[現像のお話し Vol.03, 2000年02月10日UP]
皆さん、「フィルム」についてご存じですか?。
というのも今回説明する「カラーリバーサル」はデリケートなフィルムで、よく理解してないと失敗しやすいからです。
もちろん、用途に応じてフィルムを選ぶ時や撮影など、気をつける点はいっぱいあります。
(前に「フィルムはどれを使えばいいの?」で説明しました。)
でも、今回お話しする現像に至るまでの「フィルム」の取り扱い方もかなり重要な話なんです。
そして、これはリバーサルはもちろん、一般のネガカラーやモノクロにも言えることです。
【保管について】
皆さんはカメラ量販店のフィルム売り場を見たことがありますか?。あそこはスーパーの生鮮食料品売り場とよく似てますよね?。
大きな冷蔵庫があって、フィルムを冷やしていると思います。そうなんです、フィルムは「なま物」なんです。
もちろんフィルムは食べられません。でも中に化学薬品がたくさん入っていて、それが熱で変化したり勝手に化学反応しちゃったりすると
トラブルの原因になったりするんです。そこで長期保存する時は、化学変化を抑えるため冷やすんですね。
(これはお店の保管だけでなく、個人で買い置きしたフィルムの場合にも言えます。
したがって、買ったフィルムで1ヶ月以上使う予定のないものは冷蔵庫に入れて保管することをおすすめします。
※注意点!
(1)冷蔵庫で保管できるのは「未開封」のフィルムのみです。
また、湿度の影響を避けるため、そのまま入れずビニールなどで密閉した方がいいようです。
箱から出したり、パトローネ(プラスチックの円筒形ケース)を開けたりしたフィルムは、冷蔵庫の保管は避けてなるべく早く使いましょう。
(豆知識:フィルムメーカーによってはパトローネの中を真空にしたり、ガスなどを充填することで保存性を上げる工夫をしているようです。)
(2)冷やしたフィルムは、撮影の前に必ず「常温」に戻してください。
冷蔵庫から出してすぐに使うと、温度が低いため化学反応に影響が出て感度が下がったり発色が落ちたりすることがあります。
せめて撮影の前日か少なくとも1時間以上前には出しておきましょう。
また、すぐに使いたいからといって、急激に温度を上げるのはやめましょう。
湿度が高い日などは、結露が発生してフィルム面に水滴がついて張りついたり、斑点が出る恐れがあります。
(3)ひんぱんに「出したり入れたり」するのはやめましょう。
「使うと思って出したけど、使わなかったからしまっとこう」なんてよくありそうですが、
次に使う機会が1ヶ月以上先でなければ冷蔵庫で保管するのはやめてください。
急激な温度変化の繰り返しはかえってフィルムのトラブルを招きます。
また、やる人はいないと思いますが、念のため言っておくと「フィルムを入れたカメラを冷蔵庫に入れる」のはやめましょう。
カメラの故障の原因になります。(^_^;)
フィルムの箱には使用可能な「期限」が書いてあります。
これがフィルムの有効期限なんですが、常温で保管した時に性能を保持できる期間です。
(でも、これはあくまでも目安で、使わずに置いとけば、だんだん劣化していることは間違いないです) たしかに最近のフィルムは、技術の進歩で保存性もずいぶんよくなっています。 (たとえば、昔のカラーフィルムをカメラに入れたままタンスにしまうと、ナフタリンに反応して「真っ黄色」になっちゃったわけですが、 最近のものでは対策されてます。また、車のトランクでも平気なくらい熱にも強くなりました。) でも、ダメージを与えないに越したことないし、食材と同じで「新鮮」な内に使うのが良いことは間違いありません。 上に書いた「冷蔵庫」の保管も「有効期限を伸ばすため」ではなく、「新鮮さを保つため」ですからお間違えのないように..。 (安いからと有効期限が切れたり、日ざらしのショーケースに入ったようなフィルムを買うのはやめましょう。 また、カメラやフィルムを暑くなる場所に放置するのもできるだけやめたほうがいいです。) |
【現像について】
さて、保管の次は現像です。これは一つしか言うことはありません。
「撮ったらすぐに現像に出す」ということです。
写真というのはフィルム面に当たった「光」で「画像」がフィルムの中に作られるわけですが、これを「潜像」と呼ぶんですね。
なぜ潜像と言うかというと、この段階では「画像が目に見えない」からです。
つまりフィルム面に「潜んで」いる「画像」で「潜像」
呼ぶわけです。また、この「潜んで」いる画像を目で見えるように外に「現わす」から「現像」なんですけど、この「現像」された状態までいかないと、
画像は安定した状態にならないんです。
つまり「潜像」の状態(現像しないまま)で長く保存すると、画像はどんどん薄くなっていくわけなんです。
(これを「潜像退行」と呼びます)そして、この現象は「ハロゲン化銀」の性質で「物理現象」のため、
化学反応のように冷蔵庫で保存できるようなものではないんです。
よって、これを防ぐには「撮ったら早く現像に出す」しかないんですね。
ということで、表題の「カラーリバーサルの現像」についてですが、基本的には「カラーネガフィルムの現像」
と同じです。
(「ミニラボ」のところは関係ないですが、フィルムと同じメーカーの系列のラボに出すことと、できればプロラボを使うことは共通です。)
ただ、上に書いたようにフィルムの取り扱いの基本を「よりシビア」にやらないと、リバーサルは感度が低く、
ラチチュード(露光の許容範囲)の狭いフィルムですので、写真がアンダーになったりカラーバランスが狂ったりしてしまうでしょう。
特に、カラーバランスを最適に調整して工場から出荷する「プロ用」のリバーサルは、保存も撮影後の処理も徹底しましょうね。(^_^)
よくもったいないからと、取り残したフィルムを入れたままにしている人が多いですが、その方がもったいないと思います。
大切な思い出が自分の記憶と一緒に薄れていったらとんでもないです。
第一、「写真を見て思い出す」どころか、「写真の方が風化」してたんじゃ洒落にならないでしょうし..。 でも、ずぼらな人はいるもんで、すごい人になると1本のフィルムに四季が写っており、 「正月」に買ってカメラに入れたフィルムに、「お花見」や「夏休み」が写っており、そして終わりには「大晦日」が..。 これを日本では「カレンダーフィルム」と呼ぶそうですが、ご存じでした?。 でも、ずぼらな人は万国共通らしく、世界中のどこにでもいるようです。アメリカでは「正月」のようなイベントが「クリスマス」になるそうで、 カレンダーフィルムが「Cristmas to Christmas」と言われるそうですが、そんなに一般の人は写真撮らないもんなんでしょうかねぇ。 ということで、クリスマスも正月も終わった今、皆さんももっと写真を撮ってみてはいかがでしょう..?。 |