第5節 解読という誘惑
〔注6−44〕
以下は、第二章第6節末の記述である。
(2−10)
Being stupid and having no imagination, animals often behave far more sensibly than men.
Loving him, she shot him dead on the spot.
「科学の徒である彼は」、「愚かで全く想像力のない動物は」、「彼を愛していた彼女は」とそのまま読むのが業腹であるせいか、「科学の徒であったので、彼は政治には関心がなかった」(中原道喜, ibid)(下線は引用者)、「愚かで想像力はないけれども、動物は人間よりずっと賢い振る舞いをすることがよくある」(山口俊治, ibid)(下線は引用者)、「彼を愛していたので/愛していたが、彼女は彼をその場で射殺した」とか何とか、あれこれ考えをめぐらせてしまうのである。 それも我知らずの内に。 |