[撮影機材のお話し Vol.03, 1999年10月10日UP]
さてカメラの次は「フィルムの選び方」なんですが、これも皆さんの「好み」がありますし、
撮ってるものも違いますので、単純に「これがいいよっ!」と言うことは非常に難しいです。
ですから、ここでお話し出来るのは「フィルムの種類の紹介」だけです。具体的に「こんな目的に使うならどのフィルムがいい?」
といったような話しは、皆さんが撮りたい「目的」によって変わってきますから「☆現像のお話し☆」の方でやりたいと思います。
興味のある方は是非「写真相談室」
に質問を書きこんでくださいね。よろしく。
ということでフィルムの種類を紹介するわけなんですが、まず「モノクロ」と「カラー」の2つに分けたいと思います。
最初は一緒に書くつもりだったんですが、書いてみるとあまりに長文になって、読む方に申しわけないので分けました。
まあ、それにモノクロやカラーのどちらかにしか興味がない人もいらっしゃいますので、両方読ませるのも無理があるし...(笑)
(1)モノクローム(黒白)フィルム
通称「モノクロ」といわれる黒白フィルムですが、一般の人には「古い」とか「昔」とかいうイメージなんでしょうか?。
ファッションや流行なんかで「モノトーン」が復活すると、映画や雑誌で見る機会が多くなるのは面白いですが...。
でも、モノクロは「古い」からとか、カラー写真から「色を無くした」ものという安易なものではありません。
「モノクロ」は「表現」の一つなんです。(絵画でいえばデッサンあたりでしょうか...)そんなこだわりの方々が使うフィルム、
それがモノクロフィルムです。ですから気まぐれでやってみようかなんて人が使うには荷が重過ぎますし、
ご自分で現像をされない方が選ぶフィルムではないと思います。
(この辺のことは「モノクロフィルムの現像(導入編)」をご覧ください)
ということで今回の話しは、かなり写真をやり込んだ方や基礎からモノクロをやろうと思っている人に向けてご紹介したいと思います。
ただモノクロの場合、フィルムだけ紹介しても現像の話しと組み合わせないと意味ないし、専門用語も使わないとうまく説明できません。
ですから、モノクロに興味のない方はここを飛ばしていただいて、次の「フィルムはどれを使えばいいの?(カラー編)」
に進んで頂いたほうがいいかもしれませんね(^_^)。
○モノクロフィルムの紹介
ISO 32 | いわゆる低感度の高画質フィルムです。
「微粒子」というきめの細かい画質とシャープなキレを期待できます。
反面手ブレやピンぼけをしやすくなりますし、現像も難しいシロモノです。
露光のラチチュードも狭く、露出をコントロールしやすいはずの「モノクロ」にあってシビアな撮影をしいられます。
(簡単に言えば、これが使えれば一人前ですね。(^_^)V) 用途でいえば「35mmで四切り以上のサイズに引伸ばす」以外には使わないほうがいいと思います。 なぜなら、そんなに画質にこだわるなら「中判」か「大判」のカメラを使うに限るからです。(^_^)V でも、35mmでも画質にこだわってる方には一度はトライしてみて欲しいフィルムかもしれません。 |
ISO 100〜200 | こちらは「標準」と呼ばれるフィルムです。
でも、一番奥が深いのも「標準」ですね(^_^)。腕のいい方は低感度並みの画質を出しながらこの感度を使いこなしてしまいます。
(う〜ん、私も極めたい...) 現像の方法で感度を上げる「増感」という手法も、400くらいまでなら使えます。 でも、せっかくこのフィルムを使うなら標準現像液と組み合わせて、トーン豊かなモノクロ写真を作って欲しいですね。 35mmだけでなく、中判・大判のすべてのサイズで「標準」といえるフィルムです。 非常に使いやすく「入門用」ともいえるフィルムですが、奥が深く「エキスパート用」でもあるシロモノです。 (簡単に言うとあなた次第で変わるフィルムなんです...。) |
ISO 400 |
このあたりから「高感度フィルム」となるわけですが、モノクロの場合は「準標準」と言ってもいいんじゃないんでしょうか。
35mmサイズでもいい腕の人が現像すれば十分な画質期待できますし、使い勝手の良さから言っても非常に万能的なフィルムです。
(個人的におやじの標準フィルムです)。 増感も1600くらいはいけますので、次に紹介する高感度と使い分けを悩むとこです。 でも、この位の感度があれば増感をしなくても、いろんな条件の撮影でも対応してくれると思います。 特に中判や大判カメラでも、絞りで被写界深度を稼ぐ場合は必要になってくると思います。 |
ISO 1600〜3200 | 画質は期待出来ませんが、スポーツなんかを撮るにはいいフィルムです。
でも、本当に感度が高いわけではありません。標準現像液で現像したときの「現像スピード」が早いだけです。
基本的には感度400のフィルムと同じもので、特性曲線や相反則不軌、カブリ防止などに気を配った「400」といったフィルムです。 特殊フィルムの感はありますが、増感専用の400と思えばそれほど気にならないと思います。 ちなみに400を増感しているだけなので、これを増感して「6400」とか「12800」にするのはかなり無理があります。 (天体撮影用に水素増感をする場合は除きます) もし、無理して増感したとしても、あまりにも悲惨な画質になるだけですね...。(特殊効果としてならどうぞ) |
特殊フィルム | 今まで説明したフィルム以外の「特殊」なフィルムです。 でも、こんなフィルムをも自分の作品を表現するために使いこなす「強者ども」がいるんです。 具体的には、画質を極めるための「ミニコピー」フィルム(もともとは複写用フィルム。 POTA現像液を使い、ISO感度8〜12で使うと35mmでも粒子のない画像が得られます)や、赤外線フィルム(変な用途のフィルムではありません。 赤外線の波長にも感光するフィルムです。人間の目と違った感色性を持つため、独特な心理表現なんかに使いますね)などがあります。 (他にも”カラー現像”する「モノクロフィルム」なんてものもありますよ) |
これだけの種類のフィルムに、組み合わせる現像で無限の組み合わせが出てきます。ですから、お奨めのフィルムはありません。 現像を含めてあなたのスタイルを作ってみてください。