2003年 飼育日記
8月30日

初めて訪問した「世界クワガタムシ博物館」で購入しました。ここはあの有名なKYさんが店主のお店?です。78mmと小型ではありますが、「リアウ」という珍しい産地のワイルド個体で、写真のように極太です。累代するとさらに太くなるそうです。以前から「機会があればスマトラを・・・」と思っていましたので、価格の安さも手伝って即購入しました。さて、とりあえずはトリートメントですか!?
9月2日

いきなり産卵セットにメスを入れてみました!
本来なら、メスの状態をみてからセットに入れるのですが、季節はもう秋です・・・。夏が終わってしまう前に産んでもらわなくてはなりません。WILDですので、未交尾の危険性もあります。10日経って削らないようなら、追いがけするつもりです。

セット内容 中ケース、マット・底面にZAKUの添加発酵マット、上部はPCファーブルの超多産マット。産卵木・コナラ太め材2本。
9月9日

スマトラヒラタ(リアウ産)のメスの産卵を確認しました。セットから一週間、メスはマットの上に出て来ませんし、餌を食べた形跡もありません。ちょっと心配になり、ケースの底を覗いてみると、たった1つでしたが、卵が確認できました。どうやら「ハズレ・メス」ではないようです。最近クワガタ雑誌にも掲載された「リアウ産」の材割りが楽しみになってきました。
10月9日
スマトラヒラタの幼虫を割り出しました。予想に反して数が少なく、幼虫10頭、卵6個という成績です。失敗?の原因はどうやら、意外に硬かった材にあるようです。メスにはスペシャルメニューを与えて再び産卵セットするつもりです。今度は、底面に菌糸ブロックを詰めてみようと思います。
左の写真は産まれたての幼虫です。殻を破り出てきた瞬間で、頭部も白いですね!
10月15日
悪魔の所業か!ついにやってしまいました。リアウ産スマトラヒラタの産卵数に不満を持った私は、菌糸ブロックを使った産卵セットを思いつきました。これは底面部分にマットと菌床を半々に固く詰め、上部の産卵木を埋める部分は菌床で覆うというものです。産卵木を「きのこ菌」で覆えるので、前回、産卵木にほとんど産まなかったリアウ産に効果があるのでは?という発想です。
あとは体重の落ちたメスの問題です。私は意を決して、オオクワガタの幼虫を与えてみることにしました。産地累代不明の♀の3令幼虫です。悪魔の所業でしょうか?リアウ産の♀は、私の前では恥ずかしそうに隠れていました。しかし、私が数時間目を離した間に、幼虫の首根っこに牙を入れ、しっかりと捕食していました。

翌日、幼虫は縮んだようになっていました。さて、リアウ産の♀は、次に卵を産むための準備はできたのでしょうか?
10月19日
10月9日に幼虫の割り出しをした廃材を再び調べてみたところ、何と!幼虫4頭、卵1個を発見しました。当日はスミからスミまで調べたつもりでしたが、やはり、「人間のすること」ですね!皆さんも廃材は捨てずに、しばらく保存しましょう!見逃しがあるかもしれませんよ!
ところで、菌床を使った産卵セットですが、リアウ産のメスは再び産卵しているようです。ケースの底の黒いマットの部分に卵を2個発見しました。だだ、菌糸の勢いが強いので、ちょっと心配です。

11月7日

先月中旬にセットした産卵セットは順調のようです。今日の観察では、産卵木に産卵坑道を掘っているのが確認できました。前回のセットでは、産卵木への産卵数が少なく、材の表面に少数産卵痕があっただけでした。今回は産卵坑道がありますので、材への産卵数も期待できそうです。
写真中央やや右上の穴が産卵坑道です。周りに木屑が散乱しています。
11月21日

スマトラヒラタの産卵セットの割り出しをしました。
今回のセットはマットと菌床の複合セットです。先ず、マットから数頭の幼虫を発見しました。やはりマットには、よく産むみたいです。産卵材からも卵が数個出てきましたが、元に戻しておきました。さて、セットの大半部分を占める菌床部分は?というと、少ないながらも2、3個の卵を発見しました。しかし、スマトラのメスは好んで産んでいるようには見えず、どうやらヒラタにはマットの方が効率がいいみたいです。
写真は菌床部分から出てきた卵です。菌糸が卵を覆っていますね!果たして無事、孵化するでしょうか?

後日・・・孵化が確認できました!


2004年 飼育日記
1月29日
スマトラヒラタのビン交換を行いました。プリンカップから1本目のビン(マット9頭・菌糸ビン12頭)に移してから約2ヵ月半です(温室管理・20度)。
マット飼育の9頭は順調で、明らかに頭幅の広いオスと思われる個体も混在していました。
ところが菌糸ビン飼育の個体群を掘り出してみてビックリ!多くの個体の成長が悪いのです。中には全く食痕もなく、ほとんど成長していない個体も出てきました(写真右)。大食いのヒラタにしては食痕が少ないのは明らかでした。12頭中3頭は3令幼虫に成長していましたが、居食いで自分の排泄物を再度摂取していたような感じです(この現象はアンテ系、ヒラタ系に多く見られます)。多くの個体は2令中期から、小さな3令幼虫のように見えます。
マットより菌床飼育が成長が遅いとは?どういうことでしょうか?私はヒラタの幼虫を初めて菌糸ビンで飼育しましたので、「ヒラタは菌糸ビンと相性が悪いのか?」という疑念も浮かびました。しかし、多くの先輩方が菌糸ビンでギネス級のヒラタを羽化させています。
実はこの菌糸ビン、以前から「ちょっとおかしい」感じがしていました。某有名メーカーの菌糸ビンなのですが、以前購入したときとは何かが違いました。そこで、できる範囲で検証したいと思います。

[重さ] 自分で詰めた菌糸ビン(ズボラ再び参照)と比較してみました。ともに850ccのプラボトルです。「今回使った菌糸ビン」は408グラム(写真右)、自家製菌糸ビンは710グラム(写真左)でした。水分が多少蒸発したにせよ、誤差の範囲ではありませんね!
実際に「今回使った菌糸ビン」をスプーンで掘っていくとスプーンが弱い力で奥まで入っていく感じで、詰めかたが緩いように思えました。同じ機械詰めでも「月夜野きのこ園」さんの製品は、明らかに固く詰まっています。

[オガ] 写真左をご覧ください。右側が「今回使った菌糸ビン」のオガ、左側が「ズボラ再び」で使用した「大夢B」のオガです。「今回使った菌糸ビン」はクヌギが95パーセント、大夢Bはクヌギとコナラの半々です。右は微粒子で、左は中粒ですので単純に比較はできませんが、こんなに色が違うんでしょうか?以前使用した同銘柄のモノとはまるで別物に思えます。


しかし、私は幼虫でも母虫でもありませんので、餌の良し悪しを簡単に判定することはできません。そこで、今回、成長の悪かった幼虫のうち5頭を「ズボラ再び」で製作した菌糸ビンに移して様子を見たいと思います。もし、こちらのボトルで順調に成長すれば、今回使用した菌糸ビンに対する疑惑はさらに増すでしょう。
ちなみに、北峰ホーぺのメスも同じビンに投入したことを思い出し、早速ビンを交換しました。こちらも食痕は無し。ビンの底で固まっていました。
3月15日
スマトラヒラタの種親・メスが死亡しました。昨夏、WILDで購入しましたので、仕方ありませんね。多くの子孫を残してくれて感謝、感謝です。ご苦労様でした。
ところで、オスは最近の気候の良さも手伝い、元気に餌を食べています。やはり、スマトラヒラタは低温に強いようです。今年も加温無しで冬を越すことができました。

4月29日
1月29日に「ズボラ再び」で製作した菌糸ビンに投入した5頭の幼虫はどうなったでしょうか?そろそろ菌糸ビン交換の時期です。外周を観察すると、かなり「喰い」が進んでいます。外から観察しただけでも大型のオス幼虫に成長した個体も観察できます。掘り出してみると5頭中2頭がオスでした。しかも42グラムもある大型の幼虫です。メス幼虫も順調に成長していました。
これで、「以前使用していた菌糸ビン」に対する疑念が増大しました。菌糸ビン飼育が不適合だったのではなく、質の悪い菌糸ビンに入れたから、成長しなかったのでした。皆さんも「質の悪い菌糸ビン」にはご注意を・・・!
5月13日
こんなものまで食べるんですか?リアウ産スマトラヒラタの幼虫の飼育マットの交換をしようと蓋を開けてビックリ!なんと幼虫がブロー容器の縁を齧っているではありませんか・・!まさか食べてしまったのでしょうか?
以前、パプキンの幼虫がコルクの蓋を齧ったことはありましたが、こちらは完全な石油製品です。プラスチックの破片はありませんでしたのでもしかしたら、本当に・・?
6月10日
リアウ産・スマトラヒラタのメスが羽化していました。既に上翅も黒く、羽化後、10日位でしょうか?調べてみると、他にもメス2頭が羽化していました。
でも問題はオス・メスの比率です。今のところの観察ではオスが12頭、メスが4頭という比率です。最悪ですね!まだ、メスが倍くらいの比率で多い分にはブリードに有利なので納得できるのですが、オスが多いと、種親以外は「役立たず」ですものね!2002年のダイオウの飼育のときとは逆の結果になってしまいました。ヒラタはアンバランスになりやすいんでしょうか??
6月14日
リアウ産スマトラヒラタの幼虫が暴れているビンを発見しました。写真のように、菌糸ビンのフタまではずれてしまっています。仕方がありませんので、ビンを交換しました。幼虫は思った以上に成長していました。体重を量ると44グラムありました。これは、種類を問わず、我が家の最高記録ではないでしょうか?国産カブトの大型幼虫並の、「大きさ」ですよ!羽化が楽しみです。
7月3日
リアウ産スマトラヒラタのオス・幼虫が蛹室を作り始めました。羽化は8月末から9月になりそうです。メスたちは既に羽化していますので約3ヶ月遅れといった感じでしょうか。今後、ある事情でエアコン管理ができませんので、床下に移動する予定です。
9月5日

長期の出張から帰ってみると、スマトラヒラタのオスたちが羽化していました。留守中、飼育ビンは床下収納庫に保管していました。出発前、真夏日に床下の温度を測ると26度でしたので、菌糸ビンも何とか耐えられるだろうという計算でした。しかし、ニュースで聞く「東京の最高気温が40度」の報道には正直、恐怖していました。
恐る恐る、床下から菌糸ビンを取り出しました。菌糸もマットも状態は悪くありません。ライトで確認すると、多くの個体が無事羽化していました。
ほっと一息。その後、1個1個ボトルを確認すると、ちょっと残念なことがありました。6月14日の体重測定で44グラムあった幼虫が、蛹室で真っ白になっていました。大型個体でしたので、高温の負担があったのかもしれません。30度を超えてしまったのかな?
羽化していた個体は、マット飼育のものが中心でした。菌糸ビンで飼育している個体には、まだ蛹室すら作っていない個体もいます。今後が楽しみです。
尚、羽化した個体の体長は後日測定してみるつもりです。80ミリ代後半の個体もいますよ!

9月10日

リアウ産スマトラヒラタの幼虫(菌糸ビン飼育)の飼育マットを交換しました。羽化していない幼虫は全部で5頭です。うち1頭は蛹室を作っています。残り4本のビンを交換しようと思いましたが、2本はそれほど痛んでいません。ヒラタの場合、自分の排泄物を再度摂取して消化を助け、大きく育つことがあります。そこで、今回の交換は、ひどく痛んでいる2本のみとしました。ただし、交換しないビンも、羽化までは持ちそうにありませんので、人工蛹室の使用が前提です。
今回交換した2頭の幼虫は、予想通り大きく育っていました。奥方がケーキ作りで、キッチン秤を使用中だったため、体重は測定していませんが、優に40グラムを超えているようでした。手持ちの菌糸ビンがありませんでしたので、添加発酵マットに移しました。ここまで大きくなれば、マットに移しても問題ないと思います。
11月25日

菌糸ビンで飼育していたリアウ産のオス(残り4頭のうち1頭)が羽化しました。羽化後、10日の個体を掘り出し、ノギスをあてると90ミリを越えていました。正確な測定は彼の凶暴さが原因で不可能でしたが(写真をご覧ください)多分、種類を問わず、我が家で羽化した最大個体であることは間違いありません。フィリピン産と違い、横幅がある分、「デカイ」という強烈な印象でした。残り3頭は彼を超えるのでしょか?
12月29日

リアウ産スマトラヒラタのオスが全て羽化しました。残っていた3頭は88mm、90mm、68mmという結果でした。この中で最も驚かされたのは68mmです。幼虫は大型で、幼虫期間も「引っ張れた」にもかかわらず、今年羽化した兄弟の中で最小サイズでした。晩夏に羽化した最小のオスが77.5mmでしたので、この個体だけとび抜けて小さいですよね!原因は今のところ不明です。

26日、この小型個体を使い、屋外越冬実験を開始しました。理由は、最近騒がれている外国産クワガタ放虫問題に於ける、外産個体の越冬能力を調べるためです。飼育ケースはマットを八分目まで入れたミニケースです。設置場所は二階のベランダの軒下です。一日中、陽が当たらない場所を選びました
本当は、地中1m位に埋めてあげると本当の実験になるのでしょうが、我が家の庭は「猫の額」ですので、諦めました。しかし、東京でも氷点下を記録する日がありますので、地熱で安定した温度の地中より過酷な環境かもしれません。
29日、追い討ちをかけるよに雪が降っています。外気温は0度に近いのではないでしょうか?。



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