第二章 個々の読解の在り方を吟味する
第1節 【読解 その1】について
〔注2−2〕
【読解その1】では、カンマの有無を指標として、機械的に、副詞要素であるか名詞修飾要素であるかの判断が下される。例えば、
(a) The boys knowing him well didn’t believe him.(形容詞用法)
(b) The boys, knowing him well, didn’t believe him.(分詞構文)
(a)は「彼をよく知っている少年たちは彼の言うことを信じなかった」の意で、分詞句はboysを修飾する形容詞句であり、(b)は「その少年たちは、彼をよく知っていたので、彼の言うことを信じなかった」の意で、分詞句は主文に対して副詞句的修飾関係をもち、分詞構文である。
(中原道喜『マスター 英文法』p.392)(第一章第2節参照)
同書の関係詞に関する一節(§78. 制限的用法と非制限的用法)には次のような記述もある。
制限・非制限の関係は、関係詞節以外の修飾語句についても区別される。
(a)The girls sitting in the back row chatted noisily. 〔制限的〕
(b)The girls, sitting in the back row, chatted noisily. 〔非制限的〕
(a)は「うしろの席に座っていた少女たちは、にぎやかにおしゃべりした」の意で、分詞句はgirlsを制限的に修飾する形容詞句でgirlsに続けて読み、(b)は「その少女たちは、うしろ席に座って、にぎやかにおしゃべりした」の意で、いわゆる分詞構文と呼ばれる副詞句で、前後を区切って読む。
(ibid, p.185)
筆者が「非制限的用法」をどのように理解しているのか、私には分からないと言う他はない。(b)に見るような「カンマを伴う分詞句」のカンマについては第一章第5節参照。
(〔注2−2〕 了)
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