陽の当たる世界に戻れるよ

第1話「太陽に挑む者」
粗筋:(アニメ公式サイトより)

強大なる力を秘めるという「賢者の石」を求めて、旅を続けるエルリック兄弟。
兄のエドワードは、弱冠15歳ながら史上最年少で国家錬金術師の資格を得た、天才錬金術師。
弟のアルフォンスは、見た目は屈強な鎧姿だが、心優しい14歳の少年である。
東部辺境の町、リオールにやってきた二人は、そこで太陽神レトの代理人を名乗る、
コーネロ教主の「奇跡の御業」を目撃するが…。


この時は原作未読、内容どころか絵を見た事すらない状態で観ました。
まるっきりの白紙ですね。
原作は題名だけは知っていたのですが、何をどう間違ったのか
『美形の兄ちゃん達がファンタジー世界で魔法やらなんやら使う話』
…だと信じ込んでいました。いや、普通に少年マンガだったとは知らなかった。
つーか、どうしてこんな間違った認識を持っていたのだろうか?

この頃は、このようなコンテンツを作るコトになろうとは夢にも思っていなかったので、ビデオを録っていません。
なので乏しい記憶を頼りに覚えているコトをつらつらと書いていきます。
さりげなく間違っていたら御容赦。


のっけから何だかおどろおどろしい人体練成の場面。わくわく期待一杯のエドとアルの嬉しそうな表情から、何だかおかしいぞ? と思い始めた時のとまどいの表情、そして衣服だけを残して『持って行かれた』アルと片足のエドのシーン、沈んだ色調と音楽で、『うわー、しょっぱなから飛ばすなあ』と思ったものです。

後に原作と同じ始まり方だと知りましたが、今後の展開が楽しみなエグい始まり方でした(褒めてます)
妹は原作を知っていて『ガンガンとは思えない暗い話だよー』と言っていたのを半分聞き流していましたが、私に対しては『掴みはオッケー!』でしたね。

その後、確か原作にはない砂漠を歩いているエドとアルの描写があったかと思うのですが、その中でオアシスのごとく存在するリオールの町、ワインの噴水(飲みて〜!)、一神教、神の代弁者の教主。

昔々にお寺から貰ってきた『やさしい仏教の解説』みたいな冊子に、
『砂漠のような過酷な環境では、ただ1人の救世主を求めて人々は縋る』
というような話が載っていまして、
(逆に過ごしやすい気候で、手が届く所に果物などの食べ物が存在する所では、花や木などに神様が宿る多神教の考えを持つとあったかと。仏教はこちららしいです)
それを何となく思い出しました。

多分この教主が現れる前は、そりゃ過酷な環境の町だったんだろうなあと思うと、周りの人間の教主への陶酔ぶりも分かるような気がします。
今の生活は教主と共にあるのだから、そりゃ盲目的にもなるし人が生き返るってのも信じてしまうものなのでしょう。鳥を生き返らせたりしてたしねえ。

しかし、少年に現状維持は似合わない。
なのでエドとアルは、人々の『信じたい気持ち』を理解しても、まやかしはまやかしと言いきるんだよ、きっと…と、ちょっとドリー夢入り気味。

原作読んでいない時だったので、錬金術=科学ってのは何となくこそばゆい感じ。
例えれば『波動は科学である』ってのを聞いた時の気恥ずかしい感じでしょうか。
錬金術ってのは胡散臭いモノってイメージがあるもので。
でも、アレって見てくれはともかく、真面目に科学的にアプローチしているのでしょうから、そーいう世界なのだと納得しました。
上手く私を騙してくれればそれで良し。
人間の材料を口にするエドを見て、私はドラえもんを思い出したのですがー。
材料を入れて人間を作る機械の話があったんだよね。

恋人を生き返らせてくれるという教主の言葉を信じて尽くしまくるロゼちゃんと、そーんなコト出来る訳ねーじゃんなエドなのですが、ロゼがもう、とってもとっても鬱陶しくて良かったです(誉めてます)
冷静に考えたら、死んだ恋人が戻ってくるワケないと分かりそうなものですが、教主の言葉にしがみつくしがみつく。
レト教を、教主を信じると言うより、信じなきゃって自分の心を必死になって信じているという感じで、非常に腹立たしくも哀れでありました。
そんなロゼに正論叩きつける辺りがエド兄ちゃん若い(当たり前なんだが)
エドも、いくら言ってもムダだと解りそうなものですが、突っかからずにはいられないのだろうなあ、可愛いなあ等と、これまたドリー夢。

教主の本音を本人の口から聞いても、やはり恋人を恋い慕うロゼ。それほどまでにいい男だったのかと思いつつ、多分彼が生き返るのを待つ事自体が生きる目的になっているんだろうなーと推測するワケです。
ワケですがー。女のいやーんな部分をばっちり見せてくれてありがとうってな感じで、ロゼってホント鬱陶しいわ。。

アルですが、オープニングの惨劇を見ているにもかかわらず、実は首が取れるまで鎧の中には何もないと思っていませんでした(おバカすぎ)
首が取れて中身がないのを確認して「あーあー、そういや身体なかったねえ」と、ようやっと思い至った次第です。
鎧の中からってコトで微妙に声が反響しているのが細かいと思った(でも最初は違和感があった。慣れたけど)と同時に、これで中身あるように騙されたなあと。
しかしアルの声可愛いなあ。エドはエアマスターでしたねえ。

えーとえーと、後印象に残っているのはー。モロ肌脱いだエド(ちょっと待て)
いや、本当に普通にカッコいいと思ったものですから。よこしまな気持ちはアリマセンヨ? それほどは。

というワケで、見終わった後には『原作を読んでみよう』と思ったのでした。

そういや、最初のシーンでラストが出ていましたよね。エドは何処かで見かけた風でしたが、原作ではそのような描写はなかったかと。
アレはアニメ専用伏線なのでしょうか?
期待していいのか?

オープニングがなかったので結構ビビりました。
次の週を見るまで『メリッサ』はエンディングなんだと思っていました。いやはや。

(2003.11.11初出)

第2話「禁忌の身体」
粗筋:(アニメ公式サイトより)

『賢者の石』をめぐり、コーネロ教主とリオールの教会・秘密地下室で対決するエルリック兄弟。
だがそこに、教主の危機を聞きつけたレト教の信者たちが乱入してくる。
街中に逃れた二人だが、信心深いリオールの町人たちに見つかり、包囲されてしまう。
「奇跡の御業」によって動き出したレト神像によって、アルは破壊され、エドは捕らえられ、コーネロの前に引きずりだされてしまう。


この当時はまだ原作を読んでいません。ビデオも録っていません。
乏しい記憶を掘り起こしつつ。


『メリッサ』はオープニングだったのですね。良かった良かった。
いや、ホントにこのアニメにはオープニングは存在しないのかと思っていたもので。

えーと、この回はー。

エドが拉致られて縛られてました。

…が、一番の印象だってゆーのは、間違っていると思いつつも、自分に正直になるとやっぱりコレかなあと。
第1話のモロ肌(これは原作にもあったのだけれど)といい、私へのサービスというよりは、同人女性へのサービスなのかとちょっと思いました。あまり狙い過ぎるのもどうかとー。
いや、正直うひゃひゃ♪ なのですが。

でもその後拷問シーンとかなくてちょっと残念(むー、これでは男の子お断りコンテンツになってしまうわ)

…気を取り直して。
両手縛られてるんだから、ご飯食べさせてくれてもいいと思うよ、ロゼ。そのくらいしてやれよー。

教主との対決中、一旦逃げ出す時にエドが扉を練成したのですが、非常時のワリには扉のデザインが凝っているなあと思ったようなー(既に記憶が薄い)
原作読んでなかったので素直にカッコいいと思いました。

しかしレト神像を錬金術で動かすってどうなっているのでしょうか?
賢者の石を使っていたとしても納得出来ません。動く石像見て『さすがは教主様』とか感服している町の人の感覚も分かりません。どうにも余計な描写だと思われてならないです。
最後のキメの所でエドが石像動かすのもなあ。いまいちだったなあ。
後に原作を読んで、実はエドが石像を練成したのだと知って、何でわざわざ設定変えたのだろう? と疑問に思ったものです。
伏線でも張っているのか?

一旦は教主を信じようとしたロゼですが、やはり不信感は拭えない。
そんなロゼに、天蓋付ベッドのカーテン越しに恋人の姿を見せる教主。
『ロゼ…ロゼ…』と、恋人の声で呼びかける影。
ベッドの周りに散らばる無数の鳥の死骸…。

あんなあからさまに怪しいシチュエーションで嬉し涙を流すロゼを見て、こいつバカか? と思った、恋人達の心の機微を理解出来ない私でした。
そんなにまでも信じたいものなのだろうか。もはや執念じみています。

さすがにロゼもバカなままではいられなかったらしく、教主の目を盗んで一人で恋人に会いに行くのですがー。
教主に裏切られるわオウムのお化けに襲われて死にかけるわで散々でした。
あんなに必死に信じた代償がこれですかー。分かっていた事とはいえちょっと可哀想。

アルがオウムのお化けを倒していましたが、原作を知らない私は、あんなに可愛い声の子が強かったのでちょっとビックリ。

結局わざと捕まって時間稼ぎをしていたエドと、その間に町中に響くスピーカーを作っていたアルでした。読めるベタな展開とはいえ、なかなかに上手く作ってるなと(偉そう)

で、ここがもう少年マンガの王道というか、私的にはかなり好きな言葉が、アルがロゼに向かって言う
『何かを得ようとするなら それなりの代価を払わなければならない。兄さんは「天才」と呼ばれているけれど、「努力」という代価を払ったからこそ今の兄さんがある』
がありまして(台詞の引用は原作から)

いやもう、まさにもう、少年少女達へのメッセージでしょう、これは。
そして『ああ、アルって本当に兄さんが好きなんだねえ』などと、原作知らずの当時の私も素直に思ってしまうワケで。
いや、邪な意味ではなく(言えば言うほど胡散臭い)

しかしその後の、禁忌の人体練成を行った結果の自分と兄の惨状を淡々と伝えた上での
『だからロゼ 君はこっちに来ちゃいけない』
は、痛かったですな。
わずか14歳の子供がこんな台詞を吐いてしまうんだなあと思うと、切なくなったものです。

えーと、後は教主がエドに向かって朗々と暴露ってるのを町中に流されてー。キレた教主が賢者の石使いまくったら暴走して壊れちゃってー。偽モンに踊らされたと知ったエドが、やっぱりキレて神の鉄槌を食らわせてー。
ここで能力の増幅器となる国家錬金術師の銀時計を取り上げて、『これで練成陣なしで練成なんか出来ねーだろー』みたいに勝ち誇っていた教主がおバカさんでちょっと可愛かったです。

確かその後、アルの
『そんな時計なんて関係ない。だって兄さんは鋼の錬金術師なんだから』
みたいな台詞があったと記憶しています(間違っていたらごめんなさい)
その誇らしげな言い様に、この弟はほんっと〜に! 兄貴が好きなんだなあと思いました。いい子だのう、アル。

コトが終わった後に、ロゼは改心するかと思いきや
『これから何に縋って生きていけばいいのか』と、エドに突っかかって来ます。
ここまで来ると鬱陶しいのもいっそ立派。つーか作者は良く解ってるなと。

自分の信じているものを根底からブチ壊されたら、それがまやかしだと解っていても、壊した人のせいにしたいと思うのは、ワリと大勢の人間の心の動きであるでしょう(私もそうだと思う)
普通はここで主人公は感謝されるのでしょうが、それを敢えてやらないようです。厳しい。
『立って歩け。前へ進め』
というエドの言葉は、それゆえ重みがあるワケで。

でもアニメのこのシーンは気恥ずかしかったぞー。
後に読んだ原作は素直に読めたんだけどなあ。何故だ?

ラストが色々と暗躍していたのですが、原作未読の上では謎ばっかりで?マークが頭に浮かぶばかり。
原作でも謎なままですけれど。
偽の賢者の石で何やら企んでいるのだろうと推測は出来るのですが、どうも謎掛けが中途半端な感じで未消化っぽかったです。
作っている人達も、彼女らが何をやろうとしているのかを解っていないせいかもしれません(さすがにそれはないか)

しかしその後の偽者賢者(ちゃんとラストがエンヴィーって言ってましたね)が
『私が留守の内に偽者が現れたようだがー』
等と言いつつちゃっかり出てきて、鳥の死骸を生き返らせて。
それに人々が感動している間に、飛び立った鳥達が空の上では散って無くなってしまうくだりは、不気味でかなりお気に入りでした。
アニメナイス演出。

で、

エンディングの兄弟組み手に萌え(結局コレかいっ)

(2003.11.11初出)

第3話「おかあさん……」
粗筋:(アニメ公式サイトより)

旅の途中立ち寄った街角の古本屋で、錬金術の入門書をみつけるエドとアル。
昔、それを使って勉強していたときの頃のことを思い出す。
それはまだ二人が幼い時、故郷リゼンブール村で暮らしていた頃のことだった。
彼らは、お母さんの喜んだ顔がみたい、その一心で、競って錬金術にのめりこんでいった…。


ここからは原作(コミックス5巻まで)を読んでます。ビデオは録ってないので、またしても記憶を掘り掘り。


なかなかに出来の良い回。

原作では描かれていない部分を上手く補っているなあと感心しました(…のは、後に6巻を読んでからの感想だけど)
#しかしここからずっと過去話が続くとは思わなかったわ。

そしてエルリック兄弟がこれでもかと丁寧に可愛く描かれている点も注目。
幼い頃のアルの声が可愛すぎる…っ!
なので、かなり萌え〜とか言うかと思いますが、ビョーキが始まったと思って見逃してクダサイ。

冒頭からお父さんはいません。随分早くに出て行った模様です。どうもアルは顔もよく覚えていないみたい。

最初の練成がウィンリィへのプレゼント。砂(?)から人形を練成するのですが、練成過程のうにゃんうにゃんでデロデロな人影にビックリして泣いちゃうウィンリィ。
科学と定義はされていても、やはり錬金術ってのは、人知スレスレの得体の知れないモノって感じです。

ウィンリィの家で詫びる兄弟のお母さん。外で待っていた2人が、出てきたお母さんの顔を不安そうに覗き込む顔がなんつーかもう!
後の結構スレたエド兄を先に見ているので、ニッコリ笑って
『大人でも難しい錬金術が使えるなんて、自慢しようかしら』
というお母さんの言葉にほっとしたと同時に嬉しそうなの表情が、なんつーかもうっ!

…と、取り乱す位にナイスでした。

その後兄弟の成長過程がカットとして入るのですが、エド兄がアルに身長追い越されて泣いているのがまた…。弟の方が大きいってのがいいよなあ。うっとり(ビョーキでごめん)

この時間経過中に、疲れた顔のケガだらけの軍人の行軍を、家の窓から暗い表情で眺めているお母さんと、それに気づかず遊んでいる兄弟のシーンがあったかと。
のどかなリゼンブール村だけど、そんな場所でも戦争の匂いがあったワケで。

その煽りでウィンリィの両親が戦場で帰らぬ人となってしまいました。
泣きじゃくるウィンリィを慰めるアル。
『ボク達の父さんも居ないようなものだから』とのアルの言葉に
『居ないのと死んだのでは違う! もう帰って来ないのっ!』と、反発するウィンリィ。
それまで黙っていたエドが
『錬成術だったら、死んだ人を生き返らせる事が出来る』
と呟いて─。

この当時から人体練成という知識はあったのですね。そして多分、禁忌のモノと知りつつもかなりの興味を惹かれていたのでしょう。父親も人体練成の研究をしていたみたいだし。
エド兄、子供ながらに物騒なヤツ。

エドはどうやらお父さんに敵意に近い対抗心を持っている模様。大好きなお母さんを悲しませるヤツは許せないみたいな感じか。
2人で練成した鉄の馬をお母さんに見せた際、
『あの人が見たら何ていうかしら』(だったか、あの人が見たら喜ぶわだったか)
と、微笑みながらも遠い目をしたお母さんを見て、不意に顔つきが変わって練成した馬をお母さんの手から奪って駆け去っていくエド。
追いかけたアルの
『お父さんの事嫌い?』という問いに、
嫌いというよりは
『あいつの話をすると、母さんが悲しい顔をする。それがイヤだ』
と答えるエド。
(確かこんな感じのシーンだったかとー。物覚え悪し)

ああー分かる、その気持ち…って人も多いのではないでしょうか?
親の悲しい顔って、子供は多分親本人が思っている以上に敏感に感じるものであると思います。
自分の子供の頃はそうだったなあ。今の方がそういう面ではよっぽど鈍感。
エドにとっては、父親は思慕の対象である前に、ライバルであり越えねばならない相手であると、無意識に思っているのかもしれません。
アルはまだそこまで精神が成長していないと。

その兄の言葉を聞いて
『ごめん…』
と俯くアルの頭をぽんと叩いてやるエドがもう、これまた萌え。

この回ホントに萌え…もとい、いいシーンが多いので書ききれないです。
(しかし既に記憶が薄いので捏造している危険大。そんなシーンないじゃんってのがあったらすいません)

さて、いつものように兄弟揃って仲良くお家に駆け込むと、大好きなお母さんが倒れていました。どうも大分ムリをしていたようです。
お父さんの机から手紙の束を探し出して、父親の所在を突き止めようと手当たり次第に手紙を出す兄弟。
ホントはイヤだけどって悔しそうなエドに泣けるシーン。
この時の手紙の一通がロイに渡って、彼が村にやって来るってコトになってましたな。
原作にはない手紙を出しまくるエピソードといい、この部分は原作よりも上手いかもと思ったです。

近所の人達が集まる中、死の床に瀕しても兄弟の行く末を案じていたお母さんの最後の言葉が、エドに向かっての
『何か練成してみせて。…お花の髪飾りがいいわ。いつも…あの人が…作って…くれた…』
でした。

ここで初めて(多分エドは薄々気づいていたのでしょうが)、お母さんが練成術を喜んでくれたのは、お父さんの面影を子供達に見ていた為だと、兄弟は分かってしまうのですね。
ある意味、子供を旦那の身代わりにしたワケで、練成していた自分達をお母さんは(無意識にしろ)まるで見ていなかったという事になり─。
父親に対抗していた身としては、かなり痛かったのではないかと推察されます。

母恋し故の人体練成の実行ではありますが、その痛みとやりきれなさ、そして父親が出来なかった事をやってみせるという対抗心が、エドを頑ななまでに人体練成へ導いたのではないかと思われます。

アルは父親への対抗心という所までは成長していなかったので、単純に禁忌の人体練成に恐怖と不安を抱いていたみたい。エドを止めようとしていますし。でも母親を復活させる誘惑には勝てなかったと。

原作ではこの辺結構さらっと流してあるので、また違う見方が出来ますけれど(アルはアニメより俄然積極的だし)、アニメだとこんな見方も出来るよなあと思いました。

ある意味原作よりも、父親の比重が大きいかもしれません。

えーと、その後は悲劇の人体練成場面となるワケですが。
兄弟の父親を探しているのは軍部も一緒らしく、手紙を辿ってやって来たロイ(当時中佐)@無能の人は、見た事もない練成の光を見るのですね。
禁忌のワリには、周りにバレバレの派手なものらしいです。

で、人体練成なんちゅー無茶なコトして生きているなら見込みがあるかもってコトで、国家錬金術師にその場でスカウト。
さすが大佐…じゃなくて中佐、手が早い。
片手片足失くしたショック状態で人事不省と思われたエドですが、しぶとくしっかり聞いていて、国家錬金術師になる決心をします。
転んでもタダでは起きないエド兄です。
余談だけど、鎧となってしまったアルの膝に座るウィンリィは可愛かったわ。

包帯だらけのエドは色っぽか…じゃなくてっ!
機械鎧の手術中の悶えるエドは、その辺転がってしまうほどに色っぽか…でもなくてっ!!

兄弟での組み手のシーンといい、ちょっと正常な思考を保てない程に美味しかったです。
ごちそうさま。

この回のオープニングで初めて『音楽:大島ミチル』に気がついたんですよね。ワーズワースの庭好きだったのよー。
生まれ育った家に火をつけて燃えていくシーンで流れる曲がこれまた良くて、アニメCDでも構わない、買おうと心に誓ったのでした。

色々と勝手な深読みが出来て楽しかったです、この回。

(2003.11.11初出)

第4話「愛の錬成」
粗筋:(アニメ公式サイトより)

国家錬金術師になるために、生まれ故郷のリゼンブールから旅立ったエルリック兄弟は、途中、マジハールという錬金術師の風評を聞き、彼の住む村を訪れる。
だがその村では、死者が甦り人々を次々に襲うという、不吉な噂が流れていた。


原作コミックス(5巻まで)読んでいます。ビデオはまだ録っていません。


えーと、この回の放映は休止になりました。

……と、真面目に言いたいくらい、DVDからも欠番にして欲しいくらいに無かった事にしたい回。
この回気に入っている方には本当に申し訳ありません。

なまじ原作を読んでしまったせいってのもちょっとはあると思うのですが、それを抜きにしても、ひとつの話として整合性に欠けていると思ったです。
アニメオリジナルにこそ原作とは違う味を期待したいものですが、その結果が原作台無しじゃマズいのではないかと思うんだけどなあ。

既に記憶から消去し始めているのですが、ひとつの話としてどうかなあと思う点として、

ゲストの女の子ヒロイン。どうして最初男の子の格好をしているのか分かりません。
姉が原因不明で死んでしまったってコトですが、だからってどうして男の子の格好をせねばならないのか分かりません。
どうしてエド達に突っかかってくるのかも分かりません。

原因不明で死んでしまった姉の葬式で、何十年も前に死んでしまった女の姿を見たからって、どうしてこの女が姉を殺したと思い込んでしまったのか分かりません。
この村ではそーいう伝説でもあったのでしょうか? それなら伝説は本当だったとか考えるのは分かりますが。

バラのジャムを届けにきたおばあさん。どうしてマジハールさんの家に無断で上がりこんでいるのか分かりません。
兄弟に『勝手に家を漁るとマジハールさんに叱られますよー』とか何とか言っているのですが、その前にあんたが勝手に入り込んでいるだろうと、見ているこっちが小一時間問い詰めたい。

そしてあまりにもラストが陳腐。
このバラのジャムのおばあさんが、何十年も前に死んだとされて姿を見られていた女その人で、青いバラを街まで届ける際に事故に遭ってしまい記憶を失くしていたそうで。
幽霊騒動の女の正体はマジハールが作った人形で、女は彼の恋人だったと。
恋人を復活させるために若い女の魂を奪い、人形に定着でもさせていたのだけれど上手くいかなかった。
(多分)おばあさんになってから記憶を取り戻した女は、そんなマジハールの側に居た。
青い鳥は身近にあったってコトか?

つーか、記憶を取り戻したなら、さっさと言えばこんな騒ぎにはならなかったのではないかとー。

もうここから先の展開はどうでもいいです、私。


さて、これくらいなら『せっかくのオリジナルなのに何だかなあ』と苦笑いで済むのですが、この回は、原作を読んだ後のワタクシ的に看過出来ない部分がありました。

自分の日記でも書いたのですが、スタッフは当然既刊分の原作は読んでいるものと思っています。
原作で明かされていない分はアニメオリジナル設定で補うべきでしょうが、製作中(シナリオ執筆中でもいい)に原作に登場している分は、原作に沿って内容を吟味するのが最低限であろうと。

ここから先は思いっきり原作ネタバレです。
コミックス第4巻、回想シーンの、機械鎧の手術後の痛みと熱に浮かされているエドの台詞があります。
『アルがあんな身体になったのはオレのせいだ。あいつ食べる事も眠る事も痛みを感じる事も出来ないんだ』

そう、うわ言のように呟いていたエドが、
『馬車(だったかか列車だったか)の椅子のせいで腰が痛い。お前は痛くないか?』
みたいな感じの台詞、アルに向かって言うか?
『お前は寝とけ』
とか言う? 嫌味なの? 嫌味で言ってるの??

自分のせいでアルの身体を失ってしまったと自責の念にかられているであろうエドが(特にアニメ版だとアルの制止を振り切っての人体練成だし)、そんな無神経なコト言うはずがないと思うのですがー。
初版の日付(2003年2月22日)を見る限り、脚本書いた時点で原作がまだなかったってワケでもないよねえ。

実は原作と違って、魂だけなんだけど、食べるのはムリでも眠ったり痛みを感じたりするんだよーんってオチだと、私のこの怒りっぷりもただの笑い話なんですけどね。
これ書いている時点でアニメは6話分観ていますが、列車強盗の回で鎧への兆弾シーンでアル痛がってなかったしなあ。
ベッドに寝るシーンはあったけれど、横になっているだけっぽいし。

もうひとつ。
コミックス3巻、第3研究所でのアルと同じく鎧に魂を定着された囚人との戦いで、かろうじて勝利したエドに止めを刺すように促した鎧の人に向かって放つエドの言葉は
『人殺しは勘弁しろ』で
『オレの弟も人間だしあんたらも人間だ。殺しはいやだ』

えーと、ラストでエドってばマジハールを普通に殺していませんか?
(これがまた青いバラを槍に変えてっちゅー、耽美と言えばいいのか陳腐と言えばいいのか)
実はアレ身体に刺さったワケではないのですか? マジハールさん死ぬ演技してみただけ?

原作云々よりも、12歳の少年に殺しはさせるなと声を大にして言いたいですな。ぷんぷん。
殺しをやらなきゃ描けない世界ではないでしょうに。

これから先、『人殺しは勘弁』発言をどうするのか見物です。
でもきっと、何事もなかったように人を殺さないエドになるのでしょうね。

にわかファンの私がそう思う位だから、連載開始から追いかけていた原作ファンは、ご立腹ではないかと思われますがどんなモンでしょ?

気にしなきゃいいのは分かっているんですけどねえ。
頼むよアニメ〜。私アニメから原作読み始めたクチなんだからさあ。
最後まで面白く観させてよ。

…というのが切実な想いです。
(2003.11.11初出)

第5話「疾走!機械鎧(オートメイル)」
粗筋:(アニメ公式サイトより)

国家錬金術師になるためセントラルに向うエドとアル。
間もなく到着するとマスタング中佐に報告の電話を入れた所、突然!次の列車に乗れと命じられ、どうにか乗り込んだ2人。
なんと、その列車には家族と旅行中のハクロ将軍が乗っていた…。


この回からやっとビデオ録り始めました。


無能な人が無能ではない回。そしてヒューズ初登場でウハウハなお嬢さん方も多かった事と思われます。

冒頭、食べられないアルが一生懸命兄のためにドーナツ(ピロシキかしらん?)を選んでいるのが微笑ましい。
そしてロイ@当時中佐に電話するエドの緊張っぷりも微笑ましい。
1本早い列車に乗るようにロイは指示しますが、その時の薄ら笑いがヤツの腹黒さ…もとい、狡猾さを表していますな。
とっちゃんぼうやのクセに〜。

原作では15歳のエドが遭う事件を、時間軸を前にずらして描いています。
どうしてそうするのかは分かりませんが、そのせいで何の後ろ盾もない、ちょっと錬金術が出来るだけのただの子供としてのエドとアルが見られます。

原作では、良くも悪くもエドは老成していると言って良いほどに人間として出来上がった感があるのですが(なのにやっぱり肝心な部分では未熟な子供だという所が原作のエドの魅力かと)、アニメではもっとスレていない、年相応の子供として描こうとしているようです。
少年の成長物語とするならば、今のアニメのエドはその辺が見えやすくて分かりやすいかもしれません。
ま、私はどちらかと言えば原作の物怖じしないふてぶてしいエドの方が好みですね。趣味の問題。

ちょっと錬金術が出来るだけの子供達なので、前の席の女の子に
『鎧を着たヘンなお兄ちゃんがいるよー』
と言われれば、弟は落ち込むし兄はムっとする。
でもアルに向かって嬉しそうに手を振る女の子の姿に単純に喜んだりする。
この時のエド兄のほっとした表情がまたねえ。切なくて心が痛くなりますねえ。

ここで女の子が袖口から覗いたエドの義手を見て不思議そうな顔をするのに気づいて、袖を巻くって
『カッコいいだろう』
とニッと笑うエド兄が好きですな。くー、生意気なくせに可愛いじゃんっ!

えーと、場面変わってハクロ将軍の護衛に付いている、歩く辞書男のファルマン准尉(階級は3年後も変わらずか)
そしてしょっぱなから電話でロイにノロケまくるヒューズの登場。

紫の開襟シャツにピンクの腹巻(せめて腰帯と言おう…)のヒューズ。
コミックス6巻のおまけ『悪いスクリーントーンの例』を実践したかのような服装にくらくらしました。
ミナミの帝王バージョンですかね?
妙に似合うから、まあいいんですけど…。
ヒューズファンの妹は『グッジョブ!』とか言ってたなあ。目腐ってるんじゃ…。

奥さんのお腹にいる5ヶ月の子供が、明日生まれちゃったらどうしよーん(はあと)…なーんて感じで、電話切られてもかけ直してノロけまくるヒューズにイライラ爆発寸前のロイ。
ホークアイさんの『5ヶ月ではまだ生まれませんから!』発言には笑いました。
またそれが折り悪くヒューズの耳には届かないという。
列車からの電話は通信状態悪いので、通話にもノイズが乗るんですね。芸が細かいなあと、ヘンな所で感心しました。

実は無線傍受を警戒しての無駄話ってコトで、ヒューズが有能だと言うコトも分かるカッコいい場面に繋がるのですが、私は鎧のアルを『怪しいヤツ』と泡食って報告するファルマンさんに注目。
『こーんなおっきい鎧の!』
…と言う時の動作が、宮崎駿の『となりのトトロ』のメイを彷彿とさせてにやにやしてしまいました。
ファルマンってもっと無愛想な人だと思っていたんですけどね。あんなに人が良さそうだったとは。

鎧(のヤツ)は大丈夫だ、チビも居たろうとのロイの言葉を確認しに行って、思わず
『ホントにちっちゃい』(ここでまたアクション付き。ボディランゲージの豊かな人だ)
と、言ってしまうファルマンにお約束通り怒りまくるエド。

で、ここでやっと列車ジャックが敢行。
(…なまじビデオ観てから書くと長くなるなあ…)

ここでもまたロイの腹黒…抜け目のなさが発動。
『解決すりゃいーんだろ』
って言い草が、いけ好かなくてロイっぽいですねえ(誉めてます)
機関銃ぶっ放しているのに護衛を殺さない首謀者バルドの方が、よっぽどいい人に見えます。

ついつい銃を向けてきた犯人を倒してしまう兄弟でしたが、周りの乗客には報復されたらどうしてくれるんだ等と、非難の目を向けられます。
第1話のロゼの時といい、良かれと思ってやった事が裏目に出てしまうのですね。きっつい話だこと。

原作ではさすがに3年後だけあって乗客の非難も上手くかわせるのですが、12歳・11歳当時の兄弟は、どうしていいか分からずに途方に暮れて顔を見合わせてしまいます。
でも何とかしようと兄弟は決心するのですな。正統派少年マンガ(?)
どうでもいいけど、女子供に銃を向けるようなヤツは、踏み殺されても文句は言えないと思う。そのまま死んどけ。

犯人に縛られたファルマンさん、縄をほどいてやるエド達に列車ジャックの事をべらべらしゃべるのですが、これはありえない展開。普通はエド達を止めるでしょう。
きっとロイに吹き込まれたのだと思われます。ロイってばやっぱりいけ好かないヤツ〜(誉めているんです)

そして原作通り屋根の上から先頭車両を目指すエドですがー。
お嬢さん方の黄色い悲鳴が聞こえてきそうなシチュエーション

『屋根から転げ落ちそうなエドを受け止めるヒューズ』

が、見られます。

このシーンで、ヒューズ×エドの同人誌が、推定17%は増えたと思われます。
サービスしてくれるよ、アニメ。

原作ではエド1人で攻略した機関室ですが、アニメはヒューズと一緒♪
ナイフ投げの腕を惜しげもなく披露するヒューズさん。
しかし私は、ぎりぎりまで『逃げ足早く要領のいいデスクワーク派』でいて欲しかったので、実践もイケる所が早くも出ちゃってちょっと残念です。
まあ、多分アニメではヒューズの出番は大幅に増えると思うのでしょうがない事でしょうが。
エドの『安全運転よろしく!』がなかったのも寂しいのう。

さて、まだ練成する時に練成陣描いてますな。
前回で川を凍らせた時も非常時なのに描いていた所を見ると、両手パンはまだ出来ない模様。
アレを見た後なのにどうしてなのか? アニメで何か違う展開を見せるためでしょうか。

余談ですが、私の周りではアレを表現する度にタコ踊りを披露します(原作ネタ)
『アレ(ここでタコ踊り)を見たのにねえ』

ここからの展開は原作そのままなのでちょっとはしょってと。
(スピーカーエドの、妙に緊張した上ずった声が初々しくて良かったワ)

エドと対決するバルドの
『(軍人だった)オレは強くなりたかった。そのために機械鎧を付けた。しかし軍はそんなオレを捨てた。だから復讐してやる!』
とか
『機械鎧を持つお前なら願ったはずだ。誰よりも強くなりたいと』
って言い分。

エドじゃありませんが、わたしもその理屈、ちっとも分かりませんがー。
機械鎧って、戦闘や不慮の事故等で四肢を失った人々のための物だと思っていましたけどねえ。
復讐云々なんて八つ当たり以外の何だというのか?
12歳の子供に言い負かされて反省して欲しいです。こいつ原作よりバカっぽいなあ。

事件解決して駅についた犯人達と御一行。
襲いかかるバルドに(そりゃ、あんな嫌味ったらしい言い方されたらキレるよな)、これしか出来ないんじゃ〜とか言っちゃいけないロイの火花が発火。あぶねーヤツ。
ここでロイの顔を、エドは初めて見た模様。スカウトされた時は瀕死だったしねえ。

利用された事を知って問い質すエドをロイは受け流し、今回の功労で『特別に』国家錬金術試験を受けられる事になったと、いけしゃあしゃあとぬかしやがり、ヤツの言葉を信じてわざわざセントラルくだりまでやってきたエドに向かって
『大事な軍の試験を子供が受けられるワケないだろう?』(フフンと鼻で笑うのが聞こえるようだ)
『私がこの列車に乗せてやって良かったと思わないか?』

…ってロイ…。この事件が起きないような状況だったらどうするつもりだったんだよ?
ああー、ホントこいつってば無能な人のくせに腹黒いわーっ!(くどいようですが誉めてます)

結局、お釈迦様の掌の孫悟空状態のエドとアルだったワケですが、ホントにただの子供なのですから、それも仕方がない事。
アルの悟ったような『仕方ない。ボクらにはまだ力がないんだ』の言葉とロイの去り行く先を睨むエド。

でもあくまでも『「まだ」力がない』だけなんですよね。
そしてこれから兄弟が求める力とは、バルドのいう物理的な力とは明らかに違うものなのでしょう。

助けてくれてありがとうと、無邪気に手を振る女の子の笑顔に救われたようなエドが微笑ましかったです。

話はともかく、今回はどうもアクションシーンがいまいちでした。
カット割りと効果線で誤魔化しているようで、スピード感が感じられなくてモタモタって印象でした。
構図もパッとしなかったしなあ。
出来れば随時、3話の兄弟組み手くらいの動きは見せて欲しいものです。

アニメってやっぱり動いてナンボだと思うので、アクションシーンには頑張って頂きたいですね(あー偉そう)

(2003.11.12初出)