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競技かるたとコンピュータ
4.「競技かるた」というスポーツ

 さて競技かるたとコンピュータについて、これまでの応用とインターネットの利用の現状を記してきたが、これからどのようなコンピュータの応用が考えられるかについては一度「競技かるた」はどんなものか振り返った後で考えるとしよう。

 競技かるたは小倉百人一首を用いた室内競技のスポーツである。読手が決められたリズムで札を高らかに読み始めると場内はまるで読手しかいないかのようにその声のみが響きわたる。どこかしらピーンと張りつめた雰囲気の中、競技者はそのリズムにのって上の句の読まれるタイミングを計り、どんなわずかの音も聞き漏らすまいと全身を耳にして音に集中する。読手が上の句を読み上げたその瞬間、緊迫した雰囲気が一気にはじけ、競技者は札に向かっていく。そして、その一枚の小さな勝負の後、競技者は次々と変わる局面の中で試合の組立を考えながら、札を相手に送り、札を移動して、次の一枚に備えるのである。

 こうした競技かるたをスポーツとしてとらえると、他のスポーツでコンピュータが利用されている例を競技かるたに応用することは容易に想像できる。また競技かるたとして考えなければならないものももちろんある。現在およびこれから期待されるコンピュータ技術を踏まえて、読手・競技者・競技会という側面からコンピュータのできることを考えていく。