フォントについて
Puppy 4系や Precise Puppy 571 の日本語フォントは、M+1P+IPAG
という1種類だけです。これ一つでアプリケーションの操作メニューからワープロ文書、web
ブラウザの表示まで行なっています。日本語フォントはデータサイズが大きいので、システムをできる限り小さくしたい Puppy
では、搭載される日本語フォントが1種類になるのは仕方ないことだと思います。このフォントは大変見やすいフォントですが、プロポーショナルなゴシック体なので、等幅フォントで作られた文書や明朝体で書かれた文書は見た目が変わってしまいます。
私は Puppy 412 でも 571 でも、IPA モナーフォントと
IPA フォント を追加しています。かつては Youtube の広告で日本語表示を行なうために東風代替フォントも
インストールしていました。 おそらく fonts.conf
に東風フォントの名前が含まれているために、このフォントをインストールすれば日本語表示ができたのだろうと思います。現在は、local.conf
の設定で他のフォントを割り当てることにして、東風代替フォントは削除しました。
Windows で作成された文書を受け取って Puppy 上の OpenOffice で表示する場合、M$明朝や
M$ゴシックはシステムにないので、レイアウトが崩れてしまいます。IPA モナーフォントは、M$
のフォントに字幅を合わせてあるので、例えば、M$明朝で作られた文書であれば、IPA
モナー明朝に置き換えることで正しいレイアウトを再現できます。
しかし、M+1P+IPAG や IPA モナーフォントは、収録されている漢字が少なくて、JIS X 0213
という規格で拡張された漢字に対応していません。一方、窓OS は Vista 以降、この拡張された JIS
規格に対応しています。それで、私のマシンには IPA フォントもインストールしてあります。 M+1P+IPAG や IPA
モナーフォントでカバーできない漢字や記号は、IPA フォントで補うことができます。
フォントを何種類も入れると Puppy の個人保存ファイルを圧迫します。しかし、等幅とプロポーショナル、ゴシックと明朝、JIS
X 0213 規格、そして M$ フォントの字幅、のすべてに対応することを考えると、やむをえないと思います。
M+1P+IPAG
を捨てる、という選択肢がありますが、システムの様々な部分で使われているので、設定の変更が大変です。それでいてデータサイズが大幅に減るわけでもあり
ません。
窓OSと同居している場合、M$ のフォントを借用するという手段もあります。Puppy 571
にはそのためのユーティリティーも備わっていますが、Windows を使わない選択をしておきながら、都合のいいときだけ Windows
に頼るのは潔いとは言えません。私の場合、Windows を完全に捨てたいところですが、以前にも記したように、パソコン整備士が
Windows を持っていない、というのは問題ありなので、やむをえず同居状態が続いています。家での一般的な利用だけなら Linux
で十分です。
余談になりますが、最近のブラウザでは HTML5
の機能を使って縦書き表示やルビの表示を可能にしています。そのうえ、システムが持っているフォントではなく、サーバーにあるフォントを使って表示するこ
とまで行なわれています。昔と比べて通信速度が上がったからこそ可能になったのでしょうが、従来の常識を覆すようなことが起こっていると感じます。

Firefox 45 の縦書き表示。本文2行目の「ぶらぶら」の表示がちょっとおかしいが...
2016年3月
ThinkPad T42 と Lucid Puppy
Lucid Puppy 5.2.8 は
Ubuntu Lucid をベースにした Puppy です。 LTS (長期サポート)バージョンですが、既にサポートは終了しています。 T42
で Precise Puppy 5.7.1 を試したこともありますが、Precise 571 に同梱のビデオドライバは、T42 の
Mobility Radeon 7500 とは相性が悪く、満足なパフォーマンスが得られませんでした。 それで、Lucid Puppy
(Lupu) はどうだろうか、と思ってインストールしてみました。 一応、bash のセキュリティアップデートをインストール。
bash-4.3.30-1-i486-dpup487.pet
openssl-1.0.2j-w5-i486.pet (←2017年4月追記)
起動は Puppy 412 よりも若干速いです。 ビデオは OS のインストール後に、改めて xorgwizard を実行して
xorg.conf を作り直し、Puppy 412 の場合と同様に、色深度 24 と "GARTSize" "64"
を設定しました。 デスクトップにある「クイックペット」から "Xorg High" パッケージをインストールすることで、OpenGL
が有効になります。 glxgears コマンドを実行してみると、Puppy 412 よりも若干パフォーマンスが良くなっています。
NumLk キーの設定、トラックポイントの感度の調整、thinkfan (ソースから)、acpitool (パッケージマネージャから)、irda-utils
(ソースから) のインストールは、他の Puppy の場合と同様です。 CPU クロック変更ツールは OS
に含まれていますが、設定は自分で行ないます。 モデムは何もせずとも認識されています。
指紋認証装置の動作確認のために、今回はパッケージマネージャから fprint-demo をインストールしました。 インストールしたパッケージは、
libmagickcore2_6.5.7.8
libfprint0_0.0.6
fprint-demo_20080202
libpam-fprint_0.2-3
Puppy ではユーザー認証が必要な場面はほとんどないので、実際役に立ちませんが、これは文字通りハードウエアを制御できることの実証(demo)です。

ブラウザは最新の Firefox に加えて、Opera 12.16 をインストールしました。 Puppy 412
の場合と違って、ライブラリのアップデートは必要ありません。 現行の Opera は Google Chrome
と同じ描画エンジンを使っていますが、Opera 12 は独自の Presto
エンジンを使用する最後のバージョンです。 今となってはやや時代遅れですが、メモリの使用量が極めて少ないので一定の利用者が存在します。 余談ですが、
Windows 版では、セキュリティ関連のアップデートを施した 12.18 がつい最近リリースされました。
動画再生時の CPU 使用率は、Puppy 412
の場合より若干高めです。 ビデオドライバの違いによるものでしょうか、Firefox で YouTube 動画を HTML5 player
を使って再生した場合、割となめらかに再生されます。 Opera は flashplayer 利用になりますが、最近、YouTube
のサイトの記述 (html) が変更されたようで、Opera
を起動する度に英数字の字体が変わったり、斜体になったりします。 ひどいときは「豆腐」がたくさん出現します。
ページのソースを見てみると、"Roboto" というフォントが指定されており、ローカルにないときは web
フォントを使用するようになっています。 Opera の HTML5 対応が不完全であるために、web
フォントの指定があっても正しく処理できていないように思われます。 Opera 12
が時代遅れなのは分かっていますが、軽さが魅力なので、対応策を考えてみました。
"Roboto"フォント(英数記号のみ)がローカルにあればよいので、roboto-master.zip をダウンロードして Roboto-Regular.ttf を
取り出し、/usr/share/fonts に置きました。 "Roboto"
フォントは、太字や斜体が別々のファイルになっていますが、あまり余分なものは入れたくないので、私は Roboto-Regular.ttf
だけ使います。 このことで、太字や斜体が指定されているときに指定通りにならない場合もありますが、「豆腐」になるような事態は避けることができます。
html でフォントを指定する場合、従来は、パソコンに該当するフォントがない場合のことを考えて、例えば sans-serif
(ゴシック体)のような記述を加えるのが普通でした。 web フォントが利用できれば、この問題は解消するかに思われますが、web
フォントに対応していない環境も存在します。 Google は最近、Linux 版 Chrome の 32 bit バージョンの提供をやめました。 Google
傘下の YouTube で web フォントを導入したのも、古いPC環境を切り捨てる点で共通しています。
これに関連して今回感じたことは、なぜ英数字のフォントが何種類も存在するのだろうか、ということです。 私にもフォントの好みはありますが、半角英数字
は日本語フォントにも含まれているので、それで十分じゃないかと思ってしまいます。 むしろ、日本語の文章の中で英数字の部分だけフォントが異なるのは違和感があります。 わずか 26
文字の言語を使う人たちは、フォントで変化をつけるしかないのではないか、これは文化の違いだな、という印象を持ちました。
マルチメディア関連
Lupu 528 のデフォルトメディアプレーヤーは xine です。「普段使いの Linux」にも書きましたが、xine は初期状態では日本語の表示ができません。 それで、/usr/share/applications/xine.desktop
をテキストエディタで開いて、Exec= で始まる行を以下のように書き換えます。
Exec=env FONTCONFIG_FILE=/dev/null xine
「デスクトップの修復」を実行してメニューを更新します。 余談ですが、この「修復」という表現はちょっと誤解を招くと思います。「更新」のほうが適切な感じがします。
Lupu 528 の xine
には日本語メニューは用意されていないようで、英語メニューのままですが、ファイルを開く画面で日本語のファイル名が表示されるようになりました。
これが大事です。 私のマシンには IPA フォントがインストールしてあるので、IPA ゴシックで表示されます。
ついでに、デスクトップ上の「再生」アイコンのリンク先も、/usr/share/applications/xine.desktop に直しました。
次に CD プレーヤー及びリッパーです。 デフォルトでは Pmusic ですが、日本語の表示に対応していません。 Puppy 日本語フォーラムで紹介されていた cddaplay-0.0.1.pet
を入れると一応日本語表示可能になりますが、freedb.org を参照しているようで、日本の曲のデータが不足しています。
freedbtest.dyndns.org に変更しようと思っても、GUI で設定できません。 それで、Aqualung
をインストールしようと思ったら、パッケージマネージャにあるものは、システムにあるのよりも古いライブラリを要求したり、逆に大量の新しいファイルを要求したりで、どうも面白くありません。
今回は、Audacious (ミュージックプレーヤー)と Asunder (リッパー)で対応することにしました。インストールしたパッケージは、
audacious-3.2.3-2
asunder_1.6.2-5
Audacious で freedbtest.dyndns.org
(ポート 80) を設定 (ファイル→設定→プラグイン→インプット→Audio CD Support) すると、AKB48 の曲も表示されました。 Asunder は同じライブラリを参照しているようで、設定の必要はありませんでした。
Audacious

(マルチメディア関連は5月に加筆しました。)
2016年4月