比古の神と朝香比女の神の言霊によって、濁流の中野河を陸地に変えると、葦原比女の神一行が、迎えにやってきて一同は合流します。葦原比女の神は御樋代神となって二十年を過ごしてきましたが、邪神の勢いがすさまじいために、島のわずかの部分を守っていたに過ぎませんでした。邪神を追い払った朝香比女の神に、葦原比女は感謝を捧げますが、すると朝香比女は、「グロノスの島」という島の呼称を「葦原の国」と改名します。

この広大な葦原の国は、国土が稚いにもかかわらず、松の老木が太く生い茂り、すがすがしく美しい森が広がっています。邪神の勢いが衰えた今、一同は新しい国土を開くという期待にあふれ、美しい葦原の国の森と原野を、葦原比女の聖所である桜ヶ丘さしてのどかに進んでいきます。

 

★ 拝読箇所で気のついたこと
第七十八巻 巳の巻
第二篇 焼野ヶ原
第七章 四神出陣(一九六三)

 * 朝香比女の神は、忍ヶ丘のもっとも高い場所に陣を作って悪魔征伐の大本営と定めた。

 * 野槌比古を側において観戦場とし、一方、初頭比古(うぶがみひこ)、起立比古、立世比女、天晴比女の四柱の神々を、沼の大蛇の征伐に向かわせた。

 * このグロス沼に、グロノス、ゴロスの邪神は永遠の住処として天地をかく乱していたのである。

 * 出陣した四柱の神々は、駿馬にまたがり、進軍歌を歌いながら勇気凛々として進んでいった。

 * すると、原野の真中に大きな老松が傘を開いたように枝を伸ばしていた。四柱の神々は、ここに休息を取り、作戦計画を練った。

 * そして、おのおの門出の歌を歌うと、駒の背にまたがり、再び出発して進んでいった。

 第八章 鏡の沼(一九六四)
 *  一行が進んでいくと、血にまみれた老婆が行きも絶え絶えに横たわり、助けを乞うていた。

 * 老婆は、自分は名もなき国津神で、沼の大蛇のために傷つけられたため、助けてほしい、と歌うが、初頭比古は邪神の罠と見破り、天の数歌と言霊歌を歌った。するとたちまち老婆は三角三頭の長蛇と身を表し、火焔・黒煙を吐きながら沼に逃げ込んでしまった。

 * 起立比古の神以下三柱の神々は、この様を述懐の歌に歌った。

 *  一行はグロス沼の汀に到着し、眺めてみればほとんど東西十里、南北二十里もある大きな沼であった。四柱の神は沼の周囲を四分し、東西南北に一柱づつ陣取っていっせいに天津祝詞を奏上し、七十五声の言霊を宣り上げた。

 * すると、グロノス、ゴロスの邪神は言霊の力に敵しかねて、グロノスは六角六頭、ゴロスは三角三頭の姿を現して水面をのたうちまわった。そしてついに黒雲を起こし、天高く立ち昇ると鷹巣(たかし)の山の方面さして、いかづちのような音をとどろかせながら逃げ去った。

 * このために沼の水の大半が雲となって空に舞い上ってしまい、再び雨となって激しく下った。邪神を容易に去らせることができたのは、朝香比女の神を陰ながら守護する、鋭敏鳴出(うなりづ)の神のウ声の力であった。

 * 四柱の神は傘松の老木まで戻ってきて、この凄まじい戦況を歌に歌いあった。そして、忍ヶ丘の朝香比女の本営にめでたく凱旋することとなった。

 第九章 邪神征服(一九六五)
 * 朝香比女は野槌比古とともに戦況をうかがっていたが、四柱の神将の先頭の初頭比古は忍ヶ丘の本営にはせ参じ、戦況を詳しく報告した。

 * 朝香比女は四柱の神の功績をいたく誉めたたえ、歌に読み込んだ。また、邪神に長年虐げられていた国津神・野槌比古は喜びの歌を歌い、こうなった今は、御樋代神に仕えて共に聖所に進んで行こう、と歌った。

 * 朝香比女は、野槌比古の言を承諾し、聖所に進もう、駒の用意をせよ、と歌った。

 * こうして朝香比女の神は、四柱の神を従え、国津神・野槌比古を案内役として、グロスの島を横切る中野河の濁流をわたる準備を整えた。

 第十章 地異天変(一九六六)
 * 一行は忍ヶ丘を後にし、鷹巣の山の麓に葦原比女の神が守るという聖所に急ぎ進んでいく。

 * 中野河の濁流がいたく濁っていることに朝香比女は驚くが、初頭比古の神は天の数歌を歌い、言霊歌を歌い始めた。すると、中野河の濁流も次第次第に色あせ始めた。

 * 朝香比女はさらに、初頭比古の言霊によって、中野河を陸にしようと歌い、御樋代の葦原比女の神が、自分たちを迎えに出立したのがわかる、と歌った。

 * 起立比古は、葦原比女の姿が見えないのに、朝香比女の歌を不思議に思うが、朝香比女は、葦原比女が共を伴って確かにやってくる、と歌った。そして、中野河の水が引き始め、川底が陸地となって向こう岸に渡るときに、葦原比女はやってくるだろう、と予言した。

 * 立世比女は中野河の河水が引くように歌を歌い、天晴比女は河水が引いた後の魚の命を心配する歌を歌った。

 * 朝香比女は、魚たちは上流に逃げて広い清沼に行くように歌を歌った。そして天の数歌と言霊歌を歌うと、河底は大音響とともに地底からふくれあがり、少しの高低もない平地と変わってしまった。

 * 一行は新しく生まれた河跡の陸地を、駒を進めて渡ろうとすると、萱草の野に見え隠れしつつ、駒に乗って現れた神々があった。これは、朝香比女の神一行を迎えに鷹巣山の麓の鷹巣宮居からやってきた、御樋代神・葦原比女の神一行であった。

 * 葦原比女の神を先頭に、真以(まさもち)比古の神、成山(なりやま)比古の神、栄春(さかはる)比女の神、八栄(やさか)比女の神、霊生(たまなり)比古の神の三男三女の天津神々であった。

 第十一章 初対面(一九六七)
 * 島の守り神である葦原比女の神は、三男二女の従者神を従えて朝香比女の神を迎えにやってきた。

 * 葦原比女の神は、邪神の力が強く、この島を拓くことができなかったことを語り、朝香比女の神に感謝を表した。朝香比女の神は、グロノスの島という名を改めて、葦原の国、と名乗るよう歌った。

 * 真以比古の神は、鷹巣の山に逃げ込んだ邪神が再び襲い来ることを心配し、国土の宝として、真火の燧石(ひうちいし)を賜るよう、朝香比女に頼んだ。朝香比女の神は燧石を贈ることを約束し、真以比古の神は感謝の歌を歌った。

 * 従者神たちは、これまでの経緯を述懐の歌に歌い、また互いの出会いを喜び合う歌を歌った。ここに、十二柱の女男の神々は、野中の常盤樹の森かげを指して、黄昏の野路を急ぎ進んでいった。

 第十二章 月下の宿り(一九六八)
 * 一行十二柱の神々は、黄昏の中、常盤樹茂る広い森かげに安着した。国土がまだ稚い島にもかかわらず、松の幹は太く所狭しと生い茂り、土一面の白砂は、白銀を敷き詰めたようで、所々に湧き出る清水は、底の真砂も見えるほどに、夕月の影を映して鏡のように輝いていた。

 * この森のところどころに空き地があって、居ながらに空を仰ぐことができるのであった。二柱の御樋代神は、笠松の根株に萱草を敷いて、安らかに息をつき、歌を歌いあった。

 * 朝香比女の神はこの森の深さとすがすがしさを称える歌を歌った。葦原比女は、朝香比女の邪神を追い払った活躍を感謝し、真火の燧石の神徳をたたえた。

 * 従者神たちも、星月を眺めながら、あるいは述懐し、あるいはすがすがしい森の様子を歌に歌いこんだ。そうしているうちに次第に夜はふけていった。

 * やがて東雲の空を寿ぎながら、十二柱の神々は、生言霊の神嘉言を宣り終わると、駒にまたがり、鷹巣の山の麓にある館をさして急ぎ進んでいった。

 葦原新国
 第十三章 春野の進行(一九六九)

 * 中野河より西の大高原は、朝香比女の神が放った真火の力によって黒こげとなり、晴れ晴れしくなっていた。

 * しかし中野河以東は草ぼうぼうの原野で、あちこちに大蛇や異様な動物が生息し、深夜になれば作物に害を与えたり、国津神の老人子供を傷つけたりと、まだ平安とはいえない状態であった。

 * 葦原比女は、鷹巣の山の麓にある桜ヶ丘という小山に瑞の御舎を造り、邪神の襲来を防ぐために丘の周囲に濠をめぐらし、付近一帯の国津神を守っていた。

 * だから、五千方里もの広大なこの島も、御樋代神の恵みに浴すことができるのは、わずか四、五方里にすぎなかったのである。御樋代神の権威の及ぶところは、全島のわずか千分の一ほどであった。

 * 常盤の松が生い茂る森に一夜を明かした十二柱の神々一行は、夜が明けるとともに桜ヶ丘の聖所さして進んでいった。

 * 真以比古は馬上にこれまでの経緯を読み込んだ述懐の歌を歌った。そして、葦原の新しい国土をこれから開いて行く楽しみを歌いこんだ。

 * 葦原比女の神は、朝香比女の神のいさおしによって、この国が豊葦原の国と開けて行くことを感謝する歌を歌った。そして、顕津男の神が天降りますまでに、この国を開こうと決意を歌った。

 * 朝香比女の神は、勝手に島を焼き払ったことをわび、国津神が住んでいるのを見て、ここに御樋代神が居ることを知ったのだ、と歌った。そして、葦原比女に、国魂神を生むよき日を共に待とう、と歌いかけた。

 * 従者神たち一同も、それぞれ馬上の日長の退屈さに述懐の歌を交わしつつ、日のたそがれるころ、ようやく桜ヶ丘の聖所に着いた。迎える多数の国津神たちの敬礼を受け、新しく築かれた八尋殿に上り、月を誉め夜桜をたたえながら、短い春の一夜を過ごした。


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