はじめに

 江戸時代には、幕府公認の本屋仲間組織の管理下で刊行された書物の他に、表向きは「好色本」として禁止されていた筈の春本、春画類が数多く出されている。これらの春画・春本は長らく研究対象からは除外されてきたが、1990年代に春画が無修正で公刊されるようになり、学術的な雑誌での特集や書物も出された。2010年代、海外での春画展示の好評などから、春画研究は格段に進んできたといえよう。 しかしながら、戯作と春本の関係や、春本のテキスト面での研究は、春画研究に比してはるかに遅れているといわざるを得ない。 私たちの研究テーマ「戯作と春本研究」では、テキスト面から見た春本研究を、春画絵巻や戯作者による春本、往来物に準じる春本類の面から試みている。このHPでは、中世の絵巻から幕末期までの日本文学に於ける春画・春本を対象に、テキスト面からのアプローチを行っていくための資料を提示する。

 本HPは平成26~28年度科学研究費助成事業 基盤研究(C)「テキスト面からみた春本研究…戯作者と春本」(課題番号26370246)の研究成果の一部である。