NPO法(特定非営利活動促進法)
法律の概要

特定非営利活動促進法
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はじめに


ボランテイア活動などを行う民間の非営利団体(Non Profit Organization, NPO)に法人格を与え、活動を支援するため、特定非営利活動促進法(NPO法)が1998年3月19日衆議院本会議で全会一致で可決成立した。

NPO法は、1998年6月18日に閉幕した通常国会で成立し、施行日を1998年12月1日とする政令を決めた。(附則1によると、交付の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行するとあった。)
また、附則2には、施行の日から起算して3年以内に検討を加え、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする、とある。


法案は、阪神大震災のボランテイア活動の成果を受けて我が国でも法制化しようと、1997年6月、衆議院で通過し、参議院で修正され、98年3月4日に参議院本会議で可決、衆議院内閣委員会で98年3月14日に全会一致で可決されたものである。

収益事業を行うことが認められているが、現行法人税法は「公益法人」の取扱いとされ、収益事業には課税される。
また、法人および個人がNPOに寄付した場合、法人及び個人に非課税措置は盛り込まれていない。
超党派で、非営利団体(NPO)への寄付に税額控除を求める議員集団「選択納税制度実施の会」が発足したと報道されている。

このホームページは、単にNPO法の主要な条文をまとめたもので、概要を知る為の目的で、参考に供しているものです。 詳細については、法律専門家、会計専門家とご相談ください。(1998年3月21日作成、1998年6月19日上記施行日の確定を追加)

(参考)米国の免税組織(Tax―Exempt Organization)税制の概要
非営利法人(a non-profit (or not-for-profit) corporation)の免税の申請は国税当局(Inernal Revenue Service、IRS)に免税申請を行い、免税承認を受け、決算毎に、所定の様式と年次報告書等活動内容を示す情報開示(米国では会計基準が整備されている)の書類を提出を行う。寄付側の損金算入限度額は詳細に決められている。

免税組織(Tax−Exempt Organization)とは:
・慈善的組織(Charitable Organization) 慈善事業、宗教活動、教育、科学、文学、他・・「免税の特典を受けた事例⇒Obtaining 501(c)(3) "Charitable Organization" Designation」 参照
・社会福祉組織(Social Welfare Organization) 市民リーグ、コミュニティー組織、他
・労働及び農業組織(Labor and Agricultural Organization) 労働組合、農業共同組合、他
・商工団体(Business Leagues) 商工会議所、業界団体、他
・ソーシャルクラブ(Social Clubs) 趣味のクラブ、カントリークラブ、他
・友愛ソサイアティ(Fraternal Societies) ロッジ及び類似のもの
・退役軍人組織(Veterans' Organization) 米国軍の退役軍人(現役も含む)の組織
・従業員組合(Employees' Organization) 任意の従業員組合
・政治的組織(political Organizations) キャンペーン委員会、政党、政治活動委員会
・その他の免税組織(Other Tax-Exempt Organization) 連邦所得税の免税資格を持ったその他の組織

免税承認を受けても、毎期、活動内容を開示した財務情報を提出する。活動内容が免税条件を満たさなくなったり、休眠であったりすれば、免税の優遇は無くなる。IRSは調査権をもつ。

非営利団体は、活動資金を調達するために通常年次報告書を作成して活動内容を提示して資金調達を行う。そのために、非営利団体に関する会計基準も整備されている。1999年4月9日の規則では、3年間の活動状況を示す開示を求めている。

米国IRSの統計:「Charities & Other Tax-Exempt Organizations Statistics」・・2004年で218,851法人 参照

わが国の場合は、会計基準が完備されておらず活動内容の開示が無いのが実状である。「社会福祉法人」は公益法人として22%の税率、「NPO法人」は普通法人として30%(8百万円までは22%)とアンバランス。寄付側の損金算入もできない。情報開示(会計基準)のインフラにより活動内容を透明性を高め、IRSのように免税要件を明確にして、要件を満たした組織に免税承認を明示しているなら、いくつかの宗教法人問題も深刻な事件にならずに済んだであろう(収支計算書では活動内容を示せない)。

参考資料:
米国の街づくりにおける非営利団体の役割」by財団法人自治体国際化協会(ニューヨーク事務所)・・米国のNPO制度に詳しい。
米国歳入庁(IRS)の統計・・慈善団体の統計・・2005年慈善団体の統計各州の免税団体を除く)

免税団体TaxExemptWorld.Com


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日本のNPO税制(2001年10月施行)
2000年12月、自民党税制改正大綱によれば、NPO税制を導入し2001年10月1日を施行日としている(2001年春の通常国会に提出)。

(1) 主要な税制上の特典:
 国税庁長官が一定の要件を満たすと認定したNPOへの寄付金について、日本赤十字社など特定公益増進法人と同じ扱いをする。
@ 法人税
一般の寄付金とは別枠で資本金の0.125%と年間所得の1.25%の合計額まで損金算入できる。
A 個人所得税
年間所得の25%か寄付金総額のいずれか少ない額から1万円を差し引いた額を所得から控除する。
B 相続税
相続した財産をNPOに寄付する場合、相続税の課税価格の計算に算入しない。

(2) 認定NPO法人となるには:

認定を受けるNPOは申請書を税務署経由で提出する。認定NPO法人は毎事業年度終了後3ヶ月以内に、次に掲げる書類を国税庁に提出し、国税庁は、過去3年分を一般に閲覧させなければならない。

イ。 資金に関する事項を記載した書類(収入源泉別の収入額の明細、借入金の明細等)
ロ。 財又は役務の提供に関する事項を記載した書類(内容、料金、提供先の条件等)
ハ。 取引に関する事項を記載した書類(一定の取引ある取引先との金額等)
ニ。 会員に関する事項を記載した書類(要件、会費、募集要領、居住行政区域別の人数等)
ホ。 寄附金の募集及び使途に関する事項を記載した書類(寄附金を充当することとなる具体的事業内容(予定)、募集の手段、募集の範囲、寄付金の使途の実績等)
ヘ。 寄附者に関する事項を記載した書類(寄附者の住所・氏名又は名称とその金額等(閲覧させるものにあっては、一定金額以上のもの)
ト。 報酬・給与に関する事項を記載した書類(役員のうち報酬を得ている者の氏名とその金額、従業員の氏名とその金額、給与規程等)
チ。 事業報告書、財産目録、貸借対照表、収支計算書、役員名簿、報酬を受けた役員の氏名等

認定の有効期間は2年間で虚偽記載があった場合は認定を取消される。国税庁は事務の実施について調査権限を持っている。

認定を受けるには、「事業内容・運営や情報公開が適切」「一般向けに活動し、広く支援を受けている」ことなどが条件である。
@ 総事業費の80%以上と寄付金の70%以上をNPO活動費に充てている、
A 総収入金額に占める寄付金・助成金の割合が3分の1以上、
B 活動範囲や寄付者が複数の市町村にわたる、
など詳細な要件を定めている。NPO法人の認定を受けるために慎重に研究しておくことが肝要である。

経理の適正性では、
イ。 外部監査を受けていること、又は青色申告法人と同等の記帳及び帳簿書類の保存が行われていること
ロ。 使途秘匿金等不適切な経理がないこと

ほぼ、米国の税制に類似したものになっている。

施行後3ヶ月の2001年末現在までに、税優遇の対象として認められたNPOは全国で二つの組織に止まっている。1年を経過した2002年11月現在で、約8,700のNPO法人のうち国税庁長官の税優遇の認定を受けたのはたった9件(0.1%)である。理由は条件が厳しすぎる・・・というものである。財務省は、2001年4月より、総収入に占める寄付金などの割合が3分の1の計算に、NPO自身の役員や社員からの寄付金を含めることができるように緩和するとしているが、いかにも小手先の緩和の感はぬぐえず、その実効性は疑問。まじめにNPO活動をしているNPO法人が適用できるように、本腰で制度整備をして欲しいものである。

政府は、公益法人を主務官庁の許可制を廃止し(民法を改正する予定)NPO法人とする方向で検討していると伝えられている。益々NPO法人税制を整備する必要性が高まろう。事前チェックよりも事後チェック体制を整え、租税回避が明らかな場合は許可取消しやペナルティーを厳しくして、健全なNPOの芽を摘むことがない、健全なNPO発展を促進する税制にして欲しいものである。

内閣府:NPOホームページ
国税庁:認定NPO法人制度」・・平成20年4月1現在有効期間内にある法人は80法人
認定NPO法人制度の手引・・・「認定NPO法人名簿(2009年1月1日現在92件)

所轄庁証明書についての問い合わせ先・・東京都の場合



震災事業費を横領容疑 NPO代表逮捕 7億円使い切る(2014年2月4日)  

岩手県警は四日、岩手県山田町から東日本大震災の緊急雇用創出事業を受託したNPO法人「大雪(だいせつ)りばぁねっと。」(北海道旭川市、破産手続き中)が、事業費を私的に流用したとして、業務上横領容疑で、法人代表理事の岡田栄悟容疑者(35)を逮捕し、旭川市の自宅などを家宅捜索した。

 放漫経営で事業費を年度途中に使い切り、全従業員約百四十人が突然解雇された問題は、発覚から一年余りで刑事事件に発展した。

 山田町は法人側が二〇一二年度の事業費のうち約三千万円を、岡田容疑者の親族が経営するリース会社に振り込み、私的に流用したとして、同容疑で県警に告訴状を提出した。東京新聞

依頼人である山田町の杜撰な管理、総務省がチエック体制を求めていない責任もあろう。補助金狙いの事業者は予想くできる。町長の談話では、金の使った決算書の報告もされていないという。この国のチェック体制の甘さを狙った当然の結果であろう。インターネットで「補助金横領事件」を検索すればぞろぞろ出てくるのだ。チェック体制がずさんである。チェック体制の構築は総務省等にあろう。総務省の「補助事業等の適正執行に関する手引き」、経済産業省大臣官房会計課の補助事業事務処理マニュアル」は、「検査等の一層の実施を期待しております。」として単なる作文で、実効性について何も手立てしていないので、機能しないのは当たり前で、何もしないのと大差ない。総務省所管補助金等交付規則 参照

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目的


特定非営利活動を行う団体に法人格を付与すること等により、ボランテイア活動をはじめとする市民が行う自由な社会貢献活動としての特定非営利活動の健全な発展を促進し、もって公益の増進に寄与することを目的としている(特定非営利活動促進法第1条)。


特定非営利活動とは


特定非営利活動とは、次の活動であって、不特定多数のものの利益の増進に寄与することを目的としているものをいう(第2条)。

保健、医療又は福祉の増進を図る活動
社会教育の推進を図る活動
まちづくりの推進を図る活動
文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
環境の保全を図る活動
災害救援活動
地域安全活動
人権の擁護又は平和の推進を図る活動
国際協力の活動
10 男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
11 子どもの健全育成を図る活動
12 上記の活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動


上記12分野に限られます。


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収益事業


特定非営利活動法人(以下NPO法人)は、特定非営利活動に支障のない限り、収益事業を行うことができる(第5条)。

通常の公益法人同様、公益事業の資金を賄う為に収益事業を行うことができます。法人税法上は、33業種の収益事業を規定しており、これには公益法人の特別税率25%ではなく、NPO法人の法人税の適用税率は普通法人と同じです(特定非営利活動促進法第46条第1項、法人税法第66条)。

国税庁は、「特定非営利活動促進法により設立されたNPO法人の法人税法上の取扱い」として次のように回答しています。

回答要旨
 
 特定非営利活動促進法により設立されたNPO法人の取扱い
(1)  NPO法人は、法人税法上の公益法人等とみなされ(特定非営利活動促進法第46条第1項)、収益事業を行う場合には法人税の申告を要します。
(2)  NPO法人の法人税の適用税率は普通法人と同じです(特定非営利活動促進法第46条第1項、法人税法第66条)。
(3)  NPO法人が、その収益事業に属する資産のうちからその収益事業以外の事業のために支出した金額については、その収益事業に係る寄附金の額とみなされません(特定非営利活動促進法第46条第1項、法人税法第37条第5項)
(4)  NPO法人は、小規模な法人(当該事業年度の収入金額の合計額が8,000万円以下の法人をいいます。)に該当するものを除き、当該事業年度の収支計算書の提出を要します(特定非営利活動促進法第46条第1項、租税特別措置法第68条の6、租税特別措置法施行令第39条の37)。
 認定NPO法人に対する寄附金の損金算入等の特例
(1)  法人が、認定NPO法人(NPO法人のうち、その運営組織及び事業活動が適正であること並びに公益の増進に資することにつき一定の要件を満たすものとして国税庁長官の認定を受けたもの(その認定の有効期間が終了したものを除きます。)をいいます。以下同じです。)に対して支出した特定非営利活動に係る事業に関連する寄附金については、一般の寄附金の損金算入限度額とは別枠で、特定公益増進法人に対する寄附金と合わせて一般の寄附金の損金算入限度額を限度として損金の額に算入されます(租税特別措置法第66条の11の2第2項、第3項、法人税法第37条第4項、法人税法施行規則第22条の3第5号)。
(2)  認定NPO法人が、その収益事業に属する資産のうちからその収益事業以外の事業のために支出した金額については、(通常のNPO法人とは異なり)その収益事業に係る寄附金の額とみなされるとともに、寄附金の損金算入限度額は所得の金額の20%とされます(租税特別措置法第66条の11の2第1項、法人税法第37条第5項)。


法人格を与える条件


法人格を与える条件として、宗教・政治活動を目的としない、特定の公職候補者、政党への支持・反対を目的としない、暴力団の統制下にないことを、下記のように規定している。

第2条(定義)第二項では次のように規定している。

宗教の教義を広め、儀式を行い、及び信者を教化育成することを主たる目的とするものでないこと
政治上の主義を推進し、支持し、又はこれに反対することを主たる目的とするものでないこと
特定の公職の候補者、若しくは公職にある者又は政党を推薦し、支持し、又はこれらに反対することを目的とするものでないこと

第12条(認証の基準等)で、所轄庁の認証の際の適合要件として、次のように規定している。

暴力団の統制下にある団体でないこと


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設立の認証


NPO法人を設立しようとする者は、次に掲げる書類を添付した申請書を所轄庁(事務所の所在地の都道府県知事、事務所が複数の都道府県にまたがる団体の場合は、経済企画庁)に提出して、設立の認証を受けなければなりません(第10条)。

定款
役員に係る次の書類
イ.役員名簿(役員の氏名、住所を記載した名簿)
ロ.各役員の就任承諾書、住所を証する書面
ハ.禁治産者、破産者、禁固刑、暴力団などでない(第20条の規定)および、役員の配偶者や親族でない(第21条の規定)に違反していないことを各役員が誓う宣誓書
社員のうち十人以上の者の氏名(法人にあっては、その名称及び代表者の氏名)及び住所を記載した書面
宗教・政治活動を目的としない、特定の公職候補者、政党への支持・反対を目的としない(第2条第二項二号)及び、暴力団の統制下にないこと(第12条第一項三号)を確認したことを示す書面
設立趣意書
設立者名簿(設立者の氏名及び住所を記載した名簿)
設立についての意思の決定を証する記事録の謄本
設立当初の財産目録
事業年度を設ける場合には、設立当初の事業年度を記載した書面
設立の初年及び翌年の事業計画書
十一 設立の初年及び翌年の収支予算書


所轄庁は、申請のあった日から2ヶ月間公衆の縦覧に供し、その後「2ヶ月以内」に認証・不認証の決定をしなければなりません(第12条第三項、第10条第二項)。
ただし、法律の施行の日から6ヶ月を経過する日までに行われる申請については、上記の「2ヶ月以内」とあるのを「法律の施行後10ヶ月以内」とする(附則3)、となっています。



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定款記載事項

NPO法人の定款には、次に掲げる次項を記載しなければならない(第11条)。

目的
名称
その行う特定非営利活動の種類及び当該特定非営利活動に係る事業の種類
主たる事務所及びその事務所の所在地
社員の資格の得喪に関する事項
役員に関する事項
会議に関する事項
資産に関する事項
会計に関する事項
収益事業を行う場合には、その種類その他その収益事業に関する事項
十一 解散に関する事項
十二 定款の変更に関する事項
十三 公告の方法

設立当初の役員は、定款で定めなければならない。


法人成立の時期

NPO法人は、その主たる事務所の所在地において設立の登記をすることによって成立する(第13条)。 登記簿謄本を添付した届出書を所轄庁に提出しなければならない(第13条二項)。

法人設立は、民法第51条第一項(法人の設立の時に関する部分に限る)の規定を準用する(第14条)。


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役員の定数ほか


役員として、理事3人以上監事1人以上を置かなければならない(第15条)。


理事は、すべての業務について、NPO法人を代表する。ただし、定款をもって、その代表権を制限することができる(第16条)。


NPO法人の業務は、定款に特別の定めのないときは、理事の過半数をもって決する(第17条)。


監事は、次の職務を行う(第18条)。

理事の業務執行の状況を監査すること
財産の状況を監査すること
前二号の監査の結果、業務または財産に関し不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実を発見した場合には、社員総会又は所轄庁に報告すること
前号の報告をするために必要がある場合には、社員総会を招集すること
理事の業務執行の状況又は財産の状況について、理事に意見を述べること


監事は、理事又はNPO法人の職員を兼務してはならない(第19条)。


役員となれない者

次のいずれかに該当する者は、NPO法人の役員となることができない(第20条)。

禁治産者又は準禁治産者
破産者で復権を得ない者
禁固以上の刑に処せられ、その執行を終わった日又はその執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者
NPO法若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定に違反したことにより、又は刑法第204条、206条、208条208条の二、222条若しくは247条の罪若しくは暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その執行を終わった日又はその執行をうけることがなくなった日から2年を経過しない者
第43条(命令違反、提出書類の未提出等による設立の認証を取り消し規定)の規定で、設立の認証を取り消されたNPO法人の解散時の役員で、設立の認証を取り消された日から2年を経過しない者

(役員の親族等の排除)
役員のうちには、それぞれの役員について、その配偶者若しくは三親等以内の親族が一人を超えて含まれ、又は当該役員並びにその配偶者及び三親等以内の親族が役員の総数の三分の一を超えて含まれることになってはならない(第21条)。


役員の変更等


理事又は監事のうち、その定数の三分の一を超える者が欠けたときは、遅滞なく補充しなければならない(第22条)。

役員の氏名又は住所に変更があったときは、遅滞なく所轄庁へ届け出なければならない(第23条一項)。

役員が新たに就任した場合は、次の書類を所轄庁に届けでなければならない(第23条二項)。

各役員の就任承諾書、住所を証する書面
禁治産者、破産者、禁固刑、暴力団などでない(第20条の規定)および、役員の配偶者や親族でない(第21条の規定)に違反していないことを各役員が誓う宣誓書

(役員の任期)

役員の任期は、2年以内において定款で定める期間とする。ただし、再任を妨げない。


定款の変更


定款の変更は、定款の定めるところにより、社員総会の決議を経なければならない(第25条)。

社員総会は、社員総数の二分の一以上が出席して、その出席者の四分の三以上の多数をもってしなければならない。ただし、定款の定めがあるときは、この限りではない(第25条二項)。

定款の変更は、軽微なものを除き、所轄庁の認証を受けなければその効力を生じない(第25条三項)。この認証を受けるときは、定款変更した社員総会の議事録の謄本及び変更後の定款を添付した申請書を所轄庁に提出しなければならない(第25条四項)。



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会計に関して


NPO法人の会計は、次に掲げる原則に従って行わなければならない(第27条)。

収入及び支出は、予算に基づいて行うこと
会計簿は、正規の簿記の原則に従って正しく記帳すること
財産目録、貸借対照表及び収支計算書は、会計簿に基づいて収支及び財政状態に関する真実な内容を明瞭に表示したものとすること
採用する会計処理の基準及び手続きについては、毎年継続して適用し、みだりに変更しないこと


NPO法人は、毎年はじめの三ヶ月以内に、次の書類を作成し、その年の翌翌年の末日間での間、主たる事務所に備えておかなければならない(第28条一項)。

事業報告書等 事業報告書、財産目録、貸借対照表及び収支計算書
役員名簿等 役員名簿、役員名簿に記載された者のうち、前年に報酬を受けたことがある者全員の氏名を記載した書面並びに社員のうち十人以上の者の氏名及び住所を記載した書面


その社員その他の利害関係人から事業報告書等の閲覧の請求があった場合には、正当な理由がある場合を除いて、閲覧させなければならない(第28条二項)。


(事業報告書等の提出及び公開)
NPO法人は、毎年一回、事業報告書等、役員名簿等及び定款等を所轄庁に提出しなければならない(第29条一項)。
所轄庁は、事業報告書等、役員名簿等及び定款等についての閲覧請求があった場合には、閲覧させなければならない(第29条二項)。

NPO法人の所管官庁であった経済企画庁は、2001年1月の省庁再編で内閣府へ移管された。
経済企画庁時代の1999年に「特定非営利活動法人の会計に関する研究会」が発足されたが、1999年4月16日の第6回会議で終了しており、その後研究会の議論を基礎に経済企画庁(現・内閣府)が作成した特定非営利活動法人の会計の手引き」(キャッシュフロー計算書は含まない)があり、これを参考にして特定非営利活動法人のほとんどは財務書類を作成している。

2001年8月、出版社ぎょうせい「月刊ガバナンス2001年8月号」に、特定非営利活動法人の実態調査に関する記事が掲載されています。興味深いものがありますので参照してみてください。

2001年12月19日、総務省は公益法人行政推進室より「公益法人会計基準の見直しに関する論点(中間報告)」を公表し、コメントを2002年2月28日までに求めている。公益法人の会計基準ではキャッシュフロー計算書が含まれるようになった。内閣府に問合せたところ、特定非営利活動法人(NPO法人)は総務省所管の公益法人とは所管が異なる、との回答でした。縦割り行政のままである。「公益法人」は非営利法人であるが特別法としての内閣府所管の「特定非営利活動法人」と区分する必要があろうか。

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監督・検査


所轄庁は、NPO法人が法令、法令に基づいてする行政庁の処分又は定款に違反する疑いがあると認められる相当な理由があるときは、NPO法人に対し、その業務若しくは財産の状況に関し報告させ、又は、その職員に、NPO法人の事務所その他の施設に立ち入り、その業務若しくは財産の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させることができる(第41条一項)。

所轄庁は、NPO法人を検査させる場合、当該検査をする職員に、相当の理由を記載した書面を提示させなければならない(第41条二項)。


(改善命令)
所轄庁は、改善の為に必要な措置を講ずることができる(第42条)。


(設立の認証の取り消し)
所轄庁は、NPO法人が、改善命令に違反した場合であって他の方法により監督の目的を達することができないとき又は三年以上にわたって事業報告書等、役員名簿等又は定款等の提出を行わないときは、当該NPO法人の設立の認証を取り消すことができる(第43条)。


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横山会計事務所

公認会計士・税理士 横山 明

Tel 047-346-5214 Fax 047-346-9636
Email: yokoyama-a@hi-ho.ne.jp

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