スジブトヒラタクワガタ 《Dorcus metacostatus》

スジブトヒラタクワガタは、日本特産のクワガタです。奄美大島、徳之島などの奄美群島にのみ生息しています。現地では数が多く、バナナトラップなどで簡単に捕獲できるそうです。
特徴は、なんと言っても上翅の「スジ」です。名前の由来にもなったスジ(点刻列)がオス、メスともに明確にあり、特にメスの点刻列は非常に深く、美しいと思います。オスの点刻列は大型になるとやや薄くなる傾向にありますが、世界中のクワガタの中で、オスにここまで明瞭な点刻列が存在するクワガタはスジブトヒラタだけでしょう。
大アゴも特徴的です。「ヒラタ」とは異なり、下方に緩やかに湾曲していて、先端は鋭角に内側に切れ込んでいます。一見、セレベスヒラタの形状に近いようですが、湾曲の具合はダイオウヒラタを彷彿させます。(ちょっと大げさでしょうか??)
オスの最大個体は60mm後半位と、中型のクワガタですが、気性は他のヒラタの例に漏れず凶暴で、ペアリングには注意が必要です。
飼育温度は奄美大島の年間気温が参考になりそうです。本州に生息するヒラタクワガタとは異なり、亜熱帯地域のクワガタ的な生態かもしれません。しかし、高所に生息していることから、やや低めが適しているとも思います。産卵はマットと産卵木、両方に産むそうです。尚、他のヒラタとは交雑しないようで、完全に独立した日本の「特産品」なのかもしれません。「クワカブランド」の木下店長の弁ですが、「日本が世界に誇れる固有種」というのもうなずけます。


2005年ー2006年の飼育日記はこちら!

2007年 飼育日記
1月27日

本日東京はとても暖かく、最高気温は14度を超えたそうです。我が家の飼育部屋も17度を記録しました。
ここで起き出してしまったのがスジブトヒラタのオスです。昨冬、彼はなかなか冬眠してくれず、12月末まで活動していました。やっとマットに潜ったと思ったら、今日のポカポカ陽気で再び目覚めてしまいました。
現在、産地である奄美大島の最高気温は14度ー17度、最低気温は10度前後です。東京と比べると、かなり暖かいですね。現地でも春を待ちきれず、早起きする個体がいるのでしょうか?
とりあえず、餌を交換し、目覚めのシャワーを浴びせました(写真)。
11月10日

スジブトヒラタクワガタのブリードを開始しました。
スペースの関係、そして私の多忙さもあり、本来は今春にブリードする予定だったスジブトヒラタのブリードは頓挫したままでした。
今回の種親は昨年夏に羽化したオス64mmとメス43mm2頭です。
「とりあえず、お見合いをさせなきゃ!」と3頭を並べ写真を撮影しようとすると、あっ!という間に喧嘩が始まりました。なんという喧嘩っ早さでしょうか・・。しかも、メス2頭がオスの脚に噛み付き離しません。オスは悶絶寸前、機を見て挟み返します。これでは「お見合い」どころではありません。
何とかオスを切り離すと今度はメス同士が取っ組み合いを始めました。本当に気の荒い連中です。
このままでは、ブリードどころではありません。思い切って「愛の小部屋」に収容(メスは交代で)しました。3−4日経って餌が無くなっていたら無事交尾完了だと判断します。もちろん、メスの安全のために毎日の観察も必要です。
12月6日

先月、ペアリングしたスジブトヒラタクワガタのメスは2頭とも無事「愛の小部屋」から出てきました。雰囲気から察するに交尾は行われたと推察します。餌も完食しておりました。
そこで、メス2頭を産卵セットへと移動させました。スペースの都合上、小ケース×2でのセットです。マットは生オガ発酵マット(上部は埋め込みマット)、産卵木は柔らかめのコナラのホダ木を使いました。設置場所は温室の一番下の段です。ここはヒーターの加熱時、最も温度の高い場所です。季節柄、スジブトのメスを騙せたらラッキーです。血筋を絶やさないためにも、少しでも産んでくれることを願います。


2008年 飼育日記
3月10日

昨年セットしたスジブトヒラタクワガタの産卵セット2ケースを割り出しました。しかし、案の定、産卵の形跡は全くありませんでした。メスは産卵木の下でお休みでした。
温室で加温して産卵させようとしましたが、やはり玉砕しました。どうやら管理する場所(ケース内外)の湿度が足りなかったのかもしれません。そして、20度という管理温度はスジブトにはやや低めだったのでしょうか?気を取り直して、再セットしました。もう春ですから動き出してくれることを願います。さらに今回は気合入れに、片方のケースにはオスも同居させます。無謀でしょうか・・。
6月15日

昨年秋以来、音沙汰の無かったスジブトヒラタクワガタが産卵、幼虫が採れました。
ブリードに成功したのは、2ケースセットしたうち、オスと同居させていた1セットだけでした。ケースの底面に幼虫が確認できましたので、割り出してみました。
数頭の幼虫と卵が10個程度で、決して大漁ではありませんが、満足できる結果です。今回、改めてメスの「やる気」を出させるのは難しいな・・と思いました。
幼虫たちは生オガ発酵マット入りのプリンカップで保管します。

トップページへ            クワガタ飼育へ