No. | 作者 | 歌 | 解釈 |
---|---|---|---|
77 | 崇徳院 | 瀬を早み岩にせかるる滝川の われても末に逢はむとぞ思ふ |
[みかきもり] 詞花集の崇徳院229「瀬を早み」の歌は、久安百首の崇徳院76「ゆきなやみ」の歌を 改作したものとされています。 「早瀬」を古語辞典で調べてみようと思い立って見てみると、万葉集 巻十 2089 「天の河白波しのぎ落ちたぎつ早瀬渡りて」が用例として載っていました。 千早と太一の所属する府中白波会に、渡り手が出てきたと思いました(^^) しかし万葉集 巻十 2089を見ましたが、残念ながらピンと来るものではありませんでした。 そこで久安百首の崇徳院76の76から万葉集 巻十 2076を見ると、「天の川 瀬を早みかも」 の歌でした。「瀬を早み」が出てきてちょっと驚きました。 ◎万葉集 巻十 2076 天の川 瀬を早みかも ぬばたまの 夜はあけにつつ 逢はぬ彦星 ⇒太一(1):かるたが真っ黒に見えた時期は過ぎつつあるが、まるで天の川の急流が 二人の間に横たわっているかのように、千早に逢おうとしない太一。 ◎久安百首 崇徳院 76 ゆきなやみ 岩にせかるる 谷川の われても末に 逢はむとぞ思ふ ⇒太一(2):行き悩んでいるが、いつか必ず逢おうと思う気持ちが芽生えた太一。 ◎詞花集 崇徳院 229 瀬を早み 岩にせかるる 滝川の われても末に 逢はむとぞ思ふ ⇒千早:太一と別れてもいつか必ず逢おうと思う。 こうして見ると、奇遇にも一十百千万がそろっていますね(^^) 「ちはやふる」第152首は、千早がイメージされる「瀬を早み」の歌を表に出しつつ、太一を通して その裏にある「天の川」や「ゆきなやみ」の歌が感じられます。 76からは離ればなれの織姫と彦星が出逢う七夕の前日7月6日が連想され、千早と太一が逢う フラグがたったように思います。 |
■参考文献 ・新訂 新訓万葉集 上巻 佐佐木信綱編 (岩波文庫) ・百人一首 全訳注 有吉 保 (講談社学術文庫) ・全訳古語辞典(第二版) 宮腰 賢、桜井 満 (旺文社) ■参考URL ・Wikipedia 万葉集 ・Wikipedia 久安百首 ・Wikipedia 詞花和歌集 ・Wikipedia サラダ記念日 ・国際日本文化研究センター/和歌データベース 久安百首(久安六年御百首) ・国際日本文化研究センター/和歌データベース 万葉集・武田訓 みかきもりの気ままに小倉百人一首 ・4. 「8人の天皇」 ・24. 「奇数のぞろ目の歌番号(年中行事)」