病院・介護専門ファンド
野村設立へ、2000億円規模、経営透明化促す
日経新聞2006.4.18朝刊
 野村証券グループは病院や介護施設が保有する不動産だけを購入する2千億円規模の投資ファンドを作る。国内初となる医療特化型の不働産投資信託(REIT)として上場も視野にある。

銀行融資以外の資金調達手段を提供することで、多額の資金が必要な病院建て替えや高度医療機器の導入などがしやすくなる。投資家への経営情報の蘭示が連年病院経営の透明化にもつながる。

 野村グループは新ファンドの運用を受け持つ新会社を持ち株会社である野村ホールディングス(HD)の100%出資で四月中に設立する。アアンドには野村HDが最大で2百億円の白己資金を投じる計画のはか、国内外の大手機関投資家からも出資を募って、今夏にも投資を開始するとみられる。
 ファンドでは病院や介護施設が所有する土地・建物の不動産を購入。病院側は売却後に医療施設をファンドから賃借りする形をとり、ファンドは、受け取った賃料を原資に投資家に配当金を支払う。Tとして公開し、一般の個人投資家への販売を検討する。

1980年代に相次いで開業した病院が老朽化で建て替え時期にきているはか、高度医療サービスの普及で高額な医療機器を購入する必要がでている。業界の推計では今後1,2年でこうした資金需要が1兆〜2兆円発生する見通し。従来、医療機関は資金調達を銀行や福祉医療機構からの借入金で賄ってきたが、野村は新ファンドによる資産購入により、病院の資金調達を多様化させることになる。

 ファンドの投資家が受け取る配当金は病院が支払う施設の賃借料が原資となるため、病院側には財稀状況などの経営情報を投資家に開示する必要が出てくる。外部からは中身が見えづらかった病院経営に市場のメカニズムが働き、経営が透明化する効果もある。

 野村は新会社で公募債の発行を支援するほか、全国支店網が持つ情報を活用して病院のM&A(合併・買収)案件を発掘していく。大手医療グループである麻生(福岡県飯塚市)と提携し、経営不振に陥った病院に対する経営改善のためのコンサルティング事業や人材派遣なども手がける考えだ。
投資家から集めた資金を不動産で運用し、賃貸収益や売却益などを配当金として投資家に分配するもの。株式投信や公社債投信の運用対象が不動産になったもの。Real Estate Investment Trust、略してREIT(リート)という。

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