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みかきもりの気ままに小倉百人一首

2019/03/26 「いにしへの」

競技かるたで読みをしていて、百人一首の音の中に半濁音「ぱぴぷぺぽ」はないと
思っていましたが、ほかにないかと百首を読みながら五十音表のメモ書きをチェックして
確認してみました。結果は下表の通りでした。

音の種別結果
清音「あ~わ行」「へ」の音以外はすべてある。
「へ」の文字で「え」の音はあるが「へ」の音はない。
濁音「が行、ざ行、だ行、ば行」すべてある。
半濁音「ぱぴぷぺぽ」すべてない。
拗音「ゃゅょ」「ょ」はある。(「恋すてふ」などの「てふ」)
「ゃゅ」はない。(「あさぢふの」は「あさじゅうの」でなく「あさじうの」と読む)
促音「っ」ない。
(しっかり口を動かさないと「初瀬(はつせ)」が「はっせ」、「龍田(たつた)」が「たった」になるけど…)
撥音「ん」ある。(「あらざらむ」などの「む」)

「ぱぴぷぺぽ」は電子音っぽい感じもあってか、宇宙人やロボット等とマッチングさせて
用いられることが多いように思います。
奈良時代以前の古い日本語ではパ行の音とハ行の音の区別はなく「p」だったものが、
子音弱化で「f」になり、江戸時代には「h」となっていったようです。
現代の日本人が大昔の日本語を聞くと宇宙人が話している言葉のように聞こえるかも
しれませんね。(現代はカタカナ言葉が多いからお互い様?)

No. 作者 コメント
61伊勢大輔いにしへの奈良の都の八重桜
けふ九重ににほひぬるかな
[みかきもり]
「へ」の音がないことでがぜん興味が湧いてきて、下記の「百人一首一覧」のページに
ある通り各歌の文字数を分析してみました。
百人一首一覧

すると「へ」の文字を含む歌は21首あります。
その中で「いにしへの」の歌は「へ」の文字が最も多い3個となっており、他の歌は
「へ」の文字は1個です。
百人一首の中に「へ」の音がないことによって、「いにしへの」の歌は「へ」や「にほひ」の
言葉がいっそう強調される感じを受けます。

先日3月22日の金曜ロードショー「名探偵コナン 世紀末の魔術師」は、
怪盗キッドの予告状
『黄昏の獅子から暁の乙女へ 秒針のない時計が12番目の文字を刻む時 光る天の
楼閣からメモリーズ・エッグをいただきに参上する 世紀末の魔術師 怪盗キッド』
において、12番目の文字の「へ」がポイントでした。

定家も百人一首にいろいろしかけをしているようで、言葉の魔術師みたいだと感じます。

今度の3月29日の金曜ロードショーは地上波初放送の「ちはやふる-結び-」ですね。
とても楽しみです(^^)


■参考文献
・百人一首 全訳注        有吉 保  (講談社学術文庫)
・全訳古語辞典(第二版)     宮腰 賢、桜井 満(旺文社)

■参考URL
・Wikipedia 清音Wikipedia 濁音Wikipedia 半濁音Wikipedia 拗音Wikipedia 促音Wikipedia んWikipedia 子音弱化Wikipedia は行よみうりテレビ 名探偵コナン事件ファイル「世紀末の魔術師」人力検索はてな/パ行の音の言葉って本来日本にあったのでしょうか?exciteニュース/「半濁点」ってどうして生まれたの?半分濁ってるわけではないのに。元々は外来語表記の為?マイナビ フレッシャーズ/「パピプペポ」はポルトガル人の発明!? 意外と知らない濁点、半濁点の歴史


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