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ANCIENT SHORES

  • 著者:ジャック・マクデビット著 (Jack MacDevit)
  • 発行:2000/EOSbooks US $5.99
  • 本邦未訳 (2004年10月読了時)
  • ボキャブラ度:★★★★☆
     ※個人的に感じた英単語の難しさです。

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 予備知識無く、タイトルだけ気になって買いました。
 ジャック・マクデビットは、 邦訳は「ハリダンの紋章」上下(早川文庫 : A Talent for War,1989) のみですが、奥付を見るとアメリカでは結構名の知れたSF作家のようです。しかし、税関史、タクシー運転手、英語教師、州税関区職員養成官など職を転々としているようで、SFだけでは喰っていけないんだなーと同情してしまいます。


 本書は、一応SFの体裁をとっているものの、ポリティカルフィクション風をねらったようです。その目論みはあまり成功しているとは思えませんが、アメリカの田舎の生活やローカルな航空業界の話などが、なかなかリアルで興味を惹かれました。アメリカローカル版「スター・ゲート」という感じでしょうか。
 物語の最後にある強力な援軍が現れるのですが、おいおい、こんなこと書いて、訴えられないのかよ…。 それと、謎の「ビジター」の伏線はどうなっちゃったの?

●ストーリー●


 海から遠く離れたノースダコタで農場を営むトム・ラスカーは、自分の麦畑に新品のヨットが埋められているのを発見する。マスコミには犯罪かいたずらと思われ、三文ネタにされてしまう。しかし、トムの飛行機仲間だったマックスが興味を持ち、民間の調査機関に調査を依頼する。その結果、驚くべき事実が分かる。掘り出されたヨットは、これまで地球上で知られていない、全く劣化しない物質でできていたのだ。


 調査員のエイプリルは、ヨットが五大湖の水位が現在よりも高かった一万年前に埋没したとすると、当時の港がその標高のどこかにあるはずだという仮説を立てる。エイプリルとマックスは、古代の海岸に沿って探知機で捜索を続け、ついにインディアン・スー族の居留地の丘で、埋没している構造物のを発見し「ラウンドハウス」と名づける


 発掘されたラウンドハウスは、一万年を経ても稼働する驚くべき機能を維持していた。それは異なる恒星の惑星へのスターゲートだったのだ。エイプリル達は、ラウンドハウスの建造者の正体も分からないまま、エデンと名づけた処女惑星や、用途不明の迷路惑星へ移動し、調査を行う。一方、この発見が明らかになるにしたがって、世界では大混乱が起きていた。劣化しない物質や、転送システム、惑星からの石油の流入により損害を被る企業が、政府を動かしラウンドハウスを破壊しようとする圧力が高めていたのだ。


 しかし、土地の所有者であるスー族は、500年前の白人による侵略の雪辱を果たし、ラウンドハウスを守るために、徹底抗戦を決意する。ついに、政府の秘密部隊がラウンドハウスの攻撃を始めたとき、武器も力も持たない援軍がやってくる……。




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