スマトラヒラタクワガタ (Dorcus titanus)

オオヒラタ(ティタヌス)の中でパラワンヒラタと人気を二分するのがスマトラヒラタクワガタです。大きさ(長さ)のパラワンに対し、スマトラヒラタは横幅で勝負です。体長も最大個体では10センチを超えます。
名前のとおりインドネシア・スマトラ島で採集されます。採れる地域により、内歯の最大突起の位置が異なります。突起が写真の個体のように根元寄りに位置している個体と、先端寄りに位置している個体が存在します(中間もあります)。突起が先端よりの個体はサウスタイプと呼ばれています。一見、セレベスヒラタと間違えそうですね!
しかし、両タイプとも他のティタヌスに比べ、体も大アゴも非常に幅広く、他を圧倒します。
産地はアチェ、パダン、ベンクール、リアウが有名です。

飼育は他のオオヒラタと同様で容易と思われますが、暑さにはやや弱く、夏季の管理には注意が必要です。冬季は12度以上なら越冬可能と思われます。

2003・2004年の飼育はこちら!

2005年 飼育日記
3月10日

東京はここ数日、春の予感?ですね!杉花粉が舞い、眼が痒いです。我が家で昨年末開始した屋外越冬実験もそろそろ終了しましょうか・・。
ベランダに置いていたケースをひっくり返してみると、ピクリとも動かないクワガタの姿を発見しました。大アゴを閉じ、口唇を出した状態です。体は硬直していませんが、全く生気がありません。死亡している感じです。試しに大アゴを動かしみましたが、全く反応しません。しかし、硬直はしていませんので、蘇生する可能性がゼロではありません。数日間は温室で様子を見ようと思います。
3月16日
10日に掘り出したスマトラヒラタは全く動く気配がありません。既に6日経過していますので、「死亡した」と判断するのが妥当のようです。
実は私、スマトラは越冬可能と考えていました。東京の場合、外気温は寒い日でマイナス2度程度です。日中は大概、5−6度程度まで気温が上がりますので、「オガの中にいれば氷点下にはならない・・・」と考えていました。しかし、個体差もあるのでしょうが、結果は死亡です。ということは、日本の冬を屋外で越冬することは不可能という事になるのでしょうか?この結論は早計な気がします。森の中の大木の洞の中はどうでしょうか?地中1メートルの温度は?私には分かりません。関東以南、伊豆半島、紀伊半島などの温暖な気候ではどうなるのでしょうか?これも、私には調べる事が困難です。私の実験は越冬に成功した時のみ「実験」と呼べたわけです。スマトラヒラタが死亡してしまいましたので、残念ながら、成果は上がりませんでした。
日本に生息する本土ヒラタも温暖な気候を好み、関東以南に生息しています。ましてや、熱帯域に特化して巨大化したオオヒラタの仲間が関東以北で生息できるとは思えません。それでは生息可能なラインはどこに引かれるのでしょうか?本土ヒラタより、南に寄っているのは確実ですが、実際に実験するしか、このラインの緯度を知る方法はありません。今回の実験でスマトラヒラタが越冬に成功していれば、関東近辺にラインが引けたのですが・・・。
飼育部屋(無暖房)で越冬したスマトラ(♂♀)も気温が10度を下回ると極端に動きが鈍くなりました。しかし、一時的に7ー8度の気温になっても、無事越冬しました。室外で、この間の気温を確保できる場所でならスマトラヒラタは生息できるかもしれません。私が推察するに、九州南部以南といったところでしょうか?
4月17日
屋外越冬実験は失敗でしたが、屋内無暖房で越冬した個体たちは無事でした。昨秋から、オス2頭、メス1頭を室温管理していましたが、全く問題はありませんでした。飼育部屋の気温は8度から12度程度でした。
確かに、アルキデスのように、活発な活動こそありませんでしたが、以前、同様な越冬をさせたミンダナオヒラタ以上に、低温に対する耐性があるものと確信しました。新成虫は関東以南の場合、屋内飼育であれば、容易に越冬可能と推測されます。しかし、前年度以前に羽化した個体の場合は、加温しないと体力的に厳しいかもしれません。
実際、種親のWILD個体は、この冬、無暖房で死に掛けました。しかし、温室飼育へ移行したところ息を吹き返し、現在も、「よぼよぼ」ながら生きています。

2005年初夏・リアウ産種親オス死亡確認。
10月3日

太い!物凄く太い・・・!!
「クワカブランド」に何気なく並んでいたスマトラヒラタのケースを開けてみてびっくり!超極太のアチェ産が顔を出しました。
大アゴの太さはもちろん、頭幅の広さ、お尻のラインまで、完璧なプロポーションです。大アゴに多少ディンプルがありますが、素晴らしいDNAに間違いはありません。91mmと88mmが販売されていましたが、私は88mmを選びました。羽化は8月ですので、今冬から来年のブリードになりそうです。
「クワカブランド」では、今後も極太スマトラヒラタ入荷する予定があるそうです。是非、足を運んでみてください。


2006年 飼育日記
1月15日

昨年購入したスマトラヒラタクワガタのペアを温室へ移しました。
今冬、温室の上(15度前後)、水苔マットで管理していましたが、全く問題はなさそうでした。目立った活動はしていませんが、刺激を与えると確実に反応します。やはり、スマトラヒラタの耐寒能力は高そうです。
しかし、このオスは後食が未だです。このまま体内の栄養で越冬でくるかどうかが心配になりました。8月羽化ですので、もう5ヶ月食べていません。ブリードのための栄養補給もあり、メスも温室へ入れました。餌を食べてくれると嬉しいですね!
1月28日

先日、温室へ移したスマトラヒラタクワガタがオス、メスとも後食を開始しました。
後食のないまま、冬を迎えたオスでしたが、温室へ移して、しばらくすると、餌にかぶりつき始めました。ただ、掻き出しているだけの可能性もありますので、様子を見ていましたが、後食開始は間違いないようです。昨秋より食べ始めていたメスも元気です。もしかしたら、そろそろペアリングできるかもしれません。でも、恐ろしいですね・・・このペアリングは・・・。オスの気性の激しさからいって、非常に危険なトライになるかもしれません。

4月
飼育種が増えたため、泣く泣く手放しました。いつかまた極太のスマトラオオヒラタをゲットしたい・・・。

クワガタ飼育へ戻る        トップページへ