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Darwin's Children

  • 著者:グレッグ・ベア
  • 発行:2003/DelRayBooks $7.50(マスマーケット版)
  • 474ページ
  • 本邦未訳 (2007年5月読了時)
  • ボキャブラ度:★★★★☆
     ※個人的に感じた英単語の難しさです。

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 2000年に邦訳が出た『ダーウィンの使者』の続編です。本書も翻訳を期待して数年待ちましたが、音沙汰がないので原著に手を出しました。

 新人類の娘を産んだケイとミッチの逃避行の物語と、新人類の運命が描かれます。前作がパニック映画風だったのに対し、本作は逃走と家族愛がメインテーマです。

 残念なのは新人類の能力の設定で、匂いとそばかす、超早口でコミュニケーション行えるという程度で、その他の能力や外見は現生人類とほとんど変わりません。一般人の反応は「お前、臭いぞ」とコンビニから追い払われたりする程度で、SFとしてはいささか物足りません。もうひと工夫ほしかったところです。

 また、今回も解決されない伏線や謎が残り、やや冗長な印象が残ります。

 ただ、読んでいる間はストーリーテーリングのうまさで飽きさせないので、完結編として読む価値はあると思います。

●ストーリー●

 人間の遺伝子に潜んでいたレトロウイルス・シェヴァが、人類の進化を引き起こすことを突き止めた生物学者のケイは、自ら新人類の娘を生んだ。大混乱の後、シェヴァの子供たちが再び疫病をもたらすことを危惧したアメリカ政府は、新人類の子らを収容所に隔離する政策を取った。

 ケイは人類学者の夫ミッチとともに、新人類の娘・ステラを連れ、政府の追跡から14年間の逃避行を続けている。やがて思春期を迎えたステラはケイたちに反抗して家を飛び出し、新人類狩りに捕まってしまう。彼女は収容所で新人類の少年ウィルと出会い、新人類が「森」と呼ぶの隠れ場所の存在を明かされる。

 しかし、収容所の新人類の子供たちが謎の病気に感染し次々と死んでいき、ステラも罹患してしまう。

 絶望するケイに、新旧人類の未来を左右する一つのメッセージがもたらされる。



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