ミヤマクワガタ (Lucanus maculifemoratus) 2007.7.12改訂

ミヤマクワガタは都会では、なかなか出会えないクワガタです。生息地は比較的標高が高い地域です。漢字で書くと「深山・ミヤマ」と書くように、山奥に生息しています。暑さに弱く、30度を超える気温では長く生きることは出来ません。
寿命も決して長くはありません。大概は秋に羽化してそのまま越冬します。翌春には活動を開始しますが、秋になると、生涯の幕を閉じるようです。活動を開始してから、越冬することはないと考えられています。
新成虫は上翅に金色の産毛が生えていて美しいですね。
私は子供の頃、母親の実家(茨城県の山奥)で、このクワガタを大量に採集して、友人に自慢したものでした。特に、マジンガーZのような頭部の造形に魅せられましたね!大型個体は70mmを超えるようです。

ブリードは比較的難しく、思うように産卵しないと言われます。しかし、原因は管理温度にあるようです。ミヤマは高標高に生息するため、高温管理下(25度以上)では産卵しません。夏季に常時24度以下に設定出来れば、産卵の期待が広がります。エアコン飼育は必須かもしれません。また、産卵木よりも、マットに産卵するケースが多いようです。多くの卵を採るためには、クワガタ用のマットよりも、黒土に近いマットが効果があります。黒色のカブトマットと黒土(園芸用・無農薬)で層を作ると多産します。
幼虫は比較的虚弱といわれますが、適正温度(22度以下)で飼育してあげれば、十分に大きく育ち、落ちる個体は少ないと思います。オオクワガタほど飼育方法が確立されているわけではないため、まだ未知の部分が多いクワガタですが、「低温」が「キーポイント」のようです。

暑さに弱く短命?なことから流通が少なく、手に入れるためには採集が有力手段です。

2003−2005の飼育日記はこちら!

2006年 飼育日記
6月16日

山梨県北杜市高根町清里中央オートキャンプ場産・WF-1ミヤマクワガタの幼虫のマットを交換しました。半年振りの交換です。今回使用したマットは「クワカブランド」のカブトマットです。90mmオーバーのユーロミヤマ・ケルブスが出現した優秀なマットです。
マットを交換しながら、幼虫の体重を測定しました。そのとき、懐かしい歌が響いてきました。「セブン・セブン・セブン!セブン!セブン!」そうです。あのウルトラ・・・の歌です。最初に体重を測定した3頭は全て「7グラム」だったのです。これでは、今年羽化したスジブトヒラタの二の舞です。あのときは「キュー」でしたが・・・。結局幼虫8頭のうち、「7グラム」が4頭、「10グラム」が2頭、「12グラム」が1頭、発育不全の幼虫が1頭でした。多分羽化出来ない発育不全の幼虫を除くと、オス3頭、メス4頭の割合でしょうか?
ミヤマはここからも落ちる個体がいますので、安心はできません。新しいマットの上に元のマットを載せ、幼虫に与えるショックを最小限にして、マット交換したつもりです。

11月12日

清里中央オートキャンプ場産ミヤマクワガタ(昨年8月採卵)の幼虫に変化が見られました。メス幼虫と思える個体たちが蛹室らしきものを作りました。越冬の準備でしょうか?それとも蛹化するのでしょうか?室温管理でしたので、季節的な要素もあり、よくわかりません。
オスたち3頭には蛹化の気配は見られません。多分来春の羽化です。そこで、最後の?マット交換を敢行しました。体重を測定すると前回「10グラム」だった幼虫は「12グラム」に、「12グラム」だった幼虫は「13グラム」へと成長していました。共に期待を込めて1400ccのボトルへと移しました。マットは前回同様、朝霞の「クワカブランド」で購入したカブトマットです。

12月2日

清里中央オートキャンプ場産ミヤマクワガタ・幼虫の飼育ビンを温室へ投入しました。
これらは、昨夏、自己採集のメスから採れた幼虫です。ミヤマにしては「落ちる」幼虫が少なく、オス3頭、メス4頭と思われる個体たちが順調に成長しています。メスが蛹室らしきものを作っているのは前回、報告しました。オスも最後のマット交換を終え、蛹化の準備は整いました。きっと新しいマットにも慣れたと思います。飼育部屋の室温も15度程度と下がってきました。そこで、蛹化のきっかけを与えるために、20度の温室へ投入しました。来春の羽化が楽しみです。


2007年 飼育日記
1月29日

清里中央オートキャンプ場産ミヤマクワガタの飼育マットを交換しました。今回交換したのは3頭のオスのみです。掘り出した瞬間、「大きい」と感動しました。
体重を計測すると、15グラムが2頭いました。まずまずの成績ではないでしょうか?オオクワ系に比べると小さい幼虫ですが、私が飼育したミヤマの中で大きい方です。
前回と同様、1400ccのボトルに、在庫の都合上今回は「月夜野きのこ園」さんのクワマットを詰め、幼虫を投入しました。
今春の羽化に向け、最後のマット交換であると思われます。少しでも体重を伸ばし、大きなミヤマクワガタが羽化してくれる事を願います。
5月6日

清里中央オートキャンプ場産ミヤマクワガタのメスが羽化しました。しかも、飼育ボトルのフィルターを食い破り、イナバウアー状態でした。
久々にミヤマクワガタの飼育ボトルを観察しました。オスの中には、既に蛹室らしきモノを作った個体もいますが、メスは意外と遅いようで、蛹室が確認できる個体がいません。ミヤマはビンの表面に蛹室を作る事が稀で、ステージが観察しにくいのです。
その時、1本の飼育ビンの上部に白い物体を発見しました。死骸がカビたのか・・?と不安になり、恐る恐る蓋を開けてビックリ!羽化したメスが脱出しようと、フィルターを食い破り、体を大きく反らせています。まるで、荒川静香のように・・。白い物体はフィルターでした。自分から這い出してくるという事は、羽化後かなりの時間が経過している模様です。未だ蛹化していないメスもいるのに、バラつきが大きいですね。まさか羽化していようとは・・。本当ににビックリしました。

6月10日

清里中央オートキャンプ場産ミヤマクワガタミヤマクワガタのオスが羽化しました。体長を計測すると、70mmあります。オオクワガタを見慣れていると、それ程感動はありませんでしたが、WEBで調べてみると、どうやら大型個体のようです。
一昨年、キャンプ場で採集したメスから採れた8頭のうち、羽化したのはオス1頭、メス2頭です。実は先日お伝えした、例のイナバウアーのメスは逝去しました。多分、昨夏羽化していたのでしょう。残りのオス2頭は無事みたいですが、残念ながら、残りのメスは羽化出来そうにありません。
原因は気温にあるようです。我が家の飼育部屋は、ドルクス系に合わせて温度をコントロールしています。25度を超えるとエアコンで調節しますが、時には25度を超えてしまう事もあります。真夏ですと常時エアコン稼動で23−24度なのですが、今の季節にエアコン常時稼動は、家族の反感を買います。
実はこの温度調節がミヤマには悪かったようです。国産ミヤマの最適蛹化・羽化温度は16度ー22度程度らしいのです。特に蛹化、羽化の時期はデリケートで、蛹化不全、羽化不全の原因になるそうです。私の飼育部屋のように、時々25度を超えて気温が上昇してしまうような環境は彼らにとって、劣悪な環境だったようです。

6月19日

誕生したミヤマクワガタのオスの歯型に違いがあるのに気付きました。
左右の写真の個体に大きなサイズの差はありません。今年、我が家で羽化したオスは69mm2頭70mm1頭、合計3頭です。いずれも、清里中央オートキャンプ場産です。
文献で調べると、国産ミヤマクワガタは、「基本型」、「エゾ型」、「フジ型」の3つに分類できるそうです。見分け方は内歯の長さだそです。付け根近くの突起等による区別みたいです。ちなみに左の個体は「フジ型」、右の個体は「エゾ型」みたいです。中間が基本型と呼ばれています。
この差異は飼育温度と、遺伝子の関係があるようですが、詳細はまだ解明されておりません。標高の高い地域(低飼育温度)だとエゾ型(写真右)が出現する確立が高いようです。個人的には、子供の頃、母親の実家(茨城県)で採れたフジ型(写真左)が好きです!

クワガタ飼育へ戻る           トップページへ戻る