『カンマを伴う分詞句について』(野島明 著)
第二章 個々の読解の在り方を吟味する

第2節 《分詞構文》という了解


〔注1−12〕

   荒木一雄・安井稔編『現代英文法辞典』は《分詞構文》を次のように説明している。

定義。分詞(PARTICIPLE)を主要素とする語群で、主節に対し副詞的修飾機能を持つもの。節(CLAUSE)に相当する内容を表現する。一般に文章体に限られ、慣用的な表現を除くと日常の話しことばではほとんど用いられない。分詞構文と主節との間には休止(pause)が置かれる。(『現代英文法辞典』participial construction[分詞構文]の項)

分詞は…、主節動詞の主語を間接的に修飾し、主節動詞と同格的に、主節動詞の表す動作・状態における主語の様態を叙述する働きを持つが、この緊密な結び付きが緩み、主飾動詞を含む節全体と副詞的な関係を結ぶようになる。 この用法は分詞構文(PARTICIPIAL CONSTRUCTI0N)と呼ばれるもので、主節に対して、付帯状況、原因・理由、時、条件・譲歩などの意味を表す。(『現代英文法辞典』participle(分詞)の項)

   次いで、安井稔編『コンサイス英文法辞典』の説明。
定義。分詞(PARTICIPLE)を主要素とする語群で、節(CLAUSE)に相当する内容を表現しながら、主節を副詞的に修飾する。主節との意味関係は曖昧で、一律には決められない。一般に文章体に限られ、慣用的な表現を除くと日常の話し言葉ではほとんど用いられない。分詞構文と主節との間には、通例、休止(pause)が置かれる。(participial construction[分詞構文]の項)
   「文章体云々」(学習用文法書等では「文語体」と記述されることも多い)については第7章第5節参照。

   カンマに代わってダッシュが用いられている事例も、数は少ないが、ある。

But within a decade, Mr. Tsiang predicts, China will take over that too --- leaving Taiwan as a satellite, rather than the engine, of East Asia's technology industry.(下線は引用者)
しかし、十年以内に、とツィァン氏は予測している、中国はそれも引き継ぐことになり、台湾は東アジアのハイテク産業を引っ張る力というよりむしろ周辺的勢力となるだろう。(私訳)
(注)Mr. Tsiang : 台湾のあるPCメーカーの社長ホーラス・ツィァン[Horace Tsiang]
(注)that : PCの設計部門[design work]
(Taiwan's PC Makers Shift to China, By MARK LANDLER, The New York Times ON THE WEB, May 29, 2001)
   分詞句に伴うカンマについては更に、[1−1]参照。

(〔注1−12〕 了)

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