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 QUADRAL SIGNUM 20

 
クアドラルのシグナム20を購入しました。

中古ですが、2023年でも流通販売しているので、購入検討中の方にも参考になると思います。


 クアドラルは10年以上前の展示試聴会でフラグシップが鳴らされていてその音に感心し使ってみたいと思っていたメーカーでした。

それは、AURUM TITAN Z という3WAYのフロアー型、38cmウーハー搭載の物でした。
写真左側の物ですが、ツイータはリボンでした。

今回購入したものは現行の一番安いラインの小型ブックシェルフ(写真右側)です。
日本での定価は、126,500円 (115,000円 + 消費税)です。
現地ではその半分位で売られています。
今回は中古を安く入手しました(知名度が低く人気が無いようです)。

 このシグナム20のウーハーは、15.5cmのポリプロピレンのコーンにチタンを蒸着したものです。
まるで、クリプシュのウーハーのようです、クリプシュの方は、樹脂に銅を蒸着したもののようです。
クリプシュは、スパンコッパー・熱成形結晶性ポリマーウーファー、と言っています。
ツイータはリングラジエーターで、有名なピアレスのデュアルコンセントリックと同等のようです。
Peerlessのツィーター XT25TG30-04 は多くのメーカーに採用されていた嫌な音を出さない良いユニットです。
 従って、このシグナム20は、クリプシュのようなきっちりとした低域に嫌な音のない高域だと思われました。
ですので、ネットで音も聴かずに購入してしまいました。

 さて、その音は実際にはどうだったのでしょうか?
鳴らしてみると、やけにボーカル、特に女性ボーカルが際立って聞こえ、その上の高域が落ち気味でざらついて聴こえました。
このスピーカー、2WAYのクロスが3kHz付近で、このクロスの周波数下側が盛り上がっているような感じに聴こえます。
3kHzと言えば、ウーハーが分割振動している周波数、その為にこの当たりがうるさく聞こえるように思えました。

 そこでその問題を解消する為にまずはネットワークの周波数特性の変更を考えました。
ネット検索して、このシリーズのトールボーイの周波数特性を見つけました。
以下は、LowBeats誌のサイトより拝借したシグナム70の特性、アレンジしてあります。

3kHz付近でひどい盛り上がりはなく、むしろ下がっていますので、定数変更は止めとしました。

 通常、このクラスの製品のネットワークは、特に低域側は電解コンデンサが使われています。
ネットワークはスピーカー端子の裏側にあると思い端子を外してみましたが、そこにはネットワークがありませんでした。
中を覗くと、ネットワークは、内部に縦に付けられていました。
内部に取り付ける場合、底面か側面に取り付けるのが普通かと思います。
このシグナム20のネットワークは、リアの板に基板長と同じ長さの角材が2個貼り付けられたそれにねじ止めされていました。
部品は正面側を向いています。

 部品を見ますと電解コンデンサが2個見えます。
基板を取り出して回路図を描いたのが下記です。

このウーハー側の27μFと47μFのコンデンサを変更しようとしました。
入手の都合、サイズ、価格を考慮して、27μはフィルムコン、47μはオーディオ用電解としました。
フィルムコンは、 JANTZEN、Cross-Cap 400V DC 27μF 5%。としました。
27μの容量で購入できるのは Cross-Cap だけでした。
オーディオ用電解は、ニチコン、MUSE-ES(BP) 50V 100μF 20% 85℃ を2個直列としました。
耐圧の関係で仕方なく直列としました。
元のコンデンサはSPTというロゴの入ったもので、中国製というのはわかりましたが、メーカーの特定は出来ませんでした。
ウーハー側のLCRの直列回路は、600Hz位に共振しているようです。



部品交換し、ついでに箱の補強も行いました。
補強板はベニア板を使用しましネットワークの前方に取り付けました。
ウーハーの音圧を受けないようにしました。
ベニア板先端にウーハーのマグネット受け用の発泡ゴムを付けました。
又、ベニア板とネットワークの間にはニードルフェルトを入れました。

 そして、鳴らしてみますと女性ボーカルが際立って聞こえるのは押さえられましたが、その上の高域のざらつきは変わりませんでした。
ツイータ自体は悪くなさそうなのでネットワークの回路かと思い回路図を眺めました。
ツイータ側の回路にはPTCが使われていました。
これが悪さをしている可能性があったので、これをショートしてみました。
そうしますと、ざらつきは解消されたように聴こえました、気のせいかもしれません。

 下の写真がセッティングの状態です。


 この状態で、特に気になる点は無く聴くことができました。
但し、音は団子状態になっていて箱の悪さかネットワークの悪さが原因かもしれません。
マグネパンだと広がりがあって、かつすっきりとした音がしています。
ソナスもすっきり感は落ちますが、少し広がりがあり団子にはなっていません。
ですが、これで良しとしました。

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