2005年 飼育日記
2月17日

以前から興味津々で、一度は飼育したいと思っていたスジブトヒラタクワガタのペアを朝霞市の「クワカブランド」で購入しました。今回購入した個体は奄美大島宇検村産F3です。オスのサイズは53mmと小柄ですが、最大の特徴である上翅の「スジ」が明確に刻まれていて、美しい個体だと思います。羽化したのは昨年の秋ですので、この春にブリードが可能だと思います。「クワカブランド」にはまだ、数ペア在庫がありましたので、興味のある方は早い者勝ちですよ!
ところで、このスジブトヒラタですが、かなり凶暴ですね!メスとお見合いさせると、あっさり攻撃を仕掛けました。ペアリング時は気をつけないといけませんね。
4月21日

スジブトヒラタのハンドペアリングにチャレンジしました。スジブトヒラタは多くのヒラタクワガタの例に漏れず気性の激しいクワガタです。そこで、成熟度とコンディションを確認するため、目の前で「お見合い」をさせました。
えっ!?いきなり、オスがメスを挟み、リフト・アップしてしまいました。すかさず、ブレークさせましたが、余りに「いきなり」でしたのでで、驚きました。気を取り直して再チャレンジすると、今度は上手くいきそうです。メスはオスの下に潜り込み、オスは触覚でメスを調べています。いい雰囲気です・・・。ところが、何かの拍子にオス、メスがもつれて転がった途端、オスが再びメスに攻撃を開始しました(写真)。どうやら、まだオスが「その気」にならないようです。実はオスの「食い」が悪かったので、「やはり」という感じでした。今の状態で同居させるのは危険ですので、また暫く別々に飼育して様子を観察したいと思います。

5月27日

スジブトヒラタのペアを「愛の小部屋」に投入しました。前回のペアリング失敗から1ヶ月が経過しました。やはり、「ヒラタ系」は人前で交尾はしないようです。オスが人間の姿を見ると興奮してしまい、交尾どころではありません。仕方がありませんので、「愛の小部屋」で同居させる事になりました。メスが逃げれるように、マットを厚く敷きました。夜、オス・メスが仲良く餌場にいたらペアリングは終了なのですが・・・・オスが凶暴につき、心配です。
6月15日

スジブトヒラタクワガタのメスを産卵セットへ投入しました。
「愛の小部屋」を、夜な夜な観察しましたが、ついに決定的瞬間は観察できませんでした。オスは常に餌場をガードしていましたが、メスはケースから逃げ出そうと毎晩カサカサと音を立てていました。もしかしたら、知らぬ間に済ませたか???メスは産卵場所を探しているのかも?一縷の希望を託しメスを小部屋から出しました。
セット内容は、中ケース、クワマット、クヌギ産卵木2本、夏菌材1本です。材は柔らかめを選択、2本はマットに埋めました。メスの好みを考え、材の柔らかさの違う材を選びました。

7月29日

スジブトヒラタのブリードに成功しました。
セット開始から1ヵ月半が経過しました。そろそろ割り出しのタイミングです。しかし、「ケース底面に幼虫の姿が見えたら」というスジブトの「割り出しサイン」が見えません。しかし、材を削っている様子ですので、割り出しを開始しました。
結果は初令幼虫8頭、卵7個でした。幼虫7頭は材から出てきました。特に一番下に埋めていた産卵木から多くの幼虫・卵が採れた事から、メスが多湿の産卵床を好む事は間違いなさそうです。
問題はマットに殆ど産卵していなかった事です。スジブトの産卵床としては水分が足りなかったのでしょうか?これは今後の課題となりそうです。
「採卵が難しい」、「クセがある」といわれるスジブトでしたが、何とかブリードに成功しました。次の目標は親のサイズ53mm超えです。
8月8日

スジブトヒラタクワガタの幼虫を菌糸ビンへ投入しました。
スジブトの幼虫はマットでも飼育OKですが、菌糸ビンで飼育すると「より大きく」育つそうです。
今回使用する菌糸ビンは「月夜野きのこ園」さんのエレメントシリーズの新作・800ccのボトルです。素晴らしい事に、1100ccと直径が共通(10センチ)です。さらに24個以上の購入で「単価が220円」と財布に優しいお値段です。初令幼虫用の1本目、またはメス用に最適ではないでしょうか?スジブトなら、オスにもOKだと思います。
10月12日

菌糸ビンへの投入から約2ヶ月が経過しました。スジブトヒラタの幼虫は順調に育っているのでしょうか?菌糸ビンの表面に食痕がなかなか現れず、心配していました。
さらに、雑誌に掲載されていた飼育記事に、「スジブトヒラタの幼虫は菌床に合わない事が多い」という文面がありました。事実、多くの先輩方はマットで飼育しているという情報もあります。
全滅!?も覚悟しました。ところが最近、多くのビンに食痕が見られるようになりました。中型の種類なので、「食い」が遅いのかもしれません。菌糸ビン自体も痛みはなく、ビン交換はまだ先になりそうです。
11月14日

スジブトヒラタクワガタの幼虫を入れている菌糸ビンの食痕は順調に増えているようです。心配された「餌が合わない」トラブルはなさそうです。
投入から3ヶ月以上経過しました。このまま、1本のビンで羽化させるのか、タイミングを見計らってビン交換するのか判断に悩まされそうです。普通なら、そろそろ交換時期なのですが、まだ菌床は痛んでいません。小型個体ですので、餌の量は800ccで十分かもしれません。新しい菌糸ビンへ移した途端、ショックですぐ蛹化という事態は避けたいですから。今後は、観察を続けながら判断したいと思います。
12月22日

キュー、キュー、キュー、Qちゃん・・・。マラソンの高橋尚子選手の顔が脳裏を過ぎりました。
キュー、キュー、9グラムの幼虫ばかり出てきました。
最初からお話します。スジブトヒラタの幼虫の菌糸ビンを交換しました。
最初の投入が8月8日ですので、4ヶ月半での交換となりました。引っ張った理由は過去日記の通りです。食い上がった様子は全くありませんが、ビンによっては、表面が変色しているものもありましたので、丁度良いタイミングかもしれません。
1本目から9グラム、2本目9グラム、3本目9グラム・・9グラム・・えっ!?キューグラムばかりです。オス?メス?同じ重さなのだろうか?初めて飼育する私はパニック状態。6本目まで全てキューでした。
ところが、7本目からは大きな幼虫が出てきました。15グラムです。オスはやはり、大きくなるのですね。ということは・・・。気を取り直して次を掘り出しました。しかし、8本目もキュー、9本目はジューでした。
私が飼育しているスジブトヒラタの幼虫は現在、13頭です。残り4頭です。このままで、終われるかと、10頭目を掘り出すと、16グラムの幼虫が出てきました。ここで、私の体力が尽きました。
結果、10頭中7頭がキューグラムでした。10頭中8頭がメスの公算大です。またもや恐ろしい確率に遭遇してしまったのでしょうか?オス2頭にメス8頭ですかね?残りの3頭も期待はできません。多分、キュー、キュー、キュー。


2006年 飼育日記
1月6日

スジブトヒラタは眠らない?いきなり新年初喧嘩です。
昨年ブリードに成功した種親のスジブトヒラタクワガタ・ペアは冬眠する気配がありません。国内産なのに・・・南国産だからでしょうか?飼育部屋の室温は12度前後。寒い日は10度を下回る事もあります。国産オオクワガタはぐっすりお休みしています。
オスは餌皿の下に張り付いていますが、取り出すと威嚇してきます。メスは毎日のように脱走しようとカリカリと音を立てています。ツーショットの写真を撮ろうとメスを横に置いたところ、いきなり夫婦喧嘩が始まりました。メスがオスの大アゴに噛み付き、オスも応戦しました。喧嘩っ早い夫婦ですね!元気いっぱいです。
早速、産地である「奄美大島・宇検村」の気温を調べてみました。ここ数日の最低気温は9度ー15度、最高気温は15度ー20度でした。
最低気温は我が家の飼育部屋の室温と一致します。現地では活動が鈍くなる時期はあっても、冬眠はしていないのかもしれません。
2月16日

スジブトヒラタクワガタの幼虫が蛹室を作り始めました。昨年の飼育ビン交換時に9グラムだった幼虫です。7月に採った幼虫ですので、小型種であることを考えれば、順調な途中経過です。しかし、9グラムの幼虫が全てメスだとすると、恐ろしい程の偏りになってしまいます。さてさて、どうなることやら・・・。
ところで、種親のペアは冬眠を開始した様子です。なかなか冬眠しなくて心配していましたが、ケースとマットを交換したところ、無事冬眠したようです。マットの上に出て来なくなりました。

3月18日

スジブトヒラタ・メスが蛹化しました。
早速、観察のために掘り出し、人工蛹室へと移しました。驚いたのは、上翅になる部分にスジがある事です。写真でお分かりでしょうか?中脚と後脚の間の部分です。他のクワガタの蛹の写真を見返してみましたが、ここまで、明瞭なスジは発見できませんでした。蛹の時代からスジブトなのですね!
尚、オスも蛹室を作り始めた様子です。
5月1日

スジブトヒラのメスが羽化しました。
羽化後、数時間といったところでしょうか?まだ、上翅はオレンジ色ですが、確かに「スジ太」です。このメスを皮切りに、メスは羽化ラッシュを迎えそうです。
しかし、悲しきかな・・・オスと確認できるのは2頭だけ・・・現在、蛹です。
5月8日

スジブトヒラタ・オスも無事蛹化しました。
観察するために、オスたち(2頭)の蛹を掘り出してみました。幼虫時の体重は、16グラム、と15グラムでした。蛹の体重を測定すると、共に12グラムです。この体重が大きいのか小さいのか分かりませんが、10頭中、確認できた貴重なオス2頭です。羽化が楽しみです!
5月20日

スジブトヒラタクワガタのオスが羽化しました。
一昨日から、蛹の頭部が黒くなり、近づく羽化を知らせてくれました。今回の楽しみはサイズです。どう見ても親のサイズ(53mm)は軽く越えています。ノギスは当てられませんが、60mmを越えていると思います。数日後の測定が楽しみですね!「65mm」いくかな?
5月27日

羽化したスジブトヒラタのオスのサイズを測定しました。「61.5mm」でした。ウーン・・・ちょっと期待はずれです。目標の60mmミリは越えたのですが、正直、欲が出てしまいました。ちなみに、現在のブリードギネスは69.7mmだそうです。
ところで、もう1頭のオスも羽化しそうです。(写真)幼虫時の体重はこちらのほうが1グラム大きい16グラムだったのですが、蛹の体重は同じ12グラムでしたので、成虫のサイズも大差ないものと思われます。
6月5日

もう1頭のオスが羽化しました。羽化したのは、数日前です。出来るなら、サイズを測定したかったのですが、尻も収まらない「固まっていない個体」です。ノギスを当てるのは、未だちょっと無理な様子です。そこで、前回羽化した個体と並べてサイズを推察してみました。
いかがでしょうか?前回の個体より、やや大きいようです。蛹のサイズは同じ12グラムでした。しかし、メーターの最小測定値が1グラム単位ですので、「12.4グラム」と「11.6」グラムだった可能性もあります。
後日、実際にノギスで測定するのが楽しみになりました。
6月11日

新たに羽化したオスの体長を測定しました。予想通り、前に羽化したオスよりも大きいようです。慎重にノギスを当ててみました。64mmあります!!やったね!
元々は親のサイズを超えるのが目標でした。しかし、幼虫の体重を測定するうちに目標は「60mm超え」に変わりました。そして、自分としては納得の「64mm達成」となりました。
しかし、まだまだ謎が多く、最適な飼育方法が確立されていないクワガタです。一部には70mmオーバーの報告もあります。皆様も是非チャレンジしてみてください。

8月9日

6月に羽化した64mmのオスが後食を開始しました。羽化から、約2ヶ月での食べ始めです。足腰もしっかりしてきました。大アゴを振り回して威嚇する凶暴さは正にヒラタそのものです。
嫁さん候補のメスも既に、後食を開始しています。43mmある大型メスを2頭です。大型同士の子供は大型になる傾向があります。私が使う菌糸ビンにも慣れたはずですし、次世代は期待できそうです。
ところで、ブリードのタイミングに迷っています。早ければ、今夏にも可能かもしれません。それとも、安全策で来年にしましょうか?
9月10日

スジブトヒラタクワガタのペアリングを開始しました。♂64mm・♀43mmの大型ペアです。オスの羽化は6月上旬、メスは5月下旬です。本来なら来春のペアリングが理想ですが、メスが2頭いる事もあり、余裕のペアリング開始です。共に、餌を良く食べております。
「お見合い」の結果、双方共に成熟が確認出来ましたので、2泊ほど、「愛の小部屋」で同居させます。
9月22日

スジブトヒラタのメスを産卵セットへ投入しました。中ケースに「月夜野キノコ園」さんの「クワマット」とクワカブランドさんの「カブトマット」を半分づつ入れました。勿論底面は固めに詰めました。産卵木は柔らかめの夏菌材1本をマットに埋めました。マット産卵が有力な種類ですが、過去に私のセットでは、産卵木に多く産みました。設置場所は1階の階段下です。温度管理は致しません。
10月29日

残念ながらスジブトヒラタ・メスは産卵していませんでした。マット、産卵木ともに産卵の形跡は全くありませんでした。
これはセットに問題があったわけではなく、単にメスの生理的な原因だと思います。気温が日々下がっていく時期でしたので、メスは休眠モードにはいったようです。もう少し早めにセットするべきでした。
でも、本来なら来春の産卵がベストですよね!「国内産ヒラタは羽化年内には産卵しにくい」とも聞きます。幸い、割り出した産卵木、マットの状態は良好です。セットを戻し、メスを入れ、来春まで放置してみます。



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