とよたま愛読会99回天祥地瑞 巳の巻 第78巻 第19章「春野の御行」〜第25章「歓の島根
                 記:望月幹巳 メール:motomi@moon.nifty.jp


日 時  平成16年12月26(日) 午後1時から午後4時30分まで
場 所  愛善苑 豊玉分苑 (京王線下高井戸駅下車 徒歩8分 川崎方)
      連絡先 03-3321-3896、  03-3321-8644
物 語  
天祥地瑞 巳の巻 第78巻 第19章 1975「春野の御行」〜
第25章 1981「歓の島根

★ 報告
初春の候、皆様にはお変わりなくお過ごしのことと思います。第
99回とよたま愛読会のご報告をお送りいたします。


 

 

 天の徴によって時が至ったことを知り、葦原の国土の体制は大きく新しく生まれ変わりました。その建国祭も終わり、朝香比女の神一行は葦原の国を去って新たな旅路につきます。

  海上にて、葦原の国の邪神の残党による妨害を振り払った一行は、歎きの島に近づきます。歎きの島から聞こえてくる声に、国津神たちの受難を悟った一行が島に近づくと、巨大な八岐大蛇が舟を襲います。

 朝香比女の神は言霊の力で舟を巨大化させ、大蛇の何百倍もの大きさに変えて難を逃れます。そして、また言霊の力によって八岐大蛇を焼き殺して退治することに成功します。

  一行は歎きの島に上陸すると、島彦・島姫という夫婦の国津神に迎えられ、邪神による被害の様を訴えられます。起立比古の神が、朝香比女の神の許しを得て、天の真火によって歎きの島の曲津神たちを焼き清めることで、国津神たちは解放されたのでした。

 朝香比女の神は、この災いは、国津神たちが邪神をまつっていたことが原因であると明らかにし、主の神を祀るよう島彦・島姫に諭し、一行は再び舟に乗って旅路についたのでした。

★ 拝読箇所で気のついたこと
第七十八巻 巳の巻
葦原新国 >
第十九章 春野の御行(一九七五)

  • 葦原の国の建国祭が終わると、鋭敏鳴出(うなりづ)の神は、ふたたび光となって従神たちとともに天の一方に姿を隠した。葦原比女の神・朝香比女の神は、鋭敏鳴出の神への賛美と感謝を歌った。
     

  • そして、葦原比女の神は、天津神・国津神たちを率いて、朝香比女の神一行を舟のある常磐の浜まで見送るべく、続いて行った。
     

  • 初頭(うぶがみ)比古の神は先頭に立って、これまでの経緯を言霊歌に述懐した。続いて、天津神・国津神たちはそれぞれ述懐の歌に、朝香比女と葦原比女の出会いや、葦原の国の立替え・立直し、新しい国の出発などについて歌いこんだ。
     

  • その日の黄昏頃ようやく、常磐の浜辺に近い楠の森に着いて、一行は一夜の宿を取った。

  • 第二十章 静波の音(一九七六)

  • 朝香比女の神、葦原比女の神一行は、常磐の海辺の森に一夜を明かすのに、おのおの心が時めいて眠れず、広大な森をあちこち逍遥しながら、歌などを詠みふけって明け方を待った。
     

  • 空の月は晧々とさえわたり、木立のまばらな清庭に白金の光を投げている。春の夜の風はおもむろに梢を吹き、平和の光景は天地にみなぎっていた。時々、海吹く風にあおられて、磯辺に寄せる潮騒の音が静かに聞こえるのみであった。
     

  • 葦原比女の神は、この光景に新しい国の門出の平和を見取り、述懐と希望の歌を歌った。朝香比女の神は、葦原比女との明日の別れに思いを馳せ、また西方の国土を巡る顕津男の神を思い、葦原の国の将来の希望を歌った。
     

  • それぞれの従者神たちも、おのおの述懐の歌を歌つつ、常磐の森の一夜は明け放れ、東の空を明かしつつ新しい太陽は静かに昇ったのであった。

  • < 神戦妖敗 >
    第二十一章 怪体の島(一九七七)

  • 朝香比女の神一行は、葦原比女の神一行に送られ、常磐の浜辺で名残を惜しみつつ、万里の海へとふたたび船出をした。
     

  • 朝香比女の神一行が舟を南へと進ませていくと、鷹巣の山の頂から黒煙がもうもうと噴出して天に立ち上り、海を指して迫ってきた。黒雲は、グロノス・ゴロスの竜蛇心の形を現して進んできた。
     

  • 朝香比女の神、初頭比古の神がこの様子に警戒の歌を歌うおりしも、海上に旋風が起こり、一行の乗った磐楠舟は荒波に翻弄され、一進一退どうしようもない羽目に陥った。
     

  • しかし、朝香比女の神は平然として微笑しながらこの光景を静かに見つつ、心中に深い成算があるかのようであった。一行の神々は、おのおの少しも恐れずに勇気と祓いの歌を歌い、しばらく望見し落ち着きはらっていた。
     

  • すすと、百雷が一時にとどろくようなウーウーウーの唸り声が響き渡り、たちまちに波風は和らいで、あたりを包んでいた魔神の黒雲は薄らいで飛び散り、平静な天地と変わってしまった。
     

  • 朝香比女の神は、ひそかに祈った言霊によって、鋭敏鳴出の神が現れ、その神力によって曲津神たちを追い払ってしまったことを歌った。従者神たちも、この出来事に述懐の歌をそれぞれ歌った。
     

  • しばらくして舟は、海路に横たわる巨大な巌島に近づいた。よくよく見れば、赤・黒さまざまの大蛇が何匹も巌から首を差し出し、大口から火焔の下を吐いて舟を襲おうとするごとくであった。
     

  • 朝香比女の神はこのありさまに、心穏やかに微笑みながら、この巌島を火の島とするよう、言霊歌を歌った。
     

  • すると、高く切り立った周囲約三里の巌島は、たちまち一面が火焔に包まれ、海水は熱湯のように煮えたぎり、大蛇は焼かれ傷つき、あるいは雲を起こして鷹巣の山に逃げ去った。
     

  • 従者神たちは、この様子を見て驚き感激し、朝香比女の神の言霊の働きを称える歌を歌った。そして、舟は東南に向けて進んでいった。

  • 第二十二章 嘆声仄聞(一九七八)

  • 朝香比女の神一行は、グロノス・ゴロスの化身であった巌島の邪神を、言霊の光によって島もろとも焼き尽くし、万里の海原を東南に向けて進んでいった。
     

  • 一行は歌を歌いつつ進んで行ったが、東北の方面に浮かんでいる島から、怪しき声が聞こえてくるのに気づいた。朝香比女の神は、その悲しい声は国津神たちの叫び声かもしれないので、一刻も早く島に向かおう、と歌った。すると、舟は東北方面に自然に舳先を向けて進んでいった。
     

  • すると、浮島の方面から、多角多頭の大悪竜が、幾千丈とも限りなく、波しぶきをたててこちらに進んできた。朝香比女の神は、これこそまさに八岐の大蛇であると見取り、舟よ広くなれ大きくなれ、八岐大蛇の数百倍となれ、と歌った。
     

  • 歌い終わると、磐楠舟は膨れ広がってたちまち山のようになってしまった。多角多頭の大蛇は舟の近くまで進んできたが、舟のあまりの大きさに驚いたのか、無念そうに水中に姿を隠してしまった。
     

  • 朝香比女の神は、臍下丹田に魂を鎮め、天に向かって合掌し天津祝詞を奏上し、生言霊を述べた。たちまち海水は熱湯のように煮え返り、八岐大蛇は熱湯に焼かれて全身ただれ、もがき苦しみ、ついに死体となって水面に浮かび出た。
     

  • 朝香比女の神が、歎きの島に急ぎ進め、と歌うと、舟は千里を駆ける勢いで、黄昏の海原を進んでいった。

  • 第二十三章 天の蒼雲河(一九七九)

  • 磐楠舟は、歎きの島に近づくにつれて次第次第に小さくなり、全くもとの原型に戻った。渚に舟を進ませて、駒とともに一行は無事上陸した。島は黒煙がもうもうと立ちこめて視界をさえぎっていた。
     

  • 朝香比女の神は天津神事を奏上し、七十五声の生言霊を鳴り出でると、空の黒雲は南北に別れ、月はその正中を渡って晧々とした明るい光を地上に投げかけた。
     

  • 朝香比女の神は、八岐大蛇が潜んでいた歎きの島も、今日からは生き返ると歌い、鋭敏鳴出の神に、国民の嘆きをとどめて国土が新生するように祈った。一行はひとまず夜をして明け方に進むこととし、おのおの述懐の歌を歌った。

  • 第二十四章 国津神島彦(一九八〇)

  • 一行は歎きの島の浜辺に近い松の下に一夜を明かし、夜明けの朝日を拝みつつ、この島の再生への思いを歌った。
     

  • すると、二柱の国津神が駒を並べて進み来ると、朝香比女の前にひれ伏した。国津神・島彦と島姫は、朝香比女の神によって曲津見が鎮まったことを感謝し、さらに島に潜む邪神への懸念を歌った。
     

  • 従者神たちは、国津神の訴えを聞き、真火の力によって曲津を焼き清めようと歌った。起立比古の神は、朝香比女の神の許しを得て燧石を取り出し、野辺に火を放つと、折からの風にあおられて、たちまち原野は一面の火の海と化した。

  • 第二十五章 歓の島根(一九八一)

  • 島彦・島姫夫婦は、初めて真火が燃えたつ様を見て、驚嘆のあまり卒倒してしまった。初頭比古の神は天の数歌によって、二人を蘇生させた。
     

  • 島彦・島姫は、この激しさに恐れをあらわにするが、初頭比古の神は、これこそ歎きの島の初光であり、真火の恵みであると諭す。
     

  • 島彦は歓び、感謝の歌を歌った。
     

  • 朝香比女の神は、この島の国津神たちが、邪神をまつっていたがためにこの災いが起こっていたことを明らかにし、島彦・島姫に、主の大神を祭り、朝夕に生言霊を上げて禊の神事を怠らず、神言と禊を命の鍵をするように諭した。
     

  • 島姫は、真火を賜ったことへの歓びと感謝の歌を歌った。
     

  • 朝香比女の神一行は、国津神夫婦にさまざまの教訓を施し、天の真火の燧石を与えた。そして再び浜辺に引き返し、磐楠舟に乗り込んで万里の海原に浮かび、西方の国土を指して進んで行った。


  • 以上   [前回レポート] [次回レポート]


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