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公益法人の総数は国と都道府県の所管分を合わせると約2万8千に及ぶ。最近では、財団法人「ケーエスディー中小企業経営者福祉事業団」(KSD)による政界工作事件を契機に、資金の使途などの透明化を徹底する必要があると判断しており、総務省は国が所管する公益法人に2001年度から、監査法人や公認会計士、税理士などによる外部監査を義務つける。
また、政府は主要テーマに公益法人の効率化を掲げ、業務の見なおしに着手する方針(日本経済新聞20001年2月1日報道)。
総理府の公表した「公益法人に関する年次報告書」によれば、平成8年7月、政府に提出された与党行政改革プロジェクトチームの「公益法人の運営等に関する提言」を踏まえ、公 益法人に対する指導監督の一層の適正化、公益法人による行政代行的行為の透明化等を強力に進めるため、平成8年 7月16日、「公益法人等の指導監督等に関する関係閣僚会議」の随時開催が閣議口頭了解されるとともに、同年9月 20日に、「公益法人の設立許可及び指導監督基準」及び「公益法人に対する検査等の委託等に関する基準」が閣議 決定された。 また、同年12月19日には、指導監督基準の運用に当たっての具体的、統一的な指針として、「公益法人の設立許 可及び指導監督基準の運用指針」が申し合わされた(関係閣僚会議幹事会申合せ)。 さらに、翌平成9年12月16日には、指導監督基準改正の閣議決定が行われ、公益法人の「内部留保」「株式保 有」「情報公開」に関する具体的基準が定められた。
指導監督基準の閣議決定を受けて、平成8年10月、営利法人への転換に関する問題を検討するため、法務省民事局
長が主催する「法人制度研究会」(座長:星野英一東大名誉教授)が発足し、平成10年3月、「法人制度研究会報告書」を取りまとめて公表 した。
この報告書では、公益法人の解散(解散後の清算の結了により法人は消滅する。)と、公益法人から営利法人等への事
業の移転(事業譲渡又は現物出資)とを組み合わせる方法等により、現行法制度の下においても、公益法人から営利法人等への転換は、基本的に可能であるとしている。
前記報告書を受けて、平成10年12月4日の関係閣僚会議幹事会において、営利法人等への転換の手順、転換後
の対応を盛り込んだ「公益法人の営利法人等への転換に関する指針」を申し合わせた。
なお、指導監督基準の運用指針について、営利転換指針の申合せに併せて所要の改正を行った。
自民党は公益法人改革を進めており、公益法人のあり方を見直し、特定非営利法人(NPO法人)などと一本化した「非営利法人」と位置づける法案をまとめる方針。新法では、設立を認可制とし主務官庁の権限を緩め設立を容易にする反面、情報開示に関する事後的な規制を強化して、税制優遇措置を受ける法人を継続的に審査ができる仕組みを整える(日本経済新聞01年9月2日)。
平成14年8月2日、内閣官房行政改革推進事務局行政委託型公益法人等改革推進室は、「公益法人制度の抜本的改革に向けて(論点整理)」を公表した。「公益法人制度の抜本的改革に向けた取組みについて」 参照
これは、平成14年3月29日の下記の閣議決定に応えて纏められたものである。
1. 最近の社会・経済情勢の進展を踏まえ、民間非営利活動を社会・経済システムの中で積極的に位置付けるとともに、公益法人(民法第34条の規定により設立された法人)について指摘される諸問題に適切に対処する観点から、公益法人制度について、関連制度(NPO、中間法人、公益信託、税制等)を含め抜本的かつ体系的な見直しを行う。
2. 上記見直しに当たっては、内閣官房を中心とした推進体制を整備し、関係府省及び民間有識者の協力の下、平成14年度中を目途に「公益法人制度等改革大綱(仮称)」を策定し、改革の基本的枠組み、スケジュール等を明らかにする。また、平成17年度末までを目途に、これを実施するための法制上の措置その他の必要な措置を講じる。
公益法人を解消し、現在のNPO法を発展的に解消し、欧米と同様の非営利法人制度を確立しようとするものである。
2004年11月19日、政府の公益法人制度改革に関する有識者会議は、現在の公益法人(社団、財団)を廃止して、登記だけで設立できる「非営利法人」に衣替えすることなどを盛り込んだ最終報告書をまとめた。非営利法人を民間有識者で構成される委員会が「公益性のある法人」と「一般的な法人」に振り分け、公益性のあるものには税制上の優遇措置を認めるというもの。
公益法人制度改革に関する有識者会議報告書(PDF)
(別
紙)非営利法人制度の創設に関する試案(PDF)
現行公益法人 | 新たな非営利法人制度 | |
(財団法人、社団法人) 約26000法人 |
⇒ | 公益性を有する非営利法人 |
⇒ | 一般的な非営利法人 | |
中間法人 (業界団体、同窓会など) 約1200法人 |
⇒ | |
今回の改革の対象外 となる非営利法人 |
||
特定非営利活動法人(NPO法人) 約19000 |
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学校法人、社会福祉法人 宗教法人、・・・・ |
全国に約26,000ある公益法人は、官僚の天下り先になるなどの批判が根強い。政府は、12月の閣議決定。税の優遇措置を詰めて、2006年の通常国会に民法改正案や非営利法人の創設に関する法案を提出する方針。
特定非営利活動法人(NPO法人)も改革に含めることも検討したが「時期尚早」とのことで今回は見送ることとなった。業界団体や同窓会などの中間法人は「一般的な非営利法人」に移行させ廃止される。「非営利法人」の設立を登記だけで済ますのは、許可制による現行制度では主管官庁の裁量が働きやすいため。設立を容易にする代わりに、公益法人を一元的に所管する閣僚の下に設置する民間有識者の委員会(内閣府・公益認定等委員会・2007年4月1日発足)が公益性をチェックする。具体的には、@公益事業の規模が法人の過半を占める、A営利企業の事業を阻害しない、B利益は原則として公益事業に使う、などが判断基準となるとしている。 公益法人の改革について・・行政改革
改革の概要 |
民間非営利部門の活動の健全な発展を促進し、現行の公益法人制度に見られる様々な問題に対応するため、従来の主務官庁による公益法人の設立許可制度を改め、登記のみで法人が設立できる制度を創設するとともに、そのうちの公益目的事業を行うことを主たる目的とする法人については、民間有識者による委員会の意見に基づき公益法人に認定する制度を創設しました 。
@ | 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律 |
民法に定める公益法人に関する制度を改め、剰余金の分配を目的としない社団又は財団について、その行う事業の公益性の有無にかかわらず、準則主義により法人格を取得することができる制度を創設し、その設立、機関等について定める。 | |
A | 公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律 |
公益法人の設立の許可及びこれに対する監督を主務官庁が行う民法に定める制度を改め、内閣総理大臣又は都道府県知事が、民間有識者による委員会の意見に基づき、一般社団法人又は一般財団法人の公益性を認定するとともに、認定を受けた法人の監督を行う制度を創設する。・・・税制については税務当局が今後手当てする。 | |
B | 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律 |
@及びAの施行に伴い、中間法人法を廃止するほか、民法その他の関連する諸法律の規定を整備する。 |
新制度は、平成20年(2008年)度中に施行する予定です。また、施行日から5年間は「移行期間」とされ、現行の公益法人は、この期間内に必要な手続きを行い、新制度に移行することとなります。
本日(平成20年12月1日(月))、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(平成十八年法律第四十九号)及び一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成十八年法律第五十号)が全面施行され、新たな公益法人制度が始まりました。
これまでの公益法人(社団法人又は財団法人)は、本日をもって、法律上特例民法法人(特例社団法人又は特例財団法人)となります。新制度への移行には、本日より5年間(平成20年12月1日〜平成25年11月30日)の移行期間が設けられており、この間に新制度への移行手続を行なう必要があります。手続を行なわずに5年間が経過した場合、解散したとみなされることになりますので、ご留意願います。
新制度へのご理解ご協力よろしくお願いします。
110年ぶりの公益法人制度の改革〜公益法人制度改革関連3法案〜 written by 内閣委員会調査室久保田正志氏 より抜粋
公益法人は、民間非営利法人の代表格であるが、公益法人制度は制度開始以来、抜本的な改正もないまま来たため、時代の要請に応じた新しい制度の構築が必要とされ、今回(2006年3月)、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律案(閣法第71号、以下「一般社団・財団法人法案」という。)、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律案(閣法第72号、以下「公益法人認定法案」という。)、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(閣法第73号、以下「整備法案」という。)の3法案が、国会に提出された。
本稿では、3法律案の提出の経緯、内容について概観し、今後の課題について検証する。
1.公益法人制度改革関連3法律案提出の経緯
現行の公益法人制度は、明治29年(1896)の民法制定以来、110年間、行政や民間営利部門では満たすことのできない社会の需要に対応する多様なサービスを柔軟かつ機動的に提供する、民間非営利法人制度の中核として存続してきた。平成16年10月1日時点で、2万5,541法人(社団法人1万2,749、財団法人1万2,792)が公益法人として活動している。
このように、公益法人は国民生活に重要な役割を果たしているが、その一方、主務官庁の許可主義の下、裁量の幅が大きく設立が簡便でない、事業分野毎の主務官庁による指導監督が縦割りで煩雑、情報開示が不十分、公益性の判断基準が不明確、公益性を失った公益法人が存続し続ける、といった問題が指摘されている。また、公益法人に対する税制上の優遇措置や行政の委託、公益法人が補助金や天下りの受け皿になっている等について
の様々な指摘や批判も行われてきた。
このような指摘や批判を受け、政府は、平成7年3月に「公益法人の設立許可について」を、平成8年9月に「公益法人の設立許可及び指導監督基準」及び「公益法人に対する検査等の委託等に関する基準」をそれぞれ閣議決定して、公益法人に対する行政上の監督を強化する方向に進んだ。そして、平成12年12月に閣議決定された「行政改革大綱」では、公益法人の中でも行政委託型公益法人をまず改革の対象とした。
しかし、平成13年1月に開始された国所管の公益法人の総点検を受けた同年4月の「行政委託型公益法人等改革の視点と課題(行政改革推進事務局)では「抜本的な公益法」、人制度改革に向けた基本的方向を示すべく検討を進める」とし、行政委託型公益法人にとどまらず、公益法人制度全体の見直しが不可避となった。
この後、平成14年3月に「公益法人制度の抜本的改革に向けた取組みについて」が閣議決定されて公益法人制度の抜本的・体系的な見直しが決定され、平成15年6月には公益法人制度の抜本的改革の基本的枠組みやスケジュール等を明らかにした「公益法人制度の抜本的改革に関する基本方針」が閣議決定された。
この基本方針では、(1)公益性の有無にかかわらず準則主義(登記)により簡便に設立できる一般的な非営利法人制度を創設すること、(2)公益性を有する場合の優遇措置の在り方については、特別法に基づく法人制度を含めた全体の体系の整合性に留意しながら、公益性の客観的で明確な判断基準の法定化や独立した判断主体の在り方等を含め検討すること等の改革の基本的な方針が示され、平成17年度末までに法制上の措置等を講ずること
を目指すこととされた。そして、公益法人制度改革についての具体的な提案を行うため、行政改革担当大臣の下に「公益法人制度改革に関する有識者会議」が設置され、同会議は、平成16年11月に「報告書」を取りまとめた。同報告書を基に公益法人制度改革関連3法案は立案され、平成18年3月10日に国会に提出された。
2.一般社団・財団法人法案の概要(準則主義による一般非営利法人の設立)
現行の公益法人制度は、法人の設立とその法人の公益性の判断はセットになっている。
今回の公益法人制度改革では、これを改めて、非営利法人の設立自体は、公証人による定款の認証を受けて登記すれば、一般社団法人又は一般財団法人として成立することとし、税優遇等を伴う「公益法人」としての認定は、公益法人認定法の手続で行うこととした。
一般社団法人は、社員になろうとする者が共同して法定の記載事由を盛り込んだ定款を作成して公証人の認証を受け、その主たる事務所の所在地において設立登記をすることで成立する。法人の運営のため、社員総会で選出された理事等の機関が置かれる。なお、社団の債権者に対する社員の責任は有限責任である。法人の資産としては基金の制度があるが、現行の有限責任中間法人と異なり基金の設置は義務付けられていない。
一般財団法人は、設立者が法定の記載事由を盛り込んだ定款を作成し(遺言による作成も可、かつ、300万円以上の財産を拠出しなければならない。法人は、定款が公証人の)認証を受け、その主たる事務所の所在地において設立登記をすることで成立する。法人の運営は設立者がその任命方法を定めた評議員とそれに選任された機関によりなされる。
一般社団法人及び一般財団法人(総称して「一般社団・財団法人」という)は、法定。
の解散事由で解散するほか、一定期間登記のない休眠法人は解散したものとみなされる。
3.公益法人認定法案の概要
新しい公益法人制度では、一般社団・財団法人の中で公益事業を行うにふさわしい法人について公益認定を行い、税優遇等を受けられることとした。
公益認定を受けられる法人は、公益目的事業(学術、技芸、慈善その他の公益に関する23種類の事業であって、不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するもの)を行う法人である。公益認定は、2以上の都道府県の区域内に事務所を設置する法人、2以上の都道府県の区域内で公益目的事業を行う法人及び国の事務・事業と密接な関連を有する公益目的事業を行う法人、については内閣総理大臣が、それ以外は主たる事務所の所在地の都道府県がそれぞれ行う(以下、認定主体たる内閣総理大臣と都道府県を「行政庁」という。)
公益認定においては、申請法人が公益目的事業を行うことを主目的とすること、必要な経理的基礎及び技術的能力を有すること、公益法人の社会的信用を維持する上でふさわしくないものを行わないこと、公益目的事業に係る収入がその実施に要する適正な費用を償う額を超えないと見込まれること等の基準に適合し、暴力団に関係する等の欠格事由に当たらなければ、行政庁は、当該法人について公益認定をするものとされる。
なお、公益認定に当たっての他の官庁の関与は、法人が事業を行うに当たり法令上行政機関の許認可等を必要とする場合に許認可を与える行政機関から意見聴取することに限られ、現行の主務官庁制度における自由裁量による認可のような関与形態はなくなる。
公益認定された法人は、公益社団法人又は公益財団法人の名称で公益法人としての事業を行うが、公益目的事業に係る収入がその実施に要する適正な費用を償う額を超えないこと、公益目的事業比率が100分の50以上となること、遊休財産の額が一定額を超えないこと及び寄附の募集に関して一定の行為をしないことなどが義務付けられる。また、公益法人は、収益事業等ごとに区分経理し、役員等への報酬等の支給基準を公表するほか、毎事業年度ごとの財産目録の備置き・閲覧、行政庁への提出等の義務を負うなど、広く行政・国民への説明責任が求められている。
行政庁は、公益法人の事業の適正な運営を確保するために必要な限度において、公益法人に対して報告を求め、相当の理由のある場合は勧告を行い、法定の事由に該当する場合は公益認定を取り消すこととなっている。
公益認定、監督等については、第三者機関の役割が重要であるが、内閣総理大臣に係る公益認定は、内閣府に設置される公益認定等委員会(委員7人以内)が総理大臣からの諮問に答申等で関与する。なお、各都道府県にも公益認定に係る合議制の機関が置かれる。
4.整備法案の概要(既存の公益法人の新制度への移行)
現行の公益法人である社団法人・財団法人で、本法律施行の際に存在するものは、施行日以後は「特例社団法人」又は「特例財団法人(総称して「特例民法法人」という。)として、一般社団・財団法人法に基づく一般社団・財団法人と同じ扱いとなる。
特例民法法人で、公益法人認定法に規定する公益目的事業を行うものは、法施行日(法の公布日から2年6月以内)から起算して5年の間(以下「移行期間」という。)に、公益法人認定法による認定と同様の手続を経て、公益法人として登記することができる。
特例民法法人のうち、公益法人ではなく一般社団・財団法人への移行を希望する法人は、行政庁の認可を受けて登記により一般社団法人又は一般財団法人となることができる。ただし、認可においては、民法上の公益法人として形成した公益目的のための資産を本来の公益目的のために支出する「公益目的支出計画」を作成し、これが適正、かつ確実に実施されるものと認められなければならない。移行期間内に公益法人としての認定又は一般社団・財団法人としての認可を受けなかった特例民法法人は、原則として、移行期間の満了の日に解散したものとみなされる。
また、同窓会等の非公益の非営利法人である中間法人も一般社団法人に移行する。平成17年10月末現在で中間法人は2,379法人(有限責任中間法人が2,131法人、無限責任中間法人が248法人)であるが、有限責任中間法人は、一般社団法人に移行し、無限責任中間法人は、債権者保護のために「特例無限責任法人」の名称で一般社団法人に移行した後、法施行後1年以内に一般社団法人としての組織形態に改めないと解散したものとみなされる。
なお、民法のほか、300法律について所要の改正が行われる。
5.今後の課題
今回の公益法人制度改革は、当初は、180を超える法律に基づく個別の非営利法人制度の通則法の制定に至るものとも目されたが、結局、今回の法案は公益法人制度と中間法人制度の統合にとどまった。宗教法人、社会福祉法人、学校法人、特定非営利活動法人(NPO)などの非営利法人は、それぞれの要請に応じて作られたものであり、制度設立の経緯も様々であることから、制度の統合自体は困難であろうが、非営利法人制度全体の透明性の確保の観点からは、法的共通基盤が存在した方が良いとの指摘もある。公益認定等委員会は内閣府に設置されることとなっており、内閣府がNPO制度と新公益法人制度の両方を所管することになれば、今後、両制度の融合に進む道が模索される可能性はある。
また、新制度下での公益法人に対する税制については、収益事業課税方式、軽減税率・みなし寄附金制度、あるいは寄附金優遇税制等について検討がなされるべきとされているが、税制については、今回の3法案の中では具体的な手当はなされず、来年以降に法改正がなされることとなる「官から民へ」の流れの中で、公的役割の受け皿となることが求められている公益法人に対する税制優遇自体には余り異論は出ていないようであるが、「非営利公益法人課税の制度論は理論的枠組の欠如ゆえに混乱している」との指摘もあり、公益法人等に対する税制を根本的な議論なしに既存の制度の延長として構築してしまうと、新たな批判が生じる懸念もあろう。
最後に、現存の約2万5千の公益法人の大多数は新たな公益法人への移行を希望しているとされる。移行期間は5年なので単純計算で年間5千法人の認定事務が必要となるが、認定申請は移行期間前半に集中するとも考えられる。新制度下の公益法人の「正統性」を確保する観点からも、移行にはスムースながらも厳格な手続が求められ、膨大な事務の着実な実施体制の構築が公布日から法施行日までの約2年6月間の喫緊の課題となろう。
公益法人制度改革の概要(パンフレット) 参照
公益法人の改革について・・行政改革:内閣府 参照
公益法人とは、民法第34条に基づいて設立される社団法人又は財団法人のことであり、その設立には、@公益に関する事業を行うこと、A営利を目的としないこと、B主務官庁の許可を得ることが必要である。
社団法人と財団法人
社団法人は、一定の目的のもとに結合した人の集合体であって、団体として組織、意思等を持ち、社員と別個の社会的
存在として団体の名において行動する団体であり、財団法人は、一定の目的のもとに拠出され、結合されている財産の集
まりであって、公益を目的として管理運営される団体である。
社団法人については、社員の欠乏が解散事由とされている(民法第68条2項第2号)ほかは、社員数に関する要件は定められていない。なお、財団法人については、制度上、社員は存在しない。
(1)民法以外の特別法に基づいて設立される公益を目的とする法人のことを広義の公益法人といい、学校法人(私立学校 法)、社会福祉法人(社会福祉法)、宗教法人(宗教法人法)、医療法人(医療法)、更生保護法人(更生保護事業法)、特定非営利活動法人(特定非営利活動促進法)等がある。
(2)公益も営利も目的としない中間的な団体は、特別法の規定がある場合に限り法人格を取得することができる。これら
は、一般的に中間法人と呼ばれており、労働組合(労働組合法)、信用金庫(信用金庫法)、協同組合(各種の協同組合法)、共済組合(各種の共済組合法)等がある。
(3)特殊法人は、「法律により直接に設立される法人又は特別の法律により特別の設立行為(政府が命じる設立委員が行
う設立に関する行為)をもって設立すべきものとされる法人」のことである。
公益も営利も目的としない中間的な団体は、特別法の規定がある場合に限り法人格を取得することができる。これら は、一般的に中間法人と呼ばれており、労働組合(労働組合法)、信用金庫(信用金庫法)、協同組合(各種の協同組合法)、共済組合(各種の共済組合法)等がある。
しかし、同窓会、親睦団体、業界団体、互助会等の非営利、非公益目的の社団については、個別の特別法がなく、その目的や組織に適した形の法人となることができない状況にある。このような団体についても法人格を取得し、その目的や組織にふさわしい法的な規律に服することとするなら、構成員たる個人・法人が団体の活動に参加し、また、団体活動の結果により様々な利益を享受することができ、他方、これと取引関係に立つ第三者の保護も図られることとなり、その社会的意義は大きいとして、法務省は「中間法人法制」の導入を検討している。
平成13年6月8日、「中間法人法」は、参議院本会議で成立した。平成14年(2002年)4月1日に施行されました。
また、公益法人改革に伴い、同窓会等の非公益の非営利法人である中間法人も一般社団法人に移行する。平成17年10月末現在で中間法人は2,379法人(有限責任中間法人が2,131法人、無限責任中間法人が248法人)であるが、有限責任中間法人は、一般社団法人に移行し、無限責任中間法人は、債権者保護のために「特例無限責任法人」の名称で一般社団法人に移行した後、法施行後1年以内に一般社団法人としての組織形態に改めないと解散したものとみなされる。
参考ホームページ: | |
中間法人の設立手続・・法務省 | 中間法人制度Q&A・・法務省 |
中間法人の広場・・愛知県中小企業団体中央会が運営: 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律の施行に伴う中間法人法の廃止について(2006年9月) 公益法人制度改革の概要(パンフレット) ・・行革(2006年9月) 上記「中間法人の広場」によれば 「2002年4月より中間法人制度が新たにスタートしました。設立件数は平成15年8月末で 510件で、月約 30件ペースで設立されています。なお、NPO法人は最初の一年間で 1524件認証されています。 その内容については、国の想定とはやや異なり、業界団体や事業者団体が圧倒的に多く、同窓会や同好会はあまり多くはないようです。内訳は、現在有限責任中間法人が 417件(うち2件解散)、無限責任中間法人が 100件(うち5件解散)です。(法務省の調査) 」としています。 |
特殊法人等については、2000年7月27日付けで公表した、総務庁の特殊法人情報公開検討委員会の「特殊法人等の情報公開制度の整備充実に関する意見」が詳しい。また、弁護士 野村吉太郎氏の作成した「特殊法人監視機構ホームページ」を参照ください。
「特殊法人の情報公開の制度化に関する調査研究」・・特殊法人の定義、類型、法律に関する調査研究参照
「諸外国の特殊法人対応制度」・・アメリカ、イギリス、フランス、ドイツの制度参照
郵便貯金、厚生年金、国民年金、簡易保険など国民からの預り金(国民に対する債務)438兆円(平成11年度の数値)は、大蔵省の資金運用部・特別会計等を経由して、公庫・公団、その他特殊法人、地方公共団体などに出資金や貸付金の名目で資金が流れている。
2001年4月から、郵便貯金、厚生年金、国民年金、簡易保険などは直接金融市場で運用することとなり、公庫・公団、その他特殊法人は独自に財投機関として財投機関債を金融市場で発行することができることとなった(平成13年度は20の機関が1兆円だけ発行)。不足資金は、財務省・財政融資資金特別会計が財投債を金融市場で発行して資金調達して特殊法人に融資する(従来と変わらず)。財投債は国債の一種で、平成13年度は約44兆円を発行し、郵貯等が33兆円を引受け金融市場は11兆円。
財務省は、2000年3月期の、公庫・公団・特殊会社等50の特殊法人(特別会計を含む)の財務内容を「情報アクセス」として公表した。法人ごとに会計処理の内容が異なるが情報公開としては一歩前進と言うことか。
公社・公団、特殊法人、認可法人のリスト
郵貯・年金等の国民からの預り金が特殊法人等の資金に流れ運用されている。2001年4月から金融市場を経由するとはいえ、すでに投資された出資金や貸付金はそのまま残り、かつ財投債は新たな国債の発行と、財投債で調達した資金は特殊法人へ融資されるため従来と異ならない。特殊法人が第2の国鉄となったとしたら国民への全額返済は税金を使うことになろう。そうならないために、情報を生かしきれるかどうかは国民の目にかかっている。
特殊法人等整理合理化計画 |
特殊法人等改革については、昨年12月に策定された「行政改革大綱」及び先の通常国会で成立した「特殊法人等改革基本法」に従い、一年間にわたり見直し作業が進られてきたが、平成13年12月18日に特殊法人等改革推進本部(第5回)・行政改革推進本部(第8回)(いずれも本部長は総理大臣)合同会議が開催され、その場で「特殊法人等整理合理化計画」が策定された。
翌19日に閣議決定された同計画は、163の特殊法人及び認可法人を対象に、事業及び組織形態の見直し内容を個別に定めるとともに、各特殊法人等に共通的に取り組むべき改革事項について掲げている。
今後は、本計画に従い、内容の具体化が図られることとなるが、原則平成14年度中に法制上の措置その他必要な措置を講じ、平成15年度には具体化を図ることとしている。 平成13年12月18日 行政改革推進事務局 |
認可法人とは、「政府が特別の法律で設立 した法人」であり特殊法人と同じである。法人設立にあたり、国が設立委員を任命していれば特殊法人、民間からも設立委員が選出されていれば認可法人となる。特殊法人は総務庁の審査対象になり、認可法人は審査対象からはずれる。
認可法人一覧(主管省庁別)(平成10年4月1日現在)・・総務省
↓
特別の法律により設立される民間法人(最新版は「総務省 行政管理・独立行政法人」を参照)
すべての独立行政法人と一定の特殊法人及び認可法人を対象とする「独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(独立行政法人等の情報公開法という)」、平成13年11月28日に成立し、12月5日に公布されました。
しかしながら、認可法人等は独立行政法人等の情報公開法の対象から除かれています。独立行政法人等の情報公開法の対象外法人(総務省)参照・・黄色のマーカーの付している法人が情報公開法の対象外としています。
認可法人の存立は公共性等を存立基盤であるなら、主務官庁があるとしても、その公共性を判断するのは一義的には国民であろう。その意味では情報開示のあり方をもっと検討すべきではないであろうか。
法人名を見て公益法人と認可法人などの区分は不可能。米国では、すべて非営利組織(Not-for-profit Organization)に該当し、非営利組織は税法で決められ、国税当局である歳入庁(IRS)が管理することになっている(米国の非営利組織(NPO)税制参照)。
日本の非営利法人 | 米国または国際機関の非営利法人 | |||
日本赤十字社 | 認可法人 | 業務報告 決算報告 単年度 |
米国赤十字社 American Red Cross |
年次報告書2003 2期比較 |
日本公認会計士協会(JICPA) | 認可法人 | 事業報告 単年度 |
米国公認会計士協会 (AICPA) |
年次報告書 (Annual Report) 2期比較 |
日本税理士連合会 | 認可法人 | 事業報告 単年度 |
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(財)財務会計基準機構 企業会計基準委員会の母体 |
公益法人 | 公開資料 単年度 |
財務会計基準審議会(FASB) の母体であるFAF(財務会計財団) |
2003年度年次報告書 2期比較 |
国際会計基準委員会財団IASCF (国際会計基準審議会IASBの母体) |
2006年度年次報告書 2期比較 |
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(社)日本証券アナリスト協会 | 公益法人 | 事業報告 単年度 |
米国公認証券アナリスト協会 CFA Institute (Chartered Financial Analyst, CFA) |
2004年次報告書 2期比較 |
例えば、日本では認可法人に該当する場合であっても、アメリカ赤十字社(American Red Cross)の年次報告書や、米国公認会計士協会(AICPA)の年次報告書(Annual Report)には、活動内容及び非営利組織(AICPAには営利組織の子会社がある旨の記載あり)としての連結財務諸表を外部に向かって公表しています。また、米国会計基準を設定している財務会計基準審議会(FASB)の母体であるFAF(財務会計財団)は、デラウエア州一般会社法で設立し税法501(c)(3)の非営利組織として取扱われている。情報開示は、FAF2003年度年次報告書で、活動報告と会計基準FAS No.117号「非営利組織の財務諸表」による財務報告が行われています。
国際会計基準委員会財団IASCF(国際会計基準審議会IASBの母体)の2003年度年次報告書を参照ください。米国同様のものとなっています。
一方、日本の(財)財務会計基準機構(企業会計基準委員会(ASB)の母体)が2002年6月に公表した「2001年度の計算書類」と比較してみると会計に対する認識の違いが歴然としています。
つまり、日本の場合は、公益法人の会計基準を総務省が所管し、企業会計基準委員会は金融庁所管の証券取引法に係る会計基準の開発を行っているため、(財)財務会計基準機構(企業会計基準委員会(ASB)の母体)自らの財務情報は総務省の公益法人会計基準に従うという国際的には理解不能なものとなっています。つまり縦割り行政の弊害です。一方、欧米は、非営利組織の会計基準は、民間の会計基準設定主体(FASBやIASB)が民間部門の会計基準を統一して設定していることにあります。
大切なのは、財務情報の開示は役所に提出する書類ではなく、一般市民へのディスクロジャー(情報開示)により、寄付金などの協力者を得ようと努力する仕組みにあります。
米国の場合(国際会計基準も同様)は、協力者(寄付金などの資金提供者)を増やすために、自身の非営利活動内容の理解を得るために分かりやすい情報開示を必要とするインセンティブが働いている民主導主型ですが、日本の場合は、主務官庁による認可・許可などで設立され、かつ、情報開示は主務官庁に対して行い国民の目の届かない官主導型で、例え外部にも情報開示したとしても様式・内容等は形式的な役所の文書で判りにくいという特徴があります。民主導型の仕組みを構築しない限り、情報開示は改善されることはない。
なお、平成13年12月18日 行政改革推進事務局の「特殊法人等整理合理化計画」により、認可法人について民間法人とする等の個別に改革することとなった。
特定非営利活動法人は,平成10年12月に施行された特定非営利活動促進法に基づいて設立される法人である。特
定非営利活動法人は,同法の別表に掲げられた活動であって,不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与することを目的
とする活動を行うことを主たる目的とするものである(第2条)ことから,公益を目的とする法人に当たると解される。
特定非営利活動法人の設立は,公益法人のそれとは異なり,主務官庁の許可を必要とせず,所轄庁(原則として都道
府県知事。2以上の都道府県の区域内に事務所を設置するものにあっては,経済企画庁長官とされる。)の認証が必要
とされている(第10条第1項)。
「特定非営利活動法人(NPO)」参照
平成元年 | 平成5年 | 平成10年 | ||
国所管 | 社団 | 3,317 | 3,557 | 3,691 |
財団 | 2,967 | 3,242 | 3,178 | |
合計 | 6,284 | 6,799 | 6,869 | |
都道府県所管 | 社団 | 7,877 | 8,649 | 9,196 |
財団 | 8,758 | 9,864 | 10,410 | |
合計 | 16,635 | 18,507 | 19,606 | |
合計 | 社団 | 11,186 | 12,142 | 12,827 |
財団 | 11,697 | 13,072 | 13,553 | |
合計 | 22,883 | 25,214 | 26,380 | |
国と都道府県との共管法人があるため、国所管と都道府県所管とを足した数は全体数とは一致しない。 | ||||
各年10月1日現在 |
本来の 公益法人 |
互助・共済 団体等 |
その他 | 合計法人数 | |
国所管 | 6,479 | 379 | 11 | 6,869 |
都道府県所管 | 16,656 | 2,519 | 431 | 19,606 |
合計 | 23,042 | 2,896 | 442 | 26,380 |
昭和52年3月、公益法人会計基準が決定され、その後見直しが行われて、昭和60年9月に新たな公益法人会計基準が決定された(昭和62年4月1日から適用)。
「公益法人会計基準」参照
この会計基準は、民法第34条に基づいて設立されるすべての公益法人に適用されることが原則である。
実際の公益法人会計基準の適用状況は、以下のとおりである。
公益法人数 | 割合 | |
・公益法人会計基準を完全に適用している | 16,674 | 63.2% |
・公益法人会計基準を一部に適用している | 6,048 | 22.9% |
・企業会計を適用している | 1,135 | 4.3% |
・その他(官庁会計等、他の会計基準を適用している) | 2,523 | 9.6% |
平成10年10月1日現在合計 | 26,380 | 100% |
オウム事件を切っ掛けに、平成8年度税制改正において、公益法人等の収支計算書の税務署への提出する制度が創設された。
従来は、公益法人等は、法人税法上収益事業部分のみが課税対象となっており
、収益事業を営む場合のみ法人税の申告書の添付書類として計算書類の提出が必
要とされていたが、この改正により、法人税法上の収益事業を営まない公益
法人等についても収支計算書を所轄税務署に提出する義務が生じることになった。
「公益法人等の収支計算書の提出」参照。
総務省「公益法人会計基(中間報告)」の公開草案2001年12月に公表
2001年5月25日、日本経済新聞は、「連結会計公益法人に導入」と題して、総務省「公益法人会計基準検討会」が中間報告として6月に公開草案を公表しパブリックコメントを受付け、年内にも最終報告をまとめる、と報じた。
2001年12月19日、総務省は公益法人行政推進室より「公益法人会計基準の見直しに関する論点(中間報告)」を公表し、コメントを2002年2月28日までに求めている。
公益法人会計基準の検討について | ||||||||||||||||||||||||||
平成14年3月29日公益法人等の指導監督等に関する関係閣僚会議幹事会申合せ 1 趣旨 公益法人会計基準については、昭和52年に公益法人監督事務連絡協議会において申し合わせた後、昭和60年に公益法人指導監督連絡会議決定による改正を経て、公益法人が計算書類等を作成するための基準として定着し、今日に至っている。 他方、公益法人をめぐる社会的及び経済的環境は、近年大きく変化し、企業会計や公会計の分野においても、国際的な調和の観点等から、会計基準の新設・改訂等が行われている。 また、「行政改革大綱」(平成12年12月1日閣議決定)においても、公益法人会計基準の改善策の検討を行うこととされている。 以上を踏まえ、公益法人等の指導監督等に関する関係閣僚会議幹事会(以下「幹事会」という。)において、公益法人会計基準について「理論及び実務の進展に即して更に充実と改善を図る」ための検討を行うものとする。 として現在、総務省に「公益法人会計基準検討会」が立ちあがって検討している。 「公益法人会計基準(案)」公表(03年3月): 上記のとおり幹事会の依頼に基づき、2003年3月28日、総務省の「公益法人会計基準検討会」は、「公益法人会計基準(案)」を公益法人等の指導監督等に関する関係閣僚会議幹事会宛てに提出すると同時に公表した。基本的考え方には前進が見られるが基準の内容は、時代にそぐわなくなった「企業会計原則」に沿った構成となっている。
2004年10月14日、総務省は突如として、最終の「公益法人会計基準」を公表した。内容は、上記案がそのままとなっている。何ゆえ1年以上も案が放置されていたのか明示されていない。
日本の(新)公益法人会計基準(2004年10月14日公表)では、「公益法人は、次に掲げる原則に従って、財務諸表(貸借対照表、正味財産増減計算書及び財産目録をいう。以下同じ。)を作成しなければならない。」とし「大規模公益法人については、その財務内容に対する関心が多数の利用者から向けられていること、資産及び負債の内容が多様かつ複雑となっていることから、上記の財務諸表の体系に加えて、キャッシュ・フロー計算書を作成する。」とし、「本会計基準は、平成18年(2006年)4月1日以後開始する事業年度からできるだけ速やかに実施するものとする」としている。会計基準の本文には前年数値を掲載した比較財務諸表を明文では求めていないが、添付の様式を見ると比較財務諸表が示されている。しかしながら、比較財務諸表は首尾一貫していない。例えば、注記は単年度のみの開示があったり、財産目録(基準では財産目録を財務諸表の一つとしている)は単年度表示であったりと、2期比較しているBS、正味財産増減計算書、CF等と首尾一貫していないので注意する必要がある。 2005年6月13日、日本公認会計士協会は、非営利法人委員会報告第28号「公益法人会計基準に関する実務指針」を公表した。なお、JICPAジャーナル2005年11月号に関係者の座談会が掲載されている。
欧米では「非営利組織(NPO)」として一本化されています。 日本では、日本特有の「公益法人」という名称があるため「公益法人会計」に加えて、別途旧経済企画庁で「特定非営利法人の会計に関する研究会」があります。不思議な仕組みであります。 NPO法人の所管官庁であった経済企画庁は、2001年1月の省庁再編で内閣府へ移管された。 経済企画庁時代の1999年に「特定非営利活動法人の会計に関する研究会」が発足されたが、1999年4月16日の第6回会議で終了しており、その後研究会の議論を基礎に経済企画庁(現・内閣府)が作成した「特定非営利活動法人の会計の手引き」(キャッシュフロー計算書は含まない)があり、これを参考にして特定非営利活動法人のほとんどは財務書類を作成している。 ●公益法人会計基準の改正について・・会計基準・指針等の改正等を時系列で追跡 ●総務省大臣官房管理室長 平成18 年3月24 日「公益法人会計基準の改正等について」(平成16 年10 月14 日公益法人等の指導監督等に関する関係省庁連絡会議申合せ)等の適用に当たっての留意点について(通知) ●なお、内閣府の「よくある質問(FAQ)」の問6-4-1(会計基準)(PDF 0.1MB) では「公益法人は、一般に公正妥当と認められる公益法人の会計基準その他の公益法人の会計の慣行によることが求められますが(公益法人認定法施行規則第12 条)、これは特定の会計基準の適用を義務付けるものではありません。したがって現行の公益法人会計基準を適用することも可能です。ただし、どのような会計基準を選択する場合であっても、法令で定められた書類を法令に則った方法により作成し、提出する必要があります」とありかなり曖昧な規定となっています。 また、内閣府公益認定等委員会より「公益法人会計基準の運用指針」(平成21年改正)が追加して出されており、公益法人会計基準の適用には注意する必要がある。 |
公益認定等委員会は内閣府に設置され、7人の委員から構成されています。
公益認定等委員会は、平成19年4月1日に発足し、内閣総理大臣の諮問を受けて、新たな公益法人の認定基準に係る政令・内閣府令に関する審議を行い、平成19年6月15日に答申を提出しました。
政令・内閣府令は、意見公募手続を経て平成19年9月7日に公布され、委員会はその後、専門的知識を有する複数の参与の協力を得て、「公益認定等に関する運用について(公益認定等ガイドライン)」や「公益法人会計基準」等に関する審議を行いました。これらは平成20年4月11日の第34回会合にて正式決定されました。
平成20年12月1日に施行される新制度においては、公益認定等に係る内閣総理大臣の諮問について審議し答申を行うとともに、内閣総理大臣から委任を受け、公益法人等に対し報告を求め、公益法人の事務所への立入検査等を実施するなど、法人の監督も行うこととなります。
平成18年に公益法人制度改革関連三法が成立し新制度を踏まえた会計基準を整備する必要が生じたため、今般、内閣府公益認定等委員会において、改めて公益法人会計基準を別紙のとおり定めることとした。
平成16年改正基準からの主な変更点は、次のとおりである。
ア.会計基準の体系
平成16年改正基準は会計基準及び注解の部分と別表及び様式の部分とから構成されるが、今後の制度運用上の便宜を考え、両者を切り離し、会計基準及び注解の部分を本会計基準とし、別表及び様式の部分は運用指針として取り扱うこととした。
イ.財務諸表の定義
財産目録は財務諸表の範囲から除くこととした。 財務諸表とは、貸借対照表、正味財産増減計算書およびキャッシュフロー計算書を言う
ウ.附属明細書
附属明細書は、附属明細書に関する規定が設けられていないため、本会計基準においてこれを定めることとした。
エ.基金
平成16年改正基準には、基金に関する規定が設けられていないため、本会計基準においてこれを定めることとした。
オ.会計区分
平成16年改正基準では、特別会計を設けている場合、会計区分ごとに貸借対照表及び正味財産増減計算書を作成し、総括表により法人全体のものを表示していたが、本会計基準では法人全体の財務諸表及び附属明細書並びに財産目録を基本とし、会計区分ごとの情報は、財務諸表の一部として貸借対照表内訳表及び正味財産増減計算書内訳表において、それぞれに準じた様式で表示するものと整理した。
本会計基準の実施時期
本会計基準は、平成20年12月1日以後開始する事業年度から実施するものとする。
原文資料:
新・新公益法人会計基準について(2008年4月11日公表)
内閣府公益認定等委員会 公益法人白書(総務省) 公益認定に関する法令・ガイドライン等 公益目的事業のチェックポイントについて
<公益認定等ガイドライン>整備法第119 条に規定する公益目的支出計画等について 公益法人認定法第5条等について(公益社団法人・公益財団法人関係)
移行期間中の特例民法法人が作るべき計算書類・・by東京フィールド法律事務所
新制度の施行は、平成20年12月1日です。 移行期間は5年間(平成25年11月30日まで)
欧米では年次報告書で情報開示
欧米の公益法人等の情報開示は、活動状況を示し財務諸表を含む年次報告書(Annual report)によって行われている。欧米では、年次報告書は、上場企業、未公開企業、非営利団体・組織の活動状況を示し説明責任を(Accountability)遂行することと、情報開示することによって理解を得る手段として賛同者から基金や活動資金の会費や寄付を得るための一般的な書類です。年次報告書に含む会計情報はその国の会計基準設定主体が設定した会計基準によっています。
例えば、英国の場合は、「非営利団体が法人格を取得しようとする場合には,1985年会
社法(Companies Act)や,共済組合等に関する特別法に従って法人格を取得することになるが,実務上は,上記会社
法上の保証有限会社(company limited by guarantee)の法形式が多く用いられているようである。
他方,公益(charitable)目的の団体については,法人格の有無を問わず,所得税,法人税等に関する税制上の優遇
措置を伴うチャリティ登録の制度が適用され,登録されたときは,公益団体として扱われることになる。
したがって,前記の保証有限会社であって,チャリティ登録をしていないものの中には,非営利非公益の中間法人に
相当するものが存在することになる。
保証有限会社は,登記官に対し,会社法上定められている年次報告書等の提出義務を負う。
理事者は,チャリティの会計記録を保持し,年次報告書その他収入額による区分に応じた報告書等を
チャリティ委員に提出する。年次報告書その他の文書は,一般の閲覧に供される。」
米国の場合は、「非営利公益法人は,司法長官に財産状況に関する年次報告書を提出する義務があり,司法長官は,法人 が目的に反する行為や法令違反の行為を行った場合等には,法人の解散請求や理事の解任請求,訴訟提起等を含む広
範な監督権限を行使することができる。」 米国の非営利法人会計(「Not-for-Profit Accounting 」, 「Financial and Accounting Guide for Not-For-Profit
Organizations」) 参照⇒Amazon.comは序文を読むことができます。
「諸外国の中間法人法制」のイギリス及びアメリカ参照。
日本だけがお役所主体の公益法人という名称およびシステムであり、欧米では非営利組織または法人という名称で分かり易く、情報開示の対象の主体は資金提供者であって監督官庁はチェックに徹している。
非営利法人名 | 開示財務情報/財務諸表の体系 | 資本の部の名称 | コメント |
ニューヨーク証券取引所 NYSE |
年次報告書2003 ・Statement of income, comprehensive income and equity of members ・Balance sheet ・Statement of cash flows ・Notes to the financial statements |
Equity of members 会員持分 |
現在、株式会社化の検討が 開始されており営利法人化 される可能性がある。 (2005年2月現在) |
上場会社会計監視審議会 PCAOB 米国の上場会社の監査監視機関 |
年次報告書2003 ・Statement of financial position ・Statement of activities ・Statement of cash flows ・Notes to the financial statements |
Net assets 純資産 |
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米国赤十字社 American Red Cross |
年次報告書2003 ・Statement of financial position ・Statement of activities ・Statement of functional expenses ・Statement of Cash flows ・Notes to the financial statements |
Net assets 純資産 |
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国際会計基準委員会財団 IASC Foundation 国際会計基準の設定機関 |
年次報告書2001〜2003 ・Statement of activities ・Statement of financial position ・Cash flow statement ・Notes to the financial statements |
Net assets 純資産 |
2001年2月IASCから引継ぎ新設法人となったIASCFであるが2001年度の年次報告書は前年度との比較財務諸表を開示している。 |
米国公認証券アナリスト協会 CFA Institute (Chartered Financial Analyst, CFA) |
2004年次報告書 ・Statement of financial position ・Statement of activities ・Statement of cash flows ・Notes to the financial statements |
Net assets 純資産 |
日本の(新)公益法人会計基準(2004年10月14日公表)では、「公益法人は、次に掲げる原則に従って、財務諸表(貸借対照表、正味財産増減計算書及び財産目録をいう。以下同じ。)を作成しなければならない。」とし「大規模公益法人については、その財務内容に対する関心が多数の利用者から向けられていること、資産及び負債の内容が多様かつ複雑となっていることから、上記の財務諸表の体系に加えて、キャッシュ・フロー計算書を作成する。」とし、「本会計基準は、平成18年(2006年)4月1日以後開始する事業年度からできるだけ速やかに実施するものとする」としている。会計基準の本文には前年数値を掲載した比較財務諸表を明文では求めていないが、添付の様式を見ると比較財務諸表が示されている。しかしながら、比較財務諸表は首尾一貫していない。例えば、注記は単年度のみの開示があったり、財産目録(基準では財産目録を財務諸表の一つとしている)は単年度表示であったりと、2期比較しているBS、正味財産増減計算書、CF等と首尾一貫していないので注意する必要がある。
2003年2月12日、日本経済新聞報道によると、厚生労働省は全病院に共通する新しい会計基準を2004年から導入するため、「医業経営のあり方に関する検討会」が3月にまとめる報告書に、医療法に基づく「病院会計準則」を20年ぶりに2003年度中に改正することを盛り込む、としている。(2003年3月26日最終報告 医業経営の近代化・効率化に向けた今後の取組 ⇒ 医業経営のホームページ 病院会計準則見直し等に係る研究報告書 参照) 国立病院は官庁会計、都道府県の病院は地方公営企業会計などばらばらであった病院会計を民間病院を含め共通の会計基準により比較可能性を確保することを目指している。なお、2002年6月26日に、四病院団体協議会から「病院会計準則等の見直しに関して(中間報告)」が公表されている。中間報告によれば、国立病院(独立行政法人)、自治体立病院、日本赤十字社立病院、社会福祉法人恩賜財団済生会立病院、厚生農業協同組合連合会立病院、全国社会保険協会連合会立病院、公益法人立病院、医療法人立病院、学校法人立病院、個人立病院、株式会社立病院が病院会計準則の適用対象となるようである。⇒ 2004年5月27日、厚生労働省医政局指導課は「病院会計準則の改正(案)」を公表し6月28日までに意見を募集している。
独立行政法人福祉医療機構のホームページには、2004年8月19日に、厚生労働省医政局長から各都道府県知事及び各衛生主管部(局)長宛てに通知された内容の資料(病院会計準則〔改訂版〕2004年8月ほか)及び添付資料が掲載されています。
病院会計準則の改正について (平成16年8月19日医政発第0819001号)(PDF169KB) |
病院会計準則の改正に伴う医療法人における会計処理等に係る留意点について (平成16年8月19日医政発第0819002号)(PDF19KB) |
病院会計準則の改正について (平成16年8月19日医政指発第0819001号)(PDF19KB) |
病院会計準則の改正に伴う医療法人における決算の届出の様式に係る留意点について (平成16年8月19日医政指発第0819002号)(PDF53KB) |
病院会計準則適用ガイドラインについて (平成16年9月10日医政発第0910002号)(PDF66KB) |
病院会計準則の改正に伴う実務上の取扱について (平成16年9月10日医政指発第0910001号)(PDF72KB) |
労働厚生省・・・医療法人関係法令および通知 参照
2000年2月、厚生省は、介護保険の導入に合わせるように、「社会福祉法人会計基準」を公表し、2000年4月1日より適用するとしています。これによると、公益事業はこの会計基準に従い、収益事業部分は企業会計原則に従うとなっています。また、財務諸表に、「貸借対照表」のほかに「財産目録」を求めています。加えて、4月17日付で厚生省課長通知の事務連絡として『「社会福祉法人会計基準」及び「指定介護老人福祉施設等会計処理等会計処理等取り扱い指導指針」による会計処理について』が出されている。「国庫補助金等特別積立金取崩額は逆月賦?」として社会福祉法人の会計の不思議な点を指摘され、「よく、園長さんより、これを簡単に説明してくれないかなぁ〜と言われます」とコンサルタントは嘆く。
監事は、法人の運営等を監査する役割を担っており、民法上は設置を任意とされているが、指導監督基準においては、監事を必ず設置すべきと規定している。監事の総数は58、007人、平均2.2人である。規模別では、2人が19、326法人(73.3%)と大半を占めている(監事が置かれていない法人は90)。1人から3人までにほとんど の法人が収まるが、5人以上という法人も233存在している。 なお、監事の中には、常勤監事(最低でも週3日以上出勤している者)として日常的に事務に携わっている者も、わずかではあるが存在している。
総務省は国が所管する公益法人に2001年度から監査法人や公認会計士、税理士などによる外部監査を義務付ける。財団法人「ケーエスデー中小企業経営者福祉事業団」(KSD)による政界工作事件を契機に、資金使途などの透明化を徹底する必要があると判断した。
内部のチェック機関として「監事」の設置を義務付けているが監事には法人のOBなど身内も多く「不正な運営を十分に監視できない」との指摘が出ていた。こうした状況を踏まえて、総務省は2001年度から外部監査を義務付ける。
2001年(平成13年)2月9日、総務省は、2001年度から強化策として、資産規模で100億円以上、負債総額で50億円以上、または年間予算が10億円以上の法人に外部監査を要請することを閣議に報告し了承を得た。総務省は、外部監査の早期実現を優先させるため民法改正などによる義務付けを見送った(日本経済新聞報道)。関係閣僚会議幹事会申し合わせは下記の通りです。
公益法人の指導監督体制の充実等について |
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平 成 13 年 2 月 9 日 公益法人等の指導監督等に関する 関 係 閣 僚 会 議 幹事会申合せ |
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公益法人に対する厳正な指導監督を更に徹底するため、指導監督の責任体制を確立するとともに、指導監督の前提 となる法人の的確な実態把握のための立入検査の充実等を図ることとし、各府省(国家公安委員会、防衛庁及び金融 庁を含む。以下同じ。)において下記の措置を講ずる。 |
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記 | |||||||||||||||||||||
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上記、「公益法人の指導監督体制の充実等について」に記載の「立ち入り検査」の結果は、公表されている。ちなみに、金融庁が公表した立ち入り検査結果は以下の通りである。財務省とオーバーラップしている、不思議な報告書となっている。
検査対象法人数 | 金融庁所管の公益法人 | |
平成17年度金融庁所管公益法人に対する立入検査の実施状況について | 134法人 | 52法人 |
法人数の差異は、注記に「法人数は、財務省財務局(財務支局及び沖縄総合事務局を含む。)所管の公益法人(金融庁所掌事務に関連する事項を事業の目的とするもの)を含む。」とあり、財務省所管の公益法人を含んでいるようである。財務省所管の708の公益法人の検査結果も別途公表されている。重複しているのか不明。
法人税法は、課税の観点から「公益法人課税」の規定をもち、公益法人に対する課税を一般の法人課税と区分しています。宗教法人を含む公益法人は、一般事業が利益を獲得する活動とは異なることから、特別な規定で収益事業のみに課税し、一般事業の税率(課税所得が8百万円を超える標準税率34.5%→99年4月以後開始する事業年度は30.0%)とは異なる低率の税率(25%→99年4月1日以後開始する事業年度は22%)で課税しようとするものです。
法人税法では、公益法人が収益事業を営む場合、収益事業から生ずる所得と収益事業以外の事業から生ずる所得と区分して経理することを求められます(法人税法施行令6条)。こうした区分経理は、収入および費用だけではなく、資産および負債についても行うこととされています(法人税法基本通達15-2-1)。
したがって、収益事業を行う場合、収益事業を収益事業以外と区分して経理することが求められることになります。
法人税法では、決算から2ヶ月以内に確定申告書に貸借対照表および損益計算書等の書類を添付しなければなりません(法人税法第74条第2項)。また、公益法人等は、貸借対照表および損益計算書等の書類には、収益事業以外の事業に係る書類が含まれます(法人税基本通達15-2-14)。
新たな公益法人関係税制の手引・・2009年7月1現在(国税庁)
税制改正後の社団法人・財団法人の区分
公益三法の制定による新たな法人の種類の創設と社団法人・財団法人の廃止に伴い、従来の社団法人・財団法人は、法人税法上、公益社団法人・公益財団法人、一般社団法人・一般財団法人及び特例民法法人の3つに区分されます。
イ 公益社団法人・公益財団法人
行政庁から公益認定を受けたものをいい、法人税法上、公益法人等として取り扱われます(法2六)。
ロ 一般社団法人・一般財団法人
公益認定を受けていない一般社団法人又は一般財団法人(以下単に「一般社団法人・一般財団法人」といいます。)は、非営利型法人及び非営利型法人以外の法人の2つに区分されます。
(イ) 非営利型法人
一般社団法人・一般財団法人のうち一定の要件に該当する次のものを「非営利型法人」といい、法人税法上、公益法人等として取り扱われます(法2六、九の二)。
@ 非営利性が徹底された法人
A 共益的活動を目的とする法人
一般社団法人・一般財団法人のうち、次の@又はAに該当するもの(それぞれの要件のすべてに該当する必要があります。)は、非営利型法人になります。
類型 | 要 件 |
@ 非営利性が徹底された法人 (法2九の二イ、令3@) |
1 剰余金の分配を行わないことを定款に定めていること。 2 解散したときは、残余財産を国・地方公共団体や一定の公益的な団体に贈与する ことを定款に定めていること。 3 上記1及び2の定款の定めに違反する行為(上記1、2及び下記4の要件に該当 していた期間において、特定の個人又は団体に特別の利益を与えることを含みま す。)を行うことを決定し、又は行ったことがないこと。 4 各理事について、理事とその理事の親族等である理事の合計数が、理事の総数の 3分の1 以下であること。 |
A 共益的活動を目的とする法人 (法2九の二ロ、令3A) |
1 会員に共通する利益を図る活動を行うことを目的としていること。 2 定款等に会費の定めがあること。 3 主たる事業として収益事業を行っていないこと。 4 定款に特定の個人又は団体に剰余金の分配を行うことを定めていないこと。 5 解散したときにその残余財産を特定の個人又は団体に帰属させることを定款に 定めていないこと。 6 上記1から5まで及び下記7の要件に該当していた期間において、特定の個人又 は団体に特別の利益を与えることを決定し、又は与えたことがないこと。 7 各理事について、理事とその理事の親族等である理事の合計数が、理事の総数の 3分の1 以下であること。 |
(ロ) 非営利型法人以外の一般社団法人・一般財団法人
一般社団法人・一般財団法人のうち、非営利型法人でないものは、法人税法上、普通法人として取り扱われます。
(注) この「新たな公益法人関係税制の手引」において、一般社団法人・一般財団法人のうち非営利型法人でないものを「非営利型法人以外の法人」といいます。
ハ 特例民法法人
公益三法の施行日(平成20 年12 月1日)において存していた社団法人・財団法人で公益社団法人・公益財団法人又は一般社団法人・一般財団法人への移行の登記をしていないものを特例社団法人・特例財団法人(特例民法法人と総称します。)といい、公益三法の施行日前と同様に、法人税法上、公益法人等として取り扱われます(平成20
年改正法附則10)。
法人区分ごとの法人税法上の取扱いをまとめると下の表のとおりとなります。
法人区分 | 法人税法上の取り扱い | |
公益社団法人・公益財団法人 | 公益法人等 | |
一般社団法人 一般財団法人 |
非営利型法人 | 公益法人等 |
非営利型法人以外の法人 | 普通法人 | |
特例民法法人 (旧民法34条法人) |
公益法人等 |
新たな法人の区分の創設に伴い、課税所得の範囲及び税率について、次のように整備されています(法4@、7、66@〜B、措法42 の3の2、令5)。
公益社団法人 公益財団法人 |
一般社団法人・一般財団法人 | 特例民法法人 | ||
非営利型法人 | 非営利型法人以外の法人 《普通法人》 |
|||
課税所得の 範囲 |
収益事業から生じ た所得に対して課 税 公益目的事業は非 課税(注1) |
収益事業から生 じた所得に対し て課税 |
すべての所得に 対して課税 |
収益事業から生 じた所得に対し て課税 |
法人税率 | 30% (所得金額年800 万円以下の金額は18%(注2)) |
22% ( 所得金額年 800 万円以下の 金額は 18%(注2)) |
(注):
1 行政庁は、公益認定をしたとき(特例民法法人にあっては、公益認定を受けて移行の登記をし、その旨の届出があったとき)には、その旨を公示することとされています(公益法人認定法10、整備法108)。この公示の際には公益認定を受けた法人に係る公益目的事業が記載されますので、この記載された公益目的事業が非課税となります。
2 平成21 年4月1日から平成23 年3月31 日までの間に終了する各事業年度については、年800 万円以下の金額に対する法人税率が18%(従前は22%)に引き下げられています。
収益事業とは、次の33の事業(付随して営まれるものを含む)で、継続して事業場を設けて営まれるものをいう(法人税法第2条13号、施行令5条1項)、としています。
1.物品販売業、2.不動産販売業、3.金銭貸付業、4.物品貸付業、5.不動産貸付業、6.製造業、7.通信業、8.運送業、9.倉庫業、10.請負業、11.印刷業、12.出版業、13.写真業、14.席貸業、15.旅館業、16.料理店業その他の飲食業、17.周旋業、18.代理業、19.仲立業、20.問屋業、21.鉱業、22.土石採取業、23.浴場業、24.理容業、25.美容業、26.興行業、27.遊技所業、28.遊覧所業、29.医療保険業、30.洋裁、和裁、着物着付け、編物、手芸、料理、理容、美容、茶道、生花、演劇、園芸、舞踊、舞踏、音楽、絵画、書道、写真、工芸、デザイン、自動車操縦若しくは小型船舶の操縦(以下、技芸という)の教授、31.
駐車場業、32.信用保証業、33.その他工業所有権その他の技術に関する権利又は著作権の譲渡又は提供を行う事業、
上記の業種を行っていれば課税するというのではなく、二つの要件を満たしている場合に課税しますというものです。
つまり、(1)継続して営まれており、(2)事業場を設けて営まれるという要件を満たしている事業が収益事業となります。
一回限りの取引で、継続して営まれないものは含まれませんし、事業場を設けていない場合などは該当しません。
逆に、収益事業に付随して行われる取引も収益事業とになされます。例えば、出版業で出版業に関連して講演会を開いたり出版物の広告代をもらうということは出版業となります。
公益法人が収益事業を営む場合には、「収益事業」と「収益事業以外の事業」とに区分経理することとされています(法人税法施行令第6条)。この区分は、単に収入及び支出に関する経理だけでなく、資産・負債に関する経理も含むことに留意する必要があります。
【第1 法人税基本通達関係】(実費弁償による事務処理の受託等)15−1−28 公益法人等が、事務処理の受託の性質を有する業務を行う場合においても、当該業務が法令の規定、行政官庁の指導又は当該業務に関する規則、規約若しくは契約に基づき実費弁償(その委託により委託者から受ける金額が当該業務のために必要な費用の額を超えないことをいう。)により行われるものであり、かつ、そのことにつきあらかじめ一定の期間(おおむね5年以内の期間とする。)を限って所轄税務署長(国税局の調査課所管法人にあっては、所轄国税局長。以下15−1−53
において同じ。)の確認を受けたときは、その確認を受けた期間については、当該業務は、その委託者の計算に係るものとして当該公益法人等の収益事業としないものとする。(注)
非営利型法人が1−1−11 の確認を受けている場合には、本文の確認を受けたもの
とみなす。
【第1 法人税基本通達関係】(収益事業を行っていないことの判定)1− 1− 1 1 一般社団法人又は一般財団法人(公益社団法人又は公益財団法人を除く。以下1−1−11 において「一般社団法人等」という。)が、事務処理の受託の性質を有する業務を行う場合において、当該業務が法令の規定、行政官庁の指導又は当該業務に関する規則、規約若しくは契約に基づき実費弁償(その委託により委託者から受ける金額が当該業務のために必要な費用の額を超えないことをいう。)により行われるものであり、かつ、そのことにつきあらかじめ一定の期間(おおむね5年以内の期間とする。)を限って所轄税務署長(国税局の調査課所管法人にあっては、所轄国税局長)の確認を受けたときは、その確認を受けた期間については、当該業務は、その委託者の計算に係るものとし、当該一般社団法人等の収益事業としないものとして令第3条第2項第3号《非営利型法人の範囲》の要件に該当するかどうかの判定を行うこととする。
【みなし寄付金制度】
公益法人等は、法人税法上の収益事業によって得た資金を非収益事業(公益事業)のために充当するが、収益事業に係る資産のうちから非収益事業のために支出した金額がある場合には、これを収益事業に係る寄付金とみなして損金算入するとともに、損金算入限度額の計算を行うこととされている(法人税法37条4項)。
このみなし寄付金の損金算入限度額は、民法法人(財団法人、社団法人)が20%、学校法人、社会福祉法人、更生保護法人が50%である。
関西ラグビー協会申告漏れ指摘される(2007年05月24日) |
ラグビーの関西大学リーグなどの大会を主催する「関西ラグビーフットボール協会」(大阪市)が大阪国税局の税務調査を受け、05年度までの5年間で約1億2500万円の申告漏れを指摘されたことがわかった。国税局は、大会の入場料収入などを課税対象の収益と認定し、無申告加算税を含め約4000万円を追徴課税した。 関係者によると、協会は主催試合の入場料や広告料から経費を差し引き、出場チームにも交付金を出したうえで05年度末の余剰金が約1億円あった。余剰金が多額になることなどから、国税局は大会運営が収益事業の「興行業」にあたると判断した。協会はラグビーの普及などを目的に活動し、税法上は「人格のない社団」にあたる。 協会担当者は「公益目的の活動で納税は不要と考えていたが、指摘に従って納税した」という。(Asahi com ニュース 参照) |
消費税については、税務署の「国・地方公共団体や公共・公益法人等と消費税 」を参照してください。
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公認会計士・税理士 横山明
(法人の社外監事でもある)
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