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ねっと仕事術 Lesson 2

"お気に入りのサイトの更新情報を気軽にゲット!

RSSを使いこなそう

 いちいちサイトに行って新着情報を確認するのは面倒…。そんなとき最新情報をまとめて見れるRSSの出番です。

Web2.0ツールの中でも、いまいち影の薄かったRSSですが、IE7が対応し、ネット上でのデータ交換の形式としても注目を集めています。

※ 本シリーズ0〜12は、筆者が月刊ガバナンス(ぎょうせい)2007年1月号〜12月号に
   連載した同名の記事を大幅に加筆修正したものです。

 

RSSで時間を節約

Q子 あのっ。ページの端っこに、RSSとかみたいなアイコンがあるサイトが増えてますよね。これって、何ですかっ?

亭主 それはRSSフィードといって、ご親切にも新着記事へのリンクを配布してくれているんじゃな。

Q子 でもクリックしても、IE6だと変な文字がずらずら表示されるだけだし、全然親切じゃないですよっ。

亭主 RSSは、そういう調べようともせん面倒くさがり屋にもぴったりなんじゃ。

 ブラウザの「お気に入り」やソーシャルブックマーク(前回紹介)への登録数が増えてくると、それぞれのサイトに新着情報があるかどうかチェックするだけでも、相当な手間がかかります。これを解決する切り札が、RSSフィード(以下「RSS」)です。

 RSSは、登録したサイトの新着情報について、見出しなどを一覧表の形で知らせてくれる仕組みです。詳しく読みたい記事があった場合は、見出しから本文にジャンプします。いちいちサイトを開かなくてもすむので、情報のチェックに要する手間を短縮できます。

 本サイトの洋々亭フォーラムでも新規投稿10件をRSSで発信しています。

 

 RSSとは、正確にはWebで情報交換するためのデータ形式のことで、記事の見出し、概要、本文へのリンクなどが定義されています。 などのアイコンの実体は、このようなRSS形式で書かれたファイルへのリンクです。

 

ユーザーが各サイトに接続して更新を確認しなければならない
RSSリーダーにより新着情報だけを一覧で確認できる。詳しく読みたいものはリンクから本文にジャンプ

 

 RSSを読むには、上図のように「RSSリーダー」が必要です。
  RSSリーダーには、RSSリーダー機能のサービスを提供しているネット上のサイトを利用する「ウェブ型」と、個々のPCに専用ソフトをインストールする「アプリ型」の2つのタイプがあります。

 現在は、インストール不要のウェブ型が主流で、goo、はてな、Yahooなど主要なポータルサイトがサービスを提供しています。弱点として、ポータルサイトにユーザー登録が必要なことや、そのサイト経由でないとRSSが読めないことがあげられます。

▼ gooのウェブ版RSSリーダー

・RSSの登録は、登録したいRSSのURLをあらかじめコピーしておいて@サイト追加をクリック、AにURLを貼り付けます。

・登録サイトに変更があれば定期的に一覧が更新され、各見出しをクリックすれば記事が読めます。


RSS一般化の起爆剤−IE7の登場

 RSSが普及するにつれ、わざわざRSSリーダーを使わないでRSSをブラウザで直接読みたいというニーズが高まり、FireFoxやSafariなどのブラウザが、RSSリーダー機能を装備するようになってきました。ところが、圧倒的シェアを誇るインターネットエクスプローラ(IE)は、バージョン6までRSSに対応しませんでした。をクリックしたら、 <?xml version="1.0" encoding="UTF-8" ?>… という意味不明の文字が表示されて、驚いた経験をお持ちの方も多いでしょう。そのために「RSSは訳が分からない」、という印象を持つ人が増えたという噂もあるほどです。

 しかし、ついに2007年11月、RSSリーダー機能を搭載したIE7がリリースされました。IE7の登場は、RSSの普及にとって、大きなエポックになると考えられています。ブラウザだけでRSSを活用できる環境が整うことから、RSS利用が一気に一般化する可能性が開けたのです。

 ただし、IE7はWindows XP以降でないとインストールできません。また新Windows Vista ではOSレベルでRSSをサポートしていますが、機器の更新期間を考えると、自治体に導入されるのはもう少し先になるかもしれませんね。

 

▼IE7でRSSを使うには

@登録したいサイトのRSSをクリックし、表示された内容を確認したら、「このフィードを購読」をクリック

 

ARSSを読むときは、左上☆印→「フィード」でRSSを選択

 


自治体の情報発信とRSS

 「インターネット白書2006」(インプレスR&D)によると、2006年、RSSリーダーを利用している人は前年比で5ポイント増え14.8%となり、RSSリーダーの認知度も64.8%に達しました。ブログがRSSを発信機能を装備していることや、音声・動画配信のポッドキャストでRSSが使われたため、普及が加速したと思われます。

 IE7の登場で今後さらに普及が進むと予想されるRSSに、情報発信者としての自治体は、どう取り組んでいけばよいのでしょうか。

  これまでの自治体のITによる情報提供ツールであるホームページは、情報量の増加に伴い必要な情報を見つけるのが難しくなったり、電子メールのメーリングリストは、迷惑メールの山に埋もれてしまうなど、有効性が低下しているのが現状です。

 RSSは、ユーザー自身が選択したサイトからの情報を確実に届けられるという特徴により、従来のツールの問題を補完する役割が期待されます。しかし、誰も登録してくれないRSSは、存在しないのと同じです。RSSは、常にユーザー側に主導権があるのです。このため、発信側がいかにユーザーのニーズを考えた情報提供ができるかが、RSS活用の鍵となってくると思われます。

 官庁や自治体でRSSを発信するサイトは増えつつありますが、課題もあります。
  よく見かけるのが、 乳幼児健診と入札情報を一緒を発信するような、読者を想定していないRSSです。これではだれも登録してくれません。

 名古屋市、神戸市、熊本市などでは、テーマ別に分けたRSS発信を始めています。

 

▼名古屋市のRSSの例

 

RSSで発信するには

 自治体がホームページでRSSで情報を発信するにはどうすればいいのでしょうか。実は、意外なほど簡単で、Webサーバを自前で持っている場合はお金もかかりません。

  1. 新情報のページを作る。(従来どおり)
  2. そのページの見出しや概要を、RSS形式のファイルに記入し、適当な名前(名古屋市の例では、feed.rss )を付けて、サイトへアップロードする。
  3. トップページなどに、RSSなどのアイコンを置き、そのRSSファイルへリンク張る。(このリンクは以後、変更不要)

 ホームページ更新にCMS(コンテンツ管理システム)を使っている場合は、現在ほとんどのCMSがRSSに対応しているので、1〜3は自動化できます。お使いのCMSのマニュアルを確認してみてください。この機会にCMSの導入を検討してもいいかもしれません。

 ▼主なRSS生成ソフト

 職員や委託先が手作業でコンテンツを更新している場合、2・3は手作業になります。しかし、右のように、作成したページの情報から自動的にRSSのファイルを作成してくれるRSS自動生成ソフトがありますので、これを使えばかなり楽になります。

 RSSの仕組みを勉強したいなら、RSSのファイル自体をエディタで手書きすることすら可能です。RSSの書式は単純ですから、一回パターンを作ってしまえば、更新の頻度が少ないページなら手書きで十分対応できると思います。RSSの書き方は、KANZAKI様の記事が参考になります。

 今後、各自治体がRSSをどう活用していくのか、期待して注目したいと思います。

 

ホームページの連携にも活躍するRSS

亭主 RSSは、「個人が使う便利なツール」として生まれたんだが、実は、サイト間での情報交換の手段としても活用されているんじゃ。

Q子 別の団体のホームページ間での連携ってことですか?

亭主 そのとおり。
たとえば、市のサイトに、観光協会のイベントを載せたい、とするわな。
このとき、観光協会のサイト側でイベント情報をRSSで発信しておけば、市のサイト側のプログラムでそのRSSを定期的に読み取って、自動的に市のページに組み込める。あっというまに、自動更新される情報満載のページができるんじゃ。
こういう「マッシュアップ」型の連携は、ちょっと前までは作り込みが大変だったんだが、RSSのおかげでどんどん処理の標準化が進んで、活用の範囲が広がっているんじゃな。

 

(2008/10加筆) 

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  本シリーズの登場人物

B男
入庁7年目。不勉強を不遜な態度でごまかす名人。
Q子
入庁3年目。空気を読まない質問で場を凍りつかせる才女。
亭主
入庁xx年目。種族不明。
最近、忘却力がレベルアップしている。