百人一首No. | 作者 | 歌 | 薔薇の本数の意味 新华网(2012/2/13 慧聪网) |
日本語訳 | コメント |
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1 | 天智天皇 | 秋の田のかりほの庵のとまをあらみ わがころもでは露にぬれつつ | 1本)我的心中只有你 ONLY YOU! | 私の心の中はあなただけです ONLY YOU! | |
2 | 持統天皇 | 春過ぎて夏来にけらし白妙の 衣ほすてふ天の香具山 | 2本)这世界只有我俩! | この世界は私たち2人だけです |
[みかきもり] 持統天皇は天武天皇といっしょに夢見た世界を天武天皇が崩御した後も一つ一つ形にしてきました。 天武天皇が亡くなった時の持統天皇の「やすみしし」の歌では「荒妙の衣の袖は干る時もなし」と歌われました。 「春過ぎて」の歌では「白妙の衣干したり」と歌われ、時間の流れを感じます。 藤原京遷都という大きな事業を成し遂げた後のある時に、持統天皇は天武天皇を想って感慨深く「春過ぎて」の歌を詠んだと感じられます。 【参考】みかきもりの気ままに小倉百人一首 「春過ぎて」 |
3 | 柿本人麿 | あしびきの山鳥の尾のしだり尾の ながながし夜をひとりかも寝む | 3本)我爱你 I LOVE YOU! | 私はあなたを愛します I LOVE YOU! |
[みかきもり] 後鳥羽院は九十歳となった俊成(法名:釈阿)の祝賀の歌会を催し、柿本人麿「あしびきの」を本歌取りした「さくら咲く」の歌を詠みました。 この「あしびきの」の歌が百人一首に選ばれているところに、定家の俊成や後鳥羽院への想いが感じられます。 【参考】みかきもりの気ままに小倉百人一首 歌の聖「あしびきの」 |
4 | 山部赤人 | 田子の浦にうち出でて見れば白妙の 富士の高嶺に雪は降りつつ | 4本)至死不渝! | 死ぬまで変わりません |
[みかきもり] 「田子の浦に」は、富士山を詠んだ歌です。 竹取物語は、帝がその山の頂でかぐや姫の手紙や不死の薬を燃やし、その煙がいまだ雲の中に立ち上っていると、その愛の永遠を示唆して終わっています。 【参考】みかきもりの気ままに小倉百人一首 「なげけとて」 |
5 | 猿丸大夫 | 奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿の 声聞く時ぞ秋は悲しき | 5本)由衷欣赏! | 心から楽しんでいます |
[みかきもり] 「奥山に」の歌は猿丸大夫が宇都宮明神(二荒山神社)になったいわれが連想され、二荒山神社の社家が宇都宮氏です。 嵯峨野の別荘のために定家に色紙和歌を依頼した宇都宮頼綱(蓮生)は初代藤原宗円から数えて5代目で、歌番号5とつながります。 色紙和歌を依頼した宇都宮頼綱に対する定家の感謝も感じられます。 【参考】みかきもりの気ままに小倉百人一首 六歌仙と猿丸大夫 |
6 | 中納言家持 | かささぎの渡せる橋に置く霜の 白きを見れば夜ぞ更けにける | 6本)互敬 互爱 互谅! | 互いに敬い 互いに愛し 互いに許す | |
7 | 阿倍仲麻呂 | 天の原ふりさけ見れば春日なる 三笠の山に出でし月かも | 7本)我偷偷地爱著你! | 私はひそかにあなたを愛しています |
[みかきもり] 藤原清河ら遣唐使一行は阿倍仲麻呂を伴い帰国の途につきます。 唐が鑑真の出国を禁じたため、大使藤原清河は鑑真一行の乗船を拒否しますが、副使の大伴古麻呂が独断?で鑑真を自身の船にひそかに乗せます。 暴風により藤原清河と阿倍仲麻呂の乗る第一船は唐南方の驩州(ベトナム)に漂着しますが、 大伴古麻呂と鑑真、普照の乗る第二船はもちこたえます。 そして鑑真を乗せた第二船は薩摩の秋妻屋浦(坊津)に着きます。 唐に出国を禁じられた鑑真の日本への想いと日本の鑑真への想いが感じられます。 【参考】みかきもりの気ままに小倉百人一首 3人の遣唐使 |
8 | 喜撰法師 | わが庵は都のたつみしかぞ住む 世をうぢ山と人はいふなり | 8本)感谢你的关怀扶持及鼓励! | あなたのお気遣い、援助、激励に感謝します | |
9 | 小野小町 | 花の色は移りにけりないたづらに わが身世にふるながめせし間に | 9本)长久 ALWAYS! | いつまでも ALWAYS! |
[みかきもり] 中国語で九(jiǔ)は久(jiǔ)と同じ音で「九」は「久」に通じるとともに最大の奇数(吉数)の文字で幸運の数字です。 また9という数字は、平方数「9 = 32」であり、1から2までの立方数の和(= 2番目の三角数の平方)「9 = 13 + 23 = (1 + 2)2」で、数字の美しさが感じられます。 小野小町の美しさと吉子の名前に掛けて百人一首の9番に小野小町を据えたように感じられます。 【参考】みかきもりの気ままに小倉百人一首 美しい数字「小野小町」 |
10 | 蝉丸 | これやこの行くも帰るも別れては 知るも知らぬも逢坂の関 | 10本)十全十美 无懈可击! | 完璧です、非の打ちどころがありません |
[みかきもり] 百人一首100首の中で唯一濁音のない歌が、「これやこの」の歌です。 「行く・帰る」「知る・知らぬ」「別れ・逢う」の対語がリズミカルに並んで、逢坂の関を人が行き交う様子が感じられ、 琵琶の名手の歌らしい美しい調べの歌です。 【参考】みかきもりの気ままに小倉百人一首 美しい調べ「これやこの」 |
11 | 参議篁 | わたの原八十島かけて漕ぎ出でぬと 人には告げよ海人の釣舟 | 11本)最爱 只在乎你一人! | あなた一人だけを気にかけて最も愛します | |
12 | 僧正遍昭 | 天つ風雲の通ひ路吹きとぢよ をとめの姿しばしとどめむ | 12本)对你的爱与日俱增! | あなたへの愛が日を増して強くなります | |
13 | 陽成院 | 筑波嶺の峰より落つるみなの川 恋ぞつもりて淵となりぬる | 13本)友谊长存! | 友情よ永遠にあれ! | |
14 | 河原左大臣 | 陸奥のしのぶもぢずり誰ゆゑに 乱れそめにしわれならなくに | 14本)骄傲! | 誇りです | |
15 | 光孝天皇 | 君がため春の野に出でて若菜つむ わが衣手に雪は降りつつ | 15本)对你感到歉意I'M SORRY! | あなたにすまないと感じています I'M SORRY! |
[みかきもり] 光孝天皇は、陽成天皇を退位させ自分を天皇にした藤原基経に大政を委任し、自らの皇子を臣籍に下ろしています。 陽成院や臣籍に下ろした自らの皇子に対してすまないと感じる光孝天皇の気持ちが伝わってきます。 【参考】みかきもりの気ままに小倉百人一首 8人の天皇 |
16 | 中納言行平 | 立ち別れいなばの山の峰に生ふる まつとし聞かば今帰り来む | 16本)多变不安的爱情! | 変化が多くて落ち着かない愛情 | |
17 | 在原業平朝臣 | ちはやぶる神代も聞かず龍田川 からくれなゐに水くくるとは | 17本)绝望无可挽回的爱! | 取り戻すことのできない愛に絶望する |
[みかきもり] 在原業平と藤原高子は藤原高子の入内前に恋愛関係があったといわれます。 「ちはやぶる」は、業平が清和天皇の女御となった藤原高子(二条后)に求められて詠んだ歌です。 【参考】みかきもりの気ままに小倉百人一首 「ちはやぶる」 【参考】みかきもりの気ままに小倉百人一首 「ちはやぶる」Part2 |
18 | 藤原敏行朝臣 | 住の江の岸に寄る波よるさへや 夢の通ひ路人目よくらむ | 18本)真诚与坦白! | 真心と告白 | |
19 | 伊勢 | 難波潟短き蘆のふしの間も 逢はでこのよを過ぐしてよとや | 19本)忍耐与期待! | 忍耐と期待 | |
20 | 元良親王 | わびぬれば今はた同じ難波なる みをつくしても逢はむとぞ思ふ | 20本)我仅一颗赤诚的心! | 私は赤誠の心一つだけです | |
21 | 素性法師 | 今来むといひしばかりに長月の 有明の月を待ち出でつるかな | 21本)真诚的爱! | 真心の愛 | |
22 | 文屋康秀 | 吹くからに秋の草木のしをるれば むべ山風をあらしといふらむ | 22本)祝你好运! | あなたの好運を祈ります | |
25 | 三条右大臣 | 名にし負はば逢坂山のさねかづら 人に知られでくるよしもがな | 25本)祝你幸福! | あなたの幸福を祈ります | |
30 | 壬生忠岑 | 有明のつれなく見えし別れより 暁ばかり憂きものはなし | 30本)信是有缘! | これがご縁であると信じます |
[みかきもり] 源氏物語第2帖「帚木」(光源氏17歳)では、光源氏と空蝉の出逢いと別れが描かれ、そこに有明の月が描写されています。 源氏物語第16帖「関屋」(光源氏29歳)では、常陸介(元伊予介)が任期を終えて妻空蝉と共に戻って逢坂の関を越える日と、光源氏が石山寺へ参詣する日が偶然にも重なり、 再会を知って光源氏と空蝉は直接逢えないながらも昔を思い出します。 【参考】みかきもりの気ままに小倉百人一首 暁風残月「有明の」 |
36 | 清原深養父 | 夏の夜はまだ宵ながら明けぬるを 雲のいづくに月宿るらむ | 36本)浪漫! | ロマンです |
[みかきもり] 36は6x6です。中国語で六(líu)は急流を意味する溜(líu)と同じ音です。 浪漫の浪は「あちこちぶらつく」、漫は「あふれ出る、とらわれない、気ままな」という意です。 「夏の夜は」は、急流のように時が過ぎていく夏の短い夜は月が気ままにさすらって雲のどこかに宿をとっているのだろうなあと詠んだ歌に感じられます。 |
40 | 平兼盛 | 忍ぶれど色に出でにけり我が恋は 物や思ふと人の問ふまで | 40本)誓死不渝的爱情! | 変わらぬ愛情を命をかけて誓います | |
50 | 藤原義孝 | 君がため惜しからざりし命さへ 長くもがなと思ひけるかな | 50本)邂逅不期而遇! | 偶然の巡り逢い | |
66 | 大僧正行尊 | もろともにあはれと思へ山桜 花よりほかに知る人もなし | 66本)细水常流 | 細い水でも留まることなく常に先へ向かって流れています |
[みかきもり] 中国語で六(líu)と流(liú)は似た音です。 「もろともに」は、行尊が熊野から葛城・大峰を経て吉野に至る入山で、大峰にて思いがけず山桜の花の咲いているのを見て詠んだ歌です。 盛りを過ぎても嵐に身をまかせ風に吹き折れてもこうして蕾をつけて花を咲かせている山桜に、一人で修業をしている行尊が共感したものです。 そこには細水常流の心があります。 |
88 | 皇嘉門院別当 | 難波江の蘆のかりねのひとよゆゑ みをつくしてや恋ひわたるべき | 88本)用心弥补 | (足りないところは)補うように努力します | |
99 | 後鳥羽院 | 人もをし人もうらめしあぢきなく 世を思ふゆゑに物思ふ身は | 99本)天长地久 FOREVER! | 永久に変わらない FOREVER! |
[みかきもり] 百人一首の 96入道前太政大臣「花さそふ」、97藤原定家「来ぬ人を」、98藤原家隆「風そよぐ」、99後鳥羽院「人もをし」、100順徳院「ももしきや」に対し、 百人秀歌では 99藤原家隆「風そよぐ」、100藤原定家「来ぬ人を」、101入道前太政大臣「花さそふ」の順序となっており、後鳥羽院、順徳院の歌はありません。 秀歌を多く詠んで定家と並び称された藤原家隆、歌壇の第一人者の藤原定家、定家の義弟で朝廷の実権を握った入道前太政大臣(西園寺公経)が 百人秀歌で99、100、101となっているのは、家隆の歌の素晴らしさ、定家の自負、公経への敬意を感じます。 一方で百人一首で順序が96、97、98と逆になっているのは99後鳥羽院との距離感を感じます。 96入道前太政大臣(西園寺公経)は99後鳥羽院と敵対した鎌倉幕府と親しくしたことで昇進しました。 98家隆は99後鳥羽院が隠岐へ流された後も和歌の交流を行っています。 99後鳥羽院は和歌で定家の父俊成に師事し97定家を理解した存在で歌人としても大変才能を持っており、99後鳥羽院の子の100順徳院は和歌で97定家に師事して定家にとって愛弟子です。 しかし97定家は、99後鳥羽院の起こした承久の乱には距離を置き、96公経の姉を妻として為家をもうけています。 また為家は96公経の猶子となっています。97定家は99後鳥羽院と96公経との間で微妙な立場です。 百人一首の歌番号に後鳥羽院の存在感が感じられます。 【参考】みかきもりの気ままに小倉百人一首 8人の天皇 百人一首の 93鎌倉右大臣(源実朝)「世の中は」、96入道前太政大臣「花さそふ」、97藤原定家「来ぬ人を」、98藤原家隆「風そよぐ」は定家が単独で選んだ新勅撰集からのものです。 為家の勅撰集初出の歌はこの新勅撰集の101番です。 百人秀歌の歌番号87俊成・100定家から、俊成・定家の和歌が後鳥羽院・順徳院の時代の中で花開いて完結したことを感じます。 新勅撰集の歌番号101為家から、為家に新たな1歩を踏み出して新たな御子左家の時代を築き上げていってほしいという定家の願いを感じます。 為家は定家が亡くなった仁治2年(1241年)に定家を越える権大納言にまで昇っています。 |
100 | 順徳院 | ももしきや古き軒端のしのぶにも なほあまりある昔なりけり | 100本)百分之百的爱 100% LOVE! | 100%の愛 100% LOVE | |
96, 百人秀歌101 | 入道前太政大臣 | 花さそふ嵐の庭の雪ならで ふりゆくものはわが身なりけり | 101本)最……最爱! | 最も……最も愛します | |
新勅撰集101 | 藤原為家 | たちのこす梢も見えず山桜 はなのあたりにかかる白雲 |
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108本)求 婚! | プロポーズします | - | |||
144本)爱你生生世世 | 現世来世何度生まれ変わってもあなたを愛す | - | |||
365本)天天想你 | 毎日あなたを想っています | - | |||
999本)天长地久 | 永久に変わらない | - | |||
1001本)直到永远 | 永遠にずっと続く | - |
■参考文献 ・デイリーコンサイス中日・日中辞典(第3版) 杉本 達夫、牧田 英二、古屋 昭弘 (三省堂) ・百人一首 全訳注 有吉 保 (講談社学術文庫) ・全訳古語辞典(第二版) 宮腰 賢、桜井 満 (旺文社) ■参考URL ・トロントたきのおと会 ・北京メディアウオッチ@東京[ブログ] ・藤田康介公式ウェブサイト「細水長流」 ・Wikipedia 帚木 (源氏物語) ・Wikipedia 空蝉 (源氏物語) ・Wikipedia 関屋 (源氏物語) ・源氏物語の世界 再編集版 ・Wikipedia 藤原家隆 (従二位) ・Wikipedia 藤原定家 ・Wikipedia 西園寺公経 ・Wikipedia 藤原為家 ・千人万首 藤原家隆 ・千人万首 藤原定家 ・千人万首 西園寺公経 ・千人万首 藤原為家 ・国際日本文化研究センター和歌データベース 新勅撰集