パーキンソン病治療ガイドラインの改訂(2011年5月)
日経メディカルオンライン 2011. 6. 3
2002年度版
 ・70歳以下および認知症のない場合はドーパミン受容体刺激薬のドパミンアゴニストから治療を開始
 ・70歳以上または認知症がある場合はL-ドパから治療を開始
・2011年版
 ・認知症または70〜75歳以上の高齢者、重症で転倒のリスクが高い場合は、L-ドパで治療を開始
 ・それ以外は、ドパミンアゴニストで治療を開始
ドパミンアゴニストはL-ドパにやや劣る
・重症、転倒のリスクが高いなどすぐに症状改善が必要な場合はL-ドパから治療を開始
ドパミンアゴニストで治療開始はL-ドパで開始した場合より3〜10年間は運動障害発現のリスクが低くなる
ドパミンアゴニストの副作用
 ・末梢性浮腫、日中過眠、幻覚
 ・麦角系ドパミンアゴニストでは心臓弁膜症の発生
長期のドパミンアゴニストの使用に際してはL-ドパとの併用、症例に適したドパミンアゴニストの選択
wearing off時の対応
L-ドパを1日3〜4回、もしくはドパミンアゴニストの投与を開始、増量、変更
・不随意運動のジスキネジア
 ・ある場合
  ・L-ドパの1回量を減らし、エンタカポンまたはゾニサミド併用する。
 ・ない場合
  ・エンタカポンセレギリンまたはゾニサミドの併用
  ・その後、L-ドパの頻回投与およびドパミンアゴニストの増量や変更
  ・コントロール出来ない場合手術療法の検討
・中枢神経系の変性や脱落、薬物などにより現れる幻覚・妄想の治療
 ・幻覚・妄想の誘因となった薬物があれば中止
 ・抗コリン薬、アマンタジン、セレギリンの中止
・それでも変化がない
   ・ドパミンアゴニストを減量・中止
   ・ゾニサミド、エンタカポンを中止
   ・症状が治まらない場合はL-ドパを減量
   ・非定型抗精神病薬の投与
   ・それでも悪化する場合は定型抗精神病薬の投与
   ・上記の薬物の減量・中止に併せてコリンエステラーゼ阻害薬の追加
エンタカポン(コムタン錠100mg)2007年1月26日承認
・COMT(カテコール-0-メチルトランスフェラーゼ)阻害薬
・併用によりドパミン製剤の治療効果を増強する
・レボドパは、脳内でドパミンに変換されで効果を発揮する
・末梢でレボドパの代謝酵素(COMT)を阻害し血中濃度低下を防ぐ
セレギリン(商品名:エフピー錠2.5mg)1998年12月使用認可 
・選択的MAO-B阻害薬(B型モノアミン酸化酵素阻害薬)
・当初は抗うつ剤(デプレニール)として使用されていた
・抗うつ効果は弱い
・レボドーパとの併用でドーパミンの作用の増強・延長効果
・レボドーパの用量削減剤効果あり
ゾニサミドは、抗てんかん薬として販売されているエクセグランである。
エクセグラン錠100mg、エクセグラン散20%ほか
・ゾニサミドのパーキンソン病に対する作用機序も完全には解明されていない
・従来の薬剤とは異なる作用機序が考えられる
 ・レボドパ投与時に線条体細胞外液中で起こるドパミンレベルの上昇を増強
 ・MAO-B阻害作用
 ・ドパミン代謝回転の抑制作用
 ・チロシン水酸化酵素活性亢進作用
・投与量
 ・1日1回25mgでてんかん治療の4分の1
ドパミンアゴニスト
・麦角誘導体アゴニスト :比較的強いが、副作用もかなり強く、効果持続時間はL-DOPAより長い
 ・ブロモクリプチン(パーロデル) パーキンソン病の症状全体に効果あり、First Choice
 ・ペルゴリド(ペルマックス) 効果はかなり強いが、消化器系の副作用が強い、通常1日3回の内服。
 ・カベルゴリン(カバサール) 作用時間が長く、1日1回の内服、副作用は比較的少ない。
・非麦角誘導体アゴニスト
 ・タリペキソール(ドミン) 消化器系の副作用は少ないが、眠気あり、不眠、不安感の強い患者に
 ・ロピニロール(レキップ)
 ・プラミペキソール(ビ・シフロール) アメリカでの商品名はミラペックス
・レボドパの使用時期を遅らせることが出来る
・ジスキネジアの改善がみられる
・ペルマックス、レキップで治療での治療開始でジスキネジアの発現が遅延
・パーキンソン病の初期治療にはレキップ、ペルマックス、ビ・シフロールを推奨。
Wearing-off現象
L-ドーパの薬効時間が短縮し、L-ドーパ服用後数時間を経過するとL-ドーパの効果が消退する現象をいう。

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