No. | 作者 | 歌 | 「ちはやふる」第1首【BE LOVE 2号(2008 1/15)】 |
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11 | 小野篁 | わたの原八十島かけて漕ぎ出でぬと 人には告げよあまの釣舟 |
綿谷新は福井から東京の小学校に転校しますが、クラスになじめていません。 「あたしが綿谷くんだったら笑うためにメモとってる人と話したくないなあ」とクラスの女の子と話す 綾瀬千早を同じクラスの真島太一が見ています。 先生が入ってきて、「百首覚えたらテスト受けにきてね、来月のかるた大会に出てもらうから」と 話します。クラスの女の子が太一に「真島くん出ればいーのに、もう完璧覚えたんでしょ、はやーい」と 声をかけられて太一は鼻高々です。先生は新が百首一気に暗唱して合格したことを話します。 それを聞いてクラスのみんなは驚きます。 新聞配達をしていた新を千早は思い出してそのことを言います。「小学生は働いてはいけないのよ」と クラスがざわつき、千早は自分が悪いことをしたと責任を感じます。 新をおもしろくない太一は雨の降る中で新を突き飛ばします。通りかかった千早が新を援護しますが、 千早も太一に突き飛ばされます。地面に座り込んだまま、新と千早は目を合わせます。 びしょびしょになった二人は新のアパートに行きます。 千早:「(ミスコンに出ている)お姉ちゃんがいつか日本一になるのがあたしの夢なんだ!」 新:「ほんなのは夢とは言わんよ、自分のことでないと夢にしたらあかん」 千早:「自分の夢あんの!?」 新は百人一首の取札を出してきます。千早が百人一首を知っていることを聞くと、新はうれしそうに かるたをやろうと誘います。本気でかるたを取る新に千早は「せをはやみ」の1枚だけしか取れず 24枚差で負けます。 新:「かるたで名人になるのが、おれの夢や」 翌日、新とともにハブられた千早は太一に「あたしはいーから、綿谷くん解除してよ太一」と頼みます。 「こいつチビだし、ビンボーだし、田舎者じゃん」と言う太一に、千早は「でも綿谷くんかるただったら、 ここのだれにも負けないよ」と啖呵を切ります。 千早の勢いにのまれた新は「一枚も取らせんよ」と言います。 太一は「言ったな、じゃー勝負だ。一枚でも取られたら卒業までおまえはハブだ」と、売り言葉に 買い言葉です。 「これだったらだれにも負けない」なんていえるものを持っていないと思う千早は、「とんでもない賭け なのに気持ちよかった」と感じます。 小学校のかるた大会で、新は1枚も取らせないパーフェクトなかるたで決勝に進みます。 太一も決勝に進み、新との対戦になります。太一は超厳しいお母さんがきており、その目の前で1枚も 取れずに負けるわけにはいきません。休憩中、太一は新の顔にコーラを吹きかけ、新が顔を洗っている うちにメガネを隠してしまいます。 新が「メガネ隠したのやっぱり真島やと思う」と言ったのに対し、千早は「太一は心はせまいけど、 そんなひどいやつじゃないよ」と返します。それを太一は見ています。 メガネがなくて試合にならない新を押しのけて、千早が出場します。 「綿谷くんのかわりに絶対勝つ、違う、『かわり』じゃない、あたしが太一に勝つんだ」と千早は強く 思います。千早は、まったく覚えてない札は太一の動きを察知してあてずっぽうで取りながら、最後の 1枚となります。最後は太一の陣にある「ちはやぶる」の札を千早が取って勝ちました。 悔しがる太一に、千早は「太一との勝負、すっごいおもしろかった、かるたって楽しいね」と話します。 そして新を指差しながら「綿谷くんが相手じゃ、こうはいかなかったよ。あれは名人になるやつだから」 と言います。そんな千早に新は「じゃあ綾瀬さんはクイーンやの」と言葉をかけました。 「クイーン?」 千早はアパートで新から聞いた「かるたでは日本で1番は世界で1番」の言葉を思い出します。 [みかきもり] この「ちはやふる」第1首は「君が代」とオーバーラップしていると感じます。 わが君は 千代に八千代に さざれ石の いはほとなりて 苔のむすまで 君が代は 千代に八千代に さざれ石の いはほとなりて 苔のむすまで ・さざれ石の いはほとなりて 転校した東京の小学校で小さくなっている新は、普段は「さざれ石(細石)」ですが、かるたになると 誰にも負けない「いはほ(巌)」になります。 ・いはほとなりて 「君が代」には「いはほ」と「ほと」が「ほ」の字で結びついて「いはほとなりて」だという解釈も あります。 アパートで新と千早が本気のかるたをとってお互いの距離がぐっと近づきました。 新が千早にかけた言葉が千早の胸に響きます。 「ほんなのは夢とは言わんよ、自分のことでないと夢にしたらあかん」 「かるたでは日本で1番は世界で1番」 「じゃあ綾瀬さんはクイーンやの」 新が千早に帆をかけ、千早は『帆かけたる舟』になったのでしょう。 ・わが君は ⇒ 君が代は 「お姉ちゃんがいつか日本一になるのがあたしの夢なんだ!」とお姉ちゃんの夢にのっかっていた 千早が自分の夢としてクイーンを目指すようになります。 ・千代に八千代に/苔のむすまで 名人やクイーンになることを目標にして、新や千早が幾夜も幾夜も厳しい練習を重ねる光景が 目に浮かびます。 綿谷新の名前から連想される次の歌は、今まさにクイーンに向かって大きく帆を張って漕ぎ出す 千早を感じます。 わたの原八十島かけて漕ぎ出でぬと 人には告げよあまの釣舟 |
■参考文献 ・ちはやふる(一) 末次 由紀 (講談社) ■参考URL ・Wikipedia ちはやふる ・Wikipedia 呉服神社 ・Wikipedia 伊居太神社 (池田市) ・Wikipedia 応神天皇 ・Wikipedia 仁徳天皇 ・大阪府池田市/池田の市章と花・木・鳥 ・人文研究見聞録 呉服神社 [大阪府] ・伊居太神社と呉服神社 ・ばさら日本史/原始機で機織りをする ・goo 国語辞書/ちきりじめ