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みかきもりの気ままに小倉百人一首

2015/11/20 藍より青し、愛より青い海

2004年の「第19回国民文化祭ふくおか2004」は国民文化祭で初めてかるた大会が開催され、
38都府県の出場でした。それから11年目となる今年の「第30回国民文化祭かごしま2015」の
かるた大会には初めて沖縄県が参加して47都道府県がすべてそろい、さらに欧米チームと
韓国チームが加わった49チームが出場しました。
国民文化祭のかるた大会がすべての都道府県や海外から参加する大きな大会になったこと、
またそれほど競技かるたが普及したことに感慨深いものを感じます。

沖縄といえば、JALの沖縄キャンペーンソングが思い浮かびます。
1990年「浪漫飛行」(米米CLUB)、1991年「愛より青い海」(上々颱風)はとても好きな歌です。
「愛より青い海」の歌を聞くと穏やかで雄大な青い海をイメージしますが、雄大な海の情景を
感じる百人一首の歌といえば、76番「わたの原こぎ」の歌です。
そして、マンガ「ちはやふる」のメインキャラである綿谷新の好きな歌が「わたの原こぎ」です。

No. 作者 愛より青い海(上々颱風)
76 法性寺入道前関白太政大臣 わたの原漕ぎ出でて見ればひさかたの
雲居にまがふ沖つ白波
愛よりも青い海 この胸に抱きしめて
愛よりも青い海 いつも心に抱いて

ただひとつの歌を 歌うために生まれた
ただひとつの愛を 歌うために生まれた
ただひとつの夢を 歌うために生まれた
ただひとつの朝を 歌うために生まれた
夜が明けたなら行こう 遠くまで遠くまで
人はみな青い空の 向こうからやって来た

愛よりも青い海 この胸に抱きしめて
愛よりも青い海 いつも心に抱いて

ただひとつの歌を 歌うために生まれた
ただひとつの愛を 歌うために生まれた
流れゆく白い雲を 追いかけて追いかけて
人はみな青い海の 向こうからやって来た

愛よりも青い風 この胸に抱きしめて
愛よりも青い風 いつも心に抱いて
愛よりも青い海 この胸に抱きしめて
愛よりも青い海 いつも心に抱いて

[みかきもり]
綿谷一家の引っ越しで小学6年の綿谷新が福井から東京へ出発する日、新を見送る
祖父は「東京行っても、かるたを続けね。ほしたらいつでも、じいちゃんと心ん中で
会えるでぇ」と優しく声をかけました。
新を深く慈しんでかるたを教えた永世名人の祖父を、雄大な海のような存在として
新は感じていたのではないでしょうか。


小説ちはやふる中学生編2、ちはやふる 第8首~第10首
新が中学3年の6月の福井大会の日曜日、脳溢血によって認知障害を持った祖父はカレンダーの
日付に丸が付けられて「福井大会」と書かれているのを見て、まるで元のかるたの神様に戻ったか
のように、一人で留守番をして祖父の介護をする新に「出なあかんやろ、福井大会」と送り出します。
新はその福井大会でB級優勝します。しかし表彰式の時、祖父が発作を起こして一人で亡くなった
ことを知らされます。
祖父のそばにいなかったことに新は強い自責の念にかられ、かるたから離れます。

都立瑞沢高校に進学した千早はそこで太一と再会し、「日曜の大会で優勝してA級になったら
一緒にかるた部作ってよ」と一方的に約束します。
千早はその日曜の大会でB級優勝します。窓の外から見守っていた太一に抱きつき「一緒に強くなろう、
仲間がいたら強くなれるから」とかるたに誘います。さらにB級優勝してA級になったことを新に
連絡しようとその場から電話しますが、「かるたとか、もうやってないから」ブツッと電話を切られます。

いま会わないともう会えないと感じた千早は太一とともに福井にいる新に会いに行きますが、
千早の並べたかるたの札を新が足蹴にしたことに太一がキレて「もう来ねぇよ」と千早を連れて
帰ります。千早と太一が帰った後、新は千早の書いた手紙を読みます。
「私は新をかるたの神様みたいに思ってます、会えなければ会えないほど神様になってくみたいです」
祖父をかるたの神様と思う新は、祖父が亡くなった時のことを再び思い出します。

ふと気づくと、多くの饅頭の包み紙の裏には千早のメモ書きがされており、新はそれを一枚一枚
読んでいく中で千早や太一にずっと会いたかった気持ちがよみがえります。そして小学校を卒業して
別れ別れになる際の千早と太一の「ときどき会ってかるたをしようよ」の言葉を思い出します。
新は神様じゃなく友達でいたいと全力で自転車をこいで千早と太一の乗った特急しらさぎを追いかけ、
千早と太一の名前を大声で呼びます。千早がそれに気づいて太一とともに新の名前を呼びます。
福井を去る特急の中で、「よかった…嫌われたんじゃない…新はかるたを嫌いになったんじゃない」
と泣く千早に太一は瑞沢高校のかるた部を一緒につくることを約束します。


浪漫飛行(米米CLUB)
「逢いたい」と思うことが何よりも大切だよ
苦しさの裏側にあることに眼を向けて
夢をみてよ どんな時でも
全てはそこから始まるはずさ
君と出逢ってからいくつもの夜を語り明かした
はちきれるほど My Dream
トランク1つだけで浪漫飛行へ In The Sky
飛びまわれ この My Heart

そこから「逃げだす」ことは誰にでもできることさ
あきらめという名の傘じゃ雨はしのげない
何もかもが知らないうちに
形を変えてしまう前に

いつかその胸の中までも くもらぬように Right Away
おいかけるのさ My Friend
トランク1つだけで浪漫飛行へ In The Sky
飛びまわれ この My Heart

忘れないで あのときめき
一人じゃない もう一度空へ

その胸の中までも くもらぬように Right Away
おいかけるのさ My Friend
トランク1つだけで浪漫飛行へ In The Sky
飛びまわれ この My Heart

時が流れて誰もが行き過ぎても
You're Just A Friend! この胸に
トランク1つだけで浪漫飛行へ In The Sky
飛びまわれ この My Heart


■参考文献
・ちはやふる第2巻          末次 由紀           (講談社)
・小説ちはやふる中学生編2      時海 結以           (講談社)
・ちはやふるオフィシャルハンドブック 末次由紀&BE LOVE編集部 監修 (講談社)
・百人一首 全訳注          有吉 保            (講談社学術文庫)

■参考URL
・YouTube/浪漫飛行 30th Anniversary 石井竜也YouTube/上々颱風(Shang Shang Typhoon) - 愛より青い海 (Blue Sea Than Love) YouTube/米米CLUB CM 1990年 JAL 沖縄 「夏離宮」 曲 浪漫飛行YouTube/JAL夏 沖縄キャンペーン 上々沖縄 1991Wikipedia 米米CLUBWikipedia 上々颱風浪漫飛行への誘い/JAL沖縄キャンペーンソングシリーズ故事ことわざ辞典/青は藍より出でて藍より青し上々颱風~30周年特別企画~Google 青い海 の画像検索結果 

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