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 「小学校段階における外国語活動(仮称)」

 または 「小学校における英語活動」



9月10日の教育課程部会に提案された「教育課程部会におけるこれまでの審議の経過(検討素案)」のなかで、はじめて小学校の英語をどうするかの案が出ました。

教科ではないことから「外国語活動(仮称)」という名称をつけたというのですが、中身は英語です。

各紙が報じたためか、13日の初中局のメールマガジンが【記事解説】を配信しました。
おや、こちらのタイトルは「英語活動」になっています。

ようするに、国際理解の学習なのか、英語のスキルの学習なのか、まだ詰め切っていずに、あいまいさを残しているのです。教育課程部会では、当然、議論になり、結論は先送りになりました。

いまの現場がばらばらなので国が共通教材をつくる、高学年で週1コマ、などはほぼ合意のようですが、とりあえず、経過がわかる、そのメルマガをつぎに紹介します。




初中教育ニュース(初等中等教育局メールマガジン)第64号 (2007年9月13日)


 【記事解説】 小学校における英語活動について  〔教育課程課〕

 8月下旬以降、学習指導要領の見直しに関して新聞等でさまざまなトピックについて報道がなされています。今回は、小学校における英語活動について、学習指導要領の見直しを審議している中央教育審議会教育課程部会の審議の状況をお知らせします。

1.これまでの審議の経過

 小学校における英語の扱いについては、主に教育課程部会の下におかれている外国語専門部会で長期間に渡って議論が行われてきました。平成18年3月31日には外国語専門部会の審議の状況が教育課程部会に報告され、小学校高学年で平均週1回程度、領域又は総合的な学習の時間の中で英語教育を実施することを提言しました。
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/siryo/004/06040519/002.htm

 その後、現在の第4期の教育課程部会では、その下におかれている小学校部会において、小学校教育全体を見渡して小学校段階の英語の扱いについて検討することとされました。そして、去る8月30日に開催された小学校部会で、小学校における英語活動を含めた小学校の教育課程の枠組みについて検討が行われました。
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/siryo/029/07090310/003.htm

 小学校における英語活動については、小学校高学年で総合的な学習の時間とは別に週1コマを確保するということで、小学校部会で概ね了解されたことから、検討素案について審議が行われ、小学校部会での審議を教育課程部会に報告することとなりました。

 以下では、9月10日に開催された教育課程部会で審議された「小学校における外国語活動(仮称)」について、その教育目標・内容や教育課程上の位置づけなどを示した検討素案の内容を紹介します。


2.小学校における外国語活動(仮称)について

■目標は「言語や文化に対する理解」と「コミュニケーションに対する  積極性」

小学校段階では、小学生のもつ柔軟な適応力を生かして、言葉への自覚を促し、幅広い言語に関する能力や国際感覚の基盤を培うため、中学校の英語教育を前倒しするのではなく、・国語や我が国の文化を含めた言語や文化に対する理解を深めること・積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図ることを目標として、英語を中心とした外国語活動(仮称)を行うことが適当とされています。

このような外国語活動(仮称)を行うにあたっては、
・身近な場面やそれに適した言語・文化に関するテーマを設定し、ALTとの交流等を通して、英語でのコミュニケーションを体験させること
・場面やテーマに応じた基本的な単語や表現を用いて、音声面を中心とした活動を行い、言語や文化について理解させること
を基本とすることが適当とされています。

■国語力の育成にも資する

小学校段階で外国語に触れ、日本語とは異なる言語の音声や基本的な表現に慣れ親しませることは、言葉の大切さや豊かさ等に気づかせたり、言語に対する関心を高め、これを尊重する態度を身に付けさせることにつながるものであり、国語に関する能力の向上にも資するものであるとされています。

■総合的な学習の時間とは別に高学年で週1コマ程度

小学校段階における英語活動については、現在でも多くの小学校で総合的な学習の時間等において取り組まれていますが、各学校における取り組みには相当のばらつきがあります。このため、外国語活動(仮称)を義務教育として小学校で行う場合には、教育の機会均等の確保や中学校との円滑な接続等の観点から、国として各学校において共通に指導する内容を示すことが必要とされています。

この場合、
・目標や内容を各学校で定める総合的な学習の時間とは趣旨・性格が異なること
・小学校における外国語活動(仮称)の目標や内容を踏まえれば一定のまとまりをもって活動を行うことが適当なこと
から、総合的な学習の時間とは別に高学年において一定の授業時数(年間35単位時間、週1コマ程度)を確保することが適当とされています。

■教科とは位置づけない

教科のような数値による評価にはなじまないと考えられることから教科とは位置づけないことが適当とされています。

■指導者は学級担任を中心にALT等とのTT

指導者に関しては、当面は各学校における現在の取り組みと同様、学級担任(学校の実情によっては担当教員)を中心に、ALTや英語が堪能な地域人材等とのティーム・ティーチングを基本とすべきとされています。これを踏まえ、国においては、今後、教員研修や指導者の確保に関して一層の充実を図ることが必要とされています。

■共通教材の提供やICTの活用

外国語活動(仮称)の質的水準を確保するためには、まず第一に、国として共通教材を提供することが必要とされています。さらに、音声面の指導におけるCDやDVD、電子教具等の活用、へき地や離島等の遠隔教育及び国際交流におけるテレビ会議システムの利用など、ICTの活用による指導の充実を図ることも重要とされています。


3.審議の状況

9月10日の教育課程部会では上記の検討素案について審議が行われました。
部会では、
・アジア諸国が小学校から英語教育を導入しており、アジア諸国間でも英語が国際語となるとの観点から日本でも小学校から英語教育を行う必要がある
・中学校の外国語教育とどのように関連するか明確にすべき
・指導者養成やネイティブスピーカーの確保などの条件整備が極めて重要
などの意見が出され、引き続き審議を行うこととなりました。


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