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Darwin's Radio

  • 著者:グレッグ・ベア
  • 発行:1999/Ballantine US $6.99
  • ボキャブラ度:★★★★☆
     ※個人的に感じた英単語の難しさです。

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 2000年に邦訳が出ました。「ダーウィンの使者」(上・下)、ソニー・マガジンズ、(上)1600円(下)1600円です。これもペーパーバックのほうが安いぞ。(こればっかり…)

 ボキャブラリーは、医学、人類学用語が多用されますが、最初のうちに勉強しておけば、後半は比較的楽に読み下せるでしょう。

●ストーリー●

 インディアンとのトラブルに巻き込まれ、汚名挽回に焦る人類学者ミッチは、アルプスの氷河の洞窟でネアンデルタール人の夫婦と赤ん坊のミイラを発見するが、遭難してしまう。同じころ、分子生物学者のケイは、グルジアの山村で数十年前に起こった集団虐殺の検死をしていたが、それはどうやら妊婦を狙ったものらしかった。

 アメリカに帰ったケイを待っていたのは、人の遺伝子に潜んでいたレトロウイルスが原因の、流産を引き起こすシェヴァ流感だった。以前からその可能性を示唆していたのは、奇しくもケイ自身だった。夫に自殺されたケイは、疫病管理センターCDCにスカウトされ、ウイルスハンターのクリストファーとともにシェヴァウイルスの正体を追いかけることとなる。
 そしてわかってきたのは、人間の遺伝子の中に潜んでいたレトロウイルスが、人類の進化の引き金を引いているということだった。進化は感染するのだ。シェヴァウイルスを単なる疫病として処理しようとしていたアメリカ政府の方針に限界が見え始め、世界はパニックの様相を呈してくる。シェヴァ流感に感染した妊婦が、性交渉によらない第二の妊娠をはじめたのだ。

 思わぬめぐりあわせからミッチと恋に落ちたケイは、シェヴァウイルスに感染したことを知りながら我が子を産む決心をする。戒厳令が引かれ末期的状況に陥った世界で、太古のネアンデルタール人の夫婦のように、ケイとミッチの逃避行が始まった。



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