栄養剤注入チューブで医療事故
日経新聞 2006.10.1
 鼻から胃に通す栄養チューブや、胃や腸に直接栄養剤を入れるチューブの取り扱いミスによる医療事故が、2006年6月までの1年9カ月間に全国約560病院で29件あったことが、財団法人「日本医療機能評価機構」の集計でわかった。このうち2例は患者が死亡し、大半の患者に障害が残ったという。

 初回や交換の際にチューブを肺などに誤挿入するケースが多く、同機構は「正しく挿入されたかは胃液の逆流などで確認してほしい。入った後でもずれることがあり、十分な観察が必要だ」と指摘している。

 病気やけがで食事をとれない患者には、かつては点滴による栄養補給が多かったが、最近は鼻からのどを通して胃に挿入する経鼻チューブや、腹部から内視鏡で胃や小腸にチューブを挿入する方法が増えている。

 経鼻チューブなどは、介護施設や在宅療養でも使われ、取り扱いミスによる医療事故が増加。2006年9月にも新潟市民病院で入院中の女性患者(当時70)の肺に誤って経鼻チューブを挿入し、患者が肺炎などのため死亡する事故が起きた。

 今回集計された29件は、2004年10月から2006年6月までに全国の主要な約560病院から、第三者機関である同機構に医療法に基づいて報告された分。

 事故原因別では、胃に入れるチューブが肺や腹腔(ふくくう)に入り、臓器を傷つけたり炎症を起こしたりしたケースが21件に上った。発生時点は交換が15件、初回が5件だった。

 死亡した2件は20代と70代の男性。20代の男性は慢性呼吸不全の状態で、経鼻チューブを誤って気管に挿入した直後に脈拍が衰え、心肺停止となった。70代の男性は腸へのチューブに栄養剤を注入中、嘔吐(お
うと)物が肺に入ったのを見落としたため死亡た。

 新生児集中治療室(ICU)で新人看護一人でチューブを誤って肺に入れたケ−スもあった。同機構は注射器で胃液を吸いげたり、造影剤でエックス線撮影するなど、チューブの位置確認を徹底してほしい」と呼びかけている
私見)
全例で造影剤による位置確認が現実に可能なのか、現場を見ない人が簡単に言うべきではないだろう。
在宅や介護施設ではおそらく今後事故が増えるだろう。
肺にチューブが入ったのと腹腔にチューブが入ったのでは大違い。集計を区別すべきだ。

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