前へ  次へ  一覧  かるたとテクノロジー

競技かるたとコンピュータ
3.インターネットの利用の現状

3.1.インターネットとは
 1994年後半から急速に普及を見せたインターネットであるが、それ以前でも大学や企業の研究部門等ですでによく使用されていた。これまでのネットワークの運用として商用利用は禁止されていたために一般的ではなかったところもあるが、商用利用が解禁されて大きなメディアとして注目されるようになった。

 インターネットでよく使用されるのは電子メールとホームページである。  電子メールとはネットワーク上での郵便のようなものである。電話の場合だと相手がつかまらないとコミュニケーションがとれないが、メールの場合はおたがいの都合のよいときにメールを出し合うことでコミュニケーションを図ることができるので便利である。また相手の睡眠中に電話やFAXの呼び出し音を鳴らしてしまうということがないので、個人の生活時間帯の差を意識することもない。さらにメーリングリスト(ML)によって多くの人とのコミュニケーションをとることができるのもよい。MLとは電子メールをそのMLのメールアドレスに送付するとMLに登録されているメンバー全員にメールが届くシステムで、メールを共有してコミュニケーションを図ることができる。

 ホームページとはインターネット上に公開された文字や絵・写真・動画などをもった文書で、インターネット上で誰もが見れる電子出版物である。ホームページは他のホームページを参照することができ、ホームページを渡り歩くことをネットサーフィンと呼んでいる。

 インターネットを利用すると住んでいる場所がどこであろうと世界中のホームページを見ることができるし、世界中の人と電子メールをやりとりできる。また積極的に情報提供活動されている人のおかげで新鮮な情報を入手することもできる。インターネットが作り出している世界は情報がスピーディーでまったく場所による情報の不公平さのない世界であることに気づくだろう。

3.2.競技かるたの世界でのインターネットの利用
 競技かるたの世界におけるインターネットの利用は1996年末現在、会内のコミュニケーション、個人のホームページによるパブリッシング、筆者が運営するメーリングリストによるコミュニケーションが挙げられる。

3.2.1.会内のコミュニケーション
 会内のコミュニケーションとしては、東大かるた会におけるメーリングリストやホームページを使ったものがある。練習予定や競技会予定・結果などをホームページにして会内に連絡している。大学のかるた会では、大学卒業後もそのかるた会に所属することが多いが、会員が全国にちらばってしまうことからこうしたインターネットの活用は有用なものになっている。運用環境を大学の設備を利用して行っていることでシステム維持コストがかからないという恵まれた状況も大学のかるた会ならではであるといえよう。

3.2.2.個人のホームページ
 個人のホームページには競技かるたに限らず様々なことを記述しているので詳細は実際にホームページを見られるほうが楽しいだろう。ここでは小林好真氏(東大かるた会)、高野仁氏(慶応かるた会)、中田拓馬氏(早大かるた会)のホームページを紹介する。ホームページの内容は随時変更されるため、筆者が確認した時点の内容である。

 小林氏のものは調査を重ねた最強のかるたリンク集を持っている。インターネット上にあるかるたに関する多数のホームページがこのかるたリンク集から参照できる。かるたのホームページをネットサーフィンするならまずここへ来るのがいい。また競技会の成績や選手のランキングをプライベートに集計したものも載っている。(社)全日本かるた協会においても競技会入賞成績のポイントによる選手の順位表を年1回発行の機関誌で公開しているが、こちらのランキングは対戦相手との相対的な力関係を考慮した勝敗結果を競技会終了ごとに集計して現在の選手の実力を反映したものにしようとしており、最新のランキングを見ることができる。

 高野氏のものは小倉百人一首のみならず他のかるたを紹介しており、特に太平洋戦争時に小倉百人一首が軍部より圧力を受けたときに代用された愛国百人一首が詳しい。また歴代の名人・クインの一覧も見ることができる。いち早く米国バージニア大学の小倉百人一首のホームページをリンクし、紹介したことでも知られている。

 中田氏のものは競技かるたについてまったく知らない一般の方に向けて競技かるたをやさしく解説している。お正月の時期になるとテレビでパシッと札をとるシーンが放映されたりして、一般の方はそれを見て「なんだかこわい」とか思われるようなところもあるが、「そんなことはないんだよ。こんなおもしろいものはないよ」といっているかのごとく、競技かるたを紹介している。筆者の確認時点では未完成であったが、完成を楽しみにしているホームページの一つである。

 他にも紹介したいすばらしいホームページが多数あるが、実際にネットサーフィンされてぜひ見ていただきたいと思う。

3.2.3.筆者のメーリングリスト
 筆者が運営するメーリングリストは通称を「MIKA」と呼んで、1995年11月に5名で開設以来、1996年末現在76名を数えるに至っている。発端は1995年9月発行の全日本かるた協会機関誌「かるた展望」第24号に前述の小林氏が「インターネットしませんか?」という記事を掲載したことに始まる。それを見てまだ会ったこともない小林氏にわくわくしながら電子メールを送ったことを今もなお思い起こすことができる。電子メールを交わすうちに筆者のほうでメーリングリストを自然とつくることになったわけだが、「MIKA」の参加者はクチコミでその存在を知って参加することが多い。競技かるたの世界でネットワークがまだまだ活用されていないこともあるが、一方で競技かるたを通じた全国各地の人々のつながりが興味深く感じられたりもする。「MIKA」内ではかるたやかるた界の話題、競技会の結果のみならずコンピュータの話題、学校の話題、結婚報告などその他様々な話題でメールが交わされ、交流を行っている。また当初から参加されている種村永世名人(慶応かるた会)のコメントも楽しみの一つである。

 項の中ではあるが、「MIKA」においてメールボックスに制限のあるNifty-Serveメール利用者を受け入れることができたのは稲葉修至氏(高嶺会)のご協力によるものであり、筆者がこの節を著すことができたのは「MIKA」のメンバーの情報交流によるところが大きい。稲葉氏ならび「MIKA」のメンバーの皆様に感謝を捧げたい。

3.2.4.アドレス
 インターネットを利用できる方は実際にホームページを見たり、メーリングリストに参加するためにどこへアクセスすればいいのか気になるところだろう。

 1996年末現在のアドレスを下記に示す。これらのアドレスは都合により変更されることがあることをあらかじめご承知願いたい。

小林好真氏のホームページhttp://www.chem.s.u-tokyo.ac.jp/~sohta/
高野仁氏のホームページhttp://www.sfc.keio.ac.jp/~takano/index.html
中田拓馬氏のホームページhttp://www.fin.or.jp/~rumi/
筆者のメールアドレスhase@hi-ho.or.jp
       またはPXW02600@niftyserve.or.jp

(注) 2000/3/10現在、上記ホームページのアドレスはほとんど変更または廃止されています。 最新のアドレスはリンク集をご覧ください。
また筆者のメールアドレスはhase@hi-ho.ne.jpのみとなっています。