「レンズ」について 

[撮影機材のお話し Vol.02, 1999年10月20日UP]

 掲示板の書き込みにも指摘されてますが、「レンズの明るさ」とか書いてるのに、何の説明もないまま話をすすめてました。 すみません。 わからない人が読んだら「スペックよりも実用性」も「何がなんでも一眼レフ」も、 何の意味もない話になりますね。

 そこで、今回は「レンズ」について説明させていただきます。 でも、どんなにわかりやすく書こうとしても「難しい話」になってしまいました(シクシク...)。 ビギナーの人も最終回までにご理解いただければよいのですが...。


 写真のレンズは「焦点距離」と「明るさ(開放F値)」でスペックを表示します。 例えば「200mmF4(にひゃくえふよん)」とか、 ズームレンズは「35mm−105mmF4.5」を「さんごう、ひゃくご」の「よんはん」 などと呼んでいます。

 ビギナーの方でも「焦点距離」はなんとなく想像がつくんじゃないでしょうか。 ズームすると写す「大きさ」が変わりますので、なんとなく「倍率」を表してるイメージがありますでしょ(^_^;)。
 でも「レンズの明るさ」って何?と思う人は多いんじゃないでしょうか。 とくにコンパクトやフルオートカメラを使う人は、あまり意識しないでも写せますから知らなくても不思議じゃないですね。


 では、まず「焦点距離」から説明しましょう。 カメラのカタログにレンズの項目で「f = 50mm」などと書かれた数字があると思います。 これが「焦点距離」です。 (英語では「focus」といいますので、頭文字の「f」で表します。)

 一般的に焦点距離が長くなると、レンズが長くなるので「レンズの長さ」と思っている人がいるかもしれませんが、違います。 これはレンズの「焦点の長さ」を表しています。
では、焦点とは?。皆さんは小学校の理科で太陽光線をレンズで集めて「光の点」で紙を燃やしたりしたでしょ?。 あの光の点が「焦点」です。

 じゃあ「その意味は何?」というと、主に「倍率」とか「画角(写る範囲)」に関係してきます。 ですから「倍率」と思っていただいても、間違いではありません。 下に「35mmカメラ」を例にとって一般的なレンズの焦点距離を書いてみます。
 (カメラのサイズを呼ぶ場合の「35mm」はフィルムの幅です。いわゆる「普通のフィルム」のことです)

【焦点距離】
6.5〜13mm
14〜21mm
24〜35mm
50mm
85〜100mm
135〜300mm
400mm以上
【レンズの種類】
魚眼
超広角
広角
標準
中望遠
望遠
超望遠


 次にレンズの「明るさ」についての話しですが、 これは簡単に言うと「レンズが通す光の量」のことです。 この明るさは「絞り値F値 もしくはFナンバー)」という数字で表します。

「絞り」というのは、レンズの中に入ってる羽のようなもので、光量を調節することができます。 その絞りを全開(開放といいます)にして、 最大の光を通したときの「開放F値」がレンズの明るさになります。
 「開放F値」は焦点距離をレンズの口径で割った数字で、 焦点距離の「」と区別するために大文字の「」で表します。 具体的な例を焦点距離が同じ50mmで、口径が50mmのAレンズと、 口径25mmのBレンズで説明します。
 Aレンズ … 50mm÷50mm =1   よってAレンズの明るさは「F1」になります。
 Bレンズ … 50mm÷25mm =2   よってBレンズの明るさは「F2」になります。

 そして、F値は円の直径(長さ)から出した数字なので「光の通る量面積)」 を表す時は、二乗された分母に換算します。 つまりAレンズは「F1=1÷(の二乗)」で光の通る量は1/1 (つまり光は全て通る)となり、Bレンズは「F2=1÷(の二乗)」で 1/4、つまり光の量は4分の1になるので、 Aレンズ(1分の1)はBレンズ(4分の1)より4倍明るいわけです。(※ややこしい話しでスミマセン....)

このF値は倍系列で表示します。光量を「1」「2分の1」「4分の1」「8分の1」...と2倍ずつ変えると、F値は次のようになります。

 F1F1.4(2の平方根(普jで1.41421356...), F2F2.8F4F5.6F8F11F16F22F32....

 ※なお実際の写真用レンズは、複数のレンズを組合せて作ってあり、通常は「焦点位置」の表示はありません。
 ※ここでいう「口径」はレンズの「直径」のことではなく、レンズの「有効口径(光を通せる口径)」で、メーカーは公表してません。
 ※実際のレンズは光のロス(損失)がありますので、単純に「焦点距離」を「F値」で割っても「有効口径」にはなりません。


 最後に、レンズの焦点距離に対応したF値の平均を書きます。これは目安ですが、同じ焦点距離のレンズで、 このF値より数字が大きい場合は「暗いレンズ」、F値が小さい場合は「明るいレンズ」ということになります。

○レンズの標準的なF値(※単焦点レンズの目安です。ズームレンズではありません。)

【レンズの種類】
魚眼レンズ
超広角レンズ
広角レンズ
標準レンズ
中望遠レンズ
望遠レンズ
超望遠レンズ
【開放F値の平均】
F4〜F5.6
F3.5〜F4
F2.8〜F3.5
F1.4〜F2
F2〜F2.8
F2.8〜F4
F5.6以上

 なお、この平均値は単焦点レンズの場合で、 今主流のズームレンズには当てはまりません。 一般的にズームレンズの方が暗くなってしまいます。 例えば50mmの単焦点レンズなら「F1.4」は普通ですが、 ズームの35mm−105mmF4というレンズの場合、50mmでも開放で「F4」までしか使えません。 つまり最大に通せる光が「F1.4」の「8分の1」しか通らないのです。 このことは実際の撮影時にいろいろな制限(ストロボのとどく距離、手ブレやピンぼけなど)になってきます。 一見便利そうな「ズームレンズ」ですが、それなりに「ハンデも持っているわけです....。

※皆さんがお使いのカメラのレンズ、「明るさ」は十分ですか?。(^_^)


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