ユーロミヤマクワガタ 《Lucanus cervus》

ヨーロッパミヤマクワガタともいう。大型種では、国産ミヤマクワガタの頭部を大きくし、大アゴをさらに発展させたような形になる。鹿の角のイメージがあります。
分布はイギリス、フランス、ドイツ、ギリシャ、イタリア、スペイン、ポーランド、チェコ、シリア、トルコ などのほぼヨーロッパ全域から西アジアにかけて。
原名亜種は「ケルブス」《Lucanus cervus》と呼ばれ最もポピュラー。日本へ多く入荷される「ケルブス」は南フランス産が多いようです。産地により、変異が多く、イギリス産とギリシャ産を同亜種とみなすのは無理があるかもしれません。クワガタ飼育において、ヨーロッパは発展途上地域ですから、仕方ないかもしれませんね!ちなみに多くの国では天然記念物に指定されていて、採集は困難です。
有名な亜種に「ユダイクス」《Lucanus cervus judaicus》、「アクベシアヌス」《Lucanus cervus jakbesianus》、「トルキクス」《Lucanus cervus turcicus》が存在します。これらはトルコからシリアなどのヨーロッパ東部から西アジア地域で採集されます。入荷量が少なく、大変貴重な虫で、飼育、ブリードも難しいことから、高価で取り引きされる事が多いようです。
飼育は、国産ミヤマと同様、夏の暑さ対策が重要です。耐寒能力は国産ミヤマに近いそうです。最大サイズはケルブスで85mmを超え、ユダイクスでは10センチに達する個体も確認されています。大型個体の大アゴの造形美は感動ものです!
オスとメスの羽化時期にズレが多く、ペアを組むのが難しい事が多いようです。

写真は小型のケルブスのオス・南フランス産です。


2005年ー2006年の飼育日記はこちら!

2007年 飼育日記
5月11日
(ケルブス)

ケルブスの幼虫が蛹室を作成した模様です。
そろそろ、マット交換のタイミングだと思い、ケルブス・幼虫の飼育ビンを丹念に調べました。すると、蛹室を作成したと思われる飼育ビンを発見しました。このビンは多分、メス幼虫の飼育ボトルです。
採卵が昨春でしたので、国産ミヤマクワガタの例から言って、羽化は「二年1化」となり、来年になると予想していました。しかし、メスと思われる個体が早々と羽化の準備を始めたようです。
オスの羽化タイミングもあり、少々心配です。オスも近々、羽化すればよいのですが、晩秋または、来春にずれ込むと、寿命が短いミヤマの場合、ブリード時期が合わない可能性もあります。
とにかく、初めての経験ですので、今後の状況を見守りたいと思います。写真は蛹室?から覗く幼虫の頭部。

9月15日
(ケルブス)

ケルブス幼虫のマットを交換しました。既に蛹化?羽化?していそうなメスに比べ、オスは相変わらず幼虫のままです。このまま、越冬するつもりでしょうか?そういえば、昨年末からマットを交換していません。
掘り出して見ると、結構大きくなっていました。早速、体重測定です。17グラム。昨年末より7グラムの増加にとどまりました。これでは、70ミリに届かないかもしれませんね!しかし、今度こそ無事羽化する事を願っています。何しろ一昨年は私のミスで潰してしまいましたから・・。
12月24日
(ユダイクス)

憧れのユダイクス(ジュダイクス)ミヤマクワガタ 《Lucanus cervus judaicus》 3令幼虫ペアをゲットしました。
ユダイクスミヤマはケルブスの亜種という扱いですが、より大きくなる種類で人気も高いようです。ただし、飼育、ブリードはケルブスよりも難しく、輸入数も少ないので値段も高価です。
今回、私が手に入れる事ができたのは、先日行われた「クワカブランド」(朝霞市)の忘年会のビンゴゲームで「1等賞」を引くという幸運があったからでした。
本日、景品を受け取り、オス幼虫を1400ccの飼育ボトルへ投入しました。体重は12グラム、本年春〜夏に採れた「シリア産」のCBF1幼虫です。無事羽化させる事が出来るでしょうか?大きさよりも、無事羽化が目標です。オスは再来年の羽化予想です。


2008年 飼育日記
1月26日
(ケルブス)

ユーロミヤマクワガタ・ケルブス幼虫のマットを交換しました。
同期のメスたち3頭は多分既に羽化している様子ですが、休眠してもらうため、あえて掘り出さず、温室へも入れておりません。今回マット交換したオスはもちろん温室管理です。
掘り出すと、幼虫はアゴを振り回し威嚇してきました(写真)。「あれ?結構大きい・・。国産オオクワ並みだ。」
早速体重を測定すると26グラムあります。これなら70mmアップは確実ですね!上手くすると80mmも期待できるかも?でも油断は禁物です。先ずは無事羽化が最優先です。
2006年7月 割り出し
9月 800ccへ
12月 1400ccへ 10グラム
2007年9月 1400ccへ 17グラム
2008年1月 1400ccへ 26グラム




尚使用したマットは今回も「生オガ発酵マット」です
2月16日
(ユダイクス)

ユダイクスミヤマクワガタ・メス幼虫のマットを交換しました。昨年の忘年会でゲットしたシリア産です。
体重を測定してビックリ!14グラムもあります。あれ??昨年12月にマット交換したオス幼虫は12グラムでした。2ヶ月のタイムラグがあるとはいえ、意外な感じがします。
そこで、気になるのはオスの成長です。ビンの中で姿は見えませんが、順調に成長してくれているでしょうか?今春のマット交換が楽しみです。
ちなみにオスは温室飼育(20度)メスは「温室の上」で飼育しています。「温室の上」は温室の中よりも当然温度が低く、日々の気温差による影響を受けやすい場所ですが、メスはビンの真ん中あたりで元気に顔見せしてくれています。
使用マットは今回も「生オガ発酵マット」です
4月17日
(ケルブス)

ケルブス・メス幼虫の飼育ビン3本を割り出しました。結果は三者三様でした。
私は昨年の夏に全て羽化したものとばかり思っておりました(2007年5月11日の飼育日記参照)。羽化したものの、まだ活動を開始していないと思い、あえて割り出しを止めていました。
ところが、割り出してみると、意外にも1頭はまだ幼虫でした(写真左)。そして、残りの2頭は1頭が無事羽化(写真右)、そして、もう1頭は蛹化不全で死亡していました。

全く外見からは同じような状態の飼育ビンでしたが、結果は三者三様でした。とりあえず、生存は2頭という結果です。これは、「羽化時期をずらす」という、クワガタの種保存の本能なのでしょうか?ドルクス系には少ない、面白い結果です。

4月20日
(ユダイクス)

ユダイクスミヤマクワガタ・オス幼虫の飼育ビンのマットを交換しました。昨年12月の購入時に新しいビンへ交換して以来、久々のマット交換です。
注意したのは「お尻」を噛まないようにすることでした。ユダイクスの幼虫は気が荒いので、自らの尻を噛んで自滅する事があると聞きます。事実、掘り出したときも大アゴを大きく開いて威嚇してきました(写真)。
体重測定時、体を丸めたので、スプーンを使って尻噛みを阻止しました。可能な限り短時間(20秒位)で、次のボトルへ移しました。体重は28グラム。昨冬は12グラムでしたので、随分大きくなりました。
今回のマットも、生オガ発酵マットです。ボトルは同じく1400cc。菌糸ビンのカスを少々混入しました。

6月28日
(ユダイクス)

ユダイクスミヤマクワガタ・メス幼虫のマットを交換しました。
最近、飼育ビンの中で暴れる事が多く、マットで通気口を塞いでしまう事が度々ありました。その度に、マットを取り除いていたのですが、今回はマットの交換時期とも一致します。マットを交換し、体重を測定しました。
体重は14グラムと前回と同じでした。使用マットも前回同様、生オガ発酵マットです。今後、暴れないと良いのですが・・・。
6月29日
(ケルブス)

ユーロミヤマクワガタ・ケルブスのオス幼虫がなかなか蛹化の体勢に入りません。いつも底面でゴロゴロしています。温度変化の刺激が足りないのでしょうか?そこで、飼育マットチェンジで「きっかけ」を与える事になりました。
出てきた幼虫は元気いっぱい!黄色くも、皺くちゃでもありません。困ったものです。この交換が刺激になってスイッチが入ってくれると良いのですが・・。残念だったのは体重が減少していた事です。3グラム減の23グラムでした。
2006年7月 割り出し
9月 800ccへ
12月 1400ccへ 10グラム
2007年9月 1400ccへ 17グラム
2008年1月 1400ccへ 26グラム
6月 1400ccへ 23グラム


尚、今回も、「生オガ発酵マット」を1400ccの透明プラボトルへ詰め、使用しました。
9月15日
(ユダイクス)

Oh!My God!!残念なお知らせです。ユダイクスミヤマクワガタのオス幼虫が死亡しました。
前回のマット交換は4月でした。そろそろマットを交換しようと、飼育ボトルを観察すると、表面に白いカビのようなものが見えます。さらにその奥に白い物体が横たわっているのがかすかに確認できました。その白さは幼虫の色ではありませんでした。この時点で私はユダイクスの死を覚悟しました。
掘り出してみるとカビに覆われ、黒く変色した幼虫が出てきました。
原因は何でしょうか?温度は23ー24度で管理しましたが、やはり温度が高かったのでしょうか?個人的には、個体の問題であると解釈しています。こうなったら、何が何でもケルブスには頑張って羽化して欲しいものです。


2009年 飼育日記
3月29日
(ユダイクス)

ユダイクスミヤマクワガタのメスが羽化しました。飼育ビンの外見からは分からず、マットを交換しようとしたところ、メス成虫が出てきました。
飼育ビンは加温せず、冬の室温での飼育でした。暖冬とはいえ、気温は10度前後まで下がることもあったと思います。という事は、多分昨年秋に羽化、そのまま越冬した可能性が高いと思います。
しかし、残念な事に唯一のオス幼虫は昨夏、死亡してしまいました。せっかく羽化したのにパートナー不在。残念です。
5月29日
(ケルブス)

ケルブスのメスが羽化!飼育ボトルの表面に出てきました。
2006年夏にブリード・4頭採れた幼虫のうちの1頭です。1頭は多分オス、メス3頭のうち1頭は死亡、もう1頭は昨年春に羽化していました。
最後のメスが無事羽化し、残るオスの羽化を待つばかりとなりました。しかし、このメスは多分、昨秋に羽化し、蛹室で越冬した即ブリ可能なメスです。オス幼虫はといえば今春3月まで幼虫であったことを確認しています。現在蛹化、羽化へ向かっていると予想されますが、たとえ無事今夏に羽化したとしても直ぐにブリードには使えません。メスとはブリード時期がずれるのは明白です。ミヤマにありがちな「ズレ」ですね。それにしても、オイ!オス!!3年かい・・・・。

6月1日
(ケルブス)

思い切ってケルブス・オス幼虫の飼育ビンを割り出してみました。私の予想では、蛹・・・?
ビンの中のマットを慎重に掻きだしていくと、堅い壁面にぶつかりました。これは蛹室の壁面に違いありません。思い切って割ってみると・・・・幼虫の体が確認できました。しまった!最悪の状態で割り出してしまったのか・・・。幼虫が蛹室を作り終え、まだ前蛹になる前に割り出してしまうと、多くの場合、幼虫は蛹室を放棄してしまいます。
恐る恐る確認すると、体に皺があり、「ぶよぶよ」しています。良かった!前蛹です。この状態ですと、露天掘りにしても、そのまま蛹化してくれます。今回は人工蛹室へ移しました。意外だったのは、蛹室のサイズが約8センチと小さかった事です。ここまで丸3年もかかったくせに!!大型個体は期待できないかもしれません。

6月18日
(ケルブス)

先日掘り出したケルブスが蛹化しました。
あれ??でも何か変です。そうです、非対称なのです。後脚が変ですね。せっかくここまできたのに残念です。前蛹で割り出したタイミングが悪かったのでしょうか?
つくづく私はケルブス・オスに嫌われているようです。2005年12月には幼虫を潰してもいます。私に出来る事はただ無事羽化を願うだけです。

7月13日
(ケルブス)

ケルブスの蛹が色づいてきました。そろそろ羽化・・かな?
前回報告したとおり蛹の形状が左右非対称で心配していたケルブスですが、何とかここまでやって来ました。問題の後脚ですが、無いわけではなく、位置が違っています。この状態で無事羽化は期待出来ませんが、羽化不全で死んでしまう程ではないという微かな期待もございます。あと数日?したら結果が出るかもしれません。先に羽化して待っているメスのためにも頑張って欲しいものです。

7月13日
(ケルブス)

ケルブスはやはり羽化不全でした。かすかな期待は完全に打ち砕かれました。
3年前(2006年)の夏に3ケースをセットし、やっと採れた幼虫はたった4頭でした。オスらしき幼虫は1頭のみでした。4頭のうち、1頭は蛹化不全で死亡。2メスは羽化しましたが、1メスは昨年死亡、今年羽化したメスも本日確死亡が確認されました。
2006年7月 割り出し
9月 800ccへ
12月 1400ccへ 10グラム
2007年9月 1400ccへ 17グラム
2008年1月 1400ccへ 26グラム
6月 1400ccへ 23グラム
2009年6月 人工蛹室へ 前蛹

ユーロミヤマとは相性が悪いのでしょうか?産まない、育たないの連続です。2005年冬には餌交換時にオス幼虫を潰してしまいました。ユダイクスのオス幼虫も昨年死亡しました。呪われているのでしょうか?今回は生きてはいますが長生きは難しそうです。
全ては私の飼育技術の未熟さが原因です。

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