タランドゥスオオツヤクワガタ(Mesotopus tarandus)

普通は「タランドゥス」と省略されて呼ばれます。 同属にレギウス(Mesotopus regius)というよく似た種類が存在しますが、こちらはやや細身で、区別は容易です。
特徴はご覧の通りの艶々ボディー。アゴの先端からお尻の先までピカピカです。まるで丁寧にワックスをかけた黒塗りの新車のようです。さらにユニークな造形美もスゴイ!我々の常識ではありえないデザインです。尚、オスの最大個体は90mmを超えるそうです。
産地はアフリカ中央部、コンゴ盆地の周辺です。
飼育は比較的容易で、日本のオオクワガタ同様、長生きするようです。入荷当初は、「ブリードが困難である」と言われ、多くのブリーダーが返り討ちに遭ったそうです。しかし、最近では先輩ブリーダー方の努力で、少しずつブリード方法が解明されてきました。カワラ材、レイシ材を使ったブリード、カワラ菌床での幼虫飼育はその一例です。しかし、アフリカ産ということもあり、採集地の状況なども詳しく解っておらず、いまだに謎の多いクワガタです。コンゴは治安が非常に悪く、今後も安定した入荷は難しそうです。


2004ー2005年の飼育日記はこちら!

2006年 飼育日記
1月23日

昨年、ブリードに成功したタランドゥスペアの、3回目に産卵した幼虫が蛹化しました。
今回もややメスの割り合いが少ないのは気にかかりますが、オスは前回、前々回よりも大型個体が羽化しそうです。
1回目、2回目に採れた幼虫は夏季の飼育だったため、エアコンを利用し、飼育温度を25度程度にキープしていました。しかし、3回目に採れた幼虫は、3令期が晩秋季にかかったため、温室飼育により、20度をキープできました。多分、蛹化のタイミングを遅らせる事が出来たと思います。その効果かどうか?・・・・蛹化したオスの蛹のサイズが、とても大きく見えます。もちろん、ビン越しの観察ですが、楽しみですね!
アフリカ産のタランドゥスにも、低温飼育は効果があるようです。アフリカというと、暑く思われるようでうが、地域、標高によってかなり違うはずです。もちろん、菌糸ビンのコンディションも影響すると思いますが・・・・・・・・・・・・・・・・・。

2月7日

ビンの底に蛹室を作った蛹たちを人工蛹室へ移しました。
前回、前々回はビンの底に蛹室を作っても全く気にしませんでした。(羽化不全なしでした)しかし、今回は大型が期待出来そうですので、念のため人工蛹室へと移しました。
今回移動した個体は3頭です。いずれも9月上旬に割り出したオスです。参考までに、データを記録します。
2月20日・D個体追記
  2005・11・11
ビン交換時の体重
2006・2・7
蛹の体重
A 32g 21g
B 33g 23g
C 25g 19g
D 29g 22g(2.20)

写真は「B」個体です。
4月13日

タランドゥスが全て羽化しました。目立った羽化不全はなく、幼虫時の死亡率も極端に低いように感じます。産卵させるのは、少し難しいかもしれませんが、孵化してしまえば、丈夫な種なのかもしれません。
今回、76mmのオスが羽化しました。2月に計測した蛹の体重が23グラムだった個体です。他にも72mm前後が羽化しました。1回目、2回目に比べ3回目に採れた幼虫たちは、「秋から冬」という絶好の気候に恵まれ大型化したようです。タランドゥスは意外と寒さに強い事から、低温飼育が合っているのかもしれません。写真右が76mm。上翅にやや凹みがあるのが残念。左は比較用の63mm

尚、データを追記いたします。幼虫の体重はビン交換のタイミングに影響されます。計測後に伸びる個体、落ちる個体もありますので、あまり参考にならないかもしれません。あくまで目安程度でしょうか?蛹の体重は、成虫の体長に直接反映されています。ご参考になれば幸いです。
  幼虫の体重 蛹の体重 成虫の体長
A 32g 21g 71mm
B 33g 23g 76mm
C 25g 19g 69mm
D 29g 22g 73mm
5月17日

タランドゥス・飛行??
飼育部屋でタランドゥスオオツヤクワガタの写真撮影をしていた時のことでした。1月羽化のオスが上翅をフカフカと動かしはじめました。
これは飛ぶのか??一瞬恐怖を覚えました。2畳の狭い部屋です。顔に飛んできてあの太い脚でクラッチされたらタダでは済みません。タランドゥスが上翅を広げた瞬間、私は「飛ぶな!」と叫び、後ずさりしてしまいました。しかし、絶好のシャッターチャンスであることも事実です。タランドゥスの離陸の瞬間が撮れたら素晴らしい事です。思い直してカメラを構えました。今度は、「早く飛べ!!」と念じました。
次の瞬間あれ?羽ばたきしていない・・・?タランドゥスは翅を広げただけで、羽ばたきすらしていませんでした。そしてそのまま、翅を閉じてしまいました。今度はガックリです。練習だったのかな??
8月3日

タランドゥス・オスの大アゴの力は凄まじいですね。飼育ケースに入れていた転倒死防止用のコロンボーが切り刻まれてしまいました。コロンボーは確かに、柔らかめのプラスティック製ですが、ここまで刻んだのはタランドゥスだけです。
そういえば、種親のオスも木製の餌皿をバラバラにしてアゴがずれてしまった事がありました。齧り好きな種類なのですね。「おー怖い!」

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